災害に強い公共施設づくり特集号(2~3面)
(補足)
このページの内容は、「区のおしらせ 災害に強い公共施設づくり特集号」(平成20年1月23日発行)から抜粋したものです。
「世田谷区庁舎整備調査研究報告書」がまとまりました
区役所の第1庁舎は昭和35年、第2庁舎は昭和44年、世田谷区民会館は昭和34年に建設され、いずれも建築後約40~50年が経過し、老朽化が進んでいます。防災・災害対策への対応、庁舎分散化やバリアフリーへの対応なども求められています。
区では、平成16年度から区役所庁舎のあり方について調査研究を進めてきました。4か年の調査研究の結果、多くの問題点・課題が明らかになり、調査会社から、庁舎の建て替えに向けた検討の必要性が指摘されています。
今後、区民の皆さんからのご意見等をいただき、区の考え方を整理していきます。
平成16年度~平成19年度の調査研究概要
(調査 株式会社日本設計)
平成16年度
区役所の庁舎だけでなく、各総合支所の庁舎などを対象として、現状と問題点を整理しました。
その結果、区役所の庁舎については、7つの大きな問題点が明らかになりました。
現在の庁舎の問題点
- 狭あい化が進んでいる
- 庁舎が分散している
- バリアフリーへの対応が不十分
- 防災・災害対策機能が不十分
- 環境への負荷を抑えるための対応が不十分
- 防犯・セキュリティ対策、IT対応が不足している
- 修繕費用、維持管理費用の増加が懸念される
平成17年度
平成16年度の調査研究を踏まえ、『庁舎のあるべき姿』として、4つのテーマのもとで、これからの区役所の庁舎に求められる機能や性能、新技術などを整理しました。
庁舎に求められる機能
- 区民へのサービス機能について
- 防災活動拠点、災害対策、復旧・復興拠点として必要な機能・設備などについて
- 環境への負荷を抑えるための機能・設備・技術などについて
- 執務環境に必要な機能・設備・技術などについて
平成18年度
『庁舎のあるべき姿』の実現に向けて、改修をして長寿命化を図る場合と、改築をする場合の2つのケースを想定して、比較検討を行いました。
改修・改築の比較まとめ
- 現状の問題点については、改修では解決できないことが多くあります。
- 維持管理も含めた総費用(ライフサイクルコスト)の点では、改修整備を進めても、いずれは改築する必要があると指摘されています。
平成19年度
今後の庁舎整備の方向性を検討するため、庁舎の立地の要件、規模、機能などの具体的な調査や検討を行い、改築を検討する場合の基本条件を整理しました。
また、複数の候補地を取り上げ、立地の評価と建築の可能性を検証しました。
災害対策の拠点としての課題
- 災害対策の拠点としては、耐震性能が不十分です。
第1庁舎、第2庁舎、世田谷区民会館は、すでに耐震補強工事を実施しています。しかし、災害対策の拠点としては、さらに高い耐震性能が求められます。
- 災害対策に必要なスペースが十分に確保されていません。
災害が起きたときは、直ちに災害対策本部を設置します。しかし、現状では応急活動に必要なスペースや機能が十分であるとはいえません。
- 災害に備えた電源や情報通信などの設備が不十分です。
災害が起きたとき、災害復旧活動をするには、非常用電源や情報通信の確保が必要です。しかし、そのための貯蔵燃料や設備の耐震性能に不安があります。
課題解決の方向性
- 高いレベルで地震や火災などに耐えることができる建物とすること
- 災害対策本部として十分な役割を果たすことができるようなスペースを備えること
- 他の自治体や各種団体などからの救援物資を受け入れ、搬出できるスペースと機能を確保すること
- 電気・水道・通信などのライフラインの多重化や、災害発生後3日分の非常電源用の燃料や、災害対策活動のための備蓄場所を確保すること
区民サービス面での問題点
- 区民窓口・相談機能、窓口のプライバシーなどが十分に確保されていません。
窓口相談、待合のスペースが不足しています。そのため、窓口のプライバシーが十分確保されていません。
- 庁舎が分散化しています。
区役所の庁舎は、多くの建物に分散しています。そのため、区民の皆さんにとってわかりにくく、利用しにくい状況となっています。
- バリアフリーなどへの対応が不十分です。
身障者用トイレが不足していたり、世田谷区民会館には階段が多く使われていることなど、バリアフリーへの対応が不十分です。
- 来庁者用の駐車場、駐輪場などが不足しています。
駐車場は、いつも満車に近く、周辺道路には待機車両が並んでいる状態です。また、駐輪場に置くことのできない自転車などが歩行者などの妨げにもなっています。
課題解決の方向性
- プライバシーの確保など、機能的で配慮の行き届いた窓口スペースを確保すること
- わかりやすい窓口配置や案内標示による誘導に配慮すること
- 区民が気軽に立ち寄り、交流や情報共有ができるスペースの確保に配慮すること
- だれもが利用しやすいよう、バリアフリーやユニバーサルデザインなどに配慮すること
- より安全に利用しやすい配慮や工夫をすること
環境への配慮
- 環境性能が十分とはいえません。
老朽化している現在の庁舎では、環境への影響を減らす新技術などの導入に限界があるため、積極的な環境への貢献が十分に行われていません。
- 省エネルギーの推進が十分ではありません。
狭あい化の進む現在の庁舎では、照明や空調で、省エネルギー効果の高い最新システムを導入できないため、非効率的なエネルギー消費となっています。
課題解決の方向性
- 環境への影響を減らす対策を積極的に、バランスよく採用し、高い環境性能を確保すること
- エネルギー消費を常に監視し、継続的な省エネルギー対策を実施すること
- 建物をつくり、維持管理をし、取り壊すまでの総費用(ライフサイクルコスト)に配慮すること
平成16年度~平成19年度の庁舎整備調査研究報告書は、区政情報センター(世田谷区民会館内)、総合支所区政情報コーナー、出張所、まちづくりセンター、図書館でご覧になれます。また、報告書の概要版を上記窓口で配布しています。
「災害に強い公共施設づくり特集号(4面)」に続く