令和6年10 月の「区長の談話室」(ゲスト:船木 成記 氏)
令和6年10月の区長の談話室
令和6年10月6日・13日放送 区長の談話室「つながりを活かすまちづくり!」
※10月13日は6日の再放送です。
10月は、今年4月から世田谷区参与に就任した船木成記さんをゲストに「つながりを活かすまちづくり」をテーマに放送します。国・県・市といった様々な組織で、政策・公共事業に関するアドバイザーを歴任されてきた多彩な経験をふまえ、「住んで良かった」「働いて良かった」と思える世田谷をめざした取組みなどについてお話しいただきます。
(ゲスト:世田谷区参与、船木 成記 ⽒)
テーマ・ゲスト紹介
- パーソナリティ:保坂区長、今日もよろしくお願いいたします。
- 区長:よろしくお願いいたします。
- パーソナリティ:本日のテーマは、つながりを活かすまちづくりについてお話を伺って参ります。では早速今日のゲストをご紹介します。世田谷区参与の船木成記さんです。船木さん、よろしくお願いいたします。
- 船木氏:初めまして。よろしくお願いいたします。
- パーソナリティ:区長、今回、船木さんをお迎えしましたが、多くのプロジェクトにも関わっていらっしゃったと伺いました。船木さんのプロフィールやお仕事についてご紹介いただけますか。
- 区長:現在、船木さんには世田谷区参与としてこれからお話しする様々なアイデアをいただきながら、一緒に変えていこうという最中なんですが、実に多彩な経歴をお持ちでして、もともとは広告会社の博報堂に入社された後、そもそもあまりその会社の現場にいるというよりは、あちこち、例えば尼崎市の顧問として10年間、船木ゼミというのを開いて、職員たちが大きく「地域に飛び出していこう」ということを仕掛けたり、長崎県で改革にあたったり、また国の内閣府や環境省で船木さんの改革を生かしたプロジェクトに携わったり、長野県にもいらっしゃったり、今、お住まいは長野県ですが、月に1回、1週間くらいの間隔で世田谷区に来ていただいているということでして、あちこちでいろんな顔、いろいろな名刺を使って仕事をされてきた船木さんですが、共通の根っこみたいなものがありますよね。
- 船木氏:そうですね。ありがとうございます。共通の根っこと言いますか、人と人の間にあるものをどうやってつないでいくか、今、効率化社会がここまで来て、なるべく余分な関係性は切っていく、対話したり話したりするとどうしても遠回りしちゃったりするので、仕事の上では効率論みたいな話。これは行政だけじゃなくて、さまざまなところでそうなんですけど、本当はその間にあるものが実はすごく大事だっていうことは、ちょっと世の中忘れかかっちゃっているので、大事なところは削りすぎないようにするというのが僕はやりたいというかやろうと思っていることなので、そこのところでご一緒にできたり、一緒にやりたいねっていう人たちといろいろプロジェクトをやったりと、そんなことで声がかかるところを断らないようにとかしていたらお話しいただいて、今の状況になっております。
東京・世田谷の仕事~政策経営部参与として
- パーソナリティ:心強い船木さんの参画ですが、今回肩書きは参与という形でのアプローチをされたんですよね。
- 区長:そうですね。政策経営部という部署が世田谷区にありまして、そこで、いろいろなつながりを役所の中でも、それから役所の外にも広げて編み上げていこうと、職員がもっと意欲的に地域にボーンと飛び出していって、いろいろな面白いことが住民の皆さんとできるような、そんな仕掛けはどうできるのかなというところを今話しているところですが、そもそも船木さんに世田谷区に来ていただいたきっかけは、教育総合センター、若林小学校の跡地にできまして大変広いセンターで教育委員会が主に学校教育の支援をしているという部署になって、学校の先生方が研修に来る場所でもあるんですが、そこに世田谷区の研修も一緒になり、それからシンクタンクである世田谷自治政策研究所というのも入って、いわゆる複合的な施設になって、「さあスタートしてください」と言うとみんな混じり合って科学変化が起きるのかというのは、そんなにすぐには起きないんです。かき回したりつないだり揺らしたり、ちょっと刺激したり、いろんな組み合わせを作ったり、話題提供、発想を変えてもらったりということが必要で、誰かそういう人いないかなということで職員が探した結果、「船木さんという人がいますよ」っていうことで、おいでいただいたってことですよね。
- 船木氏:はいその通りです。
- パーソナリティ;でも、船木さんも世田谷にもゆかりがあったりしてっていうところでも、ご縁もあったかと思うんですが、参画されてみていかがでしたか?
- 船木氏:難しいこと聞きますね。ゆかりがあったまではいかないんですけどね。実は出身が僕、東京・杉並なんですね。なので、学生から三十半ばぐらいまでは本当にこの地域も含めいろいろ歩いたり動いたりしていたんで、世田谷区は全然知らないところでもないということもあって、まちとしては農大の周りとかうろうろしたりしていたので、久しぶりにまた東京・世田谷の仕事と言いますかね、関係の中で自分の身がおけるっていうのは非常に嬉しいなと思っていました。今聞かれている内容は、多分区役所の人たちとの関係ってことだろうと思うのです。やっぱり僕、自治体の方々は色んな接点があって見ているんですけど、まちごとにやっぱりその組織の風土とかですね、やっぱ違うなと思います。で、どちらかというと僕はローカルと言いますかね、地域、少し都市部とは違うところの仕事が今まで多かったんですけど、やっぱり都市型の組織や関係性みたいなことはちょっと違うと言いますかね。そういうものがあるので、逆に僕も今そこを学んでいるというか、一緒に体感しているというところでしょうかね。若干、コミュニケーション力がちょっと弱いというか、やっぱり何だろう、すましている感じが若干ありますよねっていうのが、ローカルから比べるとって言うことなんですけどね、あるかななんてのはちょっと感じたりしますけどね。
- 区長:船木さんにやっていただいた、例えばワークショップとかで、若手の職員がかなり、ここまでいろいろ提案できるんだなあっていうぐらいに、ちょっと話し合いをしたり親しくなったりっていうのを見て、これって教育センターだけじゃなくてね、全体に広げていけないかなっていうところが、この4月から約半年かけてやっていただいているところなんですが、実は船木さんのお話の中で非常に私が興味を持ったのは、都市部といえば関西の尼崎市、大阪に近い兵庫県ですよね。こちらの中で、かなりネガティブイメージもあったまちであると。そして、住民の方の中に職員がどんどん入っていくような仕掛けを船木さん自身が10年関わる中で取り組んだ結果、「住みたいまちナンバーワン」というような・・・
- 船木氏:「住みやすいまち」ですね。「住みたいまち」だとめっちゃ嬉しいんですけどね。
住みやすいまちになるために~尼崎市のケース
- 区長:住みやすいまち。その辺り、どんなことをやったのか、紹介していただけますか。
- 船木氏:はい、ありがとうございます。やっぱり関西の人ってコミュニケーション力が高いので、もともとが。他者との関係性をつくる力といいますかね、他者に対しての関わり合い方が、多分土壌がそもそも違うところはひとつあって、全く比較ができたり参考になりすぎることはないと思うんですけど、ただまちを信じるとか、地域の人とどう出会うかですね。こうやったからうまくまちとつながりますよってところまでは、全然僕はやってなくて。まちの人と関わりたいとか、「まちとつながりたい」っていう気持ちを焚きつけると。そして、一歩出てみてどうしようって困ったらまたサポートするような形でやってきました。例えば、ゼミ形式で20名ぐらい、多い年は30名ぐらいで、こんなことやりたいって、年度末までかけて提案させるんですけど、市長とか聞いてくれたりするわけですけど、1年で終わらないんですよね。1年目はだいたい構想までしかいかないんですよ。じゃあ、2年目、それを継続して実験してみようと、「今言っていることをどんな形でもいいから、まちの中で1回やってごらんよ」っていうことをすると。「もしやりたいんだったら、こんな仲間が地域にこんな人いるから声かけておくから一回会っておいで」ってするわけですよね。そこから先どうなるかも本人次第なんです。だけど、「ちょっとこんな動きがありました」って、また夏に中間発表してもらって、経過報告して、「あ!だったら、より、ここをこうしようよ」っていうふうに、1年目は構想の発表をするんですけど、2年目は「今ここまで来ました」と。「じゃあ、今後こんなことしていきたいです」と話をしてもらう。で、継続してやりたい人がいたら、3年目、今度さらに一歩進めるみたいなことでやっていくと、実はその3年目ぐらいまでやっていくと、もう地域の人に相当出会っているんですよね。ないしはこんな人がいるからって、地域の人がまた誰かをまた紹介してくれたりするっていうことがあって、やっぱりその「つながりの連鎖」みたいなことが起きていく。ないしは、そうやって人と会うことが怖くもないというようなことですかね。ただ一個気をつけていたのは、「行政」っていう肩書きを持ってまちに出ちゃうと「役所の人がこう言っていた」ってなっちゃうんですけど、いや、そうではなくて、「役所の肩書きを持っている誰々がこう言っている」っていう、その個人名である部分とパブリックを背負っているっていうこの両方をうまく相手の人にね、理解してもらって、行政が言っているということじゃなくて、行政職員の自分がこう感じてまちでこういうことやっていますよっていう風に理解していただく、住民とか地域の人にどう出会ってもらうか、ないしは、住民とか地域の人もそういう風に役所の人と一緒にやっていこうという風に理解したり、要は先方さんにも変わってもらうというかね。そういうふうにしていくと気づくと僕の知らないところでも勝手なことが起きているみたいなね。
- 区長:大変驚いたのはですね。10年経ってみると、その尼崎市役所の職員の中で、今おっしゃったのは役所の一員として地域に入っていますよという顔もあるんだけど、市民でもあると。いわゆる居住者であり住民である人が市役所に勤めてるって、そこから見ればそういう立場があるということなんですが、なんとですね、一般社団法人を地域で立ち上げている職員が随分10年経って出てきたんですね。
- 船木氏:3つ4つも立ち上がっていますからね。
- 区長:例えばどんな法人なんですか。
- 船木氏:一つはまちづくりをやるんですけど、このまちに何が必要かなと思ってやっていて、気がついたら図書館をやっているっていう、商店街の中で図書館をやる。
- 区長:図書館っていうのは、市の仕事ではなくて。
- 船木氏:まったく、商店街の中で、
- 区長:みんなでつくる、市民でつくる図書館の一員に市の職員が一緒に仲間になっているっていう意味ですね。
- 船木氏:まちづくり型で一箱オーナーと言いますかね。一箱を自分の本棚にしてそれを並べていくって、もともと焼津で始まったプログラムなんですけど、あそこに僕のゼミ生が行ってですね、これだったら、うちのまちでできるぞっていう風にやって。ただ図書館をやりたかったわけじゃないんですよ。そのまちに必要な、ある商店街に必要なものは何だろうって考えて、やっぱり人のにぎわいとか人がつながる場所、それで何ができるだろうか。要は市役所なり、その事業として図書館で本を並べて「はい図書館です」ってやるんじゃなくて、作るプロセスから地域の方と一緒に出会っていくことで、ここが、人が出会う場になるよねっていう話ですよね。そこまでを意識してやると。その団体の名前は『オリコム』って名前なんですけど、いろんなものを織り込むって言う。
- 区長:なるほど。
- 船木氏:ていうのがその社団の名前の由来だっていう風に作った彼は言うんですけど、実はそんなような形で、やっぱり僕がずっといろいろ言ってたのは、そのまちに必要なことは何かってことと、自分がやりたいプロジェクトの意味じゃなくて、やりたい時にその作り出したい状態、それとまちに必要なことが組み合わさったら何ができるだろうかって、彼らが出した答えは、例えば一つはそういうことでしたね。
- パーソナリティ:魅力的ですね。そういった船木さんが考える、この「つながりを活かすまちづくり」について世田谷ではどういうふうに期待が持てるのかというところをたっぷりとお話し伺っていきたいなと思うので、また後半で伺えたらと思っております。
- お願いいたします。
都市型のパズルをもう一度解く~世田谷区のイメージ・期待すること
- パーソナリティ:今日はゲストに世田谷区参与の船木成記さんをお迎えして、本日のテーマ「つながりを活かすまちづくり」について伺ってまいりたいと思います。区長、前半でも伺いましたが、とても魅惑的、魅力的な取組みになりますね。
- 区長:そうなんです。お聞きしながら感じていたのは、実は世田谷区も住民参加のまちづくりを長らく掲げており、私の代になってから10年以上、参加と協働という二つの柱でやっていきましょうと。
- 例えば、下北沢のまちを作るにあたって何百回もワークショップをやったり、公園をつくるということで割とゼロベースから公園の設計を100人以上の方とワイワイやりながら話すという、一部かなり進んだ取組みをこの番組でも紹介してきたんですが、でもそれはちょっとまだら模様なんですね、区全体を見渡すと。つまりそういう住民参加の現場の職員たちはあまり枠にとらわれず、極めて自由自在な発想で動いている職員も数々いるんですけれども、普通の決められた業務を時間内に期限内に終わらせるということが仕事で、それ以外は仕事なのかなみたいな。そんな雰囲気もあり、やはりどこの組織もですが、緻密な縦割りをしっかりやって分業している責任を持つという意味では必要なことですが、あまりにも細かく分かれすぎていて、一人の相談者の中に8つくらいの専門領域がある場合があるんですね。8人が一斉に集まって一人と相談するわけにいかないので、やっぱりそれぞれのその専門性と具体的なサービスとかを組み合わせて、福祉なら福祉で一緒に考えるというそんなやり方が必要なんですが、世田谷区に約半年通われてみて、船木さんがどんな受け止めをされたかなというところからお聞きしていきたいと思いますが。
- 船木氏:はい、ありがとうございます。そうですね。前半でもお話ししたんですけど、一応東京生まれでもあるので、都市のあり方というのは非常に感じてるわけなんですが、今区長がおっしゃったようにどうしても縦割りにならざるを得ないところはね、どうしてもあるかなと思います。なんですけど、やっぱり効率化しすぎているところもあって、もう少し人と出会うとか、地域の人を知るとかですね、まちの中でどんなことをしている人がいるんだろうというのを、職員の皆さんが少し感じ取ったり、出会う時間がもうちょっとあったらいいのになっていうのは感じますね。まちづくりセンターの職員だけが地域に出会うわけじゃなくて、どこの職場の職員も行けるといいのになと、ちょっと素朴な感想として今思ってます。
- 区長:船木さんから、まちづくりセンターという言葉が出ましたけれども、世田谷区民の多くの方でも知らない人もまだいるんですね。まちづくりセンターというのは、28箇所あって、もしお父さん、お母さんがちょっと具合が悪くなって、介護の必要があれば駆け込めばそこでワンストップで手続きも相談もできるという場なんですが、実際に足を運ばれてみていかがですか。
- 船木氏:そうですね。なかなかお忙しそうだなと思ってはいます。僕、長野県の中で、色々といくつかのまちをお手伝いして、長野県って公民館とかね、そういう場所が案外豊かだよねと、活動が豊かなんですけど、飯田市というところがなかなか面白いんですけど、「何かあったら公民館に相談してみたら?」って周りがみんな言うんですね。あと地域の人は「公民館してくる」っていう『公民館』が動詞なんですね。だからこちらで言うと、なんとか地区会館とかの箱ではなくて、やっぱりその活動としての公民館って捉え方があって、そこにいる行政職員が相談相手になると。逆に言うと、まちづくりセンターの職員さんも、今どうも町会のお相手とか、そういう事業がすごく大変って話はお聞きするんですけど、やっぱり今、町会の加入率が今どのくらいなんだろうっていう話もちょっとあると思うので、やっぱりその地域の新しい住民さんとかね、地域の人たちがなんか困ったり、なんか思ったら、とりあえずは一回相談に行ってみようという場所になるといいのになぁなんてことはちょっと思いながらですね。
- 区長:これだけ災害が多いとですね、地震や、あるいは台風、水害というところで、町会で災害対策訓練をやっているんです。ただ人口が多くて、むしろその一生懸命やる、力になるような年齢層、町会の人たちは割と一生懸命やってくれているんです。高齢化にどこも悩んでいますから、マンションの何百世帯って入っているところが全くその地域とつながってないみたいな問題もあって。で、これ『つなげる・つながる』っていうところでは、都市の中で大きなテーマだなというふうに思っています。東日本大震災の時に被災地だった東松島市があるんですが、そこの阿部市長と話した時にやっぱり公民館運動は大変盛んで、住区ごとに、もともと市でやっていた公民館を民営にしたんですね。地域の人たちが運営協議会を作って全部任せたと。その結果ですね、結局その避難所の体制にそのままスライドしたので、特に新しいことをやらずに、ちゃんともうできていたんで、普段からイベントやったり講座やったり、ツアーに行ったりしている人たちが、ちゃんとつながりがあって、このつながりが活きたという話を聞いたんですね。ですから、世田谷区って92万人もいますけれども、やっぱりまちづくりセンターとか身近なところでつながる、顔を合わせる、一緒に楽しむ、会話する、大事ですよね!
- 船木氏:はい、そうだと思います。やっぱりその避難所関係のこともいろんなところでお手伝いをしているんですけど、自分たちで作ったルールは自分たちで守るっていうふうに言われていて、誰かが作ったルールは破られるっていうのが避難所の仕組みの案外言われていることなので、これがまさに避難所の自治みたいな話だと思うんですけど、避難所があるからとか困った時が起きたからとか、こういうことをしなきゃいけないから、こういうふうな集団を作るみたいなことではなくて、多分すでに地域にある関係性を利用しながら、というか、そこをベースにしながらこれから必要なことをのせていくってやっぱりしていかないと多分難しいだろうなと。これはもう時代も関係ないし状況も関係ないんですけど、今ここまでいろんなものをバラバラにしてきてしまったので、多分都市部は逆に言うともう1回つなぎ直しに苦労している状況なんじゃないかなと。逆に言うと、そこにどう寄り添う職員なり、どういうふうに育てられるか、かつそれを受け止めてくれる地域の人たちで、しかもそれが新しい人たちも含めという、なかなか難しい都市型のパズルをもう一度解くというか、編み直すのが多分今すごく重要で、そういうことがもしかしたら世田谷区から変わっていけば、多分ひいては東京都ないしは首都圏ないしは日本を救うってことになるといいなぁなんてことはちょっと思います。
想定している状況じゃないものが生まれる~イノベーションの源泉を作れるか
- 区長:これからの話も少ししていきたいと思うんですが、よくですね、行政組織改革の話になると、細かく分解して何を何分間やってるの、その効率はどうかな?何点なのかって事業効果どうかな、何割だとかって全部数値化したい欲求に駆られるんですね。現にそういう手法で行政評価っていうのをちょっと試みたりも世田谷区でもしていますけれども、ただ考えてみると素晴らしい感動があった地域のイベントを作って、高校生がものすごい中心になって活躍できたとか無数のドラマがありますよね。そういったドラマの中で、その地域の力みたいなものはだんだん耕され、暖かくなり他者を受け入れたり、歩くだけでちょっと楽しそうだなという魅力になったりするとも思うんですが、そのあたりどうですかね。なんか行政組織改革とかというと、働いている人の方もどうなるのかな、どう評価されるかなって構えてしまうような、そういうところあると思うんですが、、、
- 船木氏:今おっしゃったように数字でわかるものをしっかり整える作業は無駄を排除していくことだったり、重なりを排除することが可能なので、まずやるべきことの数値目標、わかるものはすればいいと思うんですけど、『間』みたいなものはね。実は数値化できないものでもあるので、そこのところをどういうふうに行政組織内部も含めて許容できたり、受容できたり、それ自体を事業として考えられるかという話は、多分一個重要なことだろうというふう思います。そのときに実は重要なのはシミュレーションできることって想定できることなんですよね。数字にできることっていうのは、もう事前に計算して想定できるからやれますよって。これ融資型事業って僕は言うんですけど、銀行がお金を貸すときに、これ貸したらどれだけリターンがちゃんと保証できる・・・
- 区長:融資ですね。銀行の融資。
- 船木氏:銀行の融資の話なんですけど、実は投資的事業っていうかね、結果分かんないけど、チャレンジしなかったら新しいものが生まれないよねという領域もあるということを理解した上で、これはどっち側なんだっていうことをちゃんとみんなで考えていくと。投資型事業のときには、実は誰がどんなアイデアを出すか分からないので、新しい出会いの場だったり、そういう場の中で学び合ったり、気づき合ったり、変化をする。これを、「創発」というんですけど、想定している状況じゃないものが生まれる。これがイノベーションの源泉なんですけど、実はそういうような場をつくれるか、ないしはそういうことを保証してあげて背中を押してあげられるかみたいなこととかね。さっき尼崎市のケースででましたけど、まちの人と出会ったら何が手に入るかわからないけど、とりあえずまちに行ってみるみたいなことがね。そうすると、想像以上のことが手に入るみたいなことがあるので、そういう様ななことをうまくマネージする側の人たちがバランスをよく見て若い人たちと一緒に仕事をしていただけるときっと変わり始めるんじゃないかなっていうふうに思います。
まとめ
- パーソナリティ:区長、本当にこれから船木さんのお力をお借りしてというところ、これからの展望を含めてぜひ本日のまとめとしていただいてもいいでしょうか。
- 区長:はい。世田谷区は十分魅力があるというふうに言っていただいている、区民意識調査でも、これからも住み続けたいというポイントが大変高いんですけれども、ただちょっと気になるのはコロナが3年近くありました。3年半くらいかな。今もね、まだ続いているような気がするんですね。なるべく人が多いところには行かないで、一緒にご飯食べたりするのも危険で、要するに人とあまり関わらないでいく時期がかなりあったんですね。例えば高齢者のクラブとかで今までワイワイ集まっていたところが、3年ぐらい経ってみると、ちょっとこう足腰弱くなってもう行けなくなった、解散するとか、そういう話もあるので。やっぱりコロナの3年間っていうのを経た後っていうのは、前と同じようにはなかなか難しいんだけど、今度違う努力をしてつながる、つなげる、そして変わっていく、そこにまた魅力を作り出すっていうことを、ぜひ新たな時代に即してやってみたいなと。で、そのことを区役所の職員も住民の一人としてそのプレイヤーになって楽しいなと、これはこういう物語の中でできてきた場なんだ、みたいなことを先輩から後輩へ、そして若手職員が今度はベテランに教えるかもしれないけど、そういうフラットな形でイノベーションというか、今までにない価値をみんなでその場その場で、いる場は違うけど、作り出していこうよっていうワクワクするまちにしたいんですが、大丈夫でしょうか、船木さん。
- 船木氏:ご一緒にお手伝いしたいと思いますし、皆さんと一緒にそういうまちづくりに関われたらと思っております。はい、よろしくお願いいたします。
- パーソナリティ:まさに、住んでよかった、働いてよかった、つながってよかったと思っていただけるような世田谷区のまちづくり、楽しみにしています。
- 本日はつながりを活かすまちづくりについて、お二人にお話を伺わせていただきました。区長、船木さん、ありがとうございました。
- 二人:ありがとうございました。

写真左よりパーソナリティ、保坂区長、船木氏