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最終更新日 2026年9月15日

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令和8年第3回世田谷区議会定例会区長招集挨拶

 令和8年第3回世田谷区議会定例会にあたり、区議会議員並びに区民の皆様にご挨拶を申し上げます。

 はじめに、7月28日に発生した「令和8年熊本地震」、ならびに8月に発生した「令和8年8月千葉豪雨」をはじめ、日本各地で記録的な大雨による甚大な被害が生じました。

 これらの災害により亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 区では、令和8年熊本地震の発生を受けて被災地支援本部を設置し、「令和8年熊本地震災害支援金」の受付を開始いたしました。

区長招集挨拶
招集挨拶をする保坂区長

 

支援金募集の一環として、8月22日に区内各所で街頭募金活動を実施したところ、多くの皆様から温かいご寄附を賜りました。また、この募金活動には、多くの区議会議員の皆様にもご参加いただき、被災地支援にご協力いただきました。さらに、地域の町会・自治会をはじめ、各種団体や区民の皆様にも幅広くご支援いただいております。

この支援金は、区が独自に募集し、被災自治体へ直接お届けするものです。お寄せいただいた支援金につきましては、できる限り早期に被災自治体へお届けしてまいります。

被災地の1日も早い復旧・復興を心より願うとともに、被災地を訪問した職員からの報告も踏まえ、区といたしましては、現地のニーズに応えながら、引き続き必要な支援に取り組んでまいります。

次に、本庁舎等整備についてです。

2年前、令和6年(2024年)3月の1期棟の完成直後に着工した2期工事もこの9月に竣工を迎えます。

7月に、長い間、視野を遮っていた仮囲いが外され、ピロティや大階段のある中庭広場が臨めるようになり、懐かしさを覚えた方も多かったのではないでしょうか。区民会館の折板形の壁面を背に中庭広場を眺めると、旧庁舎竣工当時のブロック舗装を再現した格子模様が広がり、空間の奥行きと開放感を一層際立たせています。広場を囲む東西棟をつないでめぐる2階テラスと、支柱が程よく空間を区切っています。この庁舎の全景を見渡す時、積み重ねてきた検討や議論を思い起こします。

今から10年前の平成28年(2016年)12月、区は、新庁舎の設計者選定プロポーザルの設計条件となる本庁舎等整備基本構想を策定しました。建築から行政経営までの学識経験者7名と、公募と無作為抽出による区民委員13名とで構成された計20名による検討委員会での熱心な議論を経て、まとめたものです。

この基本構想では、「『参加と協働・交流』の区政を推進するための拠点としての庁舎」、「環境と調和し、環境性能が高く災害に強い庁舎」、「主体的で独自性ある政策展開を支える庁舎」という「3つの基本理念」を掲げています。

この基本理念を実現するための5つの基本的方針のはじめに、「区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎」とあり、ここに「区民自治・交流を育んできた現庁舎等の空間特質を継承していく」という文言があります。施設の機能向上に加え、旧庁舎群が紡いできた歴史的な価値について熟議がなされた結果、言及された表現でした。2期工事の竣工を迎えようとしている今、こうして、出来上がりつつある配置を見ると、改めて「空間特質の継承」の意味が見えてきました。

旧庁舎の設計を担当した前川國男建築設計事務所の鬼頭梓(きとうあずさ)氏は、第一庁舎竣工時の昭和36年(1961年)発行の専門誌に寄せた文章で、「一番エネルギーをつぎ込み、そして最後まで意見のまとまらなかったのが配置計画だった。」と、明かしています。

建物を配置すれば、その内側だけでなく外側にも必ず空間が生まれます。その空間をどうすれば市民のための親しみやすいものにできるか、旧世田谷区役所は、当時の設計者によって考え抜かれ、中庭広場を介して区民会館と庁舎をつなぐという手法で誕生したものでした。

1960年頃は、戦後民主主義の象徴として、各地の自治体で庁舎建設に伴い前庭がつくられ、市民広場と名付けられました。その後、それらの多くが、十分に市民広場として活用されないなど、必ずしも期待通りには機能しなかったと聞いています。

その点で、世田谷区役所旧庁舎の中庭広場は、長年にわたり周辺の住宅地と穏やかに融合しながら区民に親しまれ、区民自治と交流の時を育んできました。そして、新庁舎でもその歩みを継承できる中庭広場が再び作られました。

さらに東棟1階には、区民交流施設が新たな機能として加わり、ピロティや、東西棟を一体につなぐテラスで緩やかに広場とつながっています。

こうした空間構成は、平成29年(2017年)1月から区が実施した本庁舎等設計者審査委員会においても、「分棟型の建物を繋ぐ「世田谷リング」というコンセプトによって全体として一体感があり、各施設の機能的な連携が期待できるとともに、来庁者にとってもわかりやすい構成となっている」また、「空間特質の継承については、区民ホールを保存する考え方を示し、東側道路からのアプローチや広場の構成を含めて、現庁舎等の特徴をよく咀嚼した提案となっている。」と評価されました。

今回、大階段や2階テラスの整備により、中庭広場は一体感のある空間へと生まれ変わり、多面的な活用の可能性が広がりました。日常においては人々が行き交う快適な歩行空間として機能し、催しが開催される際には、この場所を舞台に区民や事業者、NPOなどが様々な活動や発表、交流を展開することが期待されます。

新庁舎の整備にあたって、区は、プロセスそのものが区民の参加と協働となるよう、基本構想や設計段階はもとより、工事期間中も含め区民とともに考え、語り合い、創ることを大切にしてきています。例えば、区役所周辺のケヤキの木々を保存しましたが、やむを得ず伐採したケヤキの木を活かす取組みとして、子どもから大人まで多くの皆さんとともに、製材や仕上げ作業を行い、区民会館のロビーやラウンジで利用する家具を作りました。また、屋上庭園の整備では、親子参加のワークショップを開催し、区民花壇のイメージを膨らませました。

今後も屋上庭園では、区民がのんびりとくつろいだり、また、区民交流施設では、区民による様々な活動が展開されていくことと期待しています。

もう一つ、新庁舎の特徴である執務環境の形についてです。

今回、1・2期棟が5階まで各フロア1つの空間になり、さらに、東西二つの棟が2階テラスや地下通路で接続された新庁舎を歩いていただくと、ヨコに広くつながる建物だという実感を持たれると思います。さらに執務室は、フロア中、見晴らしよくオープンなつくりになっていて、ところどころに打合せ用のスペースが用意されています。

こうした新庁舎の形は、基本構想の基本理念にある「主体的で独自性ある政策展開を支える庁舎」を実現するため設計されたものであり、執務空間の什器レイアウトには、若手職員によるワークショップでのアイディアも取り入れられています。

領域や所管を超えて行き来しやすい、ヨコのつながりを基本とした新庁舎の形は、複雑化する課題に対して横断的なチームで取り組む、時代にかなったものであると考えています。

フラットで透明性が確保され、縦割りでなく分野横断的な横のつながりの強い組織は、外部環境の変化に強く、新しいアイディアも生まれやすいといわれています。また、DXを真に推進するためにも重要な基盤となります。

この新しい執務環境のもと、区は、組織力を最大限に生かし、より柔軟かつ実践的に社会の変化に対応し、区民生活を支えてまいります。そして、この新庁舎を訪れる人々、区民とともに世田谷区役所が戦後から継承してきた風景、歴史を、しっかりとつないでまいります。

次に、本年11月に開設予定の新庁舎に整備する「区民利用・交流拠点施設」についてです。

この施設は、区民の交流を支え、新たな市民活動や協働を生み出す拠点として整備するものです。区民利用・交流拠点施設のオープンに合わせて、11月3日から23日の21日間にわたってオープニングイベントを実施します。

市民活動に関わる団体等が中心となって企画し、単なる開設記念セレモニーではなく、区民の皆様が新たな活動や仲間と出会える場とすることで、その後の施設利用や市民活動での活用につなげていきたいと考えています。

現在、約40団体にご参加いただいており、実行委員会を立ち上げ、企画委員を中心に準備を進めています。

オープニングイベント以降は、市民活動支援の拠点として、活動立ち上げの相談、仲間づくり、情報発信支援等、運営事業者による伴走支援を行っていきます。

また、区民生活の身近な課題などに対する新たな市民活動が生まれるよう、環境づくりを進めてまいります。

ガラス張りのオープンな空間の特徴を活かし、異なる立場や世代の人々が自然に交わり、新たなつながりや活動が生まれる「汽水域」のような場を目指し、11月の開設に向けて引き続き取り組んでまいります。

次に、住宅政策についてです。

令和8年度より、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とした、“ずっと、世田谷。”定住応援事業及び住み替え応援事業を実施しています。

近年、区の人口動態において、子育て世帯の中心である30代から40代、及び、0歳から4歳児世代の転出超過傾向が続いており、その背景には、昨今の住宅価格の高騰や家賃の上昇、住まいの広さの不足等、住環境に起因する理由が大きく影響しています。

子どもや若い世代は、将来にわたり地域の活力や安全、支え合いを維持していくうえで重要な存在であり、子育て世帯や若者夫婦世帯が、ライフステージの変化に応じて希望する暮らし方を実現し、住み慣れた世田谷で暮らし続けられる環境を整えていくことは、魅力ある「住宅都市せたがや」を実現する上でも重要な取組みであると考えています。

“ずっと、世田谷。”では、区内での住宅取得等に対する「定住応援金」、民間賃貸住宅への住み替えに対する「住み替え応援金」を交付しており、これらは「世田谷区を選び、住み続ける」という選択を後押しし、応援したいという気持ちを形にしてまいりました。8月末までに約150件の申請をいただくなど大きな反響がありました。

さらに、子育て世帯や若者夫婦世帯が安心して住み続けられる環境を整えていくためには、その受け皿である良質な住宅ストックの形成が必要となります。

このため、令和9年度(2027年度)の予算化に向けて、既存建物を活用してファミリー向け賃貸住宅に改修し、賃貸する個人または法人への支援を検討する等、既存ストックの活用促進とともに、若者夫婦や子育て世帯が将来の生活設計を描ける住まいの確保に資する方策に取り組んでまいります。

また、高齢者や障害のある方、ひとり親世帯など、居住支援を必要とする方々のための住宅セーフティネットの強化にも取り組み、その実現に向けた様々な可能性を探っていきます。

今後も、“ずっと、世田谷。”に込めた思いを大切にし、区内に住み続ける選択への後押しと住まいの選択肢の充実を一体的に進め、誰もが安心して、世田谷に住み続けたいと思える魅力あるまちづくりを進めてまいります。

次に、主要生活道路106号線、通称「恵泉通り」についてです。

通称「恵泉通り」につきましては、本年4月、区と当事者との間で、令和9年(2027年)3月末までに自主的に土地を明け渡すことなどについて合意に至ったことから、区では令和10年(2028年)3月末の道路事業完成に向け、合意に基づく取組みを進めております。

歩行者等の通行空間を整備する土地については、広場として整備予定の隣接区有地への樹木の移植が既に完了し、この9月末までに先行して引渡しを受ける予定です。引き続き、残る土地の本年度末の引渡しに向け、丁寧な当事者対応に努めながら調整を進めてまいります。

また、本事業の着実な推進と地域の分断を乗り越えた新たな地域コミュニティの醸成につなげるべく、地域の皆様との参加と協働による取組みを並行して進めております。地元町会をはじめ、近隣の小学校や保育園、恵泉女学園のほか「恵泉裏地域の環境を守る会」にも参加を呼び掛け、道路開通後の交通安全や利用環境について地域のご意見を伺っていく場として、「まち歩き会」をこの7月に開催いたしました。当日は60名を超える方々にご参加いただき、実際に現地を確認しながら道路開通に伴う課題に加え、地域の魅力やまちづくりへの提案について活発な意見交換が行われました。

あわせて隣接区有地の広場整備に関するワークショップの取組みなども予定しているところであり、引き続き、地域との信頼関係を築きながら、当事者との合意に基づく取組みを着実に進め、令和10年(2028年)3月末の道路完成を目指してまいります。

次に、ふるさと納税についてです。

ふるさと納税制度の影響による区民税の流出が、令和8年度(2026年度)は約135億円にのぼりました。昨年度と比べ8.5%増と伸び率は鈍化しているものの、年々財源の流出が増加しており、平成27年度(2015年度)からの累計では実に828億円もの税源が流出しています。

ふるさと納税制度は、高所得者ほど高額の控除が受けられるため、制度の見直しの一つとして控除額の上限設定を国に強く要望してきました。その結果、令和9年寄附分から、住民税特例控除額の上限を給与収入1億円程度の方を念頭とした193万円とするよう地方税法が改正されました。しかし、令和8年度(2026年度)の区の流出額135億円を前提に影響を試算したところ、抑制される影響額は6億2,000万円と、流出に対する効果は少ないままであり、さらに踏み込んだ制度是正が必要です。引き続き、特別区長会とともに、様々な機会を捉え国に制度是正を求めてまいります。

一方、令和7年度(2025年度)には、8億3,300万円程の寄附を区にお寄せいただきました。このうち、個人からの寄附である「ふるさと納税」は、約5億6,500万円と、前年度から約2億2,800万円の増となっています。

今年度は新たに、砧・大蔵地区予約制乗合ワゴンの運行経費や、宮坂区民センター旧玉電・江ノ電車両補修・再塗装プロジェクトへの寄附募集を始めました。

また、子どもたちに人気の映画作品とコラボした品や、区内の音楽学校によるミュージシャン・デビュー体験など、世田谷区ならではの個性的で魅力的な返礼品を拡充し、寄附獲得の取組みを強化しています。

引き続き、共感を得られる寄附取組みの充実と、世田谷の多彩な魅力を発信する返礼品の充実に取り組み、寄附文化の醸成と一層の寄附獲得を目指してまいります。

次に、ユースカウンシル事業についてです。

ユースカウンシル事業は、中学1年生から24歳の若者が、区が提起したテーマや、若者自身が課題感をもったテーマについて若者主体の検討を行い、区に提言する活動です。「若者が変える!世田谷」をキャッチフレーズに、昨年7月に活動を開始しました。

8月4日に開催した「検討結果報告会」では、「第0期」のメンバーが、区長以下、担当部課長に対して、これまでの検討結果に基づく報告や提言を行いました。

当日は、「世田谷の魅力発信」、「若者主体の居場所づくり」、「性的マイノリティへの理解促進」について報告があったほか、交通費負担が若者の行動を制限しているとの調査結果を踏まえ、若者向け運賃割引制度の導入や、若者の声を反映する仕組みなど4つの提言が示されました。

いただいた提言は区がしっかりと受けとめ検討を行い、その結果を1年以内にフィードバックします。

引き続き、子ども・若者の参加・参画や、区政への意見反映を目指し、次期の第1期ユースカウンシルにおいても若者主体の検討を継続してまいります。

次に、「第48回世田谷区たまがわ花火大会」についてです。

区民に花火を通して、多摩川の水辺に親しんでもらうとともに、周辺環境の美化に努めることにより、「ふるさと」意識の醸成と「区民相互の絆」を深めることを趣旨に今年も開催いたします。

日時は、10月3日(土曜日)午後6時から、打上数は前回と同規模の約6,000発を予定し、「川崎市制記念 多摩川花火大会」との合同開催となります。

秋の夜空に音楽とシンクロした色とりどりに咲き誇る花火には、被災地復興、また平和への願いを込め、能登、東北および熊本の花火師が作成した花火を打ち上げるほか、長谷川町子美術館のご協力による「サザエさん花火」の打ち上げを予定しています。

来場者の安全対策につきましては、川崎市、警察・消防をはじめとした関係機関と綿密に協議を重ね、万全な対策を講じてまいります。多くの皆様にご来場いただき、心に残るひとときをお過ごしいただければと思います。

次に、第10期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画についてです。

区では、令和9年度(2027年度)を始期とする第10期高齢・介護計画の策定の考え方について、昨年11月に世田谷区地域保健福祉審議会に諮問し、現在、高齢者福祉・介護保険部会において活発な議論を重ねていただいております。

これまで区では、「住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現」を基本理念に掲げ、区民、地域団体、事業者との「参加と協働」のもと「世田谷版地域包括ケアシステム」の推進により、健康寿命の延伸、参加と活動の促進、介護・福祉サービスの確保に取り組んできました。

コロナ禍を経て、人と人とのつながりや地域活動も徐々に回復しつつあり、高齢者の中には、就労や地域活動などを通じて社会を「支える側」として活躍される方もいます。また、スマートフォンやSNSの普及により、多世代との交流や情報発信の機会が広がっています。

一方で、物価高騰の長期化や人材不足は高齢者の生活のみならず、介護保険サービスを支える事業者や従事者にも大きな影響を及ぼしています。今後、高齢者人口の増加と、生産年齢人口の減少が同時に進行する中、医療・介護ニーズへの対応と制度の持続可能性の確保は、避けて通ることのできない課題となっています。

こうした状況を踏まえ、第10期高齢・介護計画は2040年を見据えた施策展開の足掛かりとなる3年間として位置づけています。今般、基本理念に掲げている地域社会の実現に向け、計画素案を区議会へお示しし、区民の皆様の声も聴いて高齢者福祉の充実を図ります。

次に、第3期世田谷区認知症とともに生きる希望計画についてです。

区では、令和9年度(2027年度)を始期とする第3期世田谷区認知症とともに生きる希望計画の策定に向け、昨年12月に世田谷区認知症施策評価委員会へ諮問し、現在、認知症の本人委員にも参画いただきながら議論を進めていただいております。

これまで、令和2年に制定した「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」の理念の実現に向け、様々な取組みを進めてまいりました。また、あんしんすこやかセンターは地域づくりの推進役として、認知症のご本人やご家族、地域の皆様とともに取組みを進めており、現在では、四者連携を基盤として、認知症のご本人を中心に地域の関係者が参画する「アクションチーム」の活動が区内全域に広がっています。

高齢化の進展に伴い、MCI(軽度認知障害)や認知症のある方は今後も増加が見込まれる一方、認知症の初期段階に効果が期待される治療薬の登場など、認知症を取り巻く環境は日々変化しており、医療、介護、地域づくり、権利擁護、家族支援など、多領域にまたがる課題への対応が求められています。

こうした状況を踏まえ、第3期計画では、「新しい認知症観」への転換に向けた継続的な取組みに加え、認知症への備えの段階から診断後の支援まで切れ目なく取り組むこととし、その内容を盛り込んだ計画素案を区議会にお示ししたところです。

今後も、「認知症になってからも、自分らしく希望を持って住み慣れた地域で暮らし続けることができる世田谷」の実現に向け、取組みを着実に推進してまいります。

次に、世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例の一部改正(素案)についてです。

本条例は、様々な状況及び状態にある区民が多様性を尊重し、価値観を相互に認め合い、安心して暮らし続けることができるインクルーシブな地域共生社会を実現することを目的として、令和5年(2023年)1月に施行されたものです。

条例の施行以来、地域共生社会の実現に向けた区の基本姿勢を示す重要な条例として、「たがいに拍手、ちがいで握手」を合言葉にして、広く区民に周知する「世田谷たがいちがいプロジェクト」などに取り組んでいるところです。

一方、令和4年(2022年)9月に国連障害者権利委員会による日本政府に対する勧告がありましたが、本条例の区議会提案とほぼ同時期であったことから、勧告の内容を条例に一部反映することができませんでした。そこで、障害者施策推進協議会等での議論を重ね、この度、条例改正素案を取りまとめました。

改正素案では、国連勧告において特に重要とされた「自立した生活及び地域社会への包容」の考え方を踏まえ、障害のある方が、ひとり暮らし、家族との同居、グループホーム利用など、自らが選択した、地域での生活の実現に向けて区が取り組むことのほか、近年重要性が増している「障害者の意思決定支援」や障害当事者が主体的に区政に関与する「区政への参加・参画」について新たに盛り込む内容となっております。

今後、パブリックコメントや9月25日に玉川せせらぎホールで開催予定のシンポジウムなどを通じて、次期インクルージョンプランとともに広く区民の皆様からご意見をいただきながら、誰もが尊重され安心して暮らすことができる地域共生社会の実現を目指してまいります。

次に、「(仮称)世田谷区いじめの予防及び解消を実現するための子どもの学びと育ちを支える条例(素案)」についてです。

すべての子どもは、一人の人間として尊重され、自らの可能性を伸ばしながら成長する権利を有しています。いじめは、子どもの尊厳と人権を深く傷つけ、その後の成長や人生にも大きな影響を残していく重大な問題です。区及び教育委員会ではこれまで、いじめ防止基本方針の策定や専門委員会の設置など、いじめ防止に向けた取組みを進めてまいりました。しかし、いじめをめぐる背景や人間関係は複雑化しており、その対応には、単なる事実認定に留まらない、子ども一人ひとりの置かれた状況や人間関係を踏まえた包括的な視点が求められています。

こうした認識のもと、区では、学校、教育委員会、区長部局及び地域が一体となり、いじめ防止等の対策を総合的かつ効果的に推進するための条例制定に向けて、検討を進めてまいりました。世田谷区子どもの権利条例の理念も踏まえながら、学識経験者や教育関係者、保護者、地域の皆様からご意見を伺うとともに、子どもたち自身への実態把握アンケートやフォーラムシアター形式でのワークショップを通じて、子ども自身の声を丁寧に聴きとりながら検討を重ねてまいりました。

さらに、8月1日に実施した総合教育会議において、世田谷区教育委員と「みんなで考える子ども主体のいじめ解決に向けて」をテーマに意見交換を行いました。そこでは、「いじめの根幹がどこにあるのか」、また「子どもとの「対話」が重要である」、さらには、「子どもの力を引き出すことが重要である」など、いじめに対して世田谷区がこれからの条例制定に向けて念頭に置くべき意見が出されました。

現在、令和9年(2027年)4月の施行を目指し、条例の素案をとりまとめたところでありますが、「子どもの最善の利益」を基本理念に据え、被害を受けた子どもの安全・安心と尊厳の回復を最優先としながら、加害や傍観のそばにいる子どもに対しても、時には指導も含めて適切に支援しつつ、いじめに関係するすべての子どもたちを孤立させることなく、それぞれの背景や状況に寄り添った支援を行うこと、さらに、子どもの意見表明権を尊重し、子ども自身が解決の過程に関わることを重視しております。

加えて、予防、早期発見、早期対応から再発防止まで、切れ目のない支援体制の構築を図り、学校、教育委員会、区長部局、家庭、地域、関係機関が連携し、組織的かつ実効性のあるいじめ防止等対策の確実な推進を条例として位置づけることで、すべての子どもが、安全・安心に学び、生活し、健やかに成長できる地域社会の実現を目指してまいります。

次に、私立小・中学校等学校給食費相当額給付金の支給等についてです。

区では、令和8年度に東京都が開始した補助事業を活用し、子育て世帯への経済的支援の更なる充実と教育費の負担軽減を図るため、区立小・中学校に在籍していない児童・生徒の保護者を対象に学校給食費相当額を支給する新たな事業を実施します。

本事業は、私立学校、国立学校など、区立小・中学校に在籍していない小学校1年生から中学校3年生までの児童・生徒の保護者に対し学校給食費相当額の給付金を支給するものです。

長引く物価高騰等により、子育て世帯を取り巻く環境が厳しさを増す中、既に実施している区立小・中学校の学校給食費無償化と合わせ、より多くの子育て世帯の支援につなげてまいります。

また、この事業の開始と合わせ、区立小・中学校に在籍する児童・生徒のうち、やむを得ない事情により長期間登校できず、学校給食を喫食することができていない児童・生徒の保護者に対しても学校給食費相当額を補助することとします。

この間、学校給食費無償化により、多くのご家庭の負担軽減が図られてきた一方、給食を喫食できない事情を抱える児童・生徒のご家庭に対しては、支援が十分に行き届かない状況にありました。本補助事業により、このような他の支援との均衡を図るとともに、ご家庭における昼食費等の経済的負担軽減を図ってまいります。

次に、第12次世田谷区交通安全計画の策定についてです。

世田谷区交通安全計画は、交通安全対策の総合的な推進を図るため、交通安全対策基本法に基づき、昭和46年(1971年)に策定しており、これまで警察や消防、公共交通事業者、町会、自治会、区民の皆様が一体となって、交通事故防止に取り組んでまいりました。

この取組みによって、区内における交通事故件数はピーク時の年間約5,800件から約1,600件と7割近く減少しております。一方で、自転車事故は全国的に増加しており、世田谷区においても事故全体の約半数に自転車が関与している状況であり、交通管理者である警察は、本年4月に、自転車の青切符制度を導入しました。

本計画では、高齢者や子どもの安全確保を継続して行うとともに、自転車の運転者に対しても、一層のマナー向上を図る仕組みを盛り込んでいます。

さらに、電動キックボードに代表される小型モビリティを計画の重点課題の一つに位置付け、利用者や販売事業者へ安全利用に関する注意喚起をはじめとした啓発活動を行うことで、危険走行や迷惑走行などを抑制する取組みについて記載をしております。

区民意見募集を開始しておりますので、皆様よりご意見をいただければと思います。

次に、補正予算案についてです。

このたびの補正は、国・都の学校給食費無償化に連動した対応や子ども・子育て関連施設に対する熱中症予防支援事業の実施、止水板設置工事助成金の増額などについて、速やかに対応するため計上するものであります。

あわせまして、国民健康保険事業会計など3つの特別会計につきまして、前年度繰越金の確定などに伴う補正も行っております。

すべての会計を合わせますと、54億2,300万円の増額補正となっています。

最後に、本議会にご提案申し上げます案件は、令和8年度世田谷区一般会計補正予算(第3次)など議案35件、認定5件、諮問1件、報告30件です。

何とぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願いしまして、ご挨拶とします。

お問い合わせ先

世田谷区
電話番号 03-5432-1111
ファクシミリ 03-5432-3001