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最終更新日 2023年7月11日
ページID 3186
寄生虫による食中毒について詳しく解説した動画を配信しました。各パートの内容は10分程度です。ぜひご覧ください。
「知りたい!寄生虫による食中毒」
動画の内容はこのホームページの内容とほぼ同様です。動画を見る前に内容を知りたい方や、動画が視聴できない方はこのページをご覧ください。
そもそも寄生虫とはどんな生き物なのでしょうか。
「寄生虫(きせいちゅう)」とは、ヒトや動物など別の生き物の体内や表面に取り付いて、栄養をもらいながら生活している生き物のことです。
別の生き物に取り付くことを「寄生(きせい)」といい、寄生されるヒトや動物のことを「宿主(しゅくしゅ)」といいます。寄生虫は宿主なしでは生きられません。
寄生虫についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの動画をご覧ください。アニサキス以外の寄生虫についても紹介しています。
寄生虫アニサキスはどのような一生を送るのでしょうか。
アニサキスの一生
アニサキスは海中でふ化して幼虫となり、その幼虫はオキアミに食べられ、オキアミに寄生しながら成長します。このように幼虫が成長する場として寄生するものを「中間宿主(ちゅうかんしゅくしゅ)」といいます。その後、オキアミがクジラやイルカなどの海洋ほ乳類に食べられると、今度はそれらに寄生しながら成虫へと成長し、卵を産みます。成虫が次世代の卵を産むために寄生するものを「終宿主(しゅうしゅくしゅ)」といいます。そして終宿主のふんと一緒にアニサキスの卵は体外に排泄され、また新たな一生が始まります。
中間宿主であるオキアミは、海洋ほ乳類だけでなく、サバ、アジ、サンマなどの海にすむたくさんの魚たちのエサになっています。これらの魚に食べられてしまったら、アニサキスは成虫になることができずに幼虫のまま寄生し続けます。このようなものを「待機宿主(たいきしゅくしゅ)」といいます。
アニサキス食中毒は、待機宿主であるサバ、アジ、サンマなどの海水魚をヒトが生食して、その魚の中にいたアニサキスの幼虫がヒトの体内に入ることで発生しています。
アニサキスはどのような姿をしているのでしょうか。実際のアニサキスを見てみましょう。
アニサキス(幼虫)
アニサキス(幼虫)は大きさ2~3cm、半透明白色で細長い線状の寄生虫です。写真のとおり、肉眼で見ることができます。魚の内臓にくるくると渦巻き状に丸まって付いていることが多く、目で見えますが、半透明なので見つけにくいかもしれません。
アニサキス食中毒の原因として多いサバを調べてみました。サバをさばいてみると、内臓の部分に複数のアニサキスを発見しました。このようにアニサキスは、主に内臓に存在しています。そのため内臓をすぐに取り除くことはアニサキス食中毒の予防につながります。
生食用ではない天然の秋鮭を調べてみました。フィレ(筋肉部分)をガラスに挟んで光にかざしてみると、アニサキスを発見しました。このようにアニサキスは、まれに筋肉中にも存在しています。その場合は、目視で発見して取り除くのは困難です。
アニサキスによる食中毒とはどのようなものでしょうか。
本来の宿主ではないヒトに食べられたアニサキスは、ヒトに害をもたらすことがあります。これがアニサキス食中毒です。
アニサキス食中毒には、胃アニサキス症と腸アニサキス症がありますが、ほとんどの食中毒は胃アニサキス症です。
発症するまでの時間は、胃アニサキス症の場合は食後8時間以内、腸アニサキス症の場合は食後数時間~数日です。症状は、胃アニサキス症の場合は激しい腹痛、腸アニサキス症の場合は激しい下腹部痛です。いずれも吐き気やおう吐を伴うことがあります。
胃アニサキス症の場合は、激しい胃痛が我慢できずに医療機関を受診すると、内視鏡検査でアニサキスが摘出され、原因と判明することが多いです。アニサキスを摘出すると痛みは消えます。治療薬はありません。
腸アニサキス症の場合は、激しい下腹部痛があり腸閉塞を併発することもあり、開腹手術をして初めて診断されるというケースが多いです。
アニサキスは加熱に弱く、60℃だと数秒で死滅します。一方、低温には強く、-5℃では6日間経っても生きています。アニサキスを死滅させるためには、-20℃以下で24時間以上冷凍する必要があります。
また、塩漬け、酢漬け、わさび漬け、しょうゆ漬けにしても、残念ながらアニサキスは死滅しません。
もっと詳しく知りたい方は、動画をご覧ください。お酢やしょうゆの中でアニサキスが元気に動いている様子を見ることができます。
※酢で〆てもアニサキスは死にません
外国ではどのようなアニサキス対策をしているのでしょうか。
例として、EUのアニサキス対策を紹介します。EUでは生食用の魚について、寄生虫対策のため-20℃で24時間以上、もしくは-35℃で15時間以上の冷凍処理を義務づけています。そのため、日本からEUに生食用の水産物を輸出するときには-20℃で24時間以上冷凍処理を行わなければなりません。
アメリカでもほぼ同様の基準が設定されています。
欧米では寄生虫対策のため生食用の水産物の冷凍を義務づけていますが、日本では昔から海産魚介類を生食する文化があるため、アニサキスによる食中毒は諸外国と比べて非常に多くなっています。
自然界を生きている魚介類には寄生虫が存在しているものです。
寄生虫が付着していた魚介類は、それによって食べられなくなるわけではありません。寄生虫が付いていたからといって、その魚介類自体を廃棄する必要はありません。きちんと取り除いたり、適切な冷凍処理や加熱処理により無害化したら、おいしく食べることができます。
アニサキスに対する正しい知識を持って、これからもおいしく魚を食べましょう。
世田谷保健所 生活保健課 食品衛生企画
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