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最終更新日 2023年7月11日
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腸管出血性大腸菌は、食中毒や感染症の原因となる細菌で、O157が有名です。腸管出血性大腸菌の特徴をよく知り、食中毒を予防しましょう。
腸管出血性大腸菌は、主にウシの腸管内に存在している細菌で、生体内毒素型の細菌性食中毒を起こします。ヒトが腸管出血性大腸菌を摂取すると、菌は大腸粘膜に定着して増殖しますが、そのときに「ベロ毒素」という毒素を産生し、出血を伴う腸炎を起こします。
大腸菌自体はヒトの腸内にも存在する菌で、ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすような病原性のある大腸菌があります。中でも、ベロ毒素を産生する大腸菌のことを腸管出血性大腸菌といいます。
ベロ毒素を産生する大腸菌のことを腸管出血性大腸菌といいますが、ベロ毒素には2種類(VT1、VT2)あり、それぞれの単独もしくは両方を産生するタイプがあります。
また血清型といって、菌体のO抗原というもので分類した大腸菌の種類を表す型があり、それによって「O157」などと分類されます。食中毒の原因となっている型はほとんどが「O157」ですが、「O26」「O111」「O121」などもあります。
病院などで検便検査をした結果、腸管出血性大腸菌が検出された場合、「腸管出血性大腸菌O157、VT2が検出されました」などと伝えられるかもしれませんが、それは腸管出血性大腸菌の分類を示しているのです。
腸管出血性大腸菌は、食中毒の原因にもなり、またヒトからヒトに感染する感染症にもなります。
腸管出血性大腸菌は主にウシの腸管内に存在しているので、原因食品のほとんどは牛肉です。ただし、牛肉を食べることが危険なのではなく、生や加熱不十分な牛肉料理を食べた場合に多く発生しています。腸管出血性大腸菌は少ない菌量で食中毒を起こすため、牛肉からの二次汚染による食中毒も発生しています。
※二次汚染・・生の牛肉についていた腸管出血性大腸菌が、ヒトの手や調理器具を介してサラダや加熱済食品に付着してしまうこと。詳しくは「食中毒予防 ノロウイルス食中毒に気をつけましょう」で解説しています。
また近年では、野菜や果物の生食による腸管出血性大腸菌食中毒も発生しています。ウシのふん便による環境汚染や有機肥料により野菜や果物が汚染されていることがあるためです。
感染者と同じトイレやタオルを使用したりすることで、ヒトからヒトに感染する可能性があります。またウシなどの家畜との接触により感染した事例もあります。
腸管出血性大腸菌による感染症は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」により3類感染症(感染力や罹患した場合の重篤性などに基づく総合的な観点から見た危険性は高くはないものの、特定の職業に就業することにより感染症の集団発生を起こしうる感染症)に指定されています。感染者から食中毒の発生を防ぐため、陰性が確認されるまで飲食物の製造、販売など飲食物に直接接触する業務への就業が制限されます。
食中毒や感染症で腸管出血性大腸菌に感染すると、おおむね3~5日のうちに、出血性大腸炎(水様下痢、血便、激しい腹痛)が起こります。頻回の水様便、激しい腹痛、著しい血便とともに重篤な合併症を起こし、時には死に至る場合もあります。
おう吐や高熱の発症率は低いです。中には全く症状が出ない方もいます。
食中毒が疑われる症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
重症例では溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を発症することがあります。溶血性尿毒症症候群(HUS)は、小児が発症することが多い疾患で、急性腎不全などを引き起こします。子どもは重症化しやすく死亡例もありますので、特に注意が必要です。
食中毒予防の三原則「つけない」「増やさない」「やっつける」をご存じですか?腸管出血性大腸菌食中毒予防のためには、何に気を付けたらよいのでしょうか。
腸管出血性大腸菌は少量でも発症するため、食品に「つけない」ことが重要です。また加熱により死滅するので、「やっつける」ことも有効な対策です。
腸管出血性大腸菌は少量でも食中毒を起こします。そのため「つけない」対策が重要です。
生の牛肉を扱ったあとは必ず手を洗うこと、生の牛肉の作業に使用した包丁、まな板等の調理器具は、そのまま次の用途に使わず、きちんと洗浄・殺菌をしましょう。
生野菜由来の食中毒事例もありますので、野菜は流水でしっかり洗いましょう。特に高齢者福祉施設においては、野菜や果物を加熱せずに提供する場合には殺菌を徹底するよう厚生労働省から方針が示されています。詳しくは「食品事業者の方へ 老人ホーム等における食中毒予防の徹底について」をご覧ください。
また、腸管出血性大腸菌は便と共に排泄されますので、トイレ後の手洗いが不十分だと、調理者を介して料理を汚染してしまう可能性があります。腸管出血性大腸菌は感染しても無症状の場合がありますので、症状がなくてもトイレ後の手洗いは重要です。
腸管出血性大腸菌は加熱でやっつけることができます。肉の中心部が75℃で1分以上の加熱が必要です。
特にテンダライズ処理(肉を柔らかくするために筋を切断する処理)やタンブリング処理(調味料に湿潤させる処理)された肉や、成形肉(細かくした肉を結着剤で固めた肉)、ひき肉などは肉の内部まで腸管出血性大腸菌が入りこんでいる可能性がありますので、中心部までしっかり加熱しましょう。
これらの肉は食品表示ラベルにも「あらかじめ処理してありますので十分に加熱してください」などの表示が義務づけられています。
十分な加熱を要する表示の例
ご家族や友人と焼肉やバーベキューを楽しむときには、次の点に注意しましょう。子どもや高齢者など抵抗力の弱い方は、腸管出血性大腸菌食中毒の重症化リスクがあります。みなさまでお食事を楽しむためにも、周りの方も含めて注意しましょう。
生食用牛肉は、販売・提供するための基準が設けられています。牛レバーは、生食用として販売・提供することが禁止されています。詳しくは「食品事業者の方へ 生食用食肉の基準について」のページをご覧ください。
世田谷保健所 生活保健課 食品衛生企画
電話番号:03-5432-2911
ファクシミリ:03-5432-3054