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最終更新日 2023年7月11日
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ノロウイルスは、食中毒や感染性胃腸炎の原因となるウイルスで、近年食中毒の原因の上位を占めています。ノロウイルス食中毒は、年間を通じて発生していますが、冬場(11月~3月)に多く発生します。
正しい対策を行い、ノロウイルス食中毒を予防しましょう。
ノロウイルスとは、どんなウイルスなのでしょうか。
ノロウイルスは、ヒトの腸管内で増殖し、主に胃腸炎症状を引き起こすウイルスです。ヒトの小腸上部で感染し、増殖したウイルスは腸管の吸収阻害を起こすことから下痢となり、胃内容物が腸に移行できず吐き気やおう吐が起こります。
ノロウイルスはヒトの腸管内でしか増殖しないウイルスなので、ヒトの腸管内に存在しています。ヒトの腸管内で増殖したウイルスは、便と共に大量に排泄されます。1g中に10億個ともいわれる量です。そのため、ノロウイルスはトイレに存在していることが多いでしょう。
また、二枚貝の中腸線(消化器官)にも存在しています。これはヒトから排泄されたノロウイルスが下水から海域に流入して、二枚貝の中腸線に蓄積されるためです。原因食品としてカキが有名ですが、これは生で食べることが多いためです。アサリやシジミなどの二枚貝の中腸線にも蓄積されていると考えられますので、カキ以外の二枚貝の生食にも注意が必要です。
ノロウイルスは遺伝子型によりG1~G5(実際はローマ数字で表記します)の5群に分類されますが、ヒトに感染するのは主にG1とG2です。さらに、G1は1~9、G2は1~22までの分類に細分されます。もしノロウイルスの検査をして結果が陽性だった場合、「ノロウイルスG2・4(ジーツーフォー)が検出されました」などと報告を受けるかもしれません。この「G2・4」というのはノロウイルスの遺伝子型分類を指しているのです。
ノロウイルスは、食中毒の原因にもなり、感染症にもなります。ノロウイルスの感染経路を見てみましょう。
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスの感染経路は、上の図のとおり主に3つです。
「食品の二次汚染による食中毒」という表現を聞いたことがありますか?最近の食中毒発生のパターンとしてとても多いものです。
食中毒や感染症でノロウイルスに感染すると、1日~2日程度で、吐き気、おう吐、下痢、腹痛、発熱などをおこします。多くは2~3日で軽快し、予後は良好です。一方で、高齢者や子供は激しいおう吐や下痢により脱水になる可能性があるため、症状が重いときは早めに医療機関を受診しましょう。残念ながらノロウイルスの治療薬はまだありませんので、水分を十分に摂って休養することが治療になります。
ノロウイルスに感染しても症状が出ないことがあります。これを不顕性感染(ふけんせいかんせん)といいます。症状がなくても便からはノロウイルスが排出されていますし、症状の有無にかかわらず、感染してから2~3週間程度は便からノロウイルスが排出されている可能性があります。
自分に症状がないときは、感染対策がおろそかになりがちですので、注意が必要です。
出典 東京都「食品衛生の窓」
食中毒予防の三原則「つけない」「増やさない」「やっつける」をご存じですか?ノロウイルス食中毒予防のためには、何に気を付けたらよいのでしょうか。
ノロウイルスはヒトの腸管内でしか増殖しないため、食品中では増えません。一方で、少量(約100個程度)でも発症するため、食品に「つけない」ことが重要です。また加熱により死滅するので、「やっつける」ことも有効な対策です。
加熱して食べる食品はしっかり加熱してノロウイルスを「やっつける」、未加熱で食べる食品や加熱調理後の食品はノロウイルス「つけない」ように対策していきましょう。
ノロウイルスは食品の中心部が85℃以上で90秒以上加熱すると死滅します。他の食中毒細菌よりも高温で長く加熱しなければなりません。特に二枚貝は十分に加熱しましょう。
また塩素系の消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム)で死滅します。消毒用エタノールではノロウイルスは死にません。ノロウイルス対策のためには、まな板などの調理器具は熱湯もしくは塩素系消毒薬で消毒しましょう。トイレも塩素系洗浄剤で掃除しましょう。
しっかり加熱してノロウイルスをやっつけても、そのあとにノロウイルスをつけてしまっては食中毒を防げません。また未加熱で食べるサラダや和え物などは、製造工程すべてにおいてノロウイルスをつけないように対策する必要があります。
ノロウイルスをつけないためには、しっかりと手洗いをすることです。特にトイレのあとの手洗いは重要です。ノロウイルスはとても小さくて、手のしわまで入り込みます。手を洗うときは、十分にこすり洗いし、流水でしっかり流しましょう。調理の最中にトイレに行くときは、作業着やエプロンを外しましょう。
ノロウイルス食中毒の原因として最も多いのは、調理者が食品にノロウイルスをつけてしまうことです。自分にノロウイルスの症状がなくても、トイレにはノロウイルスがいると考えて、しっかり手洗いをしましょう。
手洗いは食中毒予防だけでなく、感染症予防にも有効です。手洗いが必要なタイミングで、きちんと手洗いをしましょう。正しい手の洗い方は「食中毒予防 手はしっかり2度洗い 食中毒予防の三原則を守りましょう」をご覧ください。
世田谷保健所 生活保健課 食品衛生企画
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