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最終更新日 2024年9月17日

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区長記者会見(令和6年9月5日)

令和6年9月5日(木曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。

会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。(PDF:5,508KB)


記者会見の様子

区長あいさつ 

第4回目の定例記者会見を始めます。

まず、近年各地で発生している地震や台風、豪雨などの自然災害についてです。先日の台風10号は、ゆっくりと蛇行しながら日本列島を縦断したことで、区を含め関東地方は台風から離れた地域にもかかわらず、一時的に、非常に雨が多い状況となりました。また、宮崎県では日向灘を震源とする最大震度6弱の地震があり、その後に南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」が発表されるといった状況もありました。

台風10号に関しては、危機管理部においても昼夜を問わず対応しました。区内では、際立った被害はありませんでしたが、全国では亡くなった方も含めて、多くの被害をもたらしました。心からお見舞いを申し上げたいと思います。なお、7月の豪雨被害などにあった交流自治体に対して、支援金のお渡しも行いました。

そうした中、8月20日(火曜日)に成城ホールで在宅避難の推進をテーマとしたイベントを実施し、太陽光パネルや蓄電池など、8月に全世帯に配布した「せたがや防災ギフト」のカタログに掲載されている物品の一部を展示したコーナーを設けました。パネルディスカッションでは、世田谷防災NPOアクションの宮崎猛志氏、大日本印刷株式会社でサービスデザインを取り組まれている松田久仁子氏、世田谷区の永井危機管理監が参加し議論していただきました。このような取組みをさらに地域全体に広げていきたいと思います。

「せたがや防災ギフト」は各家庭の震災時の備えを支援するものですが、1人あたり3,000円相当であり、このギフトで在宅避難の準備を完了できるものではありません。カタログをご覧いただき、それぞれの家庭で備えについて考える機会にしていただきたいです。

次に、7月28日に、「せたがや子どもFun! Fan!ファンディング」の公開審査会を行いました。子どもたちの団体が企画した内容をプレゼンテーションし、その審査を、子ども審査員4名、若者審査員2名、大人審査員3名の合計9名で行い、8つの補助団体を決定しました。

今回の企画がなぜ行われたかというと、後ほど、今回の発表項目として紹介する、子どもの権利条約や子ども基本法にも述べられている子どもの権利の一つとして、区では子どもが意見表明する機会を令和4年頃から度々設けてきました。子どもたちからは、意見をだして、それにより何がどう具体的に動いたのかが見えづらいという話がありました。そこで、子どもたち自身が企画内容を考えて、審査し、決定された企画には予算をつけますので、報告会を開催するためそこをゴールに頑張って実施してほしいという思いで、今回の取組みを始めたものです。

次に、大変暑い中で開催された「せたがやふるさと区民まつり」についてです。8年ぶりに馬事公苑に戻って開催されました。ふるさと物産展には34自治体が参加し、8年ぶりのみこし行進やよさこい、阿波踊り、盆踊りなどが様々なステージで行われました。また、民謡や歌などを披露するステージや、昔遊びコーナーなどもありました。よさこいや阿波踊りの練り歩きや、芝生のステージでのコンサートなど、馬事公苑だからできた催しでした。また、能登半島地震の募金募集を行うとともに、復興物産展として福井、石川、新潟の3県の物産展が入口近くに設けられました。

次に、世田谷区民会館のリニューアルオープンについてです。杮落とし公演が8月11日(日・祝)に行われました。開場の儀式として、ステージの中央、上手、下手そして一番太鼓に向かって、私が火打石で火花を飛ばしました。今回のような邦楽での杮落としは、最近珍しくなっていると聞きます。公演は人間国宝の今藤政太郎氏監修によるもので、藤舎流囃子方(とうしゃりゅうはやしかた)の藤舎清之氏による「壽、一番太鼓の儀(ことぶき、いちばんたいこのぎ)」で幕を開けました。太鼓の響きが満場のホールに響き渡り、第2部では、長唄演奏として、万葉集の防人の歌を基にした今藤政太郎氏の名曲、創作「蛍」が演奏され、世田谷ジュニア合唱団も着物を着て参加し、「わらべうた」を歌ってくれました。区民会館ホールの杮落し公演は、本来令和6年1月頃の予定でしたが、完成の延期により、奇しくも8月に延びたことで蛍という季節に合っていたように思います。また、「わらべうた」の歌詞は、戦争、平和を考える内容でもありました。来場者の皆さんからは、伝統あるすばらしい演目を見られて本当によかったという声もいただきました。区の文化発信の拠点として、現在、世田谷区民会館ホールは愛称を募集中です。オープニングイベントは、今回8月の杮落とし公演が1回目で、来年の春までにあと5公演を予定しています。なお、9月1日(日曜日)から一般利用も開始しています。

次に、令和7年度を初年度とする世田谷区環境基本計画を見直すシンポジウムについてです。

新しい計画では環境のために行動することを「手入れ」と呼び、より多くの人に「手入れ」が広がっていくことを理念に掲げています。シンポジウムではそういった理念を共有するために、環境基本計画の素案の説明と、これまで環境事務次官などの要職を歴任され、現在、区の環境審議会の会長を務めていただいている森本英香氏による基調講演を行います。また、それぞれの分野から、私も含めてパネリストとして登壇しパネルディスカッションを行います。9月7日(土曜日)午後1時30分から区立教育総合センターで開催します。

発表項目

世田谷区子ども条例の一部改正について

まず、世田谷区子ども条例は、子どもの権利条約が批准された後、今から20年以上前、近隣の自治体より早くに制定しました。世田谷区子ども条例は、ひらがなを用いて子どもにもわかる表現となっています。条例施行から20年以上が経過し、時代に適した内容への見直しが必要となったため、令和7年4月の条例改正に向けて、「子どもの権利が保障されるまちを文化として築いていく」ことを目指して、議論を進めています。

条例の主役である子どもたちが、条例を自分のものとして受けとめ、自分たちの条例として活かすことができるように、中高生世代15人をメンバーとする「子ども条例検討プロジェクト」を立ち上げました。子どもの権利条約には、意見表明権が明記されています。子どもの成長発達の段階において意見表明することができる。これは子ども基本法にも明記されていますが、そのあたりをしっかり、区の子ども条例に書き込もうと考えましたが、意見表明できることを子どもの意見を聞かずに明記するのはおかしいということで、子どもたちに参加してもらい、子どもの声をしっかり反映させた条例を作ろうと担当所管部では考えました。

大学生世代の若者がファシリテーターとなり、専門家のアドバイスをもらいながら、条例の前文、条例の目標、子供の権利の3点について議論を重ねました。

スライドに表示しているのは、子どもたちが考えた条例の前文です。1文1文をみんなでわいわい話し合いながら検討しました。前文には、「子どもの想い」「大人へのメッセージ」「区や大人への決意表明」をまとめています。みんなで議論してたたき台を作り、このような提案に至ったところです。

次の検討の状況として、条例の目標についてです。

子どもの権利として5点まとめています。「自分らしくいられる権利」「豊かに過ごす権利」「社会から守られ、支援を受ける権利」「自分で自分のことを決める権利」「意見を表明し、参加・参画することができる権利」といった権利を整理しました。子ども条例検討プロジェクトの取組みについては、10月8日(火曜日)に、子どもの権利に関するシンポジウムを行い、子どもたちの提案をどう受けとめるのか、議論していきたいと思います。

子育て支援に資する居住支援施策について

現在、区の人口は、0歳から4歳、30代から40代の子育て世帯が近隣自治体や市部・都外へ転出する傾向が増えています。そのきっかけとしては、結婚や出産などのライフステージが変化する際、区内の家賃や住宅価格が高額であることが大きな壁となっており、住環境の改善が課題であることがわかってきています。

そこで、区が推進する子育て支援に資する居住支援施策についてご紹介します。

1つは、ひとり親世帯家賃低廉化補助事業です。国土交通省のセーフティーネット住宅という名称で耳にしたことがある方も多いかもしれません。この制度は、18歳未満のお子さんを養育するひとり親世帯の方が、対象住宅に転居される場合に、区が賃貸人へ家賃の一部を補助することにより、入居者の家賃負担額が月額最大4万円減額されるものです。この制度は、開始前から国土交通省の方を区へお呼びして勉強会等を行うなどして実施につなげたもので、制度の拡充を進めてきたのですが、中々広まりませんでした。なぜかと言うと、区の場合、例えば家賃12万円の物件が不動産市場に出ると、1か月もしないうちに借り手が決まってしまいます。本事業は制度上、居住支援協議会を経て登録し、書類手続きの煩雑さや何年も継続しなければならないなど様々な制約があり、不動産店側からするとメリットが少なく、協力してくれる事業者やオーナーが極めて少ない状況でした。ようやく令和5年に、東京都住宅供給公社などの居室を用意できるようになりました。ひとり親世帯の家賃負担は非常に大きいので、それを下げることによって、生活支援、子育て支援になっていくのではないかと思いますので力を入れて進めていきたいと思います。

次に、子育て支援マンション認証制度及び事業補助についてです。

これは都の制度ですが、こちらも活用していきたいと思います。住戸専用面積が50平方メートル以上で、キッズルームの設置など、一定以上の条件を満たしたマンションを認証する制度を設けています。また、キッズルームやプレイロットの整備費用の一部を助成しています。このように、ファミリー世帯が入居でき、子育てしやすい住居も広げていきたいと思います。

そして、今回新たに開始する区営住宅に関する取組みです。区営住宅を子育て世帯向けの住戸に変更して供給数を拡充していこうと思います。最初は2世帯からですが、子育て世帯にフォーカスした区営住宅の供給ということはしてきていませんでしたので、今後このような取組みがもっと必要であり、さらに言えば、子育てをするか決めかねている若いカップルも支援していかなければならないと考えていますが、まずは取組みを始めていくということです。

せたがやデジタルポイントラリーの開始について

次に、せたがやデジタルポイントラリーについてです。

高齢者の健康寿命を延ばし、持続可能な介護保険制度に資することを目的として、令和5年から一部の地区で試行実施した高齢者外出インセンティブ事業「目指せ元気シニアせたがやデジタルポイントラリー」を令和6年10月より全区展開します。今年度末までに65歳以上となる方が対象で、4,200名程度を定員としています。

参加者ご自身のスマートフォンに専用アプリをダウンロードしていただき、282か所設置したラリースポットを訪れることでポイントをゲットする仕組みです。ポイントは、せたがやPayのコイン500円分と交換できます。これをきっかけに、まちを歩くことで体を動かし、無理なく続けて、「ちょこっと健康」を目指しましょうという趣旨の事業です。

専用アプリの機能を紹介します。

ポイント獲得の手順ですが、アプリのホーム画面下部の「ポイント」をタップすると、地図の画面に変わります。ラリースポットのピンを選択すると、所在地や定休日などの情報が確認できます。GPSの位置情報により目的地への到着が確認できると、アイコンが「チェックイン可能です」という表示になり、タップすることでポイントを獲得できます。簡単な仕組みになっていますので、楽しみながら使っていただければと思います。

ホーム画面では、所有ポイント数が確認でき、50ポイント貯まっていると、「せたがやPayのコインと交換する」ボタンから交換申請を行うことができます。「移動履歴」ではチェックイン数が日別・累計で確認できます。日付をタップすると、いつ、どのラリースポットを訪問したのかというチェックイン履歴も確認できます。

申し込みは、電子申請が9月2日から開始しており、スマートフォンの操作が苦手な方を対象に、各地区で登録説明会も実施します。この仕組みを使って高齢者のみなさんが街に出ることで、健康につながる成果が上げられたらと思っています。

質疑応答

  • 記者
    子育て世帯向けの住戸拡充について、これまでに子育て世帯向けの専用住戸はあったのか。そして、今回拡充された戸数、平米数など住戸の概要を教えていただきたい。
  • 都市整備政策部長
    子育て世帯向け住戸は、これまでも区全体の区営住宅約1,600戸のうち、約70戸あった。今回、少数だがまずは確保した2戸について、まだ具体的にどこの住戸とするか絞り切れていないが、子育て世帯の居住に問題ない程度の広さの住戸を想定している。
  • 区長
    まずは、2戸ということで小さな始まりではあるが、広げていきたいと考えている。
  • 記者
    この取組みは、他自治体でも行っているものか。
  • 都市整備政策部長
    全ての区の状況を把握しているわけではないが、どこも一定数の子育て世帯向けやファミリー向けの住戸が公営住宅としてあるかと思う。
  • 記者
    子ども条例の一部改正について、子どもの権利の保証状況を第三者機関で評価・検討するとあるが、区内の具体事例について調査・報告し、改善を促すものなのか。第三者機関の位置づけなど詳しく伺いたい。また、子どもの意見を具体的に明記するという中で、子どもの権利条約について言及があるが、日本政府は、子どもの権利条約の批准に幾つかの部分を留保もしくは解釈宣言をしている。特に出入国管理法に関係のある親子分離については批准していないという形にしているが、そのような部分に踏み込んだ条例を検討しているのか。
  • 子ども・若者部長
    1点目の子どもの権利について第三者機関で評価・検証するという部分だが、現在想定しているのは、子どもの権利委員会というようなものを立ち上げ、子どもの権利が守られているのかモニタリングしていく機関の設置を考えている。モニタリングを踏まえ、区に対して答申あるいは報告をいただき、それを受けて区で検討していくという流れを作っていければと思っている。
    そして、子どもの権利条約で規定する権利のうち、4大原則と言われる部分については、今回の子ども条例の改正の中で明記していきたいと考えている。その他、子ども条例検討プロジェクトの中で、子どもたち自身で必要だと考える権利を列挙してもらい、権利カタログのような形で並べている。区長が発表の際に申し上げたのがそれにあたる。
  • 記者
    第三者機関について、モニタリングするということだが、例えばどのようなものを想定しているか。
  • 子ども・若者部長
    具体的にはこれからの検討だが、現在想定しているのは、例えば区内で子どもたちと関わる施設等に対して、そこの子どもたちに調査等を行いモニタリングしていく中で、権利状況がしっかり守られているかどうかしっかり見ていくといったことを考えている。
  • 記者
    権利が守られていないことがモニタリングにより発覚した場合、どこかの機関に改善を要請したり、報告するといったことを行うような想定はあるか。
  • 子ども・若者部長
    委員会の方で区の方に報告をしていただく仕組みを設けることを考えており、それを区でしっかり受けとめていく。
  • 区長
    子ども条例改め子どもの権利条例の改正内容には、子どもの権利擁護という部分がある。前回の会見でも取り上げた「せたホッと」があるが、現在の子ども条例においても「せたホッと」に子どもの人権擁護委員を設置するという条項がある。10年以上の活動を通して分かってきたことやその役割など、細かく検証し、今回の条例にも書き込んでいる。モニタリングについてだが、具体的な権利侵害として、暴行を受けたとか金銭を要求されて脅されたなどに限らず、様々な学校内外のことも含めて「せたホッと」では多く相談を受けている。これまで、子ども条例の個別・具体的な人権侵害や子どもの悩みの解決に向けては、これまでも子どもの人権擁護委員の仕組みがあったが、それをさらに強化しようと考えている。
  • 記者
    子どもの意見が条例に反映されることは珍しいことか。
  • 区長
    私の知る限り、日本ではまだ一般的ではないと思う。私は過去に、子どもの権利条約の批准に関して、衆議院外務委員会の参考人にジャーナリストとして出席したことがあるが、1990年代後半当時は、子どもの権利条約というのは、開発途上国の子どもたちが人権を侵害されているのを救うという理解で、日本の子どもは特段問題ないという見解だったように感じる。条約を批准してから約20年が経ち国内法として子ども基本法ができ、ようやく子どもの権利や意見表明が、日本の子どもたちにも必要だとなってきた。区の子ども条例も、そうした動きをしっかりと捉えなければならないということで改正に入った。子どもの成長や発達の段階に応じて、子どもの意見を言う権利があるとしており、今回の区の子ども条例の改正はそういった点に該当すると思う。
  • 子ども・若者部長
    子どもたちに関する条例であることから、子どもたちには自分たちのものとして捉えてほしいと思っており、子どもたちの思いについては、しっかり反映していきたいと考えている。子どもの言葉を前文に載せている条例は、全国的に多くはないが、区で調べた限り4自治体ほどあると認識している。都内では、北区と武蔵野市について認識している。今後のスケジュールとしては、パブリックコメントを募集し、10月8日(火曜日)には子ども向けシンポジウムを予定している。こうした取組みの中で様々な意見をいただけると思うので、子ども条例検討プロジェクトについては、後期の検討会を10月、11月に行う予定である。令和7年2月には、子ども条例の改正案をまとめていきたいと考えている。
  • 記者
    デジタルポイントラリーについて、どのような施設・店舗を指定したのか。
  • 高齢福祉部長
    スポットの782か所は、高齢者の方に行ってもらいたい場所、高齢者の方々が行ってみると楽しくなる場所といった観点で選定している。例えば、公園や、区の高齢者の方向けの施設があるが、そこに行くことで、利用者との交流もしていただきたいと思って選んでいる。また、令和5年度の試行の際、普段行く公園のほか、コンビニエンスストアなどもスポットだとありがたいというご意見を頂いたことから、そういった店舗も選定している。
  • 記者
    本日、葛飾区が修学旅行の無償化実施を発表したが、それについて区長の受け止めを伺いたい。例えば、世田谷区では給食費無償化を実施していると思うが、区長としては、そもそも国がするべきことであるという考えを示しながら実施しているかと思う。義務教育現場における保護者の自己負担についての考えを伺いたい。
  • 区長
    葛飾区では、給食費の無償化も早い時期に打ち出されていたと思う。教育にかかる費用について、修学旅行或いは校外学習、教材費、学童クラブの利用など、実費徴収が発生しているところはまだまだある。一昨年からの議論で、給食費はその中でも相当程度大きなボリュームになるが、逆に言うと、無償化を実施するとなると、その財源は区にとってそれなりに大きな負担となる。当時は、都が半額拠出するという話もまだなかったので、政策判断をして給食費の無償化に踏み切った。結果としては23区の自治体に都が半額拠出することとなり、ほとんどの区で給食費無償化を実施したことと思う。おっしゃるように本来国がやるべき政策であって、国がやるまでの間、当面は区で決断してやっていくとしている。
    修学旅行について無償化するとなると、財源として5億円程度必要となる見込みである。トータルな子育て支援の中で、どこを無償化していくべきなのか、何が一番保護者にとって負担が重いのか、持続可能な財源として考えることや政策効果も踏まえて、1つの問題提起だと捉え、他の支出も見比べたい。また、基礎自治体だけが頑張るという構図にはならないと思うので、国や都の動きも見ていきたい。
  • 記者
    世田谷区立中学校の修学旅行の平均額は6万6,800円であり、先ほどの給食費が相当額ということを踏まえると、修学旅行費もかなりの相当額かと思う。
  • 区長
    教育にお金がかかることについて、給食費は毎日の食事という性格で、修学旅行は学校生活の中で何日かを友達と過ごす非常にメモリアルな行事である。現在は、子ども医療費の無償化と給食費の無償化が2大支出となっているが、子ども医療費については都が半分拠出してくれるわけではなく、都で所得制限をかけている。例えば、ふるさと納税で約110億円が流出している状況で、どこまで対応していけるのか。いいことであれば何でも実施できればいいが、持続可能であることはとても大切で、特に教育・子ども分野における無償化、或いはサービスの向上、両方が必要だと思う。それをどの優先順位で今後進めていくのかいうことは自治体からも発信し、国はまさに異次元の少子化対策をすると言っているが、どのような異次元であるのかということも含めて、問うていきたいと思う。
  • 記者
    待機児童数の件で伺いたい。都内の待機児童数が令和6年4月時点で361人と7年ぶりに増加した。世田谷区は58人で、都内で一番人口が多い自治体として仕方がない面もあるとは思うが、都内で一番多い結果である。都の分析としては、自治体ごとの事情があるのではないかということだが、区として、今回の待機児童数の受け止めと、今後検討している取組みがあれば伺いたい。
  • 区長
    国基準での待機児童数ゼロを実現して以降、ここ数年その状態が続いていた。この間の議論では、保育園の定員割れによる経営難の声があった。要請に基づき私立認可保育園を開設していったが、定員割れが続くと経営が見通せず、何か手を打つべきだというものだった。
    現状の制度では、保育士が何歳児を何人保育しているかによって公費が算出される。それよりも、保育定員として何人を確保しているかによって算出すれば、保育事業者の経営の安定にもつながるのではないか。制度として改善が必要だと思っている。区では、0歳児の保育定員を減らし、その分1歳児の保育定員にスライドさせていた。保育園の定員割れを防ぐための調整を細かく行っていった結果、逆に入園が難しくなってしまった面があるのではないか。待機児童への取組みとしては、来年度も待機児童が発生する試算がでたため、認可保育園を3か所新設することで考えている。
    また、入園に関する機会の公平性の観点で行うものがある。多くが4月入園だが、4月以降は定員が埋まっていってしまう状況である。子どもは1年を通して誕生しており、生まれ月によって入園しやすさが変わってきてしまう。そこで、まだ少ない数ではあるが、区立保育園で10月入園を実施予定である。このような対応や、保育定員のスライドも引き続き行っていく。
  • 記者
    10月入園について、従来は4月入園で大規模な定員を提供するものと思うが、それを10月にも行うという認識で良いか。
  • 子ども・若者部長
    令和7年度4月の区立保育園の0歳児定員を一部抑えて、10月に28人分の募集を行うという取組みである。
  • 記者
    令和6年4月時点で58人の待機児童が出ている中、0歳児の定員を一部抑えて28人分をスライドすることで調整できる見通しということか。
  • 子ども・若者部長
    今年度の待機児童は主に1歳児、そして一部地域では2歳児という状況である。一方で、年度当初は0歳児に空きがある。0歳児定員からのスライドによる調整は、1歳児・2歳児の待機児童の状況には影響を与えないものと考えている。
  • 記者
    そうすると、1歳児・2歳児の定員を増やした方が良いのではないかと思ってしまうが、0歳児の定員をスライドする意味を改めて伺いたい。
  • 子ども・若者部長
    0歳児の定員のスライドは、機会の公平性での観点である。一方で、待機児童対策としては、区長が申し上げたように、認可保育園の場合、砧地域と北沢地域で不足する見込みとなっていることから3か所を整備する方針としている。

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