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最終更新日 2025年12月23日
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都市デザインフォーラムは、「誰にとっても快適で魅力あふれるまちのデザイン」について、その視点や活動に関して区民・事業者・行政が共に考え理解を深めるため、区民を対象として毎年開催しています。今年度は、現在改定の検討を進めている「世田谷区風景づくり計画」の改定素案を区民に公表するオープンハウスと同時開催しました。今回の世田谷区風景づくり計画の改定においては、区民が「風景づくり」を身近に感じられるよう計画の構成や内容を見直し、また区民が気軽に風景づくりを楽しめるよう普及啓発を促進することを見直しの1つの視点としています。
その視点から、2024年に開催した「地域風景資産のこれまで×これから」、2025年春に開催した「風景を楽しんで暮らしをもっと豊かに!」では、実際に風景づくり活動をされている方々のお話を伺い、風景づくりについて意見交換を行ってきました。今回はそれらの内容に引き続き、「みんなで話そう!‘‘せたがやの風景づくり’’のこれから」をテーマに、風景づくりに繋がる活動を行っている皆様のお話を伺い、未来に向けた風景づくりのアイデアを会場の皆様と共有するとともに、今後の取組みに活かしていくことを目的としています。
【開催日時】
令和7年9月20日(土曜日)13時30分から16時00分まで
【会場】
北沢タウンホール12階 スカイサロン
所在地:世田谷区北沢2-8-18
1. 世田谷の「風景」と「風景づくり」
世田谷区では「景観」ではなく「風景」という言葉を使っています。「風景」は、目に見える景色だけでなく、その土地の風土、文化、歴史、人々の生活、暮らしや営みの積み重ねも含まれています。よって、「風景」は、まちに住む私たちの大切な共有の財産です。そして、地域の個性あふれる風景を守り、育て、つくることが「風景づくり」です。
世田谷区では区民の皆様との協働による「風景づくり」を大切にし、昭和の時代から「昭和59年(1984年) せたがや百景選定」「昭和63年(1988年) 清掃工場煙突コンペ開催」などの様々な取組みを行ってきました。
平成14年からは、「地域で大切にしたい身近な風景」と「その風景を守り育てる地域の皆様の活動」をセットで選定する「地域風景資産」制度を導入しました。これまで計3回選定が行われ、86か所の地域風景資産が選定されています。(詳しくは、地域風景資産をご参照ください。)
令和4年には、奥沢1~3丁目において、みどり豊かな住宅地の風景を地域の皆様と守り育てるため、風景づくり重点区域「奥沢1~3丁目等界わい形成地区」を指定しました。(詳しくは、界わい形成地区をご参照ください。)
近年の風景づくりの課題としては、区民の風景への関心は高いが風景づくりへの参加者は少ないこと、また風景づくりの担い手が減少していることがあげられます。
社会状況は常に変化し、また様々な技術の革新に伴い、私たちの生活や趣味、価値観などはさらに多様化しています。区では、風景づくりに取り組むことで、地域の魅力が高まるだけでなく、風景づくりを通して多様な人と人が関わることで、地域の皆様がより豊かに幸せに暮らすことができると考えています。
登壇者の皆様の風景づくり活動や、活動を通して感じていることなどをご紹介いただきました。
ファシリテーターは(株)石塚計画デザイン事務所の千葉晋也氏、板書(イタガキ)は同社の三宅紗葉子氏に担当していただきました。
(株)石塚計画デザイン事務所は、まちづくりのコンサルタントとして長年、世田谷の風景づくりの支援に関わり、市民参加のまちづくりワークショップの企画・運営・ファシリテーション等をされています。
はじめに、導入として千葉晋也氏からお話を伺いました。
千葉氏は、世田谷区の風景づくりとは26年ものお付き合いで、世田谷区風景づくり条例策定支援から、地域風景資産の選定の検討、選定支援、フォローアップなどに携わられています。
過去3回行われた地域風景資産の選定では、選定プロセスから実際の選定に至るまで、多くの区民が関わって進めてきました。地域風景資産は大切にしたい身近な風景を選定することと同時に、そこに風景を守り育てる「活動」があるのが特徴で、区では活動を支援するため、様々な制度を用い、フォローアップを行っています。
2024年の都市デザインフォーラムは、この地域風景資産に焦点をあて、「地域風景資産のこれまで×これから」をテーマに開催しました。風景づくり活動団体と、様々なフィールドで活動されている団体の方々のお話を伺い、それぞれの活動を通じた「大切な風景を守る手立て」や「今後どのように風景を作っていきたいのか」、「仲間づくり」や「場づくり」について対談を行いました。(詳細は都市デザインフォーラム2024のページをご参照ください。)
2025年春の都市デザインフォーラムは、「風景を楽しんで暮らしをもっと豊かに!」をテーマに開催し、日常生活で少しだけ「風景」を意識して行動すると「幸福感」が生まれ、日常の暮らしがますます豊かになるという「コツ」を共有しました。(詳細は都市デザインフォーラム2025春のページをご参照ください。)
これらのフォーラムの内容を受けて、今回のテーマは「みんなで話そう!‘‘せたがやの風景づくり’’のこれから」とし、未来に向けたアイデアを共有していきます。どのようなお話が聞けるのでしょうか。
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| 千葉 晋也氏 | 三宅 紗葉子氏 |
福岡氏は東京農業大学でランドスケープデザインの教鞭を取られながら、世田谷区の都市計画、グリーンインフラ政策などに関わられ、世田谷区風景づくり委員会委員も務められています。
著書に「グリーンインフラって何だろう?」、作品に「南町田グランベリーパーク」などがあります。今回は、東京農業大学の世田谷キャンパスから広がっていった取組みのお話を伺うことができました。
東京農業大学世田谷キャンパスの建替えの話が持ち上がった際に、建替え計画のマスタープランを学生さんたちとともに検討し作成されたそうです。この提案は実現されなかったものの、これをきっかけに、学生たちのキャンパス内での過ごし方の調査、また、キャンパスに程近い馬事公苑界わいの調査へと活動は 広がりを見せ、bajico(馬事公苑界わいコミュニティデザインプロジェクト)の活動とも繋がりました。大学の特性上、生徒などの人の入れ替わりがあるという課題がありながらも、キャンパス内の芝生を活かした芝生あそび、間伐材を有効活用したリーフブーケ、畑づくりなど、学生の企画力を活かし、施工も学生と一緒に行うという大学ならではの活動的な取組みが、とても印象的でした。

福岡 孝則氏
深沢・桜新町さくらフォーラムは、世田谷区の地域風景資産に選定された「旧・新町住宅地の桜並木」と「呑川親水公園」を核として風景づくりを行う市民団体です。地域の歴史を伝える活動や、桜並木を守るための日頃の清掃活動、地域の方々のコミュニティづくりのための散策会の開催、さらに最近では桜の生育を脅かす「クビアカツヤカミキリ」の調査活動も行われています。
浅見さんは生まれも育ちも世田谷であることから、定年退職後に地域に関われることは何かないかと探していたところ、さくらフォーラムが年4回発行していたニュースレター等に触れ、活動に参加されたそうです。20年近くさくらフォーラムの活動を牽引されていた代表の稲垣道子さんのもとで活動の一助をになってこられました。
2年前にその稲垣さんが急逝され、活動や会の存続そのものが危ぶまれることとなったそうです。しかし、浅見さんをはじめ会員の皆様で「できる人が」「できることを」「できる範囲で」を合言葉に活動されている様子が印象的でした。会員の高齢化の問題などもありながらも、継続して、地域の桜並木を大切に見守り支える存在になっていただいていることを、とても心強く感じました。

浅見 正博氏
三島氏は、シモキタ園藝部の共同代表理事として企画・立ち上げ・運営に携わり、下北沢らしさを活かしたみどりづくりや場づくりに取り組まれています。今回は、日々の活動について具体的な取組みのお話を伺うことができました。
シモキタ園藝部は、地域に開かれたオープンなコニュニティで、小田急線の地下化に伴い下北沢駅周辺に新たに生まれた緑を、誰がどのように管理していくのか検討していく中で、「まちのみどりを自分たちの手で」「地域の人による活用と管理」という想いから生まれたそうです。現在では250名ものメンバーが加入しています。活動に際しては、毎回プロの方からノウハウを学んでから実践をするプログラムになっており、活動と学びが一環となっていました。実際に栽培したハーブをハーブティーとしてお店で提供したり、育てたミツバチからはちみつをつくり販売するなど、聞いていてワクワクするような取組みが多数あり、「仕事が喜びになり、喜びが仕事になる」という言葉のとおり、メンバーの方々の参加する「楽しみ」が伝わってきました。


三島 由樹氏
二子玉川エリアマネジメンツとは、世田谷区玉川一丁目から四丁目周辺で持続的なまちづくり活動を推進するために設立された団体です。地域の資源を最大限に活用し、住民や企業が行政と連携し一体性をもって行う総合的なまちづくりに取り組まれています。
今回は、兵庫島公園などがある二子玉川エリアでの具体的な取組みのお話を伺うことができました。
「二子玉川かわのまちアクション」では、野川ベース整備大作戦と称し子どもたちと野川の生きもの観察拠点の清掃活動をされているほか、マルタウグイの産卵環境づくりをするなど水辺環境の保全と安全利用の意識啓発をされているそうです。また、新二子橋アートプロジェクトでは、橋脚壁面の落書きがきっかけとなり、落書きを清掃してマスキングテープでアートを制作する取組みをイベントとして行っているそうです。その他にもコミュニティ支援として、まちづくりの助成金制度「フタコファンサポート」を実施するなど、「やりたい人」を支える事業にも取り組まれていました。活動している中で出た意見や、地域の企業の声に耳を傾け、それを楽しみながら実際にイベントとして実現していくお話がとても印象的で、まさにエリアマネジメンツがまちづくりのハブのような存在になっていました。


田行 礼奈氏
これからの世田谷の未来像を、「1」での皆様のお話を踏まえて意見交換しながら、深堀りしていきました。
今の風景づくりは「やりたい人がやりたい時に」できることが求められています。何より「楽しく活動できる」ことが大切であり「楽しく活動していると、活動が広がっていく」というキーワードをいただきました。高齢化等により活動を継続していくことが難しいという課題がある一方で、新たな取組みも生まれています。やってみるとできることはたくさんあり、好きな人のやり方を真似してみると、好きではないことも好きになっていくという活動の「コツ」も共有することができました。

会場の様子
「せたがやの風景づくり」の未来像について、当日ご参加いただいた皆様にもご意見をお聞きし、会場全体で考えていきました。
地域でゴミ拾い活動をされている方からは、「風景は写真では撮り切れないもので、生きている風景にはストーリーがある。」というお話を伺いました。ゴミにもナラティブ(物語)があり、拾ったゴミからストーリーを読み取っていくことで、新しい風景の発見があるということを共有いただきました。
農地の所有者の方からは、都市計画道路や経済の視点から「変わらざるを得なかった風景」を、楽しむ、働く、学ぶ、たくらむという視点で、風景を活かしたコミュニティ住宅をつくられたというお話をいただきました。
このように区だけでなく、「風景づくり活動を行う方々」や「風景づくりだと気づかずに始めたことが、結果的に風景づくりに繋がる活動だった方々」がいることが素晴らしいことで、世田谷らしい良さであると会場の皆様と感じました。これからは、横の繋がりも拡大できれば、もっと素晴らしくなるというご意見もいただきました。
そして、楽しんで活動することの大切さ、それ自体が人生を豊かにすることに繋がるということを、改めて感じ、共有することができました。
ご登壇いただきました皆様、当日ご出席いただきました皆様、どうもありがとうございました。

三宅氏による板書(イタガキ)
今回の都市デザインフォーラムで皆様よりいただきました貴重なご意見、ご提案、アイデアは、今後の区の取組みに活かしていきたいと考えています。そして、区民の皆様が気軽に風景づくりを楽しめるよう、より一層、普及啓発に取り組んでまいります。
「あれも!これも!?世田谷の風景」をテーマに、世田谷区風景づくり計画素案公表のオープンハウス(展示形式の説明会)とミニイベントを開催しました。詳細は、「世田谷区風景づくり計画」素案公表のオープンハウスをご覧ください。
都市整備政策部 都市デザイン課
電話番号:03-6432-7151
ファクシミリ:03-6432-7996