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最終更新日 2026年1月21日

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区長記者会見(令和8年1月9日)

令和8年1月9日(金曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。

会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。(PDF:5,396KB)


記者会見の様子

区長あいさつ

明けましておめでとうございます。本年最初となる定例記者会見を始めます。

まず、年頭にあたり、今年の一字です。

今年を表す一字を「繋(つなぐ)」としました。

「繋」という言葉には、単に「繋がる」以上の意味があります。

「一見バラバラに存在している社会資源や人の動きが相互に結びつき、繋がっていくこと」「断絶し、離れていた物事が響き合い、出会うことで一つの力や動きになっていくこと」を示しています。

これまで区政を担ってきて、世田谷区には多くの社会資源や、他地域にはない区民の方々、研究者、教育機関などが多数存在しており、皆さんを、地域という結び目で繋げていくことが非常に重要だと感じています。

地域と地域、人と人が繋がり、連なることで結びつき、一つの文化を作り出していくことや、人々が国や言語、宗教の違いを超えて理解し合い、心が通じることも、「繋がる」という言葉の意味に含まれると考えます。

世田谷区の人口は令和7年12月時点で93万人に達しようとしています。

その中で最も深刻な課題は、都市生活における孤立化・孤独化です。

若年層から高齢者まで、単身世帯の区民は相当数いらっしゃり、その中には一日中誰とも会話をしない日が続いている方も珍しくありません。

住宅都市である世田谷区において、コミュニティ活動の重要性は増しています。区内では地域のお祭り、マルシェ、フリーマーケット、子育ての場や多世代カフェなど、区民による自主的な活動が数多く行われています。こうした活動は、地域で身近な人々と知り合い、喜怒哀楽を共にする、顔の見える関係を築くきっかけとなります。

孤立・孤独対策は、行政組織や福祉サービスの充実だけでは手が届きにくい領域です。一人ひとりの生き方の中で、互いに知らなかった人たちが身近な場所で出会い、顔の見える関係を築いていくことが重要です。

例えば、赤ちゃんと二人きりで、オートロックのマンションという家庭の中にいることで、不安な思いを抱えている保護者の方々がいます。現在、世田谷区では約70カ所の「おでかけひろば」を展開しています。区内のどこに住んでいても、ベビーカー利用時にも15分程度でアクセスできる場所にあり、その多くは先輩ママたちがNPO法人などを立ち上げて一軒家を借りて改装するなど、親子で過ごせる場として運営しています。そこに区が助成金を出し、専任のスタッフを配置しています。また、お昼寝スペースを設けるほか、区内5カ所には子どもを一時的に預けて仕事ができるワークスペースを併設するなどの特性をもつ場所もあります。

こうした場所があったことで、「初めて母親同士、父親同士の繋がりができた」という声も数多くいただいています。このような繋がりを生み出す場の提供や運営には、今後も区民の皆さんとともに力を入れていきたいと思います。

さらに、地域と地域を繋ぐ取り組みも必要です。

世田谷区は東西方向の鉄道の便は良いものの、南北の移動はバスが中心であり、少し行き来しにくいところがあります。また、運転手不足によりバス交通がひっ迫している現状について、昨年からバス事業者と協議を重ねており、「区内の路線を維持し、減便を極力抑えるにはどうすればよいか」を率直に話し合っています。区が支援する補助、また、事業者による運転手の方の休憩場所の確保など様々な配慮が必要ですが、最大の問題は、運転手を募集しても応募が少ないことだと聞いていますので、採用活動についても区として協力できないか相談しているところです。

地域と地域の繋がりという点では、防災ネットワークについて、危機管理部を中心に、昨年には物資供給搬送等の訓練を行いました。庁内での水害対策の訓練や、発災後72時間の場面を想定した災害対策本部運営訓練など、様々なシチュエーションでの訓練を重ねています。災害対策のシミュレーションを積み重ねる中で、「地域住民同士の顔と顔が見える関係ができているかどうか」がカギになってくると感じています。

また、令和7年中に実施したマンション防災共助促進事業では、マンション単位で合計30万円程度の防災備品を無償配布しました。これを契機として、地域の防災ネットワークに加わってもらう試みを、今年も進めてまいります。

また、世田谷区では毎年「世田谷区自治体間連携フォーラム」を開催しています。こちらは、夏に開催される「せたがやふるさと区民まつり」を契機としたもので、昨年は北海道の白老町、一昨年は北海道の中川町など、全国の関係市区町村で開催しているものです。区民まつりでは、約30の自治体にブースを出展して特産品などを販売していただいており、当日には多くの市区町村長もいらっしゃいます。

私が区長に就任した際、約10人の首長がいらっしゃっており、挨拶だけで終わらせてしまうのはもったいないと考えて交流会を提案しました。交流会では、防災や地方の人口減少、各自治体が抱える様々な問題について、「地方と都市が繋がることで何かできないか」を話し合う場としました。世田谷区に来ていただくだけではなく、こちらからも出かけていき、「世田谷区自治体間連携フォーラム」は開始から10回目を迎えています。今年も自治体同士の繋がりを深めていきたいと考えています。

さらに、区内には約90の区立小中学校に加え、私立の小中学校、私立・都立・国立高校、など多様な教育機関があります。加えて、区内には17の大学・学部があります。以前から開催している大学学長と区長との懇談会から出たアイデアをもとに、様々なプロジェクトを準備しています。

今年4月には「北沢学園中学校」として学びの多様化特例校を開設しますが、大学などの社会資源の協力も得ながら取り組みを広げていきたいと考えています。

さらに、コロナ禍を経てDX(デジタルトランスフォーメーション)が進みましたが、これは単なるデジタルツールの導入にとどまらず、人と人、地域と地域を「繋ぐ」新しい仕組みを生み出す力です。

区民や事業者との参加と協働を進め、情報共有と意見交換を積み上げていきます。

防災や子育て支援の分野ではデジタル技術を活用した情報共有が進んでおり、災害時にはスマートフォンを通じて避難所情報をリアルタイムで発信するなど、DXによる繋ぐ力を活用し、地域住民の助け合いを促しながら地域の価値を高めていきたいと考えています。

「繋ぐ」というテーマは、私たち一人ひとりの行動にも関わっています。

挨拶を交わすことや地域のイベントに参加することなど、小さな行動が積み重なり、大きな繋がりを生み出します。

人と人、地域と地域を繋ぐことで、よりしなやかな社会を築いていきたいと考えています。

本年は、この「繋ぐ」という言葉を一つの指標として、区政運営を続けてまいります。

続いて、元日に区内各所から区民が歩いて総合運動場に集まる「元旦あるこう会」が開催され、千人を超える方々が参加されました。

1月1日といえば2年前の能登半島地震から丸2年となるため、私も会場で募金を呼びかけたところ、5万円を超える寄附が集まりました。特に、水害も重なった輪島市や珠洲市では、二重災害の中での苦闘が続いていますので、改めてしっかり支援していきたいと思います。

災害支援金に関してはこれまで、令和6年の4月に珠洲市と輪島市へ500万円ずつ、10月に同額、12月には珠洲市へ1,000万円、そして令和7年の6月に500万円ずつを寄贈し、これまでに約4,000万円をお届けしています。今後も、継続して後押しをしていきたいと思っています。ただ、能登半島では人口流出などの深刻な課題もあり、寄附や職員の派遣などでは解決できない難題もあるということをお聞きしていますので、市長と連絡を取りながら、できることを支えていきたいと考えています。

次に、世田谷美術館で開催中の展覧会「つぐminaperhonen(ミナペルホネン)」についてです。

「ミナペルホネン」はデザイナーの皆川明(みながわあきら)さんが創設した日本のファッション・テキスタイルブランドです。令和7年で創設30周年を迎え、数多くのファンから支持を集めています。この展覧会にも多くの方に足を運んでいただき、1月4日(日曜日)時点で3万2,893人と大変多くの来場者数を記録しています。

本展覧会では、貴重な原画や、デザイナーの手作業から生み出されるテキスタイルに加え、色鮮やかな刺繍や織、プリント工場の様子など、6つの展示コーナーを通してミナ ペルホネンのものづくりのありかたをご紹介しています。「100年先も存続するブランド」としての在り方を模索し、一着の服を長く愛してほしいと願うその想いに、心が温まる展覧会となっています。2フロアにまたがる見ごたえ満載の展示とあわせて、期間限定でミナペルホネン仕様になった、館内廊下のベンチや会場入口の絨毯にもぜひご注目ください。また、本展覧会は世田谷美術館での開催を皮切りとして、長野、熊本、富山、栃木など、全国を巡回します。多くの皆さんに足を運んでいただき、ご覧になっていただければと思います。

発表項目

国の「「強い経済」を実現する総合経済対策」予算措置における区の取組みについて

令和7年11月21日(金曜日)に国が閣議決定をした「「強い経済」を実現する総合経済対策」について、先の令和7年臨時国会において、国の補正予算が成立したことを受け、区においても、3つの経済対策を速やかに実施することとしました。

1点目は、デジタル地域通貨「せたがやPay」による物価高騰対策についてです。

区では当初、基調的な物価上昇が続く中で、12月の第4回区議会定例会で議決された4次補正予算も裏付けとして、新生活準備などの需要が高まる令和8年2月から3月までの2か月間に渡り、せたがやPayを活用した最大10%のポイント還元の実施を予定していました。

しかし、今般の国の重点支援地方交付金の充当を受けまして、物価高に苦しむ生活者や事業者に対し、更に十分な規模の支援策を一刻も早く提供するという主旨から、還元率を最大15%へ引き上げ、事業開始を1月21日(水曜日)に前倒しして実施します。

さらに、追加で令和8年度の4月にも、最大10%のポイント還元を実施することで、事業費の総額として、約9億3,500万円規模の物価高騰対策となるように拡充いたします。

1月21日(水曜日)から3月31日(火曜日)まで実施する、最大15%のポイント還元の仕組みについてです。各月の還元上限額はそれぞれ10,000ポイントで、事業費予算として、約7億6,000万円の措置を講じています。

次に、4月に実施する、最大10%のポイント還元の仕組みです。

還元上限額は10,000ポイントのままで、事業費予算として、約1億7,000万円の措置を講じています。

せたがやPayは、令和7年11月末時点で加盟店舗数は約6,200店、累計の決済総額は約470億円、アプリダウンロード数の累計は約53万件、令和7年度平均の月間アクティブユーザーは約93,000人で、令和8年2月で開始から5周年を迎えます。

今回の物価高騰対策において、過去のキャンペーン実績から想定される効果として、経済波及効果額は約38~46億円程度を見込んでおり、本事業の利用者数としては月平均11万人程度を見込んでいます。せたがやPay利用者一人あたりにつき、平均で約6,700円相当のポイントが還元される見込みです。

今回の重点支援地方交付金を活用した物価高騰対策については、過去に実施した施策の効果を踏まえ、区民生活を支える効果を最も早く届けられる施策として、せたがやPayの活用に力を入れたものです。

2点目として、物価高騰に対する生活者支援の一環として、生活に直結する食料品等の購入負担を軽減するため、住民税非課税世帯及び均等割のみ課税世帯を対象に1世帯あたり2万円の現金給付を実施します。

支給対象者は、令和7年12月22日(月曜日)に世田谷区に住民登録があり、世帯全員が令和7年度分住民税非課税または均等割のみ課税となる世帯の世帯主です。

支給方法は2パターンあります。

まず、Aパターンとして、令和7年1月1日以前から区内に住民登録のある世帯のうち、令和6年度世田谷区物価高騰対策給付金を受給した世帯は、世帯主あてに支給のお知らせを圧着はがきにて送付し、原則、手続き不要で前回給付金を受給した口座へ支給します。通知送付は2月26日(木曜日)、支給は3月24日(火曜日)、26日(木曜日)の実施を予定しています。

Bパターンとして、それ以外の対象世帯には、確認書兼申請書を封書にて送付します。オンラインまたは郵送で申請いただき、審査のうえ指定口座に支給します。通知送付予定は4月6日(月曜日)で、以降順次、審査の完了後、早い方で4月下旬から支給を開始します。申請期限は6月末です。長引く物価高騰の中、区としても少しでも早く現金をお届けできるよう、迅速かつ丁寧に対応してまいります。

3点目として、物価高の影響が長期化し、その影響が様々な人々に及ぶ中、特にその影響を強く受けている子育て世帯を力強く支援し、子どもたちの健やかな成長を応援するメッセージを込めて、0歳から18歳までの子どもたちに1人当たり3万円の「物価高対応子育て応援手当」を支給します。これは、国からの手当2万円に区が1万円の上乗せを行うものです。

区では、およそ8万6千世帯に対して、支給対象となるお子さんの数でいうと約13万人分の「子育て応援手当」を支給します。可能な限り早期にお届けするために児童手当のスキームを活用し、支給対象である子育て世帯の約9割には、申請手続きを行うことなくプッシュ型での支給を進めていきます。

今後のスケジュールとして、1月下旬にプッシュ型支給対象世帯へ「子育て応援手当」のお知らせをお送りした後、2月10日(火曜日)にはプッシュ型支給対象世帯への支給を開始します。なお、「子育て応援手当」の申請が必要な支給対象世帯への支給は3月中旬より順次行ってまいります。

世田谷区公契約条例に基づく労働報酬下限額の改定について

次に、世田谷区公契約条例についてです。

この条例は、事業者間競争によるダンピング、それに伴う働く方々の労働条件の低下や公共サービスの質の低下の懸念から、公共工事等において適正な賃金が支払われるように整備された制度です。

適正な労働条件を確保すると同時に、入札において、防災や地域活動に貢献している地元事業者を評価するものです。区では、平成27年4月1日に世田谷区公契約条例を施行し、昨年令和7年4月で施行から10年が経過しました。大規模な公共工事だけではなく、区と2,000万円以上の取引がある委託事業者にも「労働報酬下限額」の遵守をお願いしています。

そして、令和8年4月から適用される1時間あたりの労働報酬下限額を、現在の1,460円から150円引き上げ、1,610円に設定します。現在、東京都の最低賃金が1,226円であるところ、対象となる区との取引においては、事業者の皆さんにこの労働報酬下限額を支払っていただくことを求め、区も、それを前提とした発注額を想定し運営していきます。なお、労働報酬下限額は、公契約適正化委員会での審議を踏まえて決定しています。

世田谷区公契約条例には罰則規定はありませんが、世田谷区のルールとして順守していただくものとしてお願いしており、区の労働報酬下限額は、少なくとも工事契約以外で職種別の設定をしていない区の中で、最も高い額となっており、この10年間、この労働報酬下限額が区の地域賃金をリードしてきたのではないかという声もいただいています。

今回、現在の1,460円から10.3%増となる1,610円に引き上げることで、1日8時間、月22日勤務の場合、1か月あたり2万6,400円の引き上げに繋がります。

今回の引上げにより正規、非正規を問わず区の公契約に従事する労働者の最低賃金が底上げされることとなり、適正な労働環境の確保・向上を実現していくことで、区の公契約に従事する人材の確保につなげていきます。

世田谷から生み出したこの公契約における賃金の引き上げと、それによる人材の確保という流れが、近隣自治体を含めた地域としての賃金水準の引き上げにつながり、ひいては全国への波及という効果もあるのではないかと考えています

梅丘図書館のリニューアルオープンについて

次に、区立梅丘図書館のリニューアルオープンについてです。

老朽化した建物を改築し、裏手にある羽根木公園と一体化したデザインで、令和8年2月8日(日曜日)にリニューアルオープンします。

1階は、「賑わい・交流・創作のフロア」として、館内の本を自由に読むことができるカフェテラス付きの『カフェエリア』や、3Dプリンターなどの機器を利用して創作活動ができる『ワークショップルーム』、カウンターを通さずに予約資料を受け取ることができる『予約図書コーナー』を設置します。

2階は、「新たな学びや自分に合った居場所に出会えるフロア」として、一般図書コーナーを中心に地域や利用者の特性に応じた様々な資料を揃えるとともに、窓際や吹き抜け回りなどには、インターネット予約が可能な約80席の閲覧席を配置しています。特に中高生世代には、閲覧席や多目的室等を活用してもらうほか、居場所として優先的に利用できるティーンズエリアも用意しています。

3階は、自然を感じながら感性を育むフロアとして、以前は直接行き来することができなかった羽根木公園とブリッジでつながるとともに、開館前の早朝から利用できるエレベータを設置しています。親子で読書が楽しめる「おはなしのへや」には、公園に面したキッズテラスを設置するとともに、映画会や各種講座・イベントのほか、試験期間中の学習室利用など、様々な目的で使用可能な多目的室を用意しています。

最後に、本日配布した「区のおしらせ」新年号についてご案内です。

表紙は世田谷区出身の将棋棋士である伊藤匠さん、そして、その師匠の宮田利男さんです。

令和6年の叡王戦、令和7年の王座戦で藤井聡太さんを破り、見事二冠・九段となられました。世田谷生まれ・世田谷育ちの伊藤匠さんがさらに実績を上げられることを、私も応援していきたいと思っています。

質疑応答

  • 記者
    国の重点支援地方交付金を活用した区の取り組みについて、2点伺う。今回、なぜ世田谷区はすべての区民、または全世帯を対象とした施策をとらなかったのか。また、おこめ券を採用しなかった理由についても聞かせてほしい。
     
  • 区長
    まず、おこめ券を採用しなかった理由として、手数料が高く、検討において、国が決定した予算額をできるだけそのまま、かつ迅速に区民へ届けることを重視して採用を見送った。
    次に、多くの自治体で、全区民を対象とした施策が実施される予定であることを承知している。世田谷区では、1月21日から利用が可能となる迅速性や利便性の高さを踏まえて、「せたがやPay」での物価高騰対策を区民の皆さんにお届けすることとした。「せたがやPay」のダウンロード、また利用方法等、高齢の方や不慣れな方には、スマホ教室等でサポートしていく。
    議論の経緯として、発表項目で説明した通り、「せたがやPay」は当初より、10%還元事業として予算を組み、事業執行する直前のタイミングで国の重点支援地方交付金が決定した。国の交付金を最もスピーディーに活用するため、そして、より区民に広範囲で利用いただける「せたがやPay」が最適だと判断した。
    手数料などで予算を大きく損なうことなく、加えて、非課税世帯や均等割のみの世帯への2万円給付、さらには子育て応援手当など、様々な区民の状況に配慮して活用することとしたものである。
     
  • 記者
    他の区では、全区民を対象に一人あたり4,000円といった現金給付等を行うが、世田谷区も単純にそれで良かったのではないかと思った。なぜ低所得者世帯への給付や子育て応援手当などを選択したのか。
     
  • 区長
    全区民を対象とした給付では、コロナ禍での10万円給付の経験がある。
    当時、給付に至るまで非常に時間がかかった。人口90万を超える世田谷区の振込対応について、例えば人口が10分の一以下である区などと比較して、世田谷区は何をやっているのか、といったお叱りを多数いただいた。
    今回、迅速さと利便性の高さを重視して「せたがやPay」による物価高騰対策を実施するとともに、あわせて実施する低所得者世帯や子育て世帯への給付対象者については、すでに口座情報を区で把握できている方が多く含まれていることから、スピーディーに支援が届けられることを踏まえて判断した。
     
  • 記者
    「子育て応援手当」の加算について、予算額と事務手数料はどの程度を見込んでいるか。
     
  • 子ども家庭課長
    事業予算総額は約40億600万円を見込んでおり、そのうち国庫分が26億5,000万円、区の独自給付分が13億2,500万円。その一部を地方創生臨時交付金で充当する予定である。事務経費は約3,000万円を見込んでいる。
     
  • 記者
    以前の支給の仕組みを利用できるため、対象の9割程度は申請手続きが不要とのことだが、一方で、非課税世帯等への2万円支給については事務経費が4億3,000万円と全体の15%ほどを占めており、やや高い印象を受ける。令和6年度の支給方法を活用した上で、なぜこれほど費用がかかるのか。
     
  • 保健福祉政策部長
    コールセンター等を開設すると経費がかさむことに加え、住民データの抽出にあたり、システムの標準化における影響等もあり、作業費用が発生する。さらに、人口の流動性の問題により、昨年の対象者が今年も全員在住しているわけではなく、一定の確認作業に時間を要するという状況である。
     
  • 記者
    子育て応援手当 の加算についても、「昨年の対象者が今年もいるわけではない」という点は同じではないか。対象世帯数が1.5倍程度と想定しても、子育て応援手当の事務経費が3,000万円である一方で、非課税世帯等への支給では約10倍もの事務経費がかかるのか。
     
  • 子ども家庭課長
    子育て応援手当についてはコールセンターを設置せず、担当課にて対応する。また、今年度児童手当を支給している対象者の情報は常に更新されており、手元にデータがある点が、非課税世帯等のケースとはかなり異なる。
     
  • 記者
    せたがやPayはデジタル地域通貨の成功事例と言える実績があると思う。
    昨年、チームみらいの安野党首が国会質問で、「自治体が開発したプログラムをオープンソース化し、他自治体も活用できるようにするということを各自治体に通知する」といった答弁を引き出した。
    せたがやPayのプログラム、あるいはせたがやPayに限らず今後開発するものも含め、他自治体でも活用できるようオープンソース化を進める考えはあるか。
     
  • 区長
    せたがやPayについては、世田谷区が直接運営しているわけではなく、世田谷区商店街振興組合連合会が事業主体として運営しており、区は経済対策としてのポイント還元分の予算支出などをしている。開発したのは民間企業であり、板橋区なども同じ会社の仕組みを導入していると聞いている。
    その点では、問い合わせなどを通じて、成功事例は自治体間でシェアされている状況である。
     
  • 商業課長
    ある民間企業が開発したベースシステムを、全国の複数自治体がデジタル地域通貨として採用していると聞いている。「せたがやPay」について、他自治体からの視察や情報交換が行われている。
     
  • 区長
    東京都も「東京アプリ」での1万1,000円分のポイント還元事業を開始する。まだ結論は出ていないが、「せたがやPay」が定着していることを踏まえ、「東京アプリ」でのポイントと「せたがやPay」で連携ができないか区から要望しており、現在検討中と聞いている。
     
  • 商業課長
    補足として、「東京アプリ」と各自治体におけるデジタル地域通貨とのポイント連携も視野に入れており、東京都のスケジュールなども踏まえて、双方で準備ができ次第、連携できるようにしたいと考えている。
     
  • 記者
    先ほどの国会での答弁を踏まえて、今後、区のシステムのオープンソース化による他自治体へ提供に関してはどう考えているか。
     
  • 区長
    「せたがやPay」は区内店舗での利用に限られていることから、区内事業者や店舗への誘客効果により、区民以外の来街者による利用も増えている。今後、さらに活用の用途が広がり、改善点などが出てきた際は、同様の仕組みを利用している他自治体とも共有していきたいと考えている。ダウンロード数が50万人超という大規模なダウンロード数を活かし、災害情報をエリア別にプッシュ通知するなど、単なる地域通貨やポイント還元のツールに留まらず、区民との繋がりのハブとして活用ができるものとしていきたい。オープンソース化については、「せたがやPay」のように民間事業者が開発したものは、知的財産権など権利上の支障を踏まえる必要がある。区が開発し、公開に支障のないものについては公開していきたいと思う。
     
  • 記者
    公契約条例について、公約として最低賃金1,500円を掲げる政治家もいる中、世田谷区の一部の発注条件に限定されるとはいえ、1,610円という労働報酬下限額の設定には大きな意義があると思う。今年度、世田谷区は23区で最高額となったが、その理由はどのようなものか。また、区内における、区と取引のない民間企業での賃金にどのような影響を与えると見ているか。
     
  • 区長
    23区でトップになることを目指したわけではない。
    考え方としては、高卒常勤職員の初任給を時給換算した額に近づけてきており、今回は特別区人事委員会勧告による公務員給与の引上げを踏まえて1,610円となった。
    区内の民間企業への影響について、区が発注するビル管理などの業務では、この1,610円を下回ることはできない。一方、受注企業は他の企業や他自治体の仕事も請け負っており、現場によって賃金差が生じてしまうことは好ましくないため、世田谷区の水準に合わせる動きがあると聞いている。また、小規模事業者からは、世田谷区の案件は時給が高いため希望者が集まりやすいという声もあり、地域経済への影響は大きく、求人情報でも、この下限額を反映した企業が増えていると認識している。
     
  • 記者
    同じく労働報酬下限額の引き上げについて伺う。
    労働環境の改善には効果がある一方で、資材費高騰などによる入札不調が相次いでいる。ある調査では、公契約条例が入札不調の解消にあまり効果がないという結果もあったようだが、今後、契約上の新たな対策が必要かどうか、区長の見解を聞かせてほしい。
     
  • 区長
    労働報酬を上げると、事業者の経営環境への配慮も必要になる。世田谷区では数年前から総合評価方式の入札において公契約条項を設けている。ワークライフバランス、ジェンダーの平等、労働安全衛生、地域防災への参加状況などを評価点に加え、価格だけでなく、これらの取り組みを総合的に評価している。
     
  • 財務部長
    公契約条例は事業者・労働者・区民それぞれにとって有益なものとなることを目指して平成27年から施行している。
    入札不調については全国的な課題であるが、資材高騰に対してはスライド条項などでその都度、金額を更新して対応している。
    また、総合評価入札により、価格だけではなく地域経済への貢献等を評価することで、区内企業が入札への参加に前向きになるという効果も出ている。
    ダンピング対策としては最低制限価格を設定し、落札しやすくするなどの対策をとっている。しかし、依然として20%程度の不調率で、1億8,000万円を超えるような大型工事でも発生している。再入札では不調になっておらず、その都度原因を分析し、施設営繕課とも連携して対応している。
     
  • 区長
    建設単価の高騰は著しい。学校改築などでは、資材高騰に加えて敷地形状が複雑であるなどの要因も重なると、さらに建築事業者の確保に苦労する。
    入札価格をぎりぎりまで上げているが、建設業界の人手不足や多忙な状況が落ち着かない限り、入札をめぐる困難はどの自治体でも継続すると考えている。世田谷区は公契約条例により地元企業からの理解と協力を得ているが、それだけですべて解決するわけではないと認識している。

お問い合わせ先

政策経営部 広報広聴課 

ファクシミリ:03-5432-3001