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最終更新日 2025年11月27日

ページID 29418

区長記者会見(令和7年11月17日)

令和7年11月17日(月曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。

会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。(PDF:12,967KB)

 後日、質疑応答の要旨(テキスト版)の掲載を予定しています。 

 


記者会見の様子

区長あいさつ

最初に、訃報という大変悲しいニュースが飛び込んで参りました。

重厚な演技と圧倒的な存在感で、戦後日本の舞台を代表する俳優であり、世田谷区の名誉区民でもあります仲代達矢さんが、8日にご逝去されました。92歳でいらっしゃいました。

舞台・映画・テレビなど、幅広い分野でご活躍し、1975年には世田谷区岡本に「無名塾」を設立されました。数々の盟友を輩出するなど、半世紀に渡ってその運営に尽力されました。

2015年には、区のおしらせの新春対談にご出演いただきました。

92歳まで現役の俳優としてご活躍され、区の名誉区民としても、さまざまな場面でご登場いただきたいと、何度もオファーをさせていただきました。年間のスケジュール確保が難しいほど、常にフル回転で活動されていたと記憶しています。

能登半島地震の際には、いち早く行動され、世田谷区の災害支援金の募集にもご協力をいただきました。「戦争だけはだめだ。平和を守り抜く。」という決意を、舞台の上でしっかりと表現することがご自身の原点であると、お話をいただいています。

仲代達矢さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げ、謹んで哀悼の意を表したいと思います。

次に、姉妹都市の訪問についてです。

本年は、カナダのマニトバ州ウィニペグ市を訪問しました。ウィニペグは五大湖のちょうど北に位置し、カナダの内陸部にあたります。冬には気温が氷点下30度以下になることもある、非常に寒い地域です。

区との姉妹都市提携は最も古く、今年で55周年を迎えました。これを記念して、議長・議員団とともに、訪問団として10月21日から現地へ出かけて参りました。

1960年頃、戦争の記憶がまだ生々しい時期に、当時カナダにいた日本人の方が世田谷区に戻ってこられ、そのご縁を契機として、ウィニペグ市と世田谷区を姉妹都市として交流してほしいといった声をいただき、まずは子どもたちの絵の交換から始めることとなりました。この絵の交換をきっかけに、1970年、姉妹都市提携第1号として正式に交流が始まりました。子どもたちの交流が最も長く続いており、現在も継続されています。

今回の調印式には、ウィニペグ市長をはじめ、ウィニペグ市議会議員、日本国総領事の倭島(わじま)大使、日系人を中心とした団体である日本マニトバ文化協会など、多くの方々にご参加いただきました。

ちょうど10年前、姉妹都市提携45周年の2015年にもウィニペグを訪問しています。50周年となる2020年は新型コロナの影響で訪問できませんでしたので、今回は10年ぶりの訪問となりました。

教育現場の視察では、「メットスクール」というオルタナティブスクールを訪問しました。

世田谷区でも、「北沢学園中学校」という学びの多様化学校の開設に向けて進めていますが、「メットスクール」はそれをさらに進めたような、非常にユニークなプログラムを持つ高校でした。

また、「ゴンザガスクール」という、生徒の約8割がカナダの先住民の子どもたちである学校も訪問しました。学校の始まりには、先住民に伝承されてきた祈りの儀式が行われます。そして、毎朝校長先生が、生徒一人ひとりと握手をし、家庭が不安定な子どもたちの悩みを受け止め、支える学校としての役割を果たしていました。

また、ウィニペグ市の交通行政についても視察しました。

ウィニペグ市には地下鉄も電車も通っておらず、交通は車での移動です。人口は約80万人ですが、慢性的な渋滞が課題となっていました。その解決策として、高速バス専用道路の建設が進められていました。都心部からマニトバ大学まで、一般車両は入れず、バスのみが通行できる交通システムです。1両・2両編成のバスもあり、開通したばかりのこのシステムの車庫も見学させていただきました。実際にバスに乗車し、ウィニペグの交通問題への取り組みを体感することができました。

また、姉妹都市ウィニペグ市に加えて、アメリカオレゴン州ポートランド市を訪問しました。

このポートランド市では、2020年に日本の中学生20人を派遣する予定で、人選も済み、準備していたところでしたが、新型コロナウイルスの影響で中断となった経緯があります。

今回は、市として歓迎する歓迎隊の皆さんに迎えていただき、キース・ウィルソン市長や、ポートランド市幹部、ポートランド領事事務所の総領事ともお会いしました。

今回訪問したマウントテーバー中学校では、日本語を本格的に学べるプログラムを実施しており、社会や地理の授業を日本語で行うなど高度な学びが行われています。このプログラムは、系列の小学校と連携しており、その小学校で基礎を学んだ子どもたちが中学校に進学し、さらに学びを深める仕組みになっています。そのプログラムの集大成が日本への派遣学習となっており、ここまで取り組んでいる学校は非常に珍しいです。この3年間で、世田谷にはマウントテーバー校から年40人くらいの生徒が訪れています。2025年の訪問では、「世田谷からも子どもたちに来てほしい」とのオファーを受けていることから、現地の様子を視察するために伺いました。

ポートランドは一時期、新型コロナウイルスやブラック・ライヴズ・マター運動等の影響で、治安に対する不安がありましたが、総領事とも確認したところ、住宅地の中にある静かな学校で、生徒たちも徒歩で通学しているという落ち着いた環境でした。

さらに、一人ひとりの学習内容も素晴らしく、日本の子どもたちがホームステイを通じて交流することは、非常に意義深いと感じました。教育長も含めて、今回の訪問を通じて、交流の可能性を改めて確認することができました。

続いて、区では、福祉業界に人材をつなげていくために、雑誌「anan」を発行するマガジンハウスの編集部とタイアップし、「自分らしい働き方を考えよう!福祉のしごとの始め方」を発行いたしました。

福祉の現場で働く若者のインタビューを掲載し、「anan」ならではのクリエイティブな視点で構成されています。現場の若者が、等身大の福祉の魅力を語る記事は、非常に読み応えのある内容となっています。

都内の高校・大学の進路指導室などに送付しているほか、三軒茶屋の三茶おしごとカフェや図書館でも配布しています。ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。

次に、同じくマガジンハウスの雑誌「POPEYE」編集部との取り組みについてです。

建設業の振興と人材育成をテーマに、「きみも建設業界で働いてみない?」というタイトルの冊子を発行しました。建設業は慢性的な人手不足に悩まされており、募集をしても介護業界と同様に、問い合わせすらなかなかないという状況です。

そこで、生きた情報を届けることで、建設業の面白さに興味を持ってもらうことを目的に、本冊子を制作しました。区内の建設業者で働く方々のインタビューで構成しており、SNS広告や雑誌の公式サイトへのアーカイブを掲載も行っています。

区としても、若い世代に情報を届ける広報は難しい面がありますが、こうした取り組みを通じて、介護・福祉・建設業など、各業界からの要望に応えながら、努めているところです。

次に、「子どもの権利フェス」についてです。

区では、2001年に「子ども条例」を制定し、2025年4月には、「世田谷区子どもの権利条例」としてリニューアルしました。

この子どもの権利を広く知ってもらうための普及啓発の一環として、本条例では、国連で「子どもの権利条約」が採択された11月20日を「世田谷区子どもの権利の日」と定めています。

11月22日(土曜日)に三軒茶屋ふれあい広場にて、区のイベントを開催いたします。「子どもの権利フェス」を開催します。本イベントでは、子どもの権利をテーマに、さまざまな遊びや体験ができるブースを設置し、ブースを回ることで、子どもの権利グッズがもらえるスタンプラリーも実施します。

さらに、大道芸人によるコメディジャグリングやヨーヨーパフォーマンス、子どもに関する家庭教育動画の上映なども行われます。大人も子どもも、子どもの権利に触れて学ぶことができるイベントとなっており、今回が初めての開催です。

今後も、普及啓発をはじめとした取り組みを推進し、子どもの権利を多くの方に知ってもらうことで、子どもの権利が当たり前に保障され、子ども自身が権利を実感できる社会の実現を目指してまいります。

次は、「第77回講演と映画のつどい」についてです。

1948年に「世界人権宣言」が国連で採択されたことを記念し、12月4日から10日までの1週間を人権週間として、全国で人権尊重の大切さを考える取り組みが行われています。

区でもこの人権週間に合わせて、「講演と映画のつどい」を企画しています。

今回は「子どもの権利」をテーマに、子どもたち一人ひとりが、自分らしく生きるための「時間」と「居場所」を保障することの大切さを、講演と映画を通して考える機会とします。

講師には、全国的にも著名なNPO法人フリースペースたまりば理事長の西野博之さんをお招きします。子どもの視点を真ん中に置いた、社会のあり方についてご講演いただく予定です。

上映する映画「ゆめパの時間」は、川崎市にある「ゆめパーク」での3年間にわたる密着取材をもとにしたドキュメンタリー作品です。

子どもたちの「やってみたい」という気持ちを尊重し、学校とは異なる第三の居場所で自由に過ごす姿を通して、子どもたちの生きる力や、大人に求められる「子どもを信じる」ことの大切さを描いています。申し込み期間は、11月15日から12月4日までです。

ゆめパークは、もともと工場があった広大な敷地を活用してつくられた施設です。西野さんは、世田谷区のプレーパークなどの活動からも学びながら、川崎市と連携して、この大規模な施設の運営を続けてこられました。学校に通うことが難しい子どもや、さまざまな課題を抱えるティーンエイジャーたちが出入りする中で、3年間にわたり記録されたドキュメンタリーを、私自身もとても楽しみにしています。

発表項目

世田谷区パートナーシップ宣誓10周年について

「世田谷区パートナーシップ宣誓」は、2015年(平成27年)11月5日に渋谷区と同時に開始し、本年で10周年を迎えました。この間、2025年(令和7年)10月末時点で延べ269組(10月末時点)の方々に宣誓いただいているところです。

そしてこのたび、パートナーシップ宣誓10周年を記念し、招き猫をモチーフとしたキャラクター「にじニャン」が誕生しました。今後も性的マイノリティの方々への理解促進のため、活躍の場を広げていきたいと考えております。

性的マイノリティに関連した、これまでの主な取組みについてです。

2017年(平成29年)に、区営・区立住宅に同性カップルの方々が入居可能になりました。2018年(平成30年)には、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」がスタートし、この中にセクシャルマイノリティの方の権利保障についても書かれています。

2019年(平成31年)には、パートナーシップ宣誓を改正し、性自認が同じ方も対象となり、またカード型宣誓書受領書の発行を開始しました。2021年(令和3年)には、新型コロナウイルス感染症にかかる傷病手当金相当額について、同性パートナーを支給対象としました。2022年(令和4年)には、災害弔慰金についても同性パートナーを支給対象とし、また、ファミリーシップ宣誓を開始しました。

そして2025年(令和7年)、パートナーシップ宣誓10周年を迎えました。少しずつ、性的マイノリティへの支援と理解が進んできた状況がお分かりいただけるかと思います。

10周年記念パンフレットも作成しました。「宣誓で紡ぐ幸せのカタチ」をテーマに、宣誓されたカップルのインタビューやこれまでの取組みを掲載しています。

これと併せて、当事者の皆さんの思いがつまった動画も作成しました。こちらは世田谷区公式YouTubeチャンネルで公開しています。

この10周年を機会に、これまでの性的マイノリティ理解促進リーフレットを大幅にリニューアルした「性の多様性HANDBOOK」を作成しました。2匹の猫を主人公としたマンガで分かりやすく解説していますので、年齢を問わず多くの方に、楽しんで読んでいただける内容になっています。

10周年ということで、これまでを振り返りながら、区民の皆さんに伝えていく努力をしています。現在実施している取組みとして、中央図書館前のロビーにてパネル展示を行っています。図書館内では「性の多様性、LGBTQ」をテーマとした書籍をワゴンに集めて展示しています。この後、12月には男女共同参画センター「らぷらす」においても同様の展示を予定しています。

ここまでお話ししてきた10周年事業は、企画の段階から当事者や関連する方々に検討に入っていただき、アイデアもいただきながら共に進めてきました。レインボーカラーで装飾した階段のアイデアもここから生まれ、一緒に作業もしていただきました。ご協力いただいた皆さんには、この場を借りて感謝申し上げます。

今後の取組みについてですが、性的マイノリティの方々の味方・支援者を意味する「ALLY(アライ)」という言葉があります。今後、庁内に向けて「アライ」を募り、職場全体で性の多様性について理解を深め、各事業に活かしていきたいと考えています。

本年の取組みを10周年記念事業として終わらせるのではなく、これを機会に性的マイノリティへの理解を一層進めていきたいと考えています。

がん患者等アピアランスケア費用助成事業の対象拡充について

日本人は生涯のうち2人に1人ががんに罹患するといわれています。

がんの治療は、抗がん剤の使用による脱毛や乳房の切除などによる外見、アピアランスの変化により、地域生活に支障があったり、心理的に生きづらい思いをしたりということがあり、区は、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、ウィッグやエピテーゼ(人工乳房などの補正用人工物)の購入費用等を、2023年(令和5年)10月より助成しています。

この支援事業の開始後、がん以外の治療目的で抗がん剤の投与を受けている方や、円形脱毛症患者など、「がん以外のアピアランス支援を求めている方々へ支援を広げられないか」というような声がありました。

そこで区は、2026年(令和8年)1月から助成対象者をがん患者以外にも広げ、疾病による手術などによりエピテーゼを必要とする方や、加齢によるものを除く脱毛症の方なども対象とし、さらに対象品目も拡充します。ウィッグなどの購入後1年以内であれば申請が可能な、利用しやすい助成になっています。2024年度(令和6年度)は647件と多数の助成を行ってきました。

区は、がん患者の方はもちろんのこと、その他の病気でお困りの方も、住み慣れた地域で自分らしく生活できるよう支援していきます。

世田谷保健センターの相談窓口では「がん情報コーナー」を平日常時設置しており、ウィッグ等の見本を展示し、購入前の相談や電話でのがん相談なども行っています。

リコーブラックラムズ東京との連携について

世田谷区とラグビーチーム「リコーブラックラムズ東京」を保有する株式会社リコーは、2020年(令和2年)6月に「相互連携・支援協力」の協定を締結し、地域活性化に連携して取り組んできました。

ブラックラムズのグラウンドは、区内の喜多見地区宇奈根にありますが、テニスコートも併設されており、区民に一部開放いただいています。ラグビーのグラウンドは天然芝で、日頃は選手の皆さんの練習場所となっていますが、練習がお休みのときなど、区内にある保育園の子どもたちが裸足で駆け回って遊ばせていただいています。また、区の姉妹都市であるオーストラリアバンバリー市の子どもたちも、ラグビー体験などをし、楽しんでいると伺っています。

ブラックラムズ東京には地域貢献活動にも積極的に参加いただいています。区内の小中学校で行われるゲストティーチャー事業では、タグラグビーなどを行っていただいており、参加者が2万人を超えたとのことです。たくさんの方にラグビーの楽しさ、ラグビーを通したスポーツへのきっかけづくりに取り組んでいただいています。

また、地域のあんしんすこやかセンターで行われる「いきいき健康講座」では、チームスタッフや選手の方が参加し、ご近所の高齢者の方々とラグビーボールを使いながら運動し、健康づくりの活動を行っていただいています。今後も、区民がスポーツに親しむ環境づくりに連携して取り組んでいきます。

そして、いよいよ来月12月13日から、ラグビーの日本最高峰リーグである、リーグワン2025-26シーズンが開幕します。世田谷区はスポーツ推進計画の中で「スポーツをみる」機会の創出を施策の一つとして掲げており、区民が生のスポーツに触れる環境づくりにも取り組んでいます。

この度、ブラックラムズより、区民の観戦招待にご協力をいただいており、12月13日の開幕戦にも、100組200名のご招待をいただきました。多くの区民の方に、ラグビーの迫力あるプレーを会場で実際に体感していただきたいと思います。

区はこれからもリコーブラックラムズ東京と連携し、スポーツによって健康を増進し、スポーツをきっかけとした地域の活性化に寄与できるよう取り組んでいきます。

質疑応答

  • 記者
    仲代達矢さんのご逝去を受け、区として功績を顕彰するイベントなどを開催する予定はあるか。
     
  • 区長
    現時点で具体的な予定を立てているわけではないが、仲代さんのご功績を振り返り、その思いを継承できるような企画を検討していきたいと考えている。
     
  • 記者
    アピアランスケア費用助成事業の対象拡充について、来年1月からというタイミングの狙いと、がん患者以外への拡充といった事例が23区内の他自治体でもあるのか教えてほしい。
     
  • 世田谷保健所副所長
    本制度の対象として、助成対象品の購入から1年以内としている。2026年(令和8)年1月からの拡充に先立ち、11月15日に区のおしらせ等で公表するなど1か月半の周知期間を設けている。購入から1年以内という申請期限をしっかり周知していきたいと考えている。
    今回の拡充では、対象品、対象者、また個数制限を撤廃するなど、包括的な内容とさせていただいた。他区については、これらの一部であるなど様々だが、令和7年度に10区が拡充しており、がん患者以外へ対象を拡充している区もある。また、令和8年度に拡充を検討している区もあると聞いている。
     
  • 記者
    これまでパートナーシップ宣誓を10年続けてきた中で、改善すべき点や課題もあったのかなと思う。それらを踏まえた上で、今後の「Ally(アライ)」を増やしていく目標に向けた施策等、何か考えはあるか。
     
  • 区長
    この10年でパートナーシップ宣誓の制度は大変広がったと考えている。加えて、区では2024年11月からパートナーシップ宣誓・ファミリーシップ宣誓をされた方から希望があった場合、住民票の続柄に「夫(未届)・妻(未届)」と記載することにも踏み出した。これは中野区と世田谷区、少し遅れて今年から品川区も開始している。
    一方、全国の都道府県や政令市等導入自治体の人口カバー率は約93%に達している。これにより、不動産契約や医療機関での無理解は相対的に減少したと思うが、民法の改正、つまり同性婚は認められておらず、保険や遺産の問題などは、残されたままである。いわゆる「理解増進法」は成立したものの、例えば同性パートナーに関する弔慰金制度は、世田谷区のほか各自治体にも広がっているが、国家公務員にはないなど、国の制度はまだ追いついていない。これからの10年のテーマとしては、自治体での取り組みの広がりを背景に、国の制度としての普遍化を求めていきたいと思う。我々のできることはまだまだ多いと考えている。
     
  • 記者
    厚生労働省が通知した、外国人の国民健康保険加入時の保険料前納を可能とする条例改正例について、区としてどのような姿勢で臨んでいくか。
     
  • 区長
    報告を受け、唐突な通知であると感じている。
    外国人とその保健医療の問題については話題になっているところであるが、まず、対応するには区の国民健康保険のシステム改修が必須になる。区では現在、標準準拠システムに移行していないため、今回の通知に対応するようシステムを改修しても、今後、標準準拠システムに移行する際に、さらなる改修が必要となる。
    また、保険料を前納していただいた場合、例えば留学等の短期滞在者が帰国する際、支払い済みの保険料の一部を再計算して還付する必要が生じる。還付を行うにあたり、日本国内に口座がない場合や、既に国内の口座を解約してしまっている場合には、来庁してもらい現金で還付することとなる。
    そして、区では原則、口座振替を推奨しているが、前納していただく場合、口座振替をお願いする機会が翌年度となってしまうことにもなる。
    現状では課題が多いため、区としては、直ちに着手するという状況にはないと考えている。
     
  • 記者
    外国人の国民健康保険料の前納に関する国の通知について、改めて受け止めを聞かせてほしい。
     
  • 区長
    この間、外国人の保険不正利用等に関する不正確な情報が流布されたこともあったが、まずは実態を把握することが先決だろうと思う。本来、通知を出す前に国が実態の把握をするべきであり、制度変更による自治体現場の負荷も考慮してほしかったと思う。
    通知ということで言うと、同じ医療保険制度で、国が紙の保険証を廃止した判断は大きな過ちではなかったかと考える。国民健康保険に関し、世田谷区は国保加入者全員に資格確認書を送付している。これは国の方針と異なるが、1つ1つ確認するよりも、全員に送付したほうが良いという判断をした。その後、国は国民健康保険以外の保険も含め、有効期限が切れた保険証も2026年3月まで受診できることとする取り扱いとした。
    そもそも、マイナ保険証への一本化の根拠というのは成り済まし防止ではなかったのか、ということを強く思う。有効期限切れの保険証が、一時期であれ、どの保険でも通用するというのは不正常な事態だと考える。
    一方、マイナ保険証の利便性を高めることについては賛成である。利用意欲を喚起できるように利便性を高め、移行を促せばよかったのではないか。
    マイナンバーカードの取得は義務づけられていないにもかかわらず、紙の保険証を廃止することは、保険医療を受ける機会の損失につながる。これは、制度に整合性が欠けていたことを示していると思うし、こうしたことを二度としてほしくない。
    加えて、現在のマイナンバーカードはやがて廃止され、次世代のカードに移行する予定であるが、この間ずっとそうであったように、発行業務は我々も担うことになる。再三申し上げてきたが、国には自治体の現場の声や要望をしっかりと聞き、安定的な制度運用をしてほしいと思う。

お問い合わせ先

政策経営部 広報広聴課 

ファクシミリ:03-5432-3001