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最終更新日 2025年7月9日
ページID 26655
記者会見の様子
令和7年度第3回定例記者会見を始めます。
はじめに、マンション防災啓発冊子についてです。
3階建て以上かつ6戸以上のマンションにお住まいの約20万世帯を対象に、防災啓発冊子をお配りしました。この冊子は裏返すと、「無事です」と玄関などに掲示できるよう工夫されており、また、従来のものより読みやすくなっています。6月16日(月曜日)から「マンション防災共助促進事業」を開始しました。マンションの管理組合や管理会社などからの応募に対し、蓄電池などの防災備品を無償配布するとともに、マンションの防災ネットワークを新たに構築していくことを目的としたものです。多くの申込みをいただいたため、すでに受付けを終了していますが、大変関心が高いことがわかりました。
次に、「公益信託世田谷まちづくりファンド」が、日本都市計画学会賞石川賞を受賞しました。
この公益信託まちづくりファンドは、区民の活動を技術的・資金的にサポートする趣旨で創設され、区民の活動を技術的にサポートする仕組みとしてかつて「まちづくりセンター」が創設されました。現在は後継団体である「一般財団法人世田谷トラストまちづくり」に引き継がれ、30年以上にわたり活動してきました。公益信託の受託者である世田谷トラストまちづくりが、区民のまちづくり活動に伴走支援を行ってきました。このファンドの特徴は、多くのワークショップや話し合いの場を設ける、また申請団体によるプレゼンテーションを公開審査する点にあります。信託財産の終了に伴い2025年で終了するため、この度、最終活動報告会が開催されました。
今回の受賞では、主に3つのポイントが評価されました。
1つめは、資金を助成するだけではなく、世田谷トラストまちづくりが様々な形で活動を支援していること。
2つめは、行政や区民以外に、企業も寄付という形で参画する包括的な仕組みになっていること。
3つめは、助言機関である運営委員会の運営委員にファンドの卒業生が複数関与している。つまり、過去に助成を受けて子育て拠点を作った、または緑を増やす活動をした団体の卒業生などが、今度は審査員や伴走者として、他の区民による新たな申請を支援するという人材の循環があることが評価されたと聞いています。
日本におけるまちづくりの中間支援組織のモデルとして、30年以上にわたり時代を先取りした役割を果たしてきたことが、今回の受賞理由となりました。これまでに助成した団体は400を超え、関わった運営委員は75名にのぼります。このファンドは終了しますが、その趣旨は今後、「世田谷トラストまちづくり活動助成事業」として段階的に世田谷トラストまちづくりで継続されていくと聞いています。今後も、このまちづくりファンドの考え方を発展させるべく、区としても、バックアップしていきたいと思います。
次に、6月26日(木曜日)と27日(金曜日)の2日間、北海道白老町との共催で、白老町総合保健福祉センターを会場に「令和7年度自治体間連携フォーラム」を開催しました。このフォーラムは、世田谷区が10年前に、「全国の自治体との連携」を区の総合戦略における3本の柱の1つとして位置づけ、開始したものです。これまでも交流のある川場村、十日町市、豊岡市や、昨年は北海道の那珂川町など、様々な自治体と交流を重ねてきました。
今回は2日間の日程で「多様な主体による持続可能な地域づくり」をテーマに、各自治体から取り組みを発表いただきました。世田谷区からは「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」がどのように生まれたか、そしてそれが国の認知症基本法の骨格にもなったという話をしました。白老町でも、まさに認知症条例をつくろうとしているというリアクションや、川崎市では、5万8,000人を超える外国人市民が主体となる「外国人会議」を30年前から設置し、意見や問題点を吸い上げているといったお話しがありました。また、十日町市からは、温泉バイナリー発電やバイオマス発電、信濃川の水力発電など、自然エネルギーの様々な可能性について報告をいただきました。
共催の白老町は北海道胆振東部地震の被災地でもあり、7人の町長で構成する胆振町村会に所属しています。世田谷区との交流関係から、北海道胆振東部地震の際には保健師の派遣などを行いました。今回は残る6人の町長にもご参加いただき、非常に密度の濃い交流ができました。具体的には、区内にある17大学の学生を、ゼミなどの単位で、地域から要望があった場合に2週間程度派遣するという制度はどうかという提案が民間団体からあり、早速事務局レベルで連絡調整してみようかといったお話しもありました。このような取り組みを年に1回行っています。
次に、第46回せたがやふるさと区民まつりについてです。
8月2日(土曜日)と3日(日曜日)の2日間、午前11時から午後9時まで、JRA馬事公苑とけやき広場を会場に開催します。区で長く続いている歴史あるおまつりで、昨年、久しぶりに馬事公苑での開催となりました。
1番人気の高い「ふるさと物産展」では、自治体間連携フォーラムにも関わりのある全国31の市町村にテントで特産品を並べていただきます。多くの市長、町長、村長も実際に会場に来てくださいます。馬事公苑内には、福祉団体、商店街、区民団体、区内にある大使館のブースなど、90以上のブースが配置されます。また、能登半島地震の復興支援として、新潟県、石川県、福井県を招待した「能登半島地震復興支援物産展」も設けます。
4つのステージでは、ジャンルの違うパフォーマンスや音楽が披露され、メインの「はらっぱステージ」では子供たちに大人気のキャラクターショーも行われます。また、各地域から集まる「おみこし行進」や、盆踊り、阿波踊り、サンバなどの「まつりざん舞!」が会場を盛り上げます。
最終日のフィナーレコンサートでは、ミュージカル俳優によるコンサートで来場者の皆さんに盛り上がっていただく予定です。大変暑い中での開催となりますので、熱中症には十分ご注意いただきたいと思いますが、ぜひお越しください。
なお、来年は馬事公苑がこの時期に他の用途で使用されるため、6月に開催することで予定しています。
最後に、「高雄市と世田谷区との文化交流に関する覚書」に基づく台湾・高雄市との交流コンサートを実施します。
7月29日(火曜日)にせたがやイーグレットホール(世田谷区民会館)において、平成31年1月に締結した覚書に基づく文化交流の一環として、KSO高雄市青少年交響楽団及びKCO高雄市青少年国楽団、そして世田谷ジュニアオーケストラによる交流コンサートを開催します。過去2回実施しており、今回が3回目の開催です。今回は伝統楽器のアンサンブルであるKCO高雄市国楽団も参加し、二胡や高胡といった伝統楽器による演奏も行われると聞いています。同世代の子ども・若者による音楽を通した交流により、言葉や文化の違いを超えて双方の理解・友好を図り、今後の交流につなげていきたいと思います。
まず、毎回、流出額が増加したことをご報告しているふるさと納税についてです。
流出額の伸びが何とか留まってくれないかと願いつつ、様々な取り組みを進めているところです。
しかし、残念ながら5月7日付の集計値で、流出額は123億3,355万9千円となりました。昨年、100億円を超えて111億円になったとご報告したばかりですが、改めて抜本的な対策を求めていかなくてはならないと考えています。
一方、区へのご寄附は10億3,900万円余りいただきました。このうち、6億8,400万円が遺贈による寄附です。これは、亡くなられた方の生前のご厚意により区に寄附されたものです。それ以外の、いわゆるふるさと納税としての個人からの寄附は3億3,700万円で、昨年より若干増加しています。しかし、123億円の流出に対して、3億3,700万円の寄附であり、流出額の増加分が大変大きいのが現状ですので、様々な取り組みを考えております。
一つの取り組みとして、体験型の返礼品をご紹介します。
東急世田谷線の上町車庫見学ツアーを7月20日(日曜日)に開催し、小学3年生から6年生の6組を対象に乗務員や作業員の体験をしていただきます。
もう一つは、二子玉川駅での駅長体験で、7月21日(月曜日・祝日)に小学1年生から6年生の2組を対象に、1日駅長として業務を体験していただくものです。これらは東急電鉄株式会社様のご協力によるもので、世田谷区の魅力を発信できる体験型返礼品として、今後も取り組んでいきたいと思います。
ところで、23区で構成する特別区区長会では、ふるさと納税制度に関して度々要請や提言を行ってきました。今回は、区長会総会で専門家を招いた講演会を開催し、意見交換をしました。
慶應義塾大学の土居教授からは、「特別区の納税義務者の5%程度しかいない高所得者が、全体の40%を超える寄附金控除を受けており、減収の多くは高所得層の寄付によって生じている。今後の改善点として、一定以上の所得層に対し、控除額の制限を定めるという問題提起ができるのではないか。」とのご意見をいただきました。
次に、東洋大学の沼尾教授からは、「寄附金の5割が経費となっており、返礼品等が地方税財源を浸食している。また、高所得層がより多くの利得を享受でき、垂直的公平性を阻害している。改善の方向として、特例分の控除額に上限を設定し、高所得者が多大な利益を得る仕組みを変えるべきであり、また、寄附金額から返礼品相当額を除外することも考えられる。」とのご意見をいただきました。
最後に、立教大学の池上教授からは、「上位20団体が寄附受け入れ額の2割を占めるという自治体間格差が生じており、地方交付税による減収補填が、本来の行政サービスに充てるべき地方交付税の財源を圧迫している。改善点として、寄附金控除の対象額から返礼品相当額を除くこと、また、自治体が連携して国に見直しを求めてはどうか。」というご意見をいただきました。
これらの意見を踏まえ、世田谷区として3点の提言をまとめています。
ふるさと納税の廃止を含め、抜本的な見直しが必要だと考えています。
1点目は、寄附額の上限設定についてです。
現行制度は、課税所得に比例して利得が増加するという逆立ちした税制であると考えています。沼尾教授がおっしゃる「垂直的公平性」を阻害しているということになります。年間寄附額の上限を定めることで制約をかける対策を急ぐべきです。区の試算では、寄附額3,000万円以上の方々による控除額が全体の44.5%を占めています。控除額の上限を定めることで、とめどない流出に具体的な歯止めをかけられると考えます。もちろん、ふるさと納税制度そのものを一旦停止して組み直すという抜本案も提言し続けていますが、まずは緊急避難措置としてこのような対策が必要ではないでしょうか。
2点目は、減収補填についてです。
区は地方交付税による減収補填を受けていないため、123億円がそのまま純減となっています。全国では3,958億円が地方交付税で補填されていますが、本来、地方の基盤的な整備に使われるべきお金が、高所得者の利得によって生じた自治体財政の穴埋めに使われていることは大変問題であり、不交付団体だから補填制度が全くないというのも不合理であると考えます。
3点目は、ワンストップ特例制度です。本来、国が支払うべきコストを自治体が肩代わりしたままになっています。
こうした点について、緊急に見直すよう、今後も区長会を通して発信していきたいと考えています。
次に、記念事業についてです。
戦後80年にあたる本年は、区の平和都市宣言から40年、せたがや未来の平和館開館から10年目という節目の年になります。様々な記念事業を通じて、幅広い年代に向けて、戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えていきたいと思います。世界では、今も戦争は終わっていません。核戦争が起こりうる危険も増している中、日本被団協の皆さんがノーベル平和賞を受賞されたことは記憶に新しいところです。
具体的な事業として、7月16日(水曜日)にイーグレットホールで開催するシンポジウムでは、「次世代への継承~戦後80年 語り継ぐには~」をテーマに、ノンフィクション作家で昭和史に関する著作も数多い保阪正康(ほさかまさやす)さんによる基調講演をいただきます。今年は戦後80年であると同時に、昭和100年にもあたります。こうした観点から今、何をすべきかをお話しいただきます。一人でも多くの方にお聞きいただきたいと思います。後半には私も加わり、平和問題の研究者である暉峻僚三(てるおか りょうぞう)さんとの3名でパネルディスカッションも行う予定です。
次に、7月20日(日曜日)に北沢タウンホールで、中高生を対象とした演劇「あの夏の絵」を上演します。これは、広島市立基町高校の生徒が原爆の絵を描くという実話をもとにした演劇です。劇中では原爆の絵そのものは登場しませんが、演劇が終わった帰途で、実際にその絵を見ていただくという構成になっています。
次に、せたがや未来の平和館の10周年を記念して記念誌を作成します。平和館の足跡のほか、収蔵品やこれまでの展示、語り部に関するお話などを盛り込みました。これをご覧になり、平和館に興味を持って足を運んでいただければと思います。
最後に、常設展示のリニューアルを行います。展示順序を工夫し、パネルを見やすくするなど、来館された方にとって分かりやすい展示に変更してまいります。このほかにも、子ども向けのスタンプラリーなどを開催する予定です。
これらの記念事業を契機に、改めて戦後80年と平和についての決意と認識を深めていきたいと思います。
政策経営部 広報広聴課
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