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最終更新日 2026年7月15日

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区内の工芸士紹介#2「江戸刺繍職人・遠藤基子さん」

針一本に想いを込めて-世田谷で受け継がれる江戸刺繍職人・遠藤基子さんに聞く

はじめに「世田谷で受け継がれる江戸刺繍の技」

  世田谷区大原を拠点に活動する遠藤基子さんは、東京都伝統工芸士 として「江戸刺繍」の技を受け継ぐ職人です。絹糸ならではの繊細な光沢と、手仕事による豊かな表現力を生かし、着物や帯、小物などの制作を続けています。長年にわたり一針一針丁寧に刺繍を施しながら、地域での教室運営や小学校での体験授業などを通じて、日本の伝統文化の魅力を伝えています。今回は、江戸刺繍の魅力や職人としてのこだわりについてお話を伺いました。

                         遠藤さん写真

江戸刺繍とは?「絹糸で描く日本の美」

 江戸刺繍は、日本刺繍の一分野として東京で受け継がれてきた伝統工芸です。絹糸を用い、着物や帯などの絹地に模様を刺していく技法で、見る角度によって変化する光沢や繊細な色彩表現が特徴です。海外で広く知られる刺繍が布の表面だけで作業するのに対し、日本刺繍では布を張った台を用い、上下の手を使いながら刺し進めていきます。

遠藤さんは、「絹糸ならではの美しさが日本刺繍の魅力」と語ります。一つの糸をさらに細く分けながら使い分けることで、髪の毛のような細やかな表現も可能になるそうです。

    

絹糸     

 

 

作品1

 

針

 

 

作品3

 

職人への道のり「画家ではなく職人になりたい」

 遠藤さんが刺繍の世界に入ったきっかけは、幼い頃から親しんでいた絵画でした。子どもの頃、絵描き職人のもとで絵を学んでいた遠藤さんは、「この子は画家ではなく、手仕事を生かす職人に向いている」と助言を受けたことが大きな転機になったといいます。その後、日本刺繍を学べる学校へ進学。入学当初から「卒業したら職人になりたい」と考え、修業の道へ進みました。遠藤さんは当時教わった言葉を今でも大切にしています。

「作家は自分の思いを表現する人。職人はお客様の要望に応える人。」

その考え方は現在の仕事にも深く根付いています。

         遠藤さん2

仕事へのこだわり「お客様が喜ぶまでが仕事」

 遠藤さんが最も大切にしているのは、お客様の満足です。

作品を納品した際、お客様の表情から少しでも違和感や迷いを感じ取った場合には、自ら刺し直しを申し出ることもあるといいます。職人としては長い時間をかけて仕上げた作品です。しかし、それ以上に「お客様に本当に喜んでもらうこと」が大切だと考えています。制作には数か月を要することも珍しくありません。帯一つでも数か月かけて丁寧に仕上げ、色の濃淡や糸の組み合わせを工夫しながら、求められる表現を追求しています

 

 

 

                作品2

 今後の課題と展望「もっと多くの人に刺繍を知ってほしい」

 着物を着る機会の減少に伴い、日本刺繍に触れる機会も少なくなっています。遠藤さんは、帯や着物だけでなく、ブローチやペンダント、タイピンなど身近な小物製作にも取り組み、伝統工芸をより気軽に楽しんでもらえる方法を模索しています。一方で、作品を展示・販売する場所が限られていることも課題の一つです。「まずは実際に見てもらうことが大切」と語る遠藤さん。作品展や地域イベントを通じて、江戸刺繍の魅力を届け続けています。

                   取材写真

 

 区民の方々へのメッセージ「まずは本物を見てほしい」

 「江戸刺繍は普段なかなか目にする機会がありません。展示会やイベントなどで見かけたら、ぜひ実物を見ていただきたいです。」

 刺繍に使われる絹糸の美しさや手仕事ならではの質感は、写真では伝わりきりません。世田谷で受け継がれる江戸刺繍の技。その一針一針には、職人としての誇りと、日本の伝統文化への深い想いが込められています。

                       作品5

 

お問い合わせ先

生活文化政策部 文化・国際課  

ファクシミリ:03-6304-3710