令和5年第4回世田谷区議会定例会区長招集挨拶

最終更新日 令和5年11月28日

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招集挨拶をする保坂区長
招集挨拶をする保坂区長

令和5年第4回世田谷区議会定例会にあたり、区議会議員並びに区民の皆様にご挨拶を申し上げます。 

昨年2月、ロシアによるウクライナ侵攻は長期化し、いまだに激しい戦闘が続いていて、ウクライナ軍とウクライナ市民、そしてロシア軍にも多くの死者・負傷者を出しています。一方で、イスラエルとパレスチナ・ガザ地区では大規模な軍事衝突が起きています。

10月7日、ガザ地区を実効支配するハマスの武装集団が壁を破って、イスラエルの音楽フェスの会場を襲撃し、近隣の民家に押し入って多数の市民を殺戮し、200人以上の人質を取るという事件が発生しました。ハマスからは、数千という規模の多数のロケット弾が撃ち込まれ、イスラエル側には1,200人以上の死者が出ています。

それから1ヶ月あまり、イスラエルよるガザ地区への度重なる空爆によって、原型をとどめないほどに街が破壊され、病院や救急車も被弾し、人口密集地であるガザ地区の死者は1万4,000人を超え、そのうち3分の1が子どもと伝えられています。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は11月6日の記者会見で、ガザ地区の状況を「人類の危機」と呼び、急速に「子どもたちの墓場となりつつある」と述べ、「毎日何百人もの少女や少年が殺され、傷つけられている」と発言したとBBCニュースで流れました。

また、事務総長は「ハマスが10月7日に犯したおぞましいテロ行為」を改めて非難し、「ハマスが民間人を「人間の盾」として利用し、イスラエルを攻撃し続けている」と同ニュースで加えています。

私は、ハマスの無差別殺傷と人質拉致を強く非難すると共に、おびただしい死者を出しているイスラエルの無差別空爆や、民間人を巻き込む地上侵攻を一日も早く停めるべきだと考えています。すでに、11月15日に国連安全保障理事会は、ガザ地区での「緊急かつ延長された人道的な戦闘の一時休止」と人質の即時解放を求める決議を採択し、日本政府も賛成しました。11月24日以降の休戦で69人の人質が解放されましたが、世界各国が一刻も早い停戦協議を進め、平和構築のための外交努力を尽くすことを求めます。

10月18日からの2日間、姫路市で「平和首長会議」が開催されました。昨年から「核兵器の使用」が公然と語られる危機的な状況が続いています。私は、この会議で「世田谷区の平和への取組み」を紹介するとともに、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が呼びかけるグローバルキャンペーン「難民を支える自治体ネットワーク」の紹介をしました。非核平和の理念を都市間連携で強く訴えるべき時期であると考えています。

はじめに、地域行政についてです。

世田谷区独自の区政運営の基盤である地域行政制度は、平成3年(1991年)にスタートし、制度開始以来、約30余年が経過しました。この間の時代の変化、社会の変容はたいへんに大きなもので、区民を取り巻く環境も一変しました。

とりわけ、コロナ禍の3年余りは、地域での自発的なコミュニティ活動やイベント、参加と協働を積み重ねる地域での集いにも大きな制約がかかり、高齢者のデイケアや趣味の活動等も中断を余儀なくされました。本年5月の感染法上の5類への移行以後、長い空白を埋めようと各種の地域での活動が再開したところです。

区は、昨年10月に地域行政推進条例を制定しました。併せて、地域行政推進計画をスタートさせました。「自治体のかたち」の土台となる地域行政制度を発展させていくために、今後の区政を方向づける重要な時期となっています。多くの区民の皆さんの意見を聞き、コロナ禍で傷ついたコミュニティを修復し、住民自治の足場を固めていくために、6月から9月にかけて、区内28カ所で延べ661人が参加した車座集会を開催しました。

まちづくりセンター単位での車座集会の開催は、平成23年(2011年)の区長就任以来、今回で4回目となります。まずは、区民の皆さんが日頃感じている課題や問題意識を伺い、区政の政策方針の参考にする目的がありました。

1回目の車座集会は、ふたつの政策手法を打ち出す契機となりました。当時は、東日本大震災の直後で、災害対策の現状や課題についてのご意見をいただき、まちづくりセンター単位での防災塾の開催と地区防災計画の策定に取り組むことになりました。

また、区民にとって強い関心のある福祉サービスが、複雑に細分化していて、「いざ緊急に介護が必要となった時にどこに相談したらいいのかがわからない」という声を受けて、まちづくりセンターに「福祉の相談窓口」をつくりました。 

地区のまちづくりセンターに「あんしんすこやかセンター」「社会福祉協議会」を呼び寄せて、「福祉の相談窓口」を開設しました。これを27地区で全区展開して三者連携の取組みを進めました。その後、令和元年(2019年)に地区人口が最大の用賀地区を分割して、二子玉川まちづくりセンターを新設し、現在は28地区になりました。

令和元年度(2019年度)の3回目となる車座集会では、「地域行政制度の条例化」をメインテーマに参加者の意見に耳を傾けました。4回目となる今回は昨年制定された「地域行政推進条例」の概略を説明すると共に、これまでの三者連携に、児童館を加え、四者連携とすることを報告しました。今回の車座集会は、開催場所にまちづくりセンター活動フロアーに加え、希望丘青少年交流センターや児童館、区民センターなども利用し、中・高校生、大学生の若者世代、子育て世代を含む幅広い世代の参加が実現したのが特徴です。

「避難所運営は、町会・自治会だけで行うのは難しい」「在宅避難が知られていない。多くの人に知ってもらうように周知を」など、最近の地震、風水害など自然災害を意識された意見提案や、「町会の活動を支えるため、既存のアプリの活用だけでなく、独自のアプリを作っている」という地区の新しいコミュニティ形成への取組みもお伺いしています。

参加した大学生からは、「地域の活動、町会・自治会の活動にどのようにかかわっていけばいいのか」という質問もあり、車座集会後に、大学生と町会・自治会の方がつながるきっかけになる場面もありました。

また、今回は28地区の車座集会の積み上げと連動させながら、5地域でタウンミーティングを開催しました。このタウンミーティングでは、地域内のまちづくりセンター所長の報告に加え、総合支所ごとに検討を進めている、「(仮称)地域経営方針(素案)」を説明して、特に関心度の高い「地域防災力の強化」を、5地域の共通テーマとして、合わせて各地域の特性を踏まえたテーマを設定しました。11月5日から、世田谷地域からスタートして、11月25日の砧地域まで、全5地域で開催し、積極的な実りのある意見や提案をいただいたところです。

この「(仮称)地域経営方針」は、令和6年度(2024年度)からの「世田谷区基本計画」における基本方針「6つの計画の理念」のうち「参加と協働を基盤とする」「地域・地区の特性を踏まえる」をもとに、総合支所ごとに素案をとりまとめています。

区政運営の基盤である地域行政制度の改革を進め、区民にもっとも身近な区役所であるまちづくりセンター、総合支所を核に、コミュニティづくりをはじめ、地域防災力の向上、街づくりの推進、地域福祉の充実などの課題に対して、地域行政制度のバージョンアップをはかっていきます。

今後、条例の目的である、安全・安心で暮らしやすい地域社会の実現を目指し、さらに、区議会でのご議論もいただきながら、「次期地域行政計画」「(仮称)地域経営方針」を取りまとめてまいります。

次に、地域包括ケアの地区展開についてです。

区では、平成3年(1991年)の地域行政制度の導入後、平成17年(2005年)には出張所の見直しを行い、当時の27地区の出張所の窓口事務を7地区の出張所に集約し、その他の20地区を主に地区まちづくりの支援を行うまちづくり出張所としました。その後、名称をまちづくりセンターと改め、地区及び地域の実態に応じた行政サービスの提供とまちづくりの支援を進めてきました。

また、平成17年(2005年)の介護保険法の改正に伴い、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を目的として包括的支援事業等を一体的に実施する中核的機関として「地域包括支援センター」の設置が出来るようになりました。 

区においても平成18年度(2006年度)より、それまでの在宅介護支援センターを改組して、地域包括支援センターを「あんしんすこやかセンター」の通称で、既存の出張所及びまちづくりセンターの区分け通りに、27地区へ配置しました。

平成26年度(2014年度)からは、区は、国に先んじて、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、まちづくりセンターを拠点とした世田谷版地域包括ケアシステムの構築に動き出します。高齢者だけでなく、障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など、困りごとを抱えたすべての区民を対象として、「医療」、「福祉サービス」、「予防、健康づくり」、「住まい」、「生活支援」の5つの要素が一体的に提供されることを目指してきました。

区では、先にふれた三者連携を柱とした「福祉の相談窓口」を設置して、まず平成26年(2014年)10月に砧地区でモデル実施を行い、平成27年(2015年)7月には、池尻・松沢・用賀・砧・上北沢の5地区にモデル事業を拡大し、平成28年(2016年)7月には出張所の地区まちづくり機能を分離して7地区にまちづくりセンターを設置したうえで、地域包括ケアシステムの全地区への展開を完了しました。

「福祉の相談窓口」では、分野や属性に関わらず、福祉に関するあらゆる困りごとの相談を、総合支所のバックアップのもと、受け付けています。聞き取りの結果、専門的な支援が必要な場合には、専門の関係機関に適切につなげています。

地区の課題を抽出し、三者が連携して解決するために必要な地域活動、生活支援、医療、公共施設などの情報を整理・把握して共有化するための「地区アセスメント」も作成しています。「参加と協働の地域づくり」の視点から、活動の場や担い手の確保など、具体的な解決に向けた取組みを、各地区で進めます。

年1回、全地区合同による事例報告会を行い、ノウハウの共有や、区民と担い手との間の認識の共有を図っています。

令和4年(2022年)5月からは、児童館が加わり、四者連携として、子ども分野における課題解決にも力を入れて取り組んでいます。

世田谷版地域包括ケアシステムを効果的に機能させるため、平成29年(2017年)より、「地区」、「地域」、「全区」の三層において、地区の課題の発見と解決を目的とした「地域ケア会議」を実施しています。

三層での地域ケア会議の積み重ねにより、令和4年(2022年)には「ひきこもり相談窓口リンク」を開設し、ぷらっとホーム世田谷とメルクマールせたがやが中心となり支援を展開しています。

今後、「誰一人取り残さない 世田谷をつくろう」という基本方針に基づき、これまで推進してきた世田谷版地域包括ケアシステムの相談支援の仕組みをさらに充実させるとともに、区民一人ひとりが自身のライフステージやライフスタイルに応じて安心して住み続けられるよう、保健福祉サービスの質の向上に取り組んでいきます。

次に、ふるさと納税についてです。

ふるさと納税制度については、これまで実施してきた車座集会でも多くの区民の方からご意見をいただきました。区では、ふるさと納税制度の影響による区民税の流出が令和5年度(2023年度)は約99億円と、まもなく100億円に達するほどの勢いで増加し続けており、平成27年度(2015年度)からの累計では460億円にも達しています。ふるさと納税による減収額が、今後もこれまでと同様のペースで伸び続けると仮定した場合、近いうちに、財政計画で見込んでいる以上の基金を取り崩す状況も想定されるなど、看過できない段階となっています。

この、ふるさと納税制度は、故郷やゆかりのある地域を応援することを目的に導入されましたが、制度の拡充を契機に返礼品競争が過熱し、現在では、一部の自治体に寄附金が固定化する一方で、本区同様に税源流出に悩んでいる市町村など地方自治体も多くあります。この制度による減収相当の地方交付税による補填額は令和5年度(2023年度)では3,600億円を超えるなど、国の財源そのものを圧迫しており、制度設計の根本から見直す時期に来ています。地方自治体に負担を強いている「ワンストップ特例制度」の是正等、制度の抜本的な見直しに向けては、特別区長会など、様々な機会を捉えながら、引き続き粘り強く国に求めてまいります。

また、区に対しての更なる寄附の獲得に向けては、昨年秋に、これまでの方針を転換し、返礼品の大幅な拡充に踏み切るという苦渋の決断をしましたが、引き続き、児童養護施設退所者などや医療的ケア児への支援、今年8月から開始した動物関連施策への寄附募集のような社会貢献型のプロジェクトを継続するとともに、都市部の自治体の特徴を生かした世田谷ならではの魅力ある返礼品の更なる充実や寄附を受け付けるポータルサイトの拡充などにより、当面寄附額の倍増を目指し、取組みを強化してまいります。

次に、教育大綱の策定についてです。

区では、11月に新たな教育大綱を策定しました。

現在の教育大綱策定から8年が経過し、この間、毎年、私と教育委員で構成される総合教育会議において、「学びの質の改革」を主軸に、様々なテーマで教育大綱に関する議論を積み上げてきました。これらの議論を踏まえ、従来までの行政文書の枠組みを超えて「教育に関して、考える際に、その原点に戻ってこられる基本的な理念」を定めようという総合教育会議の委員総意のもと、熟議のうえ、今年9月に教育大綱素案をまとめました。

さらに、今回は子どもたちにも議論に参加してもらいました。先月21日に開催した今年度2回目の総合教育会議では、教育大綱(素案)を実際に読んで感じたことや意見を、小中学生7人に発表してもらいました。子どもたちは、「人類と地球の共存」という大きな課題を有するこれからの時代へ、「個性」「学び」「仲間」という自分たちで決めたテーマから、「今後、大事なもの」を発表し、委員とさらに議論を深めました。

今回、子どもたちの参加のもと、教育大綱を策定できたことは、子ども基本法にも明示された子どもに関わる政策で、子どもの意見を聴くプロセスを踏んだ大きな第1歩です。こうして策定した新たな教育大綱に込められた理念を、区民へ幅広くお伝えすることにより、世田谷の教育について多くの方に関心をもち共有してもらうことを願います。そして、今年度策定する教育振興基本計画としっかり連携させながら、教育委員会とともに、区議会や区民の皆さんのご意見を伺いながら、時代のニーズをふまえた世田谷らしい教育に向けた取組みを、意欲的に推進してまいります。

次に、民設民営の放課後児童クラブの整備についてです。

区では、子どもの人口が少しずつ減少傾向にあるものの、保護者の働き方の変化や共働き家庭の増加などにより、新BOP学童クラブの登録児童数が増加の一途を辿っており、その大規模化や、施設の狭あい化、指導員不足が問題となっています。新BOP学童クラブの規模の適正化を図るとともに、子どもや保護者の多様なニーズに応え、「子どもたちが安心して、楽しく、自由に遊べる環境づくり」に向け、主に登録児童数が200人を超える新BOP学童クラブの周辺を中心に、区の補助事業による民設民営放課後児童クラブの整備を進めているところです。

令和5年(2023年)2月から事業者公募を開始し、これまでに区内5箇所での整備・運営を決定しており、令和6年4月の開設に向けて、小学校や新BOP事業との連携等を含む開設準備を進めているところです。

昨年度に策定した「世田谷区放課後児童健全育成事業の運営方針」等に基づき、子どもの権利と最善の利益を尊重した運営を行っていただくとともに、学齢期の児童への成育支援の質の向上に向けて、区と民間事業者の垣根を越えた情報共有や連携、必要な支援を行いながら取り組んでまいります。

次に、障害施策についてです。

この度、区民に言語としての手話の認知や理解を深めていただくとともに、区における手話言語の基本的な考え方や必要な事項等を定めることで、ろう者、難聴者、中途失聴者など手話を必要とする方の権利が尊重される地域共生社会の実現を目指して「世田谷区手話言語条例(案)」を取りまとめました。

手話は、手の形、位置、動きの方向や大きさ、顔や体の動きで相手に意思を伝えることができる言語の一つであり、手話を使う方の生活に根付いた文化でもあります。言語である手話は、人と人がつながるための大切な会話の一つですが、「身振り」や「ジェスチャー」と混同され、言語として扱われずにきた歴史があります。

本条例は、手話が言語であるとの見地から、区民及び事業者の手話に対する理解を促進し、手話を使いやすい環境の整備を進めることにより、手話の普及を図り、手話を使う方だけでなく、区民及び事業者の全員が協働して、手話を必要とする方の権利が尊重される地域共生社会を実現することを目的としています。

今後、手話を必要とする当事者が、日常生活を送る学校や職場、福祉サービスを利用する場面等において、手話を使いやすくなるよう、本条例に基づき環境整備に取り組んでまいります。

次に、「ヤングケアラーへの支援」についてです。

区は昨年度、小学校4年生から高校生世代を対象としたヤングケアラー実態調査及び学校の教員や子ども・若者関係機関等の支援者を対象としたヒアリング調査を実施しました。今年度は、その結果に基づき、当事者を含めた子どもたちの気づきの感度や他者への理解力を高めるため、子ども向けのヤングケアラーハンドブック「ヤングケアラーってなんだろう?」を作成いたしました。

ハンドブックは、小学生編、中学生編、高校生世代以上編の3種類で、それぞれのライフステージに合った構成となっております。

内容は、ヤングケアラーはどんなお世話をしているか、普段の生活はどのような様子なのかをイラストを用いてわかりやすく説明したうえで、ヤングケアラー本人がケアや悩みを一人で抱え込まず、周りの大人を頼って相談や支援に結びつきやすいよう、先輩ヤングケアラーからのメッセージや相談先を掲載しています。また、昨年度の調査では、居場所を望む子どもが一定程度いたことから、児童館やプレーパーク、青少年交流センター等を世代に応じて紹介しています。

ハンドブックは、区立小学校の4年生から6年生と区立中学校の全生徒のほか、区内の私立・都立・国立の小・中・高校、児童館や青少年交流センター等の子ども関係機関に配布しています。

次に、「不登校支援ガイドライン」素案についてです。

不登校児童・生徒が年々増加する中、不登校支援を行うにあたっては、児童生徒への個々に応じた支援だけでなく、子どもの居場所や多様な学びのできる学校づくりの視点が必要です。

各学校において、児童・生徒一人一人の心身の状態等を十分に理解・把握し、それぞれの状態に応じた適切な支援を、継続的に行っていく必要があります。

教育委員会では、多様化する社会の中で、子どもたち一人一人の多様な学びを推進するために、不登校の原因となる子どもの悩みやストレスに寄り添い、子どもを支える取組みを進めるとともに魅力ある学校づくりを目指してまいります。

教育委員会が作成する不登校支援ガイドラインに基づき、各学校の教職員が共通の指針をもち、子どもたちが自分らしく学びを進められるよう個に応じた学びの在り方を教育委員会とともに追求してまいります。

次に、図書館ビジョンについてです。

現在、教育委員会では、次期計画である「第3次世田谷区立図書館ビジョン」の策定に取り組んでおります。

世田谷区立図書館ビジョンは、世田谷区の未来を展望しつつ、区民の期待や要望に的確に応え、世田谷区における知識・情報・文化の拠点としての図書館をより一層充実・発展させるための、図書館サービスの基本方針を示す計画です。

第3次図書館ビジョンでは、「知と学びと文化の情報拠点」を基本理念に掲げ、6つの基本方針による事業方針に基づく様々な事業に取り組むこととしております。

今回のビジョンでは、子どもの健やかな成長を支える図書館、図書館DXとリモートサービスの推進を掲げており、さらには、多様な人々をそれぞれの特性に対応し包摂する図書館として、多様性に寄り添い、支援していく図書館としての取組みを挙げております。

また、図書館運営にあたっては、直営に加え、指定管理や一部委託導入による運営も行われるようになってきており、第3次図書館ビジョンにおいて、運営の考え方について直営、民営それぞれの特色を活かした施設ごとの管理運営方式の検討を記載しているところです。

今年の9月から10月にかけて区民意見募集を行い、これらの意見も取り入れながら、今年度末の第3次世田谷区立図書館ビジョンの策定に向けて、教育委員会と共に取り組んでまいります。

次に、国際ランドスケープアーキテクト連盟アジア太平洋地域会議2023日本大会(IFLA-APR2023日本大会)についてです。

今年、11月16日から18日の3日間にわたり、一般社団法人ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)が主催し、区も後援をもって協力する、気候変動時代の展望と戦略について議論する国際会議(IFLA-APR2023日本大会)が約20年ぶりに日本で開催され、二子玉川が会場となりました。

本大会では、「Living with Disasters/自然と共に生きていく」をテーマに、3つの目標となる、「グリーンインフラ」「ウェルビーイング」「ランドスケープカルチャー」について、世界各国から参加された皆さまにより、熱心な議論が交わされました。

私も、開催地の首長として、そして、持続可能な社会の実現に向け、地域に根付き、愛されるランドスケープに力を入れてきた世田谷区の代表として、大会初日の開会式より出席し、区民の参加と協働によるみどりの保全、創出に向けた取組みなど、世界で活躍するランドスケープアーキテクトの皆さまに報告・発信し、共同宣言を行いました。

また、気候変動への対策は国際社会において喫緊の課題であり、世界の国々が共通認識のもと、一致団結した取組みを着実に進めていくことの大切さを、各国の皆さまと改めて確認しあえる貴重な機会であったと思います。

今夏もこれまでにない記録的な暑さとなり、公園の樹木や街路樹も、臨時で潅水(かんすい)するなど対応に追われました。

くしくも本年は、台風等による豪雨災害はなかったところですが、まさに、気候変動に対する取組みは国だけではなく、喫緊の地域課題でもあります。

引き続き、区民の参加と協働のもと、防災・減災、みどりや環境政策など、区民の生命を守るための取組みを推進していきます。

次に、空家対策についてです。

区では、これまで空家等を地域の資源と捉え、地域に役立てたいと考える空家所有者と地域活動を行う団体とのマッチングによる空家等の活用を推進してまいりました。

空家の活用は地域コミュニティにとっても、居場所や交流、起業や子育て支援などの用途で再生することで重要な社会資源となります。

区は、平成30年(2018年)に「世田谷区空家等対策計画」を策定し、空家の発生抑制や適切な管理・流通、利活用、管理不全な空家への対策等に取り組んでまいりました。この間の経験から、空家所有者が複合的な問題を抱えており、多様なニーズへの対応が必要である等の課題も見えてきました。そこで、計画期間を令和6年度(2024年度)からの5年間とする世田谷区空家等対策計画(第2次)計画(案)を取りまとめました。これまでの取組みに加え、空家等となる前段階からの所有者への支援や民間団体との連携による対策の促進を図ってまいります。

また、令和5年(2023年)12月までに、改正「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行が予定されております。この改正により特定空家等の一歩手前にある、管理不全空家等に対しても指導、勧告ができるようになります。勧告後、固定資産税の住宅用地特例が解除され、固定資産税が大幅に増額するため、空家所有者等による維持管理の適正化に繋がることが期待されます。法改正を受けて、区では関連する条例の改正について今定例会に提案いたします。

更に、空家となる前段階から、家の将来のことを考えていただくきっかけとして「せたがや空き家大相談会」を12月17日に開催いたします。実家じまいのご経験のある著名人のトークショーや各団体の無料相談ブース、空家の利活用を進めている地域貢献活用団体の事業紹介等、空家発生の抑制に向けた普及啓発を進めてまいります。

次に、職員の給与改定等についてです。

去る10月11日に、特別区人事委員会より、職員の給与について引き上げるべき旨の勧告がなされました。これを受け、職員の給与の引き上げを実施する必要があると判断しました。このため、条例改正を行う必要が生じましたので、ご提案する次第でございます。

また、特別職の報酬等については、11月22日に世田谷区特別職報酬等審議会より、報酬等を引き上げるべき旨の答申をいただきました。これを受け、特別職の報酬等につきましても、引き上げを実施する必要があると判断いたしました。このため、条例改正を行う必要が生じましたので、ご提案する次第でございます。

なお、私自身の給与および特別給につきましては、令和5年度中は引き上げを行わず、現在の額で据え置くこととしております。

最後に、本議会にご提案申し上げます案件は、世田谷区手話言語条例など議案18件、報告7件です。

何とぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願いしまして、ご挨拶とします。

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