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最終更新日 2023年6月14日

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令和5年第2回世田谷区議会定例会区長招集挨拶

令和5年第2回世田谷区議会定例会にあたり、区議会議員並びに区民の皆様にご挨拶を申し上げます。

先の世田谷区長選挙で4期目の任期を与えていただき、「92万都市・世田谷」の未来に向けた区政を担うことになりました。3年間のコロナ禍のさなか、日常的なイベントやお祭りを休止してきた地域コミュニティは大きく変化し、身近な地域での関係の再構築が迫られています。

招集挨拶をする保坂区長の画像
招集挨拶をする保坂区長

新型コロナウイルス感染症に、もっとも警戒を強めてきたのは、高齢者施設であり、医療機関でした。区は「検査・診断・治療」のサイクルを地域の連携と役割分担等により効果的にまわし、重症化や死者を一人でも少なく抑制出来るように不断の努力を重ねてきました。5月8日から5類へと移行しましたが、社会経済活動の活発化と共に、感染拡大リスクは増加することが予想されます。区としては「第9波」の到来も予想しつつ、従来までの体制を縮小する一方で、急激な拡大に対する備えも怠らずに区内の感染状況に敏感に目配りを続けます。高齢者施設でクラスターが拡大し、重症化や死者が多く出るような事態は極力回避するよう全庁をあげて医師会や病院等の関係機関との連携を強めていきます。

少子化の急激な進展が、国政の課題としても急浮上しています。区でも今年度、「子ども全力応援予算」として編成し、物価高騰対策としての区立小中学校での「給食費無償化」や、国の制度に上乗せした「出産一時金5万円加算」等に取り組んでいます。一方で、「子育て支援の充実」だけで、少子化に歯止めをかけるのは難しいとも言われています。親となる可能性がある若い世代が、結婚し、子育てすることをライフプランとして描けないほどに雇用が不安定で、収入の見通しがつかない現実を改善する必要性も認識しています。

一方、区がこれまで進めてきたセーフティーネットとしてのひとり親世帯への居住支援は、現金給付に財源の限りがある現在、生活応援の基盤として極めて有効です。区では、国土交通省のセーフティーネット住宅を制度発足前から研究し、総力をあげて取り組んできましたが、現在ようやく10戸が利用されているだけにすぎません。不動産資源の市場流通性が高い都市部において、オーナーや不動産業者にとって制約を課した物件を提供することに抵抗感の壁がある状態です。より魅力のある制度とするため、オーナーへ協力金を交付するなど、区独自のインセンティブを付加し、努力してきましたが、都市部における拡大可能な制度改革も必須です。

区長として人々の声に耳を傾け、現在の課題をしっかりとらえることはもちろんですが、10年、20年単位で未来を予想した上で、そこに必要な政策リクエストを解読していく作業が必要です。また、未来は現在に宿るとも言われています。すでに、世田谷区92万人が直面している悩みや課題に対処し、成果の兆しや新たな発展の芽を育てる作業を、原点に返って実践したいと考えています。

6月24日から、4回目となる車座集会をまちづくりセンター28カ所で連続開催いたします。

次に「次期基本計画の策定」についてです。

3月29日、世田谷区基本計画審議会の大杉覚会長より「世田谷区基本計画大綱」の答申をいただきました。昨年9月8日の第1回基本計画審議会を皮切りに、半年間で連続8回にわたり、長時間かつ白熱した議論を重ねられました。

大綱の策定にあたっては「地域課題は、複雑化・複合化しており、その解決のためには分野横断的に対応する必要があるとともに,行政だけでは実施できず、区民をはじめとする多様な主体との連携・協力が不可欠である。したがって、最上位の行政計画である基本計画には、分野別計画では描けない分野横断的な視点や、多様な主体との連携・協働の視点から政策を位置づけるべき」としています。審議会では、委員の方から「基本計画では、個別計画では書き切れない区政全般にわたる事柄を書いていくべき」とのご意見を頂いてきました。

大綱の基本方針では、「持続可能な未来を確保し、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷をともにつくる」ことを目指すべき方向性に据え、計画全体を貫く考え方として「参加と協働を基盤とする」「区民の生命と健康を守る」「子ども・若者を中心に据える」「多様性を尊重し活かす」「地域・地区の特性を踏まえる」「日常生活と災害対策・環境対策を結びつける」の6つの理念が掲げられています。

「参加と協働」に関しては、区民を施策の対象として捉えるのではなく、自ら地域をつくり支える存在として位置づけ、主体的な参加への意欲を引き出すコミュニティづくりにつなげる、という新たな考え方もいただきました。

また、基本計画の具体化に不可欠で、分野横断的な体制を整えて重点的に取り組むべき政策として、「子ども・若者が笑顔で過ごせる環境の整備」「新たな学校教育と生涯を通じた学びの充実」「多様な人が出会い、支え合い、活動できるコミュニティの醸成」「誰もが取り残されることなく生き生きと暮らせるための支援の強化」「脱炭素社会の構築と自然との共生」「安全で魅力的な街づくりと産業連関による新たな価値の創出」の6つの重点政策が掲げられています。

学校での学びについては、子どもたちが自ら地域課題の解決策や興味、関心が高いテーマなどについて考える探究的な学びへと転換させ、一人ひとりの多様な個性・能力を伸ばし、子どもたちが生き生きと学べる新たな学校教育を目指していくこととしています。

コロナ禍の3年間で増加傾向の不登校の児童・生徒の支援やインクルーシブ教育の実現に向けた取組みが求められるなか、子どもの将来性や可能性を保障するためにも多様な学びの場の確保や支援策の検討を進めていくことにも触れられています。

一方、人類の生存を脅かしている今般の気候危機への対応は地球規模の大きな転換が必要な課題であり、「脱炭素社会の構築と自然との共生」を掲げ、他自治体との連携はもとより国際社会とも認識を共有し、脱炭素やグリーンインフラなどの取組みを環境分野だけでなく、経済、教育、福祉、まちづくりといったあらゆる分野の中で進めていくこととしています。

この基本計画大綱を受け止めた上で、庁内で検討を行い5月末には、区として基本計画(骨子)を作成し、現在、区民意見募集を行っています。6月3日(土曜日)には基本計画ワークショップを開催し、熱心な意見交換が行われました。続いて、6月17日(土曜日)には教育総合センターで次期基本計画策定に向けたシンポジウムを開催します。基本計画審議会の委員をパネリストとしてお迎えし、大綱に込めた想いや未来の世田谷への期待など発表・ディスカッションをしていただく予定です。

今後も広範な区民の参加と議会での議論を重ね、今年度末の策定に向けて検討を進めてまいります。

次に、本庁舎等整備についてです。

区では、1期棟完成予定を令和5年9月末に控え、新庁舎供用開始に向けて、什器の購入や区民会館のこけら落とし公演の企画など、関連する様々な準備を進めていました。

そのさなか、5月19日、工事受注者である大成建設株式会社東京支店より、最大6ヶ月間の1期工事再延伸が必要との申し入れがなされました。

理由は「施工計画の検討と工程管理が至らなかった」「全面的に大成建設の落ち度である、見通しや詰めが甘かった」とのことでしたが、影響は計り知れず、到底納得できるものではありません。令和4年12月に、工事進捗の遅延により2ヶ月間延伸したばかりであり、また、1期工事竣工まで、残り4か月となった時点で、さらなる6カ月の延伸は信頼関係を損ねるものです。

大成建設からは相川善郎代表取締役社長による謝罪と工期の最大6カ月の延伸の依頼を内容とする書面が届き、ただちに区からは大成建設に対して、再度の工程延伸に至った原因と責任を明確に示すよう要請したところ、6月9日に、「工程遅延にかかる経緯等報告書」の提出を受けました。

今後、その内容を踏まえ、1期棟の完成時期の延伸期間を判断し、区議会はじめ、区民の皆様に、お示ししてまいります。

竣工まで、近隣はじめ区民の皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、引き続き、安全管理、品質管理等を徹底し、区民の安全安心を支える拠点としての本庁舎等整備を進めてまいります。

次に、不登校児童・生徒の支援についてです。

区は令和3年度より2年間にわたり事業者と協力協定を結び、オンラインを活用した不登校児童・生徒の支援を実施してきました。オンラインを通じた一対一の相談や授業支援を行うことにより、在籍校に戻ることができた事例など、一定の有効性があると判断しております。

令和5年6月より、このオンライン支援を区の委託事業として新たな形でスタートします。協力協定で課題だった個別、少人数のみの支援を改善し、複数の児童・生徒に対して対応します。支援メニューは、オンライン上の居場所機能、学習支援機能、相談支援機能や直接的な対面支援へのつなぎ機能などを持たせ、多様な選択肢のもとに利用する児童・生徒一人一人に合った支援を行ってまいります。

次に、「新たな学びの場」の創設についてです。

強い好奇心や感受性、豊かな想像力、鋭敏な五感など特性に恵まれながら、学校環境になじめない児童生徒がいるという話が様々な形で私のところに届いています。「学びの質の改革」が言われる中で、総合教育会議でも、新しい学びの場や学び方を追究する学校の創設を話題にしてきましたが、実現に向けた一歩を踏み出す時です。

従来までの学校教育にとらわれることなく、例えば「芸術・文化・科学」の分野において、子どもが意欲をもって集中的に学ぶプログラムを第一線のクリエイターや研究者の力を借りて実証する「新たな学びの場」の可能性について議論を始めており、総合教育会議で提案する「大綱素案」に反映させることについて検討しているところです。

その「新たな学びの場」の成果を5万人余の小中学生が通う90校の学校現場に反映させ、循環させる仕組みについて、教育委員会とともに、議論を深めていきます。

次に、子ども・若者、子育て支援についてです。

区は、2015年(平成27年)3月に「子ども・子育て応援都市宣言」を行い、保育待機児童の解消に向けた保育園整備や、全妊婦面接から始める「世田谷版ネウボラ」の開始、子どもの人権擁護機関の「せたホッと」の設置や世田谷区児童相談所の開設など、『子どもが、すこやかに育つことのできるまち』の実現を目指し、子どもや若者、子育てにかかる支援を充実させてきました。

さらに、本年3月には、「今後の子ども政策の考え方」としてグランドビジョンを定めました。このグランドビジョンにより、今後の子ども関係施設やサービスを縮小することなく総合的に組み替えを進め、妊娠時から若者までシームレスに続く子ども・子育て支援の地域をめざしていくことになります。区議会、区民・事業者とともに、「子ども・子育て応援都市」の施策と地域の力を総動員して、少子化傾向に歯止めをかけていきます。

また、本年4月には、子どもの権利条約の理念を踏まえた「こども基本法」が施行され、子ども施策の基本理念や子どもの権利にかかる基本となる事項が定められました。

区は、2001年(平成13年)に、23区で初めての「世田谷区子ども条例」を制定し、「国連子どもの権利条約」に掲げる理念のもとで、子どもを権利の主体とし、子どもの権利が尊重され、すこやかに育つことができる環境と、子ども自身が育つことに喜びを感じることができる社会の実現を目指してきました。

しかしながら、子どもや若者を取り巻く環境は、コロナ禍の影響もあって、急激に変化してきています。子ども若者の声が地域に反映される機会もあまり多くない状況です。

今こそ、この間の区議会や子ども・子育て会議での議論、本年4月のこども基本法の制定の趣旨も踏まえ、世田谷区子ども条例の見直しについて、子ども・若者、区民・事業者、議会も含めた議論を始めてまいります。

次に、気候危機対策についてです。

地球温暖化の影響と考えられる気候変動により、わが国では1980年代に比して大雨の頻度は概ね2倍となっており、夏の猛暑や強力な台風、集中豪雨などが各地で発生しています。気候変動は豪雨、洪水等の被害のみならず生態系にも大きな影響を及ぼし、我々人類や様々な生物の生存基盤を脅かしかねません。この事態に対処すべく、「地球規模で考え、足元から行動せよ」という地球環境問題のスローガンのとおり、世田谷区においても本年3月に「世田谷区地球温暖化対策計画」を改訂し、新たなスタートを切ったところです。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとすることを「達成すべき目標」としつつ、目標達成を2045年に繰り上げる「野心的目標」に向け、取組みを上積み、拡げていくことを目指しています。

計画目標達成のためには、世田谷区における主要な温室効果ガス排出源である民生部門、とりわけ家庭における排出抑制が不可欠です。世田谷区の区民の皆さんの環境意識は高く、これまでも省エネルギーやごみの排出抑制など様々な環境行動に取り組まれています。区としては、このような区民の環境配慮行動への支援をさらに拡充することで、取組みの実効性を高めていきます。今年度より、「環境配慮型住宅リノベーション推進事業」を「エコ住宅補助金」と改め、拡充いたしました。また、省エネポイントアクションに「再エネ」ポイントアクションを加えることで、区民の再生可能エネルギー導入の動きを応援します。さらに、特定地域において民生部門における脱炭素の先進的な取組みを自治体間連携により行うことで、全区に展開可能なモデルとなる「脱炭素地域づくり」にも取り組んでいきます。

脱炭素の実現のためには、区民一人一人の意識醸成が重要であり、特に次世代を担う子どもたちが中心となって行動を広げていく必要があります。そのため、区では「せたがや子ども気候会議」を開催し、小学6年生から中学3年生までの35名が参加して意見交換を行いました。建物の省エネルギー改修を促進するために補助が必要ではないか、学校用のタブレットに脱炭素クイズアプリを入れて子どもたちから大人たちに伝えていってはどうか、レジ袋有料化だけでは海洋プラスチックごみの数%を削減するにすぎないのでもっと踏み込んだ対策が必要では、などの鋭い意見や提案が多く出されていました。子どもたちは本当に考えています。世田谷の未来である子どもたちとともに今すべきことを考え、広く区民の行動変容や暮らしの転換に取り組んでまいります。

また、区内事業者の脱炭素の取組みを先導するため、世田谷区役所における省エネルギー、温室効果ガスの排出抑制を率先して実施すべく、「世田谷区役所地球温暖化対策実行計画」を改訂するともに、公共施設のZEB化やそれに準ずる脱炭素化、省エネルギー化をさらに進めるため、公共施設省エネ指針を改定し、新たに「(仮称)公共施設気候危機対策指針」の策定を行い、今後の公共施設の改修、改築、整備に反映することで実効性を担保いたします。

次に、地域行政についてです。

昨年10月1日からスタートした、世田谷区地域行政推進条例では、「区役所本庁・総合支所・まちづくりセンター」という区独自の三層構造の中、住民に身近な地区28カ所のまちづくりセンターを「区民生活を包括的に支援する地区の行政拠点」として位置づけています。現在、令和5年度までの世田谷区地域行政推進計画に基づき取り組みを進めています。

今般、世田谷区基本計画審議会の「基本計画大綱」の計画理念には、地域行政制度に関連する、「参加と協働」、「地域・地区の特性を踏まえる」が明記されています。策定にあたっては、先行する車座集会を踏まえてタウンミーティングを開催し、区民の皆さんの声を聴く機会を設け、地域・地区を支え、安全・安心で暮らしやすい地域社会の実現に向けた議論を深めていきます。

また、窓口混雑の解消に向けた取組みが最重要課題となっています。今回の繁忙期において、くみん窓口、出張所では多くの方を長時間お待たせする現状もあり、庁内で「行かない」、「書かない」、「待たない」を目指すPTを発足させ、今年度から2年間で、抜本的な窓口改善策の実現を指示しました。

年度内でも具体化出来る改革であれば速やかに実行していきます。国が進める自治体システム標準化に伴う自治体窓口DXSaaS(サーズ=ソフトウェア・アズ・ア・サービス)なども参考に、政策と窓口現場とのつながりを検証しながら、区民の皆さんに時間をお返しする「窓口のRe・Design(リ・デザイン)」を加速化してまいります。

次に、旧池尻中学校跡地を活用した新たな産業活性化拠点事業についてです。

本事業については、民間提案を踏まえた効果的な施設活用や事業の実現に向けて、より魅力ある施設となるよう、運営事業候補者との間で鋭意協議を進めています。

具体的には、誰もが気軽に訪れることができるオープンな全区的施設として、区内事業者への様々な技術的支援の提供、子どもや若者をはじめとする多くの区民と事業者の交流、STEAM教育やアントレプレナーシップなどの自主的な学びやリスキリング、区民や事業者の新たなチャレンジを応援するような取組みなど、体育館や校庭スペースの有効な活用とも併せ、これまでに類のない新しいタイプの拠点として、世田谷らしい施設となるよう準備を進めてまいります。

また、本事業については、事業者決定後も説明会をはじめ地域や学校との意見交換を行う機会を設けてきました。引き続き、丁寧に耳を傾けるとともに、情報の共有を進めながら、開設に向けて取り組んでまいります。

次に、上用賀公園拡張事業計画についてです。

上用賀公園は世田谷のほぼ中心に位置し、緊急輸送道路の世田谷通りに接しています。また、「世田谷区スポーツ施設整備方針」に基づき、今回の公園拡張敷地には、「防災とスポーツの拠点」としての機能を備えることを検討しています。

特に、上用賀公園が、広域避難場所として指定されていることを踏まえ、スポーツ施設の整備とともに、大規模備蓄倉庫の設置、災害ボランティア等や警察・消防・自衛隊の部隊の活動拠点など、区全体の防災拠点としての機能や地域防災としての機能を備えます。関東中央病院の隣地でもあることから、災害時の医療・救護の連携体制を今後協議していきます。

昨年度より、区民の皆さんの意見を聴きながら、みどりとスポーツ、そして重要な防災拠点とする計画の検討を進め、災害時の利活用、みどりの保全・創出、健康増進、コミュニティの形成、スポーツの場の整備やパラスポーツの推進を通じた生涯スポーツ社会の実現に取り組む方針として、今回基本計画(素案)を取りまとめました。

基本計画(素案)策定後は、今年度中に、公園の一部暫定利用や地域の皆さんとの意見交換を重ねつつオープンパークを行い、基本計画の策定、事業手法を確定し、本事業を進めていきます。

引き続き、令和8年以降の設計・工事、令和10年度以降の順次開設を目指し、防災拠点とスポーツの拠点のふたつの役割を併せ持つ重要な公園として、100年後も地域や人々に愛される質の高い公園づくりに区民の皆さんとともに取り組んでまいります。

次に、世田谷区マンション管理適正化推進計画についてです。

区内の分譲マンションは増加傾向にあり、現在、約3100棟、戸数は10万戸を超え、区内における主要な居住形態として広く定着しています。

一方で、築40年を超えるマンションが全体の約3割を占め、建物の老朽化や居住者の高齢化という、いわゆる二つの老いの進行、またそれに伴う管理組合の担い手不足などが懸念されています。こうした事態に的確に対応するため、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が改正されたことに合わせ、世田谷区マンション管理適正化推進計画を策定することとし、その素案を取りまとめました。

今後、区分所有者等による自主的かつ適正なマンション管理と、良好なコミュニティの形成を目指し、管理組合の管理水準に応じた支援策を検討するとともに、管理組合が作成した管理計画を区が認定する「管理計画認定制度」を導入するなど、マンションの管理不全の防止と管理の適正化に取り組み、快適な居住環境を確保してまいります。

次に、災害対策についてです。

5月5日、石川県能登地方を震源としたマグニチュード6.5の地震が発生しました。お亡くなりになった方に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

さて、今年は、東日本大震災から12年、阪神・淡路大震災から28年を迎えるとともに、関東大震災から100年という大きな節目の年となります。区は、これまでの大規模災害の教訓を活かし、様々な防災・減災対策に取り組んでまいりました。

一方で、この間の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に、社会状況はこれまでになく大きく変化しており、首都直下地震や集中豪雨の頻発など、災害の発生リスクがこれまで以上に高まる中で、区の対策も大きな見直しの時期を迎えています。

大規模災害への備えをより確実なものとするため、これまでの防災・減災対策の取組みを一層強化するとともに、災害時に安心して避難生活を送れるよう、在宅避難の推進を含む避難者支援の強化、指定避難所運営の見直しなどの取組みを進めます。また、新たな防災情報システムを整備するほか、危機管理監の設置に向けた検討を急ぎ、災害対策本部機能を強化するなど、災害に備えた安心・安全の取組みに総力をあげて取り組んでまいります。

次に、障害施策についてです。

先般制定した「世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例」を基礎として、令和6年度からの次期せたがやノーマライゼーションプランの検討を進めています。障害者が自分らしい生活を選択できる環境の整備とともに、計画の名称を「(仮称)せたがやインクルージョンプラン」に変更することなど、今後の障害施策を推進できるよう、区議会や区民の皆さんの意見を伺いながら検討を進めます。

(仮称)世田谷区手話言語条例について、骨子案に対する区民意見の募集を行っています。手話が言語であることの理解を促進し、手話を使う人も手話を使わない人も含め区民全員が、安心して暮らし続けられるインクルーシブな地域共生社会に繋がるよう検討していきます。

医療的ケア児者への支援については、昨年度、災害時の安心確保のため18歳未満の医療的ケア児の方にポータブル電源等の配付を行いました。今年度は、これを18歳以上の医療的ケア者の方に拡充するなど、地域で安心して暮らせるよう取り組みを進めます。

精神障害施策では、昨年度養成した精神障害者ピアサポーターの活動の場の創出を図るとともに、精神科病院の長期入院者に対する訪問支援事業などを行い、地域での生活実現に向けた取組みを進めます。

親亡き後を見据えた住まいの場の確保について、令和6年1月、千歳台三丁目区有地への重度障害者対応グループホームの開設をはじめ、JKK大蔵団地の建て替えに伴う、創出用地やふじみ荘跡地への施設整備を進めるなど、ご本人が望む地域生活を支える基盤整備に計画的に取り組んでまいります。

最後に、本議会にご提案申し上げます案件は、令和5年度世田谷区一般会計補正予算(第2次)など議案39件、同意22件、報告2件です。

何とぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願いしまして、ご挨拶とします。

お問い合わせ先

政策経営部 広報広聴課  

ファクシミリ:03-5432-3001