令和5年第3回世田谷区議会定例会区長招集挨拶

最終更新日 令和5年9月20日

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招集挨拶をする保坂区長

令和5年第3回世田谷区議会定例会にあたり、区議会議員並びに区民の皆様にご挨拶を申し上げます。  

6月24日にスタートした車座集会は、これまで全28地区のうち、25のまちづくりセンターで開催し、9月24日で全地区を回り終えます。暑いさなかに、ご出席頂いた皆様から活発なご意見を頂きました。

過去3回の車座集会では、「災害対策の強化」を、という声から、防災塾、地区防災計画づくりなどを推進したほか、「複雑で細分化した福祉制度の窓口が分かりにくく困った」というお話から、全まちづくりセンターに「福祉の相談窓口」を設置するなど、世田谷版地域包括ケアの取組みに活かしてきました。また、前回の車座集会では、区独自の取組みである地域行政制度についてご意見をいただき、地域行政推進条例制定に活かしてまいりました。

今回の車座集会では、昨年度制定した地域行政推進条例をさらに生かしていくため、地域行政の目的でもある地区・地域課題の解決に向け、幅広い世代からご意見を伺っています。地域の情報や活動をアプリにより共有している取組みについての問題提起や、小学生の親子からは子どもの居場所としての児童館のあり方について、また、「地域交流ラボ」に参加する大学生や近隣の中高生からは、若者が地域とともにまちを良くするための試みについて、質問が出され意見交換を行いました。

28地区の車座集会でのご意見、ご提案や10月6日まで実施している区民意見募集を踏まえ、地区においては具体的な取組みに活かし、これらの集積を総合的につなぐ、11月に開催予定のタウンミーティングで、地域経営を担う総合支所の方針である(仮称)地域経営方針の策定につなげてまいります。

 次に、「せたがやふるさと区民まつり」についてです。

8月5日、6日の2日間、「第44回せたがやふるさと区民まつり」を若林公園および松陰神社、国士舘大学世田谷キャンパスの一部を会場として開催いたしました。

昨年は、感染症対策を講じながらの3年ぶりの会場開催となりましたが、今年の区民まつりでは、酒類の販売や飲食などによる行動制限のない活気あふれた雰囲気の中で、大勢の区民の方々が楽しんでいる姿がありました。

会場内では、世田谷区と交流を深めている全国21の交流自治体が参加する「ふるさと物産展」を行い、全国各地のふるさとの特産品の展示・販売のテントでお目当ての品を手にする区民で賑わい、区民と交流自治体関係者とのつながりも深まりました。

また、ステージイベントでは、区民活動団体などによる歌やダンスの披露で会場内を盛り上げていただき、子ども向けの手作り体験や紙芝居など、多くの方が楽しめる催し物が続きました。浴衣を着た親子や若者から高齢者の方まで、多くの皆様にご来場いただき、来場者数は約52,000人となりました。

来年の区民まつりは、8年ぶりとなるJRA馬事公苑に会場を戻し、馬事公苑で以前に実施してきたフィナーレコンサートやみこし行進、阿波踊りなどのスケールが大きなイベントとして再開できるよう準備を進めております。

次に、「次期基本計画の策定」についてです。

昨年度末に世田谷区基本計画審議会より答申いただいた「世田谷区基本計画大綱」を基にして、本年5月末、区として基本計画(骨子)を作成・公表しました。その後、基本計画(素案)の策定に向けて、さらなる取組みを進めてきました。

6月3日(土曜日)には、基本計画策定に向けた区民ワークショップを開催し、39人の区民が8つのグループに分かれて、熱心な意見交換を行いました。6月17日(土曜日)には、基本計画審議会の委員をパネリストとしてお迎えしたシンポジウムを開催し、大綱に込めた想いや未来の世田谷への期待などを発表いただきました。

これと並行して、区民意見募集やデジタルプラットフォームDecidim(デシディム)を活用した意見交換のほか、区立小学校5年生、区立中学校2年生等を対象としたアンケート調査を実施するなど、広範な区民から数多くのご意見をいただきながら、この度、基本計画(素案)を作成したところです。

今後も幅広い区民の参加と議会での議論を通して、今年度末の策定に向けて検討を進めてまいります。

次に「(仮称)新たな行政経営への移行実現プラン」の策定についてです。

この間、日本社会の少子化・人口減少は、急激に進行しています。また、コロナ禍を経験し、孤立や孤独傾向も強まり、社会状況や経済活動をはじめ、区民が抱えている悩み事や課題は増加し、より多様化、複雑化しています。

このような中で、ベーシックな区民サービスの維持継続と、持続可能な行政経営が強く求められています。行政の仕組みを変え、政策展開の足腰を鍛え、時代に即した新たな視点によるサービスを実施し、区民福祉の向上を図るべく、今後4年間をその重点期間とし、全庁を挙げ取り組んでいきます。

広い視野から事業全体を俯瞰できるように、庁内連携やデジタル技術等最新技術の活用による体制づくり、職員と区民との時間を増やし、区民目線による事業の企画、改廃にこれまで以上に取り組めるよう、今年度末の策定に向け検討を進めていきます。

次に、総合教育会議と、教育大綱についてです。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、各自治体に総合教育会議の設置が義務付けられることとなった平成27年(2015年)以降、毎年、区長である私と教育委員会とで、区民・教員の参加する公開の場において、様々なテーマで議論を積み上げてきました。

乳幼児期からの学びや、ICTの活用、子どもの自己肯定感といったテーマから、さらには、SDGsや、学力観の転換、インクルーシブ教育、学校現場への支援についても、幅広く話し合ってまいりました。

特に、この3年間にわたる新型コロナウイルス感染症に伴う学校や地域社会の環境変化により、不登校の子どもたちが増え続けていることに、私自身も大変危機感を抱いています。昨年の総合教育会議でも、「学びの質の改革」というテーマで、子どもの可能性を多面的に伸ばし、非認知的な能力を伸ばす、体験型の新しいタイプの学びの場の重要性を議論してきたところです。

 総合教育会議には、教育大綱策定の意見交換をするという役割があります。私は、次期基本計画や、教育振興基本計画のスタートを控えるこのタイミングで、新たな教育大綱を、総合教育会議の議論の中で策定し、これまでの枠にとらわれない新たな学びの場づくりに、教育委員会とともに取り組んでいきたいと考えております。

 7月1日に開催された、今年度第1回目の総合教育会議の第一部では、「新たな学びの実践に向けて」として、株式会社SPACEの福本理恵さんから、「一人一人の個才が輝く時代」のテーマでこれまで取り組まれてきた「子どもたちに寄り添った個性や才能が生かされる環境づくり、地域リソースを活用した個々に合わせた学びづくり」などのお話をうかがいました。

 第二部では、テーマを「教育大綱の策定について」として、新たな大綱に盛り込むべき観点について、「子どもたちのウェルビーイング」、「多様な学びの選択肢」、「地球環境と人類との共存」、といった重要で大きなキーワードも挙げながら、話し合いを深めました。

 そうした議論も踏まえ、世田谷にふさわしい教育大綱を、教育長、教育委員とともに熟議の上、今般、素案としてまとめたところです。これから、子どもたちの意見を聴くなど、さらに検討を進めていき、10月に予定している、次の総合教育会議では、教育大綱の案をテーマに議論を深め、策定したいと考えています。

次に、世田谷区教育振興基本計画についてです。

教育委員会では、令和6年度(2024年度)から5か年の教育振興基本計画の策定を進めています。

教育現場ではGIGAスクール構想によるICT化が劇的に進み、オンライン授業をはじめとした様々な工夫を重ね、タブレット端末を効果的に活用することで、子どもたちの学習環境が大きく変わりました。

新たに策定する教育振興基本計画では、子どもも大人もそれぞれが思い描く未来を自分らしく生きるために、自らが判断して行動できるよう、「幸せな未来をデザインし、創造するせたがやの教育」を教育目標としています。また、子どもを主体とする教育を最も大切な視点とした上で、4つの基本方針を「新しい知を創造する」、「地球の一員として行動する」、「多様性を受け入れ自分らしく生きる」、「共に学び成長し続ける」としています。

世田谷区の教育の基本的な枠組みとなる教育大綱と、具体的な教育内容を進めていくための教育振興基本計画とをしっかり連携させながら、教育委員会とともに、区議会や区民の方のご意見を伺いながら世田谷らしい教育に向けて、意欲的に取組みを進めてまいります。

次に、本庁舎等整備工事についてです。

本庁舎等整備工事については、施工者である大成建設から、現在、施工中の1期の8か月延伸に引き続き、7月中旬に今後の2期3期についても、大幅な工程遅延の申し入れがあり、区ではただちに、学識経験者を中心とした工程検証委員会を設置し、7月から8月にかけて、技術的検証を行ってきました。

1期の着工から3期の完全竣工まで、全体で6年余りだった工事期間が、約8年必要となる、という大成建設の示した工程遅延に対し、工程検証委員会では、施工計画と遅延理由を把握した上で、さらに工法の変更等の工夫ができないか、大成建設にヒアリングを通した追加検討を求めながら検証を進めました。

全4回の工程検証委員会の結果として、大成建設から、延伸期間の短縮に資する施工手法の合理化案が複数提案され、現段階では、全体で約2.75か月分の延伸が吸収できる見込みとなりました。大成建設には、引き続き、合理化案の検証を要請しており、2期3期の工期変更は、この検証を踏まえて今年度末を目途に見極める予定です。

大成建設は、詳細な施工計画を十分に検討しないまま、区と契約したことを、謝罪するとともに認めました。しかし、着工から2年経った段階で、契約した工期内には完成せずに、2年ほど足りないという重大な変更を申し出たことは、公共事業の施工者としてあってはならない事態です。本庁舎は、行政と区民サービス、自治の拠点であり、災害対策の本部となります。今回の遅延により、区民に負担を生じさせないよう、工程遅延に伴う損害賠償、遅延違約金等について、区の求める内容に真摯に対応することを、9月4日に大成建設の代表取締役社長の訪問を受けた際に、直接、伝えました。

区としては、この遅延による区民への影響を最小限にするよう努めるとともに、引き続き、工事の安全管理、品質管理、工程管理を徹底し、本庁舎等整備の完全竣工に向けて尽力してまいります。

次に、国際交流についてです。

去る7月5日から10日、米国・オレゴン州ポートランド市を訪問してきました。現地での滞在は3日間でしたが、市のダン・ライアン・コミッショナーへの表敬訪問をはじめ、振興局、環境サービス局、人権・公平局、公園・レクリエーション局の各局長との意見交換を行いました。また、在ポートランド領事事務所吉岡雄三総領事を訪れ、民間ランドスケープデザイン事業者や世界で評価されているポートランド日本庭園のスティーブ・ブルームCEOを訪問し、同庭園関係者との交流会、市中心地の公園のリ・オープニングイベントにも立ち会いました。

市では、現在増え続けるホームレス問題や治安対策、コロナ禍を経て著しく衰退したダウンタウンの中心街など市の経済復興を重要な課題として、取組みを進めています。また、同市の大きな特徴である市長と4人の市議会議員が市の領域を統括するコミッショナー制度を廃止し、シティーマネージャー制導入に伴う、市政の組織構造の変革と選挙制度の変更にも取り組んでいるとの話を伺いました。

都市政策やグリーンインフラの取組みでは、市民の80%以上が800メートル以内に公園にアクセスできる街づくりや、車道と完全に分離した歩行者・自転車優先の橋の整備の説明を受けました。人種問題では、根強い白人主義の克服に挑み、多くの民族が居住し80以上とされる言語にも対応した都市公園づくりのためのワークショップの実施などについても話を伺いました。

また、文化・芸術の分野においては、「世田谷美術館」の所蔵作品集を紹介し、交流の可能性について意見交換を行うなど、今後の区政運営に大いに参考となる実りのある訪問となりました。

さらに、ポートランドでは、1990年代からグリーンインフラを推進しており、個人宅地内で雨庭が造られ、雨水浸透や植栽と併せた蒸発散効果を促進し、雨水流出量の抑制や水質浄化に貢献しているとのことです。

区では、グリーンインフラの普及啓発を目的として、「世田谷グリーンインフラ学校~自分でもできる雨庭づくり~」を令和3年度(2021年度)から区民にむけて開校し、有識者の講義やグループワーク、雨庭づくり体験などを行いグリーンインフラについて、理解を深めていただいております。今年も10月下旬の開催に向け準備中です。

雨庭などの雨水貯留浸透施設は、一つひとつの施設での浸透量はわずかであっても、多くの区民に協力してもらうことで浸水被害の軽減につながる可能性があります。また、樹木などのみどりや大地によるCO2の吸収や気温や湿度を調整する機能などヒートアイランド対策や脱炭素の効果も期待できます。

次に、新しい本庁舎等における区民利用・交流拠点施設運営実施計画(素案)についてです。

平成28年(2016年)12月策定の本庁舎等整備基本構想では、基本的方針の1番目に「区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎」を掲げています。新庁舎の計画に盛り込まれた区民交流スペース等の区民利用・交流拠点施設の大部分が完成するのは、2期工事竣工時となりますが、今年度末の1期竣工時には、区民会館が完成します。

 令和4年度の「世田谷区本庁舎等整備に係る区民利用施設総合運営計画検討委員会」などを踏まえ、本年6月に「区民利用・交流拠点施設運営基本計画」を策定し、施設運営の基本理念や基本方針等を定めました。

その後も区民ワークショップや、うめとぴあ「保健医療福祉総合プラザ」のエントランスホール等を活用した試行イベント等による区民周知と意見聴取を進め、今般、具体的な事業・活動計画及び組織運営計画等で構成される「運営実施計画」の素案を作成しました。

素案では、「区民活動・交流」、「文化・芸術」、「みどり」など本施設の事業活動や、区民・市民活動団体と協働で運営する組織などの方向性をお示ししており、今後シンポジウムなどを通じてさらに区民にお知らせし、区民や議会のご意見をいただきながら、協働・交流の象徴となる施設を目指し、今年度末の計画策定に向けて検討を進めてまいります。

次に、「第45回世田谷区たまがわ花火大会」についてです。

区民に花火を通して、多摩川の水辺に親しんでもらうとともに、周辺環境の美化に努めることにより、「ふるさと」意識の醸成と「区民相互の絆」を深めることを主旨に開催を続けてきました「たまがわ花火大会」は、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年からやむなく開催が見送られてきました。

この春、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げられたことを踏まえ、対岸の川崎市とも情報交換した上で、「たまがわ花火大会実行委員会」にて、4年ぶりの開催が決定いたしました。

10月21日(土曜日)午後6時から、打上発数は前回と同規模の約6000発を予定し、「川崎市多摩川花火大会」との合同開催で、翌日は多摩川クリーン作戦を行います。

今年は”花火新時代”と題し、『パステルカラー』によるカラフルな花火と『時間差花火』が、音楽に合わせて夜空を縦横無尽に動き回る光のアートを展開し、恒例の尺玉も打ち上げます。秋の祭典として、澄み渡る秋の夜空に打ち上がる迫力ある色彩豊かな花火をお楽しみいただけます。

多数の来場が予想されますので、安全対策につきましては、川崎市、警察・消防をはじめとした関係機関と綿密に協議を重ね、万全な対策を講じてまいります。

次に、世田谷区立千歳台小学校における川場村産の木材利用についてです。

川場村とは、世田谷区民の「第二のふるさと」づくりを目指し、相互協力協定(縁組協定)を昭和56年(1981年)に締結し、40年以上交流を続けています。一方、千歳台小学校では、昭和59年(1984年)に川場小学校と姉妹校として提携し、これまで川場移動教室のほかにも、夏の世田谷区での交流や、川場村でのスキー交流など、両校による独自の取組みを行ってきています。

両校の交流40周年にあたる今年度、千歳台小学校では35人学級対応に伴う教室増及びトイレ洋式化などの内部改修工事を行っており、積極的に仕上げ材に川場村産木材を利用しています。今後、他の学校施設についても利用を促進してまいります。実際に、子どもたちが自分の学校で川場村産の木材を見て、触れて、匂いを感じ、川場村をより身近な存在として認識し、移動教室に向けた事前学習への活用や、交流の深化につなげていければと考えています。

 次に、災害対策についてです。

7月25日、災害対策訓練では初めてとなる水害時のシミュレーションと避難指示等の発令を想定した本部運営訓練を、導入されたばかりの「防災情報システム」を活用して実施しました。今後とも様々な災害の事態を想定した訓練を積み重ね、水防態勢の整備を図ってまいります。

また、去る9月1日は、関東大震災から100年という節目の日となりました。今後とも、この大災害の記憶を継承しながら、首都直下型などの大規模災害に備えて防災・減災対策に取り組んでいきます。

区では、これまでも、震災発生時における多数の区民の安全・確実な避難を大きな課題と捉え、この間の車座集会でもたびたび、被災後、自宅で過ごせる場合の在宅避難や自主避難等を推奨しています。

今後、各家庭で在宅避難に備えるための啓発冊子を作成し全戸配布してまいります。併せて、地区会館等に在宅避難者向けの充電スポットを整備するなど、自宅で安心して在宅避難ができるよう、支援の取組みを進めてまいります。

次に、地区防災カルテの作成についてです。

 昨年度、都の被害想定が見直されたことに伴い、今年度、東京都地域防災計画が修正されました。区においても、今年度から、地域防災計画及び地区防災計画の修正に着手していきます。

これらの計画修正に先立ち、地区防災カルテの作成に取り組みます。ここには、都の新たな被害想定を基に、地区ごとの特性に応じた災害リスクなどを掲載する予定です。各地区の防災塾等において、区民の皆さんが自分たちのまちの災害リスクや、その備えを確認し合うことで、災害時の地区対応が更に進むものと考えています。今後の地区防災計画の修正や、災害リスクに応じた対策の検討に活用していただける地区防災カルテを目指して準備を進めます。

 次に、区民の健康や福祉に関する5つの計画の素案についてです。

このたび令和6年度から8年間を計画期間とする「世田谷区地域保健医療福祉総合計画」の素案をとりまとめました。本計画は「世田谷区基本計画」で示されたまちづくりの方向性を踏まえ、保健医療福祉の各分野を貫く基本的・横断的な施策の方向を示すものです。本計画は「誰一人取り残さない世田谷をつくろう」を基本方針とし、社会状況の変化等により区民の抱える困りごとも多様化・複雑化している中、これまで推進してきた世田谷版地域包括ケアシステムを強化するなど、誰もが安心して暮らすことができる「地域共生社会」をめざしています。

さて、世田谷区民92万人のうち、65歳以上の人口は約19万人です。今後も高齢化は進んでいきますが、生涯にわたり心身ともに健康で住み慣れた地域で暮らすことは多くの高齢者の願いです。コロナ禍の3年間、感染への警戒のため、高齢者が外出を自粛したり、友人との交流の機会を減らしたりするなど活動が停滞したことにより、高齢者の認知機能や身体機能に大きな影響を与えました。そうした現状を踏まえ検討を重ね、この度、令和6年度から3年間を計画期間とする高齢者施策に関する2つの計画の素案をとりまとめました。

 まず、「第9期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」では、高齢者施策を総合的に推進する計画として「住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現」を目指し、高齢者が支えられるだけではなく支える側として地域で活躍する、これまでの高齢者観にとらわれない柔軟な施策を展開していきます。

 次に「第2期世田谷区認知症とともに生きる希望計画」では、「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」の推進計画として、認知症のご本人の参加と発信を得ながら、子どもから大人まですべての区民が、認知症とともに生きる意識を高め将来に備えていけるよう、認知症施策を総合的に推進していきます。

また、このたび令和6年度から3年間を計画期間とする「(仮称)せたがやインクルージョンプラン-世田谷区障害施策推進計画-」の素案をとりまとめました。

 本計画は「障害のある人もない人も、お互いの人格や個性を尊重して住み慣れた地域で支えあい、選択した自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現」を基本理念としています。複雑・複合化する課題への対応や、地域共生社会に関する社会状況の変化等を踏まえ、名称を「せたがやノーマライゼーションプラン」から「せたがやインクルージョンプラン」に変更し、誰もが自分らしい生活を選択できる地域共生社会の構築を目指し施策を展開してまいります。

関連して障害者施設の整備については、令和2年に策定した整備方針に基づき整備を進めていますが、策定から3年が経過し、利用者数や今後の整備予定を踏まえ所要量を見直します。また、障害児通所施設についても、施設需要に応えるため、「施設所要量の確保」と「医療的ケア児を含む重症心身障害児への対応」を重点とする整備の基本的な考え方を策定しました。いずれも次期「せたがやインクルージョンプラン」に位置付けて着実な整備に取り組んでまいります。

 さらに、令和6年度(2024年度)から8年間を計画期間とする区の総合保健計画「健康せたがやプラン(第三次)」素案についてです。現行プランの評価やこの間の調査、統計によると、区民の皆さんの健康意識は高く、健康状況は比較的良好である一方、健康に関心はあるが実践に結びつかない人や、健康に関心が薄い人がいること、コロナ禍でこころや体に影響を受けた人が多くいることなどがわかりました。関係者・関係団体などと連携して健康づくり施策を推進し、この計画の基本理念である「区民が生涯にわたり健やかでこころ豊かに暮らすことができる地域社会の実現」を目指してまいります。

これら区民の健康や福祉に関する5つの計画の素案については、区議会でのご議論をふまえ、パブリックコメントなど区民意見を受けとめながら、計画の策定を進めてまいります。

次に、補聴器購入費助成事業の実施についてです。

18歳以上の中等度難聴者への支援については、就労や就学、認知症予防、65歳以上であれば加齢性難聴などによる日常生活等でのコミュニケーション低下への対応など、ライフステージに応じた支援が大切です。

このため、令和6年度より18歳以上の非課税世帯を対象に新たな補聴器購入費助成を実施いたします。

なお、学生については「言語の習得や発達支援」を目的に、18歳未満の中等度難聴児と同様の支援が受けられるよう、内容を拡充します。

聞こえに関する支援を通じて、高齢者の社会参加を促進や「世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例」における情報コミュニケーションの推進に取り組んでまいります。

次に、令和4年度決算についてです。

一般会計の決算ですが、歳入は、特別区税が、前年度比で46億円の増、特別区交付金が前年度比で67億円の増となったことなどにより、歳入総額は、3,938億円、前年度と比較して4.6%の増となりました。

歳出は、義務教育施設整備基金への積立金や新型コロナウイルス感染症ワクチン住民接種事業の増などにより、歳出総額は、3,738億円、前年度と比較して4.8%の増となりました。

この結果、令和4年度決算の実質収支は、152億円となりました。

なお、年度末における基金残高は、過去最高の1,532億円となり、昨年度に引き続き、特別区債残高556億円を上回っております。

また、「健全化判断比率」につきましては、令和4年度においても、引き続き健全な状況を維持いたしました。

次に、補正予算案についてです。

このたびの補正は、物価高騰による負担増を踏まえた区民・事業者への支援やコロナワクチンの秋開始接種、本庁舎等整備工事の延伸への対応などについて、速やかに対応するため計上するものです。

あわせまして、国民健康保険事業会計など4つの特別会計につきましては、前年度繰越金の確定などに伴う補正を行っております。

すべての会計を合わせますと、79億1,900万円の増額補正となっております。

最後に、本議会にご提案申し上げます案件は、令和5年度世田谷区一般会計補正予算(第3次)など議案22件、認定5件、諮問1件、報告26件です。

何とぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願いしまして、ご挨拶とします。

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