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最終更新日 2025年11月15日

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令和7年第3回区議会定例会 会派意見

6年度決算に対する会派等の意見

6年度決算を審査するため、45名の議員で構成する決算特別委員会を設置し、9月30日から10月14日の間、延べ7日間にわたり質疑を行いました。

ここでは、決算特別委員会での質疑や要望、今定例会最終日に表明された令和6年度決算に対する各会派等の意見の一部を要約してお伝えします。

本会議での意見表明者

区長は区民全体の福祉増進に向け持続可能な区政運営を進めよ―自由民主党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

戦後80年の節目となる本年、区は民間空襲被害者などへ見舞金の支給を検討しているが、議会からは支給の正当性や対象者の判定方法など多くの疑問の声が挙がっている。被害に遭われた方へのお見舞いの気持ちについては立場を同じくするが、公金を支出するからには透明性と納得性の高い制度設計が不可欠であり、区が狙う国会での法案成立の後押しや恒久平和を願うメッセージの発信はほかの手段でも実現できる。区には限られた財源を区民の暮らしのために有効に投資し未来につなぐ責務があり、改めて慎重な対応を求める。

6年度決算は単年度収支が約19億円、実質収支は約130億円を超え、基金残高も区債残高を大きく上回るなど、区財政は健全と見受けられる。しかし、健全財政は当然の前提であり、区には区民から預かった税金を計画的かつ効果的に活用することが求められる。もし必要な事業を実施せず、予算執行が滞った結果の好決算であるならば、数値上健全でも区の未来は厳しいと言わざるを得ない。更に令和28年度までの施設整備費などの総額は2兆円超に上ると見込まれており、財政は楽観視できる状況にはない。区長には区民全体の福祉増進に向け、議会の声に真摯に耳を傾け政策を判断し、効果の乏しい事業は勇気を持って廃止するなど、持続可能な区政運営を強く求める。

以下、我が会派が提言してきた政策の実現を期待し意見を述べる。

まず、災害対策についてである。地震に強い都市づくりを進めるため、木密地域の防災性向上や建築物の耐震化、道路の無電柱化に着実に取り組め。特に、木密地域では不燃化促進のみに注力せず、延焼遮断帯としての役割を果たす道路の整備や公園などの空地の確保も同時に進めよ。また、道路整備は災害対策につながることを肝に銘じ、都市計画道路においては事業中の路線の早期開通に尽力するとともに、補助54号線の2期3期区間を優先整備路線に指定せよ。更に、恵泉通りについては、早期開通を求める陳情が議会で趣旨採択されたことを重く受け止め、区長は土地占有者との対話から逃げずに本件の解決に全力を挙げよ。また、区内では浸水被害が繰り返し発生しており、豪雨対策の強化は喫緊の課題だ。都及び近隣区との連携強化や流域治水の推進、復旧支援の充実などを着実に進めよ。

次に定住政策についてである。区では経済的理由などから次世代を担う若者世代の転出超過が続いており、対策は急務だ。若者世代への区営住宅の優先入居枠の創設や住宅購入費補助の実施など、あらゆる方策を検討し、区に住み続けてもらうための政策を展開せよ。

次に物価高対策についてである。国は追加の経済対策を検討しているが、区においても区民生活及び区内事業者を守るため、来年度予算はもとより、緊急対策のための補正予算の編成も視野に入れて、迅速かつ継続的な支援に取り組め。

次に公共交通政策についてである。バス路線の減便や廃止が交通不便地域の拡大につながることを十分認識し、国や都と連携して運転手不足への対策を講じるとともに、事業者への支援を検討せよ。

次に火葬場についてである。都内では火葬場不足が深刻化しており、火葬待ちの長期化や火葬料金の高騰など、諸問題が表面化している。我が会派はこうした事態を予見し、かねてより区に対策を講じるよう働きかけてきた。今般、都が墓地埋葬法の見直しを国に求めたことを好機と捉え、区は都と緊密に連携し火葬場問題の解決に向けた体制構築に全力を挙げよ。

最後に、区長に一言申し上げる。区民へのパフォーマンス的な施策に終始し、厳しく現実的な決断を避ける姿勢を即刻改め、区の未来を見据えて議会と真摯に対話を重ね、合意形成を得た上で必要な施策を迅速果断に実行せよ。

区民が納得できる財政運営を進め誰一人取り残さない区政を目指せ―立憲民主党・無所属・愛世田谷区議団 ―(全ての会計に賛成する意見)

現役世代の多くは納めた税金が自分に還元される実感を持てずにいる。当該世代の不安に応える施策を展開するとともに、賃上げは一部の企業にとどまっていることを捉え、中小企業、フリーランス、NPOなどで働く人々の賃金が物価上昇を上回る施策にも早急に取り組め。また、子育て世帯が安心して住み続けられるよう低廉なファミリー向け住宅を整備せよ。

公契約条例では、労働報酬下限額が遵守されるよう、中小事業者への経営支援などに取り組め。また、工事以外の公共性の高い委託契約なども本条例の適用範囲に加えることを検討せよ。業務委託においては、受託事業者を「協働のパートナー」と捉え直し、互いの強みを生かす仕組みを導入せよ。

教育政策では、不登校の子どもとその家族への支援を充実せよ。また、塾や教材費などの教育費は所得制限をかけずに支援せよ。インクルーシブ教育ガイドラインに基づき、障害の有無にかかわらず共に学ぶ学校環境を整えよ。子どもが自分のペースで人生を描けるよう多様で複線的なキャリアを形成できる実践的な取組を進めよ。

ジェンダー平等の実現に向け、女性の多様な生き方を保障できる支援策を拡充せよ。また、ジェンダー統計の活用に基づく政策目標を設定し、着実に施策を実行せよ。

来年度のインクルージョンプランの改定と併せ、障害理解促進条例を国連障害者権利委員会の勧告を捉えた内容に改正せよ。頼れる親族のいない高齢者などに寄り添う終活支援センターの開設に向け、予算や事業内容などを再考せよ。
災害対策では災害情報を迅速かつ確実に広報せよ。雨水管の整備などを都に求めるとともに、止水板への費用助成など浸水対策を強化せよ。区内で安全性に問題のある擁壁などを点検し、指導せよ。

子どもの権利条例の制定に伴い、子どもや若者の区政参画が促進されることを期待する。条例の理念に基づき障害のある子どもや外国にルーツのある子どもなども含めたインクルーシブな取組を進めよ。

外国にルーツがある人々と共に働き暮らし社会を支えている現状を認識し、差別や排除がなく誰一人取り残さない区政を実現せよ。

各事業の精緻な効果検証を重ね区民に寄り添う施策を展開せよ―公明党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

我が党が決算特別委員会で取り上げた区政課題から最重要事項と考える7点について意見を述べる。

第1に物価高騰対策についてである。長引く物価高騰に加え、酷暑による外出控えなどで区内事業者の経営は一層厳しくなっている。遅々として進まない国の交付金を待つことなく、決算剰余金を活用して、せたがやペイの追加キャンペーンや事業者支援を実施せよ。

第2に仮称終活支援センターについてである。区は高齢者の終活支援を目的に当センターを開設するが、支援内容や人員体制などに課題が残る。高齢者に寄り添うサービスを提供できるよう、委託先の選定を含め、抜本的に再考せよ。

第3に現役世代への住宅支援についてである。区内の住宅価格の上昇に伴い、ライフスタイルの変化に応じて区外に転出する現役世代が増えている。子育て家庭だけでなく単身者や夫婦のみ世帯なども対象に賃貸物件への転居と物件購入に対する助成制度を創設せよ。

第4にせたがやデジタルポイントラリーについてである。高齢者の外出促進と介護予防を目的とする本事業への参加人数は2年連続で目標値を大きく下回っており、真に区民のための税金の使われ方なのか疑問だ。費用対効果を含め、事業の精緻な効果検証を実施せよ。

第5に児童館での中高生支援についてである。我が党は中高生の生活実態に即した開館時間となるよう児童館改革を再三求めてきたが、区は人員を確保できないことを理由に一向に改善しない。直営での改善が困難ならば青少年交流センターのように民間に委託せよ。

第6にがん検診についてである。乳がんや子宮頸がんの検診受診率は無料クーポン配付などの個別受診勧奨により、高い水準を維持している。そのほかのがん検診についても無償化や個別受診勧奨の強化を図り、受診率の向上を目指せ。

第7にエコ住宅補助金についてである。当補助金は3年連続で年度途中に予算がなくなり早期に受付を終了しており、事後申請のため工事を行っても申請できない事態を招いている。早急に補正予算を編成するとともに、8年度は十分な予算を確保せよ。また、申請方法は事前申請に切り替えよ。

区長は困難な課題から逃げずに自ら責任を負う覚悟で区政に臨め―無所属・世田谷行革110番―(一般会計には反対、その他の会計には賛成する意見)

保坂区政では予算の執行率が年々低下しており、行政計画で定めた事業すらやり切れない、区長のおざなりな姿勢が見てとれる。区の「実施計画における成果指標の計画変更」という報告を見ても、当初目標の達成状況が低い施策にもかかわらず実現に向けた行動量を下方修正するなど、計画に対する達成意欲の欠如は顕著である。

また、区長はやるべき事業をないがしろにする一方で話題づくりを目的とした事業を展開している。その最たる例が、区が検討している民間空襲被害者への見舞金の支給である。戦争責任のある国がやるべき補償について区長が「国より先にやりました」と言いたいがために予算を投じるのは筋違いだ。

最後に、恵泉通りについて申し上げる。着工から59年経つ今もなお、一軒の土地占有者により道路が分断されているにもかかわらず、区長は自らのイメージの悪化をおそれ、占有者との明渡しの交渉を部下任せにしている。整備が行き詰まる現状に終止符を打つため、区長が直接会って交渉に臨み、区のリーダーとしての責務を果たせ。

区民の命と暮らしを守るため独自の支援策を積極的に展開せよ―日本共産党世田谷区議団―国保会計と後期高齢者会計には反対、一般会計と介護会計と給食会計には賛成する意見

6年度決算の実質収支は約130億円と区財政は健全だ。この豊かな財源を生かし、区民の命と暮らしを守ることを求め、意見を述べる。

物価高騰を踏まえ、公契約条例の労働報酬下限額を1500円以上に引き上げよ。国保料の引下げに向け、特別区長会を通じた国への働きかけや独自の軽減策に取り組め。低所得者を対象にエアコン購入費や電気代を助成せよ。不登校支援の強化に向け、スクールソーシャルワーカーによるアウトリーチ活動やほっとスクールの昼食費補助を実施せよ。区営住宅などの戸数増に向けた明確な方針を掲げよ。浸水被害が起きやすい地域の原因を究明し、根本的な対策を講じよ。在宅避難の支援物資の配送体制を周知せよ。こども誰でも通園制度やベビーシッター利用支援事業の導入に際しては、保育の質を担保せよ。福祉困難ケースへの対応を強化せよ。訪問介護事業者や建築事業者の暑熱対策の促進に向け、空調服などの購入費を助成せよ。未着手の都市計画道路は廃止も視野に区民と検討を進めよ。包括的性教育や平和への取組を推進せよ。

区民目線での行政施策を展開せよ―国民民主党・都民ファーストの会―(全ての会計に賛成する意見)

鉄道運休時に通勤・通学の支障が最小限となるよう、代替の交通手段として有効な民間シェアサイクルを拡充せよ。ベビーシッター利用支援事業は区民が安心して利用できるよう利用者目線の手引を作成せよ。子育て世帯が区内に住み続けられるよう住宅支援に取り組め。離婚後の親権に係る法改正に伴い養育費に注目が集まるが、面会交流の視点も踏まえ子どもの最善の利益を第一に共同養育を推進せよ。高校受験に影響する内申点の評価基準が区立中で1校のみ異なる現状を是正せよ。待機児対策ではAIを活用した保育需要の分析などDXを推進せよ。学校間で定期考査の内容をクラウドなどで共有し教員の負担軽減などにつなげよ。区報のデジタル化を進めるとともに、区の政策に共感が持てるよう広報に動画を活用せよ。

区民生活を支える施策を推進せよ―生活者ネットワーク世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

人材不足などで経営難に陥る介護事業者が安定的にサービスを提供できるよう支援せよ。性と生殖に関する健康と権利を保障する取組を庁内連携の下で進めるとともに周知啓発に努めよ。ジェンダーギャップの解消に向け、生理用品を教職員用トイレにも設置せよ。AEDを異性間でもためらわずに使用できる環境を築け。各施策でジェンダー主流化を進めよ。国際理解教育や外国人向け窓口サービスを充実せよ。環境負荷の低減に向け、落ち葉の有機堆肥化を図るとともに人工芝の設置を抑制せよ。

空襲被害者支援を実現せよ―レインボー世田谷―(全ての会計に賛成する意見)

区が検討中の空襲被害者見舞金を「補償」と見る誤解が止まない現状を憂慮する。わずか3万円の給付が空襲で障害を負った80年間のご労苦に見合わないことは明らか。また同支援が目指す救済立法の成立は安易な戦争の抑止にも繋がる。議員各位の賛同を切に願う。

自転車の安全施策を前進させよ―世田谷無所属―(全ての会計に賛成する意見)

自転車による事故を減らすため、安全教育の充実や専用レーンの整備を進めるとともに、逆走などの交通違反に対する反則金制度の詳細を区民に周知せよ。ベビーシッター利用支援事業の早期実施や公的書類の郵送請求におけるオンライン決済の導入などに取り組め。

子どもの権利を守る区政を目指せ―国際都市せたがや―(全ての会計に賛成する意見)

子どもの最善の利益を守るためには教育と福祉の垣根を越えた取組を推進することが肝要だ。子どもの権利に根差したいじめ重大事態への対応や、教育現場への福祉職のジョブローテーションなどに向けて教育と福祉のはざまにある壁を打破することを強く期待する。

決算審議を次の予算編成に生かせ―せたがやの風―(全ての会計に賛成する意見)

決算審議で区が示した地域行政の改革に向けた土台整備について8年度予算案に具体的な取組を反映することを求める。予算編成に当たっては山積する区政課題の中からどの事業に予算を投じるのか、その判断基準を明確化し区民や議会の納得が得られるよう進めよ。

多様な意見を尊重する社会を築け―参政党―(全ての会計に賛成する意見)

区は新型コロナワクチンの接種に巨額の予算を投じるが、費用対効果が低く合理性に欠ける。再検証し事業の縮小や廃止を検討せよ。言論の自由は民主主義の根幹であり、言論封殺があってはならない。あらゆる立場の言論を守り、安心して意見を述べられる社会を築け。

区民に信頼される区政を実現せよ―日本維新の会―(全ての会計に賛成する意見)

様々な区政課題に対し財源をどの事業に投じるのか優先順位を明確化せよ。区は歴代区長の肖像画滅失を受け区長と担任副区長の給与を減額するが算定根拠が曖昧だ。説明責任を果たせ。区長は自身が公約で掲げた退職金の辞退を含め、区民との約束を着実に実行せよ。

安心して暮らせる世田谷を築け―無所属―(全ての会計に賛成する意見)

高齢者が地域で元気に生活を送れるよう、健康増進に関する講座を積極的に周知するとともに、認知症施策を推進せよ。全区立小で朝の見守りを実施せよ。安心して子どもを産み育てられるよう切れ目のない支援に尽力せよ。下北沢のまちのにぎわいを一層高めよ。

(補足)代表質問や一般質問、会派意見では下記のとおり省略表記を使用しています。

  • 支所=総合支所

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