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最終更新日 2025年4月26日
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令和7年度予算を審査するため、49名の議員で構成する予算特別委員会を設置し、3月6日から3月21日の間、延べ7日間にわたり質疑を行いました。
ここでは、予算特別委員会での質疑や要望、今定例会最終日に表明された令和7年度予算に対する各会派等の意見の一部を要約してお伝えします。
7年度予算は一般会計で3996億円、特別会計も含めると5869億円にも上り、これだけの大規模な予算を有効に活用できるか区の手腕が問われている。しかし、リーダーである区長の区政運営のスタンスには大きな不安を覚える。区長は就任当初から区民の「参加と協働」を掲げているが、旧保健センターの跡地活用では子どもや若者に関する施設の整備などを求める地域住民の声に耳を傾けず、警視庁への土地の貸付けを優先する方針を示した。区民の声を恣意的に取捨選択し、自身に都合のよいものだけを取り上げることは断じて許されない。区長は区政の主役が区民であることを肝に銘じ、区民の声を丁寧に聞き、議会の指摘を真摯に受け止めて区政運営を進めよ。
以下、我が会派が提言してきた個別の分野について意見を述べる。
まず持続可能な行財政運営についてである。景気の下振れリスクや物価高など区財政を取り巻く状況が不透明な中、喫緊の課題である子ども施策の充実や今後増加が見込まれる公共施設の更新などの財政需要に的確に応えるため、類似事業の整理や費用対効果の観点から事業を厳格に精査せよ。また、税外収入の確保に意欲的に取り組み、強固で持続可能な財政基盤の構築を常に意識せよ。特に、税源の流出が著しいふるさと納税については、単なる返礼品の追加にとどまらない実効性のある対策を進めるとともに、包括協定を結ぶ川崎市などと連携し制度の抜本的な改正を国に強く働きかけよ。
持続可能な行財政運営を推進するには、都区財政調整制度の見直しも肝要だ。現在の制度では本区に必要な財源が十分に確保されているとは言い難く、都に制度の見直しを早急に働きかけるべきだが、区長の姿勢は極めて消極的だ。区長は都との交渉を前進させるべく、具体的なロードマップと財源の配分増に向けた交渉方針を示せ。
適正な職員配置も持続可能な区政運営を実現する上で重要だ。区は職員定数の増やDXによる業務効率化を進めているが、区の業務量は今後も増加が見込まれる。人的資源の面からも事業を十分に精査し、限られた財源と人員を最大限に生かして予算額以上の成果を生み出せるようマネジメントせよ。
教育現場では教育の質を高める働き方改革推進プランを着実に進めるとともに、区内の大学や企業などの教育資源との連携や区独自の正規教員の任用、都からの教員人事権の移譲に向けた取組を強化せよ。また、学校の暑熱対策は人手や資材の不足に陥る可能性もあらかじめ想定した上で、夏までに確実に施工が完了するよう進めよ。
次に災害対策についてである。在宅避難の推進に向け、せたがや防災ギフト事業を約25%の世帯が利用しなかった要因を分析し、次なる啓発の一手を速やかに講じよ。また、マンション防災については補助金や防災用品の提供にとどまらず、自主防災組織の結成まで支援せよ。防災組織が町会や自治会などとの共助のネットワークを構築し、地域全体の防災力向上につながることを期待する。更に災害時の医薬品の備蓄方法については、使用期限切れを防げるランニングストック方式に早急に改めよ。
次に都市基盤施設の適正管理についてである。道路や橋梁などの都市基盤施設は区民生活を支える基本的なインフラであり、区民が安全に利用できるよう適切な更新が欠かせない。しかし、特別区道の舗装更新は平成30年度~令和4年度までの5年間で計画目標の3分の2にとどまり、4年度に至っては目標値の約半分と聞く。道路陥没などの重大な事態を未然に防ぐためにも、計画どおり確実に維持更新を進めることを強く求める。
このほかにも高齢者施策の充実や子育て環境の整備、DXの推進などに関する我が会派の提案を真摯に受け止め、速やかに実行せよ。
7年度予算は5869億円に上る過去最大規模で編成された。今後、いつ発生してもおかしくない大規模災害への備えをはじめ年々増大する行政需要に応えるため、税金を投入する指標や有効性を明確にし、効果検証を徹底せよ。また、区民への説明責任を果たせるよう、参加と協働を隠れみのにしたような事業への聖域なき点検を断行せよ。
以下、我が党が最重要課題と考える6点について意見を述べる。
第1に防犯対策である。SNSを通じた闇バイトが多発しており区民の不安は高まっている。防犯対策に係る補助事業の申請状況を注視し予算が不足する際は補正予算で対応せよ。24時間安全安心パトロールを増車し見回り強化せよ。
第2に災害対策である。巨額を投じた防災カタログギフトの効果検証を行うとともにアンケート結果を更なる在宅避難支援策に生かせ。また、在宅避難者情報を把握するシステムを構築せよ。水循環機器やコンテナ型宿泊施設、トイレトレーラー等を配備せよ。避難行動要支援者の実態把握に努めよ。
第3に物価高対策である。年間を通して区民生活を支えられるよう、せたがやペイのポイント還元率を平準化せよ。また、ポイントを公共施設の使用料の支払いに利用できるよう機能を拡充せよ。
第4に若者支援である。子どもや若者の意見を区政に反映するユースカウンシル事業を推進する体制を整えよ。また、若者の可能性を育てるため、青少年交流センターを全地域に整備せよ。給付型奨学金の支給対象の拡大に取り組め。
第5に国際交流と観光政策である。児童生徒が異文化に触れられる機会を拡充するため、新たな姉妹都市提携を英断せよ。また、区内の貴重な観光資源を戦略的に発信する国際観光交流協会を創設し外国人も雇用するなど、インパクトのある観光政策を打ち出せ。
第6に終活支援である。高齢者の介護施設への入所や死後事務などを支援する事業者の増加に比例し、契約不履行などのトラブルも増えている。区民が安心して終活を進められるよう終活相談支援センターを創設し、支援せよ。また、終活支援事業者の適正な運営を確保する取組にも注力せよ。
区は7年度予算を参加と協働による地域全体での学びを進める「学習する都市推進予算」として編成した。予測困難で変化が激しい時代だからこそ区と区民が知恵を出し合い世田谷の未来を共につくることが重要であり、本予算を基に参加と協働のアップグレードによる区政運営を求め意見を述べる。
参加と協働の推進の観点から、子ども若者の参画や意見表明の機会の拡充に向けたユースカウンシル事業は、多様な子どもが参加できる仕組みとせよ。外国籍区民が避難訓練などの地域コミュニティの活動に参加しやすい環境づくりに注力せよ。災害時の共助の取組を進めるため、マンション防災共助促進事業の活用を促せ。市民活動支援事業は協働する市民団体の持つ性格を理解した上で進めよ。
そのほか注力すべき政策として、労働の分野では、公契約条例で定める労働報酬下限額を遵守する取組に尽力せよ。区職員の離職防止に向け現場の声を踏まえ、ワークライフバランスを進めよ。教職員の負担軽減策を早急に展開し働き方改革を推進せよ。就労を望むミドルシニア世代が地域で活躍できるよう、都との連携や求人開拓を強化せよ。介護人材不足の解消に向け、区と事業者が役割を明確にした上で対策を進めよ。
子どもの分野では、外遊びの推進に向けた環境整備により、子どもの遊ぶ権利を保障せよ。非認知能力の向上にも寄与するインクルーシブ教育を推進するためガイドラインの浸透を図れ。図書館やメタバース空間を活用するなど不登校児童生徒への支援を強化せよ。
また、良好な住宅に住むことを権利と捉え住まい確保策については対象拡充を図れ。高齢者などの孤立防止に向け地域コミュニティの活動と福祉サービスの連携を強化せよ。医療的ケア児者への支援を充実せよ。清掃職員の増員を図り、プラスチックごみの分別回収に取り組め。脱炭素の推進に向け、区民の主体的な行動を促す仕組みを構築せよ。農家に対して酷暑対策をはじめ重層的な支援を講じよ。
区民の貴重な税金を有効活用するため、適切な指標を基に事業の効果検証を行う等、説明責任を果たせる体制の下で予算を執行せよ。
7年度予算について、議会に十分な説明を行わずに成立を図る保坂区長の姿勢は言語道断であり、到底容認することはできない。
以下、「緩慢さ」と「ずさんさ」が蔓延する区政に苦言を呈する。
まず、実施計画における成果指標の目標値である。区はこれまで修正後の目標値を2月の常任委員会で報告してきたが、今回は再調査をした上で9月に示すとした。これは各種施策の効果が不透明なまま7年度の事業を開始することにほかならず、区民の大切な税金の無駄遣いにつながりかねない。区政の停滞を招かぬよう、それぞれの事業に優先順位をつけ、区民に有益な施策を進められる体制を築け。また、庁内の縦割り化が進み、職員が疑問を抱いても声を上げない組織風土に陥っていることも大きな問題だ。直ちに改善せよ。
予算委員会で区長は東京大空襲の被害者への見舞金を検討すると答弁したが、戦争責任は国にある。区の予算を投じるのは筋違いだ。
最後に我が会派が求めてきた火葬場建設の予算が編成されていないことに強い遺憾の意を表明する。
新年度予算案で示された福祉人材確保や保育施設経営への支援、補聴器購入費助成の対象者拡充など、区民意見を反映した取組を評価する。暮らしを守ることを主軸とした施策を一層推進せよ。災害対策は建物の耐震化や不燃化など減災の視点で取り組め。中小企業を地域経済の主役に据え、賃上げや雇用につながる抜本的な支援策を講じよ。再生可能エネルギーの導入を促進するなど、気候危機への対策を強化せよ。施設の使用値上げは住民自治に不可欠な社会教育の推進を妨げるものだ。受益者負担の考え方を改めよ。
新年度に向けて以下提案する。第1に暮らしの格差是正に向け住民税所得割非課税世帯まで各種支援を広げよ。第2に教育費無償化を一層進めよ。第3に介護人材確保のための恒久的な処遇改善に取り組め。第4に道路陥没などの防止に向けたインフラ点検強化と技術系職員の確保に努めよ。第5に高齢者の孤立を防ぐ居場所づくりに力を注げ。第6に全ての政策にジェンダーの視点を貫きハラスメント防止に有効な施策を展開せよ。
都が2025年秋から第一子の保育料を無償化する一方で、一時預かり事業や病児保育などは有料のままだ。不均衡な状況の是正を図れ。身近に頼れる人がいない子育て世帯が多い現状を踏まえ、ベビーシッター利用支援事業の導入を実現せよ。子どもの体験格差の解消に向け、スポーツ施設などの子ども料金を無料とせよ。共働きやひとり親家庭が増える今、専業主婦を前提とした制度を見直せ。子育て環境への不安から子どもを諦めることがないよう、若者や子育て家庭のニーズを施策に反映せよ。「103万円の壁」の見直しによる減収については国からの財源補塡がある前提を理解した上で議論を進めよ。旧態依然の社会保障制度により給付と負担に世代間格差が生じる現状に課題意識を持ち現役世代や子育て世帯の負担軽減に尽力せよ。
気候災害が頻発し、影響が激甚化する今、全庁を挙げた対策の一層の加速が必須だ。新たなプラスチック削減方針に基づく取組みを進め、発災時のごみ対策や学校改築に伴う暑熱対策を強化せよ。参加と協働の更なる進展に向け、気候市民会議で得た知見を広く共有し、活用せよ。公園整備や駅前再開発事業等においても、多様な地域住民を包摂せよ。ジェンダー主流化を実践すべく、ジェンダー統計を充実せよ。戦後80年の記念事業を成功させ、せたがや未来の平和館を平和の発信拠点とせよ。
区有財産を守るため、郷土資料館などの防災設備を強化せよ。障害者の日常生活用具に対する給付額を市場価格と見合うよう全面的に点検せよ。片目失明者の義眼購入費用を区独自に助成せよ。太平洋戦争の空襲被害者への見舞金は障害の有無にかかわらず支給せよ。
自転車による事故の増加を踏まえ、子どもが道路標識を学ぶ機会の充実や自転車専用レーンの整備など交通安全対策を強化せよ。ベビーシッターの利用支援事業を導入せよ。避難行動要支援者の安否確認体制の整備や区営住宅へのエレベーターの設置に尽力せよ。
区民に環境問題を自分事と捉え行動してもらえるよう、積極的な木材利用を通じて循環型社会について啓発せよ。都区財政調整制度における配分割合が56%へ増加するこの機に、都から区への権限移譲を含め、職員が今後の区政運営の在り方を学ぶ機会を設けよ。
予算は将来に向けた区のあり方そのものである。編成に当たり取り組むべき課題を明確にした上で、全庁を挙げて取り組む体制を築くべきだ。今までのやり方が正しいとは限らない。自ら変わる努力をすべき。若手職員の意見も取り入れ、よりよい区政へと前進せよ。
外国人との共生を図る上では国益と安全保障を守る視点を重視せよ。コロナワクチン接種開始後に死亡者が急増した原因を科学的に分析せよ。区内経済の活性化に向け、公契約は地元企業を優先せよ。機密性の高い個人情報は安全性に優れた国産クラウドで管理せよ。
「学習する都市」の推進に向けた事業の成果指標を明確化せよ。マンション防災の意識醸成を図れ。産業活性化拠点で区内産業のイノベーションを創出せよ。公共施設のデザイン性を高めよ。地域猫に係る施策の予算を拡充するとともにボランティアの負担軽減を図れ。
子どもの健やかな成長には学校で安心して過ごせる環境が必要だ。教員の負担軽減策を推進し、子どもと向き合える時間を確保せよ。区民に質の高い行政サービスを提供できるよう、優秀な人材の確保に注力せよ。ふるさと納税対策として遺贈寄附を区民へ周知せよ。
(補足)代表質問や一般質問、会派意見では下記のとおり省略表記を使用しています。
世田谷区議会 区議会事務局
電話番号:03-5432-2779
ファクシミリ:03-5432-3030