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最終更新日 2024年11月16日

ページID 20657

令和6年第3回区議会定例会 会派意見

5年度決算に対する会派等の意見

5年度決算を審査するため、47名の議員で構成する決算特別委員会を設置し、10月1日から10月15日の間、延べ7日間にわたり質疑を行いました。

ここでは、決算特別委員会での質疑や要望、今定例会最終日に表明された令和5年度決算に対する各会派等の意見の一部を要約してお伝えします。

本会議での意見表明者

公共の福祉増進という大局に立ち困難な事案にも果敢に取り組め―自由民主党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

変化が激しく予測困難といわれる現代社会において、一人ひとりが自らの判断軸を持って課題を見極め、道を切り開く力を身につけられる環境づくりが今の行政に求められている。これまで我が会派が求めてきた地域を愛する気持ちの醸成や、ICT活用による個別最適な学びの推進といった豊かで質の高い学校教育の展開、社会に出た後も誰もが学び直しの機会が保障され必要な知識と技術を習得できる仕組みの構築など、人への投資、人材育成、教育を根底に据えた区政運営を力強く進めよ。

5年度決算では実質収支が111億円となり、基金残高は区債残高を大きく上回るなど、区財政は健全性を維持している。しかし、ただ単に基金を積み上げるのではなく、区民から預かった貴重な税金を計画的かつ効果的に活用することが区には求められる。区長は好みの施策だけに執心することなく、区民全体の公共の福祉の増進という大局に立ち、困難な事案に対しても逃げることなく果敢に取り組め。

以下、我が会派が提言してきた政策の中でも、特に注力すべき分野について意見を申し述べる。

まず災害対策についてである。地域防災計画の修正に当たっては、能登半島地震から得られた教訓を盛り込み、より実効性のある計画へ更新せよ。また、災害からの速やかな復旧には自衛隊の力が不可欠だ。平時から緊密な情報交換や合同訓練などに取り組み、連携体制を強化せよ。更に、せたがや防災ギフト事業については、区民の手に確実に届くよう広報を強化するとともに、アンケート調査の結果を踏まえて事業を検証し、自助意識の醸成や在宅避難の推進に向けた施策の一層の充実を図れ。

災害に強いまちの実現には建築物の耐震化や不燃化の促進に加え、緊急輸送道路や延焼遮断帯となる都市計画道路の早急な整備も不可欠だ。区長は道路整備の進捗が芳しくない事案から目を背けず、自ら説明や交渉の場に立ち硬直した事態を打開せよ。特に事業期間が58年にも及ぶ恵泉通りについては、これ以上の進展が望めないのであれば行政代執行を決断すべきだ。この件は区長にこれまでも再三再四申し述べてきたが、この指摘が最後となることを切に願う。

次に物価高対策についてである。国では様々な対策が講じられているが、区においても区民生活及び区内事業者を守るため、来年度予算はもとより、緊急対策のための補正予算の編成も視野に入れて、迅速かつ継続的な支援に取り組め。

次に少子化対策についてである。児童手当の所得制限撤廃などの国の動きに合わせ、区も少子化対策に一層力を入れるべきだ。子育て世帯への居住支援策の充実にとどまらず、区独自の更なる支援策を迅速に構築し直ちに実行に移せ。また、子どもが健全に成長するためには大人による適切なサポートが欠かせない。他者を思いやる大切さや自ら考え失敗を恐れず挑戦する気持ち、責任を持って行動する社会の一員であることなどを子どもに教える責務が大人にはある。この視点を検討中の子どもの権利条例に盛り込むことを強く求める。

最後に議会に対する区の姿勢について苦言を呈する。さきの特別委員会での本庁舎整備の工期延伸に伴う損害額に関する報告において、損害額を積算するための庁内調査の結果や大成建設に請求している金額を区は非開示とした。これでは大成建設と合意できた金額のみを損害賠償として請求していても議会には確認するすべがなく、区があたかも交渉がうまくまとまったと見せかけるために本件の情報をひた隠しにしていると疑わざるを得ない。我が会派をはじめ多くの議員からの怒りの声を受け、ようやく区は現時点で確認している損害の項目と金額について報告したが、このような議会軽視も甚だしい不誠実な対応は厳に慎め。

喫緊の行政需要を的確に捉え区民の生活を守る政策を展開せよ―公明党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

物価高騰の長期化に伴い、地域経済の動向は予断を許さない状況が続いている。区民の暮らしや事業者の経営を支援するため、区長は常に危機感を持ち、喫緊の行政需要に迅速果断に対応せよ。

以下、我が党が最重要課題と考える7点について意見を述べる。

第1に成果と連動した税金の使い方である。多額の予算を投じた防災カタログギフトの配付事業はいまだ成果の検証方法が不透明であり、デジタルポイントラリー事業に関しては試行結果の検証が不十分なまま本格実施に至っている。成果が得られない事業は直ちに廃止を決断し、避難行動要支援者の避難支援対策など真に必要とされる施策にこそ予算を投じよ。

第2に災害対策である。激甚化、頻発化する自然災害に備え、在宅避難者などの情報を把握できるシステムを構築せよ。また、水を再生利用できる水循環器の配備やトイレトラックの導入を進めよ。更に、被災者のニーズに合わせ寄り添った支援を展開するため、担当部署の枠を超えた体制を整備せよ。

第3に基金の活用である。魅力的な政策を打ち出すための財源として積極的に基金を活用し、区民に共感を得られる事業を進めよ。また、基金の活用に際しては現場の職員の斬新な発想を生かせるよう基金の使途基準を改めよ。

第4に公共事業の柔軟な発注である。物価高騰で入札不調が続く現状に鑑み、公共事業を発注する際は一般競争入札だけでなく随意契約なども活用せよ。あわせて、地域社会の維持に必要な区内事業者へのインセンティブも検討せよ。

第5に物価高騰対策である。経済対策として期待されるせたがやペイの一層の普及に向け、公金支払ができる機能を追加せよ。また、介護や幼児教育に携わる人材の処遇改善に引き続き注力せよ。

第6に公共交通不便地域対策である。全地域同時進行で速やかにコミュニティ交通を導入するため、住民協議会の発足を支援し、地域課題の解消に取り組め。

第7に終活相談支援センターの創設である。身寄りのない高齢者が安心して遺言書の作成や遺産の整理などに関して相談や手続ができる終活相談窓口を開設せよ。

多様な主体の参加と協働を促進し持続可能な地域共生社会を築け―立憲民主党・れいわ新選組世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

我が会派が決算審査で行った質疑や提案を領域ごとに申し述べる。

企画総務分野では、持続可能な区政運営に向け外国籍職員の採用などの人材戦略を進めよ。区への遺贈寄附の促進やふるさと納税の改善を進め歳入増を図れ。区公式LINEなどでの災害時の情報発信を多言語化せよ。公契約条例の遵守や労働報酬下限額の引上げなど働く世代を守る取組を推進せよ。若者の声を区政に反映するため、区の審議会に若者枠を設定せよ。

区民生活分野では、持続可能な世田谷を目指し省エネ対策や食品ロス削減への取組に注力せよ。エコ住宅補助金は低所得者層が利用できるよう制度を見直せ。地域産業の活性化が期待されるスタートアップ支援などを拡充せよ。多文化共生社会の実現に向け、女性相談窓口の多言語化を図れ。高齢者の社会参加を一層促進せよ。

福祉保健分野では、再犯防止推進計画に係る取組は、加害者への対応と被害者への支援を両輪として捉えて進めよ。健康管理などに困難を抱える生活保護受給者に対しきめ細かく支援せよ。新BOP学童クラブでの長期休暇中の弁当提供を全校で展開せよ。生活習慣病対策の推進や補聴器購入費助成の対象拡大など、区民の健康と生活を守る政策に注力せよ。

都市整備分野では、都市整備方針の改定を区民参画のもとで進めよ。道路用地の取得に向けては道路整備の推進を望む区民と土地所有者の双方の声に向き合い解決策を模索せよ。交通事故を防止するため、自転車マナーの改善や道路の補修を推進せよ。みどりの保全に向けては助成制度の拡充や人材育成に取り組め。外国籍区民やひとり親家庭の住宅支援に力を注げ。

文教分野では、配慮を要する子どもへの支援を拡充するとともに支援員の質の担保に尽力せよ。インクルーシブ教育ガイドラインの策定に向けては教員に意識改革を求めるだけでなく、教育委員会の責務として取り組む内容も明確にせよ。所得制限なしの学用品無償化を実施せよ。いじめ対策やネットリテラシー教育を一層推進せよ。

最後に、子ども条例改正に際しては子どもの権利とは基本的人権であることを忘れずに議論せよ。

議会への報告義務を怠ることなく区が目指す方向性を明確に示せ―無所属・世田谷行革110番・維新―(一般会計には反対、その他の会計には賛成する意見)

令和5年度は未来つながるプランの最終年度であった。本来であれば計画期間の終了に伴い、区から議会に成果の説明が行われるべきところだが、いまだ詳細な報告はない。保坂区政の13年間を振り返れば、こうした重要な計画に関する議会への丁寧な説明がないため、区長が一体何を実行し、区政の展望をどう描いているのか我々にはまるで見えてこなかった。

DX推進を区が本気で進める気があるならば、紙をデジタル化するだけでなく、決算書に関連計画のリンクを設定することや図表を3D化して視覚的に過年度と比較できるようにするなど改善せよ。

5年度決算では、区の重要課題である京王線の高架化事業の成果指標を掲載しないなど、不都合な数値を隠すためと思われる変更点が散見された。また、予算の執行率が4年度と比べ大幅に下がったのは、状況の変化に何ら対応しなかった結果だと言わざるを得ない。

公共施設等総合管理計画では、立て続けに計画を変更するなど施設整備の方針が定まらず、学校の老朽化などの課題に対し解決の糸口を何も見いだせていない。この状況に強い不安を抱くばかりだ。

子ども条例改正素案は、子どもの意見はいかなるものも受け入れるかのような内容となっており、厳しい社会を生き抜く力を育む視点が欠けている。撤回し見直せ。

平和に向けた取組を一層進め区民のくらし・人権を守る区政を―日本共産党世田谷区議団―(国保会計と後期高齢者会計には反対、一般会計と介護会計と給食会計には賛成する意見)

5年度決算では、区の基金残高は約1470億円と財政は健全だ。長引く物価高騰の中、低所得者や生活保護世帯への困窮支援、子どもの貧困対策や区民生活・事業者支援のために財源を積極的に投じよ。

来年は区の平和都市宣言から40周年を迎える。核兵器廃絶と世界平和の輪を広げる取組を全区民と共に進めよ。区施設使用料の値上げを行う前に幅広く利用者の意見を聞き使用料の据置きも検討せよ。上用賀公園備蓄倉庫の整備と沿道の耐震化を進めよ。なお不足する災害後3日分の備蓄保管場所の確保に早期に取り組め。働き方問題では行政サービスの区職員による直営を進め、図書館司書の独自採用も実現せよ。深刻な教員不足の解消に向け長時間労働を是正せよ。子どもを権利の主体として尊重する社会を目指し、子どもの権利条例の改正議論を積極的に進めよ。介護を必要とする方がサービスを受け続けられるよう介護事業者支援と処遇改善に取り組め。夏の猛暑から区民を守る施策に力を注げ。都市計画道路の次期事業化計画では未着手路線の廃止を検討せよ。

持続可能な世田谷の実現を目指せ―都民ファースト・国民民主・あらた―(全ての会計に賛成する意見)

有配偶者の出生率が23区で唯一全国平均を下回る実態を分析し、有効な少子化対策を講じよ。少子高齢化に伴い世代間で生じている社会保障の負担と給付の格差是正とともに、既に現役世代では負担が困難な高齢者サービスや減免制度を見直せ。子ども条例は表層的な改正にとどまらず子どもや若者へ財源を投じるための裏付けとなる内容とせよ。持続可能な地域社会の実現へ、地産地消の拡充や花農家も含めた農業振興に力を注げ。特別職に女性がおらず部長級の女性比率も17%にとどまることや、性別で担当領域に有意に偏りがある体制の是正へ、外部人材登用も視野に入れた人材戦略を検討せよ。BIツールの利活用を推進し、区が有する膨大なデータを基に網羅的に政策評価を可視化した状態で決算審議が行える環境を整えよ。

真にインクルーシブな社会を築け―生活者ネットワーク世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

年齢や性別、障害、国籍などによるあらゆる差別から全ての子どもが守られ、積極的に権利を行使できる社会を実現すべきだ。子どもの権利条例を検討する区として、権利の普及に向けて区内外への情報発信などに尽力せよ。誰ひとり取り残さない社会的包摂の実践に向け、障害者雇用の促進や幼少期からの包括的性教育の推進、外国にルーツを持つ子どもへの支援などに取り組め。これら取組を進めるに当たり従来の縦割り行政を排し、民間事業者や地域の多様な主体と連携した推進体制を構築せよ。

不当な差別を防ぐ体制を整備せよ―レインボー世田谷―(全ての会計に賛成する意見)

区施設の指定管理者にLGBTQの職員の処遇平等を徹底させよ。区有財産の処分は原則売却とし、税外収入の確保につなげよ。子育て中の職員が安心して働けるよう、就学後も時短勤務を認める部分休暇を導入せよ。生活保護受給者の美術館などの入館料を無償化せよ。

自転車の安全施策を着実に進めよ―世田谷無所属―(全ての会計に賛成する意見)

区内で自転車交通事故が増加しており対策の強化が急務だ。交通違反に対する反則金制度の導入が安全対策の転換点として期待される今、私が提案してきた事故再現型の自転車安全教室の実施や自転車レーンの整備、シェアサイクルなど、安全対策を着実に進めよ。

子どもが幸せを感じるまちを築け―国際都市せたがや―(全ての会計に賛成する意見)

子どもの幸福度を高めることは、子どもを産み育てやすい環境づくりにつながり少子化傾向の反転にも寄与する。子どもの権利が守られ安心して幸せに暮らせる世田谷を築くため、区は様々な機会を捉え、誰もが子どもの権利を理解し尊重できる風土の醸成に尽力せよ。

区政運営に臨む基本姿勢を改めよ―せたがやの風―(全ての会計に賛成する意見)

区民窓口の混雑解消に向けた方向性や行政計画の目標数値を安易に覆す区の姿勢は議会軽視と言わざるを得ない。直ちに改めよ。5年度決算で区民と区側の評価が大きく異なる事業が散見された。決算の内容と各計画の目標との整合性を全庁挙げて総点検し改善せよ。

区民の命を守る施策を推進せよ―参政党―(全ての会計に賛成する意見)

区民の健康寿命の延伸や医療費の削減に向け、認知症やがんの早期発見と予防に予算を投じよ。災害から区民の命を守るため、防災意識向上を図るイベントの開催や要支援者の支援体制の整備などに取り組め。教科日本語を通じて子どもの感性を磨く教育を推進せよ。

子どもの笑顔が輝く世田谷を築け―無所属―(全ての会計に賛成する意見)

部活動の地域移行を推進し、活動内容や他校の生徒との交流機会を充実せよ。保護司の担い手確保に向け、活動の魅力を広く発信せよ。職員の働きやすい環境づくりをはじめ、下北沢のまちづくり、ふるさと納税対策に着実に取り組め。平和を守る取組を推し進めよ。

(補足)代表質問や一般質問、会派意見では下記のとおり省略表記を使用しています。

  • あんすこ=あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)
  • ファミサポ事業=ファミリー・サポート・センター事業

お問い合わせ先

世田谷区議会 区議会事務局  

ファクシミリ:03-5432-3030