令和6年第1回世田谷区議会定例会区長招集挨拶

最終更新日 令和6年2月20日

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招集挨拶をする保坂区長

令和6年第1回世田谷区議会定例会にあたり、区議会議員並びに区民の皆様にご挨拶を申し上げます。

まず、1月1日、夕刻に石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7を観測する地震が発生し、能登半島を中心に広範囲で甚大な被害が発生しました。

今回の地震や津波そして火災によって亡くなられた方々に、謹んで哀悼の意を表します。また被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。

区では、「令和6年能登半島地震」を受け、1月5日に被災地支援本部を立ち上げ、同日から早速「能登半島地震災害支援金」の受付を開始しました。

この支援金募集の一環として、1月28日には、街頭募金活動を区内5か所で行い、約87万円の温かいご寄附をいただきました。また、この募金活動には多くの区議会議員の皆様にもご参加いただきました。

支援金は、区が独自に実施し、被災した自治体に直接寄贈するものです。集まった支援金は、区ができるだけ早い時期に被災自治体にお届けして参ります。

さらに、被災地への職員派遣の準備も進めています。東京都の対口支援先は輪島市となり、東京都や特別区長会と連携し、被災地のニーズに応じた支援となるように、有効な復興支援を実施してまいります。

能登半島地震は、元日の夕刻に発生しました。1年に1度、家族や親族が集まっていたという被災者の方々も多く、「災害は時と場所を選ばない」と改めて痛感させられました。被災地の深刻な状況が伝えられると、もし区で今回と同程度の地震が起きたら、どれだけの被害が生じるのかを考えずにはいられませんでした。大都市部で、人口も住宅も密集しているだけに、被害の規模ははかりきれず、災害対策は優先的な課題であります。

昨年、車座集会やタウンミーティングの場でも、多くの区民が発言したのは「地域防災力の現状」についてでした。発生確率が高まっていると言われている「首都直下地震」への対策は急務であり、区民一人ひとりや地域コミュニティ、防災関係機関、民間事業者と区が一体となって災害対策を進める必要があります。また、気候危機によって年々激甚化する台風や集中豪雨など水害等への警戒も同時に取り組んでいく必要があります。

令和2年(2020年)国勢調査で94万3,664人が居住する世田谷区において、震災時の指定避難所は95カ所です。福祉避難所を合わせても、そのスペースは限られています。体育館などのすべての学校施設が、避難所として利用可能であったとしても、避難所に入ることのできる方の人数は、物理的な制約を受けます。

車座集会でも、各町会・自治会で「在宅避難」への呼びかけを続けているとの報告がありましたが、一方で「まだまだ認識されていない」との声も強くありました。区として「在宅避難」への呼びかけを強化・拡大していきます。

区民の防災意識が高まっているこの機を逃すことなく、在宅避難への備えを一部支援し、各家庭での備蓄の充実を図るため、1人3,000ポイント分の備蓄物品をお届けする「防災用品カタログギフト」を全世帯対象に配布します。この機会にポイント使用以外にも必要な防災用品・備蓄物品を備えて頂き、家族で防災や在宅避難について語り合うきっかけとなれば幸いです。

また今回、区としても避難所運営体制や防災物品の点検と見直しを行います。

条例を改正し、これまで発災後にしか使えなかった災害対策基金について、備蓄物品の購入ができるように変更します。避難所用に簡易トイレやテント、ダンボールベッド等とともに、在宅避難者向けの簡易トイレ等も手配し、指定避難所の備蓄と在宅避難へのサポート体制を整えます。

さらに、世田谷区地域行政推進計画に基づき、総合支所を中心に各地域・地区の特性に合わせた防災力向上にあたります。各総合支所では、地域防災の充実のために、初期消火用スタンドパイプの配備、訓練の実施により、担い手確保の支援に取り組むとともに、地区の災害リスクに応じた在宅避難啓発リーフレット等の全戸配布等を行ってまいります。

発災後72時間を想定した、総合支所、まちづくりセンターの拠点機能の強化を図るとともに、今年度、震災を想定し全区に対象者を拡大した避難行動要支援者の個別避難計画についても、来年度継続して作成を進めます。 

建物の耐震化も重要です。能登半島地震では、多数の建物が倒壊しました。区では、これまでの旧耐震基準への耐震化支援に加え、平成12年以前の新耐震基準の木造住宅についても、令和6年度より支援を拡充してまいります。あわせて区内5地区の不燃化特区制度に基づく助成等も継続して実施し、災害に強いまちづくりを推進してまいります。

今後、防災に関する総合的かつ基本的な計画である地域防災計画の修正を予定し、今後の防災対策についても計画に反映させてまいります。あわせて、地区まちづくりセンターでの防災塾等を活用した地区防災計画の修正を行うとともに、新たに物資輸送計画の策定にも取り組んでまいります。

また、今年度、危機管理部に危機管理監と物資供給担当副参事を新たに任用し災害対策体制の強化に踏み出しました。危機管理監と物資供給担当副参事は、平時には、その知見を存分に活用し、日頃からの訓練・計画策定を通して、職員の災害対応力の向上をはじめ、協定協力団体との連携強化、区民に対する啓発活動を担い、防災力の更なる底上げを図ってまいります。

災害発生時、危機管理監と物資供給担当副参事には、副本部長や現地指揮本部長等として、これまでの被災現場における豊富な指揮経験を活かし、本部長となる私を補佐してもらいます。

以上の問題意識のもとに、来年度予算案を「身近な地区の防災力を高める予算」と名付けて取組みを加速していきます。

次に、次期世田谷区基本計画についてです。

区では、令和6年度からの次期基本計画の策定に向け、約2年間にわたり議論・検討を進めてきました。基本計画審議会をはじめ、区民検討会議や、多様な区民の参加や意見聴取と区議会との議論の積み重ねを経て、この度、次期基本計画の案をとりまとめました。

平成25年(2013年)に議決した基本構想は、今も区政運営の要となる公共的指針ですが、社会情勢の急激な変化も見逃せません。地球規模での気候危機が顕在化し、台風の大型化や集中豪雨など自然災害の激甚化は、人類の生存を脅かす段階へと近づいています。気候変動は生物多様性を圧迫して、生態系の破壊が進んでいます。10年前より、はるかに深刻になったことは、否定出来ません。

令和2年(2020年)に、世界各国を大混乱に陥れたコロナ禍は、社会経済活動に3年にわたって大きな影響を与えました。地域コミュニティの分断に追い打ちをかけ、社会的な孤立や孤独も進行しました。また、デジタル化が急速に進んでおり、行政サービスのデジタル化を一層推進し、区民の利便性向上を図ることが求められています。AI(人工知能)の驚異的な進化は、日常生活の行動様式をも変えようとしています。

次期基本計画では、区政運営の基盤として「参加と協働」を横軸にして推進し、気候危機の時代に地球環境や生態系が守られ、子どもや若者等、将来を担う世代に選択肢や可能性が広がる持続可能な未来を目指すこととしています。高齢者や障害のある方も、すべての世代が互いに認め合い支えあうまちづくりを目指しています。

その実現に向け、「子ども・若者が笑顔で過ごせる環境の整備」「新たな学校教育と生涯を通した学びの充実」「多様な人が出会い、支え合い、活動できるコミュニティの醸成」「誰もが取り残されることなく生き生きと暮らせるための支援の強化」「自然との共生と脱炭素社会の構築」「安全で魅力的な街づくりと産業連関による新たな価値の創出」の6つの重点政策を掲げています。どの政策も分野横断的な体制を整えて取り組む必要のある政策であり、多様な課題に対して機動的に対応できる柔軟な組織体制をもって推進していきます。

また、基本構想に定める9つのビジョンを具体化するための政策を分野別政策として明らかにしています。さらに、この分野別政策に掲げる政策・施策に対応して実施計画を策定しており、基本計画と実施計画を一体化したことは、今回の特徴であり、最上位計画である基本計画に基づく計画行政を着実に進めてまいります。 

次に、「新たな行政経営への移行実現プラン」の策定についてです。

この10年で区内人口も増えて、行政ニーズも多様化・複雑化しています。区職員の数は限られていて、これまでの仕事の配分や進め方を思い切って改め、持続可能で誇りをもって働ける環境をつくる必要があります。

「待機児童日本一」と評された保育園不足を区職員の総力ではね返した経験や、コロナ禍の嵐を、保健所を中心としながら、他所管が代替出来る業務は分散し、全庁的な臨戦体制でたたかった経験も持っています。

高度経済成長期に建築された区の公共施設・学校は、いっせいに更新の必要な時期を迎えます。施設の改築、改修、修繕の需要も急増することが予想され、同時進行でいくつもの施設の設計・工事を実現するためには、組織と仕事のあり方の変革も急務となっています。加えていつ襲来してもおかしくない自然災害に備えて、スピーディーに被害を修復できる柔軟な組織体制も必要です。

区の限られた経営資源の再配分と仕事の進め方を改革し、持続可能な自治体経営を確立するため、3つの基本的な考え方を提示しました。「区民目線による行政サービスの推進」、「多様な主体との連携強化による経営力の向上」、「経営資源の最適化」の3点を基軸に、新たな行政経営への移行の実現に向け取り組んでまいります。

今般、令和6年度から令和9年度の4年間の取組みとして、102項目をプラン案として取りまとめたところです。

「区民・事業者との協働の推進・拡大」「公共施設の有効活用」「時代に即した事業の再構築」「身近な場所でのサービスの構築」「DXによる事務の簡素化・効率化」など、全庁を挙げて取り組み、強固な組織・体制の構築、職員等の専門性の向上、災害等に対する危機管理体制の強化などを図ってまいります。

次期基本計画に掲げる「目指すべき未来の世田谷の姿」の実現に向け、すべての職員が従来までの仕事のやり方を見直して、「新たな行政経営への移行」を実現する気概を持って、経営資源配分の最適化を進めるよう全庁に指示を出しました。今後、区民福祉の向上に向け、時代に即した新たな視点による区民サービスの実現を絶えず行政において考え実行できるよう、私が先頭に立って取り組み、持続可能な行政経営への移行を推進してまいります。

次に、世田谷区教育振興基本計画についてです。

教育委員会では、第2次世田谷区教育ビジョンの計画期間が令和5年度をもって終了することから、令和6年度からの新たな5年間の計画として、世田谷区教育振興基本計画を取りまとめました。

教育振興基本計画では、子どもの権利条約やこども基本法の基本理念を踏まえ、子どもを主体とした教育への転換を大切な視点として掲げています。子どもの意見表明の場を確保し、子どもに関わる様々な施策への反映に努めるよう職員の意識転換を図るとともに、「子どもを主体とした教育」について、子どもの学びや成長に関わる全ての関係者と共通理解を深め、子どもの意見を反映させることに取り組むとしています。

また、新たな教育目標として、子どもも大人も、それぞれが思い描く未来を自分らしく生きるために、自らが課題に向き合い、判断して行動できるよう、「幸せな未来をデザインし、創造するせたがやの教育」を掲げています。その実現に向けた4つの基本方針「新しい知を創造する」、「地球の一員として行動する」、「多様性を受け入れ自分らしく生きる」、「共に学び成長し続ける」のもと、69の施策に取り組むこととしています。

この新たな計画が世田谷区の教育行政の羅針盤となり、そして、昨年11月に策定した新たな「教育大綱」に込められた理念と方向性を共有しながら、教育委員会とともに、区議会や区民の皆様のご意見を伺いながら、子どもたちの現在と時代のニーズを踏まえた世田谷らしい質の高い教育を推進していきます。

また、教育振興基本計画の重点取り組みの一つである「新たな特例校の開設・運営」については、令和5年12月に世田谷区立学びの多様化学校(不登校特例校)等基本構想策定委員会を立ち上げ、令和6年1月には基本的な考え方を取りまとめたところです。

学びの多様化学校は、現在の分教室型ではなく、本校設置を目指すこととしております。本校では、少人数の良さを生かしたきめ細やかな教育活動、柔軟な学習内容や登校時間を組むことにより、子ども自身の内発的な興味・関心を大切にする豊かな表現活動やコミュニケーション力育成に重点を置いた学びの提供など、分教室「ねいろ」の実践を生かした教育環境を目指すと共に、課題となっていた教職員体制や、学校の設備面を充実させていきたいと考えております。

今後、教育委員会と連携しながら従来の枠に捉われない、子どもたち一人ひとりの個性に合わせた多様な学びによって、子どもたちが多様な選択肢を持って社会に踏み出していく力を生み出す学びの多様化学校本校の開設に向けて取り組んでまいります。

次に、本庁舎等整備についてです。

昨年の5月、工事受注者の大成建設から大幅な工程遅延の申し出を受けて以降、工事の進捗については、区民の皆様にご迷惑とご心配をおかけしています。

区では、昨年6月から8月にかけて、専門家や有識者など第三者を含む工程検証委員会等を開催し、工程検証を行い、工期の精査を行いました。そして、1期は今年度末の竣工を実現する節目を迎え、最終の3期竣工時期は、1年半強の延期となることが予想されています。現在、検証による工程見直しの最終段階に入っており、まだ工期の確定には至りませんが、今年度末迄には新たな工期を見極め、なるべく早い段階でお示ししてまいります。

また、区は、このたびの工期延伸に伴う違約金、損害賠償等にかかる、大成建設との交渉も進めてきました。第一段階として、支払いの全体の枠組みに関する合意を目指しており、大成建設には、引き続き、誠意ある対応を求めていきます。

建設現場では、東西の1期棟については、ようやく建物を覆っていた囲いも取れて、新庁舎、区民会館の外観を確認できるようになりました。現在、工事は、概ねの作業を終え、4月からの供用開始に向けて、東京都や消防署といった行政検査への対応や機器類の試運転を行うなど、最終段階の調整に入っています。

1期棟の完成後は、免震構造を採用する新庁舎では、災害時における事業継続性がより高まります。また、議場も、この第二庁舎から、新庁舎の9階に移転となり、5月の第1回臨時会からは、新たな議場での開催となります。

あわせて、耐震性能を高めた区民会館も完成します。

ホール内は以前より広くゆったりとした座席に全て取り換え、音響反響板の大型化等による音響性能の向上や、舞台をより広くできる可動式舞台も設置し、観る人に良質で迫力ある演奏や舞台演出を楽しんでいただけるようになります。

また、以前は出演者が多数となるミュージカルや合唱などでは、楽屋が不足していましたが、旧楽屋を改築してスペースを倍増するとともに、新たに設けた地下の練習室から、大勢の出演者が直接舞台に出る通路も確保しました。

さらに周囲に気兼ねすることなく小さなお子さんと一緒に鑑賞することができる親子室を2室、新たに設けました。

本年9月から、区民の皆様にご利用いただけるようになりますが、これに先立ち、8月から開館を記念した歌舞伎やオーケストラによるクラシックコンサートなどのオープニングイベントを、来年3月までの半年間かけて6回実施していくこととしております。

さらに、9月の一般利用開始に合わせ、新たな世田谷区民会館にふさわしい愛称の公募や、世田谷美術館収蔵作品を含めた美術品をホワイエに展示するなど、区民に広く愛され、文化・芸術に親しんでいただける取組みも進めてまいります。

今後、1期竣工後も、完全竣工までは工事が続き、近隣はじめ区民の皆様には、ご迷惑をおかけいたしますが、引き続き、安全管理、品質管理等を徹底し、区民の安全安心を支える拠点としての本庁舎等整備を、着実に進めてまいります。

次に、上用賀アートホール(玉川区民会館別館)についてです。

緑豊かな砧公園や世田谷美術館に隣接し、環状八号線沿いにある上用賀アートホールは、平成6年(1995年)の開設から今年で30年目を迎え、音楽や演劇、バレエやダンスなど、様々な文化的な活動の場として、運営を続けてきました。

しかしながら、交通アクセスの問題や、設備の老朽化などにより、利用率が低迷する傾向が続いたことから、抜本的な見直しをはかりました。利用者団体や、バレエや邦楽など様々な表現ジャンルの活動グループのヒアリングも経て、楽器類や備品の充実、駐車場の増設など、改修工事と同時に改善を図りました。頂いたご意見やご要望をできる限り反映し、令和6年4月の再開に向け準備を進めているところです。

また、施設の再開に合わせて5月26日に、地域で文化活動をされている団体の方々をお招きしたリニューアル記念イベントの開催も予定しています。今後、区民に利用される身近なアートホールをめざしていきます。

次に、上用賀公園拡張事業についてです。

直近の能登半島地震において、災害時の備蓄や支援物資の補給、救急救助や医療救護の重要性が再認識されました。本予定地は、区のほぼ中央部に位置し、緊急輸送道路である世田谷通りに面し、広域避難場所であるとともに、物資の輸送拠点として最適です。西側には災害拠点病院の関東中央病院があり、大規模災害時における全区的な防災の拠点とします。

建設する体育館地下には約2,000平方メートルの倉庫を設置し、食料や避難所用品等を備蓄するとともに、アリーナは、羽田クロノゲートや他自治体、企業などからの支援物資を集積し、荷捌き後、速やかに各避難所へ輸送し、必要な避難所や在宅避難者のもとへ届けます。

関東中央病院との災害時医療・救護の連携体制の強化を図るとともに、オープンスペースは、消防・警察・ボランティア等の活動拠点として、また、公園内に臨時ヘリポートとしての機能も想定し整備を進めてまいります。

平時、体育館は、地域スポーツの推進を目的としているほか、全区レベルの競技大会ができるアリーナの大きさを確保し、多様なスポーツ種目の利用を可能とします。トレーニングルームやダンススタジオなどを設け、区民のスポーツ需要に対応してまいります。

屋外には、区民や子どもたちが自由にボール遊びのできる「多目的広場」や、幅広い世代が憩える「いこい・交流の広場」、遊具などを配置し子どもたちがのびのび遊べる「子ども広場」、既存の樹木を活かし自然と触れ合える「既存樹林地」などを配置します。

整備手法は、限られた財源で施設機能・サービスの向上を図るため、民間事業者によって整備・運営を一体で行うDBO(デザイン・ビルド・オペレート)方式に決定しました。今後、発注条件などを整理した上で、事業者を公募・選定し、令和8年度中に設計を開始し、部分開設しながら、令和13年度には、全面開園を目指します。

次に、玉川野毛町公園拡張事業についてです。

区では、国の重要文化財が出土した野毛大塚古墳のある玉川野毛町公園と等々力渓谷公園の間に位置する国家公務員宿舎跡地(約2.8ha)を取得し、玉川野毛町公園拡張事業として参加と協働による公園づくりを進めてきました。

令和3年9月からは、住民参加による「玉川野毛町パークらぼ」をスタートさせ、公園の将来像やデザインについて、専門家を交えた意見交換を幾重にも重ね、公園のあり方と役割、機能について話し合いを進めてきました。「パークらぼ」は、公園を整備する計画段階より、すでに2年5か月にわたり活動を続け、7つのテーマで16のプロジェクトが動いています。完成後も地域住民はじめ広く区民が公園運営へ参画することを目指し、区民主体の組織設立にむけた検討が始まっており、区もこの取り組みを支援しています。

昨年10月より「草地の広場」や園路等の整備に着手し、令和6年度から7年度にかけて、「公園利用や活動の拠点となる建築物」や「雨庭の森」、「エントランス」などの施設整備を進め、令和7年度末、拡張予定地全体の完成を目指します。

既開園区域については、令和6年度より、順次改修を進める予定です。現在、「便益・サービスの拠点施設」等を整備するため、都市公園法に基づく「公募設置管理制度(Park-PFI(パーク・ピー・エフ・アイ))」を活用した事業者の公募を実施しています。

公園は世代を超えて永続する公共空間であり、都市にみどりと潤いを与える施設です。みどりの保全と共に、新たなコミュニティや賑わいが生まれる地域住民の暮らしの舞台となるよう、100年後も地域に愛される公園づくりを進めてまいります。

次に、せたがやグリーンインフラガイドラインについてです。

令和元年(2019年)に多摩川流域に深刻な浸水被害をもたらした台風19号以降、区内では国による多摩川の堤防整備が行われるなど、より一層豪雨・治水対策が進められています。区では、従前からの東京都下水道局から受託した雨水管の整備を進めていますが、広範囲の河川や下水道への雨水の流入負荷を軽減させる流域対策も重要となります。

令和3年度に策定した世田谷区豪雨対策行動計画では、流域対策の主軸にグリーンインフラの考え方を取り入れています。グリーンインフラとは、雨水を大地や樹木に戻し、また街路樹や路面、建築物、ランドスケープなどに下水への負荷を軽減する仕組みを広げていくという考え方です。

現在、「せたがやグリーンインフラガイドライン」の策定作業を進めています。

このガイドラインでは、公共施設の整備に際して積極的に取り入れる指針と区民や事業者等がそれぞれの立場で実施できる指針を共に示しています。また、実践的に取組むことができるグリーンインフラ施設やその効果について、具体的に紹介しています。

ガイドラインの普及・活用により、区内にグリーンインフラの取組みが浸透し、これにより災害に強く持続可能で魅力あるまちの創出に寄与することを期待しています。

次に、図書館ブックボックスの運用開始についてです。

教育委員会では、小田急電鉄と協力し、小田急線下北沢駅に、図書館ブックボックスを令和6年4月からモデル事業として開始します。

下北沢駅の中央改札口を出てすぐ横のエレベーター脇、約1平方メートルのスペースに、全部で34のボックスを備えた宅配ロッカーのような図書館ブックボックスを設けます。

利用者は、予約確保の連絡をメールで受信し、下北沢駅の始発から夜間25時ごろまでの間、ボックスを開いて予約した図書資料を受け取ることができます。

日常の生活で忙しく、図書館の開館時間での利用ができなかった方を含め、より多くの方が通勤・通学の際など、気軽にご利用いただけるものと期待しております。運用開始後、利用率や費用対効果を含めて検証し今後の拡大の可否について、判断していきます。

次に、区民の健康や福祉に関する4つの計画案についてです。

このたび令和6年度から8年間を計画期間とする「世田谷区地域保健医療福祉総合計画」、区の総合保健計画「健康せたがやプラン(第三次)」、令和6年度から3年間を計画期間とする「第9期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」、「せたがやインクルージョンプラン―世田谷区障害施策推進計画―」の案を取りまとめました。

これら区民の健康や福祉に関する4つの計画案について、区議会でのご議論を踏まえ、パブリックコメントなど区民意見を受け止めたものとなっています。

令和6年度からは「誰一人取り残さない世田谷をつくる」ために、これまで推進してきた世田谷版地域包括ケアシステムを強化するとともに、これまで以上に複雑複合化した課題や、現状の仕組みや制度では対応しづらい課題を抱えた方には、総合支所保健福祉センターが多機関協働事業者となり、関係機関との協力のもと、支援チームを組織し、長期継続的にニーズに沿った支援をしてまいります。

次に、65歳以上の方の介護保険料についてです。

3年に一度見直しを行う介護保険料については、高齢化の進展に伴い介護給付費等が増加する状況や介護報酬の引上げの改定があるため、保険料の基準額を引き上げる必要がありますが、介護給付費準備基金の充当を行うことで引き上げ幅を抑えるとともに、所得段階別の保険料を見直すことで所得の低い方に配慮した令和6年度から3年間の保険料を設定しています。

次に、令和6年度当初予算案についてです。

国が令和5年11月2日に閣議決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に定額減税の実施が盛り込まれたほか、12月には都が学校給食費無償化への支援を表明するなど、国や都の動向も注視しながら予算編成を進めてきました。

その結果、令和6年度一般会計の予算規模は、3,715億5,200万円、前年度と比べ2.6%の増となっています。

歳入につきましては、特別区税は、賃金上昇に伴う増収を見込む一方で、ふるさと納税による影響や国の定額減税での減収を見込み、前年度比で11億円の減としました。この定額減税による減収分は、国による補填がされることから、地方特例交付金は前年度比で41億円の増を見込んでいます。

歳出につきましては、大規模自然災害への備えをはじめ、社会保障関連経費の増加や都市基盤整備、公共施設の改築・改修への対応など、増加する行政需要に対し、将来を見据えながら確実に対応するため、必要な予算を計上しています。

なお、一般会計に4つの特別会計を合わせました予算額の合計は、5,596億円、前年度比プラス2.0%の増となっています。

次に、令和5年度補正予算についてです。

令和5年度の一般会計第6次補正予算は、在宅避難の推進のため、防災用品に特化したカタログギフトの全区民への配付や、国による給付金・定額減税一体支援事業などを速やかに実施するため計上するものです。この他、事業進捗等を踏まえた経費の増減への対応や、公共工事等の継続的な発注機会の確保を前提とした工事の前倒し等を行います。

一般会計に3つの特別会計の第2次補正予算を合わせまして、合計262億6,700万円の補正予算を計上しています。

最後に、本議会にご提案申し上げます案件は、令和6年度世田谷区一般会計予算など議案37件、専決1件、諮問1件、報告12件、同意1件です。

何とぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願いしまして、ご挨拶とします。

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