区長記者会見(令和6年2月8日)

最終更新日 令和6年2月8日

ページ番号 208335

会見を行う区長
記者会見の様子

令和6年2月8日(木曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。新しいウインドウが開きます

PDFファイルを開きます会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。

区長あいさつ

本日、記者会見の前にご報告がございます。

令和5年12月13日に、区内の認可外保育施設において、乳児が睡眠時間帯での異変により緊急搬送され亡くなるという重大事故が発生しました。亡くなったお子さんに心からのお悔やみを申し上げます。区ではこの事故を重く受け止め、事故当日に当該施設を訪問するとともに、翌日から複数回にわたり立ち入り検査を実施しました。警察による捜査が継続中ではありますが、その内容と今後の対応について、2月7日の区議会の子ども・若者施策推進特別委員会で報告いたしました。今後、事故の発生原因の分析や検証を、検証委員会を立ち上げてしっかりと進めていくとともに、再発防止を促してまいります。なお、0歳児を預かる認可外保育所に対し、緊急抜き打ち検査を2月中旬中に完了するよう進めております。改めて、ご遺族、そしてお子さんにお悔やみを申し上げます。 

令和6年度当初予算(案)

それでは、令和6年度当初予算(案)の発表に入ります。 

当初予算(案)の概要について

はじめに、令和6年度当初予算(案)の概要についてです。

令和6年度当初予算については、災害対策の強化に最優先で取り組むとともに、新たにスタートする基本計画に掲げる重点政策を進め、区民一人ひとり、誰もが安全で安心して暮らせる地域社会を実現する、「身近な地区の防災力を高める予算」として編成しました。令和6年度の一般会計当初予算は、前年度比96億円、2.6%増の3,716億円で、過去最高を更新する予算となっています。歳入面においては、特別区税は賃金上昇に伴う増収を見込む一方、流出が続くふるさと納税や、国の定額減税の影響を踏まえ、令和6年度は前年度比で11億円の減額としました。国の定額減税による減収分は、国による補てんがされることから、地方特例交付金については前年度比で41億円の増額としました。 

さて、世田谷区では本庁舎のほか、5つの地域に総合支所を置いています。令和5年には、この総合支所をさらに生活圏に近付けた28の地区に置くまちづくりセンターで車座集会を、そして、5つの地域でタウンミーティングを開催し、区民の皆さんからご意見をいただきました。その中でも、「地域防災力」について多くの意見をいただいています。発生確率が高まっていると言われる「首都直下地震」への対策も急務であり、区民一人ひとりと地域コミュニティ、防災関係機関、民間事業者と区が一体となって災害対策を進めていく必要があります。区民の防災意識が高まっている機を逃すことなく、令和6年度予算では、地域防災力の強化を図ってまいります。 

区の危機管理体制として、本庁舎等整備工事の1期工事で完成する新庁舎では、防災情報を統合管理する防災情報システムの情報や、区内河川の様子などを確認しながら災害時に対応するオペレーションルームを整備します。また、緊急輸送道路の世田谷通りに面し、広域避難場所に指定されている上用賀公園では、平時はスポーツの拠点、非常時には全区的な防災拠点として活用できるよう拡張事業を進めてまいります。

加えて、危機管理体制の強化において、令和5年11月に危機管理監を新設しました。災害時には、災害対策本部長の私のもと、副本部長として予測不可能な被害に対応するため、消防の経験を活かし、区の資源を効果的に投入し、また外部からの支援を受けられるよう調整する責任者となります。また、避難者支援の生命線である物資輸送・供給体制を確立するため、被災地等での物資輸送等に携わった経験やノウハウを有する退職自衛官を、物資供給担当の副参事として令和6年1月から任用しています。 

地域防災力の向上

地域防災力の向上

それでは、令和6年度当初予算(案)の詳細についてご説明します。

まず「地域防災力の向上」として、地域特性に応じた取り組みを強化していきます。世田谷地域では、大規模住宅が多いため、マンション特有の課題に対する取り組みが必要です。北沢地域では、木造密集地域が多く、火災の危険性が高い地域ですので、災害に強いまちづくりの一層の推進が求められます。また、多摩川や中小河川の洪水をはじめ、国分寺崖線を有する玉川地域や砧地域では、震災のみならず水害や土砂災害への対応も必要です。烏山地域では、人口の約半分を烏山地区が占めていることから、まずは烏山地区の取り組みと連携し、幅広い層に対して防災を啓発していきます。こうした地域特性に応じて、集合住宅の入居者や管理組合等への周知啓発、企業連携を図るための講演会の開催や、水害時・震災時の防災マップの配布など、地域ごとに防災対策の強化を図っていきます。

各地域の特性に応じた取り組みに加えて、5地域全体で取り組む対応もあります。まず、「自助・共助の支援」です。指定避難所への活動物品等の配備をはじめ、訓練参加者に在宅避難啓発物品を配布します。また、木造密集地域や火災危険度4以上の地区などにスタンドパイプを設置していきます。

次に、「在宅避難の推進」です。車座集会やタウンミーティングにおいて、「在宅避難」という言葉が浸透していないというご意見を踏まえ、区内約49万の全世帯にチラシを配布し、在宅避難の一層の推進に向けた啓発を図っていきます。

次に、「避難運営のための備え」です。都と区を合わせた備蓄食料、約140万食を区内に保管するため、保管場所の確保を図ります。また、震災時の予備避難所や水害時避難所の運営を強化するため、ポータブル蓄電池などを配備します。

次に、「行政拠点の体制強化」です。28か所のまちづくりセンターに置かれる拠点隊(※注釈)に参集する職員への寝袋や携帯トイレの配備、停電時への備えとして、拠点隊でポータブル蓄電池13台を配備するほか、ガソリン車からEV車に変更するなど、行政拠点の対応を強化していきます。

(※注釈 災害対策本部態勢において、各災対地域本部に属する地区単位の活動組織)

次に、在宅避難のさらなる推進として、これまで発災後の復興・復旧に資するものとしていた「災害対策基金」の使途を、災害への備えや災害前の体制整備まで拡充し、携帯トイレやテント、ベッド等の備蓄を進めるなど、より有効かつ柔軟に活用していきます。また、「(仮称)災害時物資輸送計画」を策定し、災害時における国・都・他自治体等からの支援物資の受領をはじめ、避難所への物資供給までを確実に実施できる体制構築に取り組んでいきます。

そして、これまで、昭和56年5月以前に建てられた、いわゆる旧耐震基準の木造住宅を対象に実施してきた耐震化支援について、震災による被害の更なる軽減を図るため、平成12年5月までに建てられた在来軸組工法の木造住宅を、新たに耐震化支援の対象とします。木造住宅の耐震化支援として、無料の耐震診断士派遣において旧耐震で120件、拡充の新耐震に20件、耐震改修工事費への助成としては、旧耐震で20件、拡充の新耐震においては初年度であり、診断から改修に至るまでにある程度の時間が必要なことから、まずは1件として予算を充てております。拡充対象への予算は879万7,000円を予定しています。

さらに、令和5年度補正予算による緊急対応として、全区民に、防災用品に特化したカタログギフトを配布します。今般の能登半島地震や令和6年度からの地域・地区の区民の皆さんの声を踏まえて、各家庭での災害時への備えを支援するとともに、皆さんの防災意識のさらなる向上を図るため、令和5年度補正予算による緊急対応として行うものです。配布対象は、基準日時点で住民基本台帳に登録のある区民の方とし、1人あたり3,000円相当のポイントを世帯主に対し付与します。なお、本事業はいち早く区民の方へカタログギフトをお届けするため、令和5年度の補正予算対応としておりますが、令和5年度から着手し、なるべく早期にこのカタログが区民のもとに届き、物品に変えられるよう進めていきたいと思います。 

環境・くらし

脱炭素社会への取り組み

区では、昨年度策定した「世田谷区地球温暖化対策地域推進計画」に基づき、区民、事業者とともに脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めています。

まず、「省エネ・再エネポイントアクション事業」についてです。この事業は、脱炭素社会への意識啓発のため、平成27年度から実施しています。令和6年度は、家庭や事業所で電気やガスの使用料削減に取り組む「省エネコース」、再エネ電力メニューへの切り換えに取り組む「再エネでんきコース」の2つのコースを実施します。参加した方は結果に応じて「省エネ・再エネポイント」を獲得し、そのポイント数に応じて、せたがやPayポイントを付与します。この事業をきっかけに、より多くの家庭や事業所の皆さんにCO2削減の意識が高まっていくことを期待しています。

次に、「脱炭素地域づくりの推進」についてです。家庭部門の脱炭素化、特に電力の再生可能エネルギーへの転換による脱炭素化に注力し、先進技術やサービスを持つ事業者と提携することで、地域課題の解決とともに脱炭素化の実現につながる取り組みを構築し、全区に展開してまいります。事業実施にあたり、国が進める脱炭素先行地域制度に応募し、最大限活用してまいります。

次に、「エコ住宅補助金」についてです。住宅都市世田谷におけるCO2削減に一層力を入れるため、省エネ・再エネ機能を備えた住宅改修に対して補助するものです。特に開口部である窓の断熱は大変効果的なことから、二重窓、二重サッシ、複層ガラスに替えることや、エネルギーの創出として、太陽光発電システム・パネルや蓄電池の設置などのメニューを活用いただき、区民・事業者とともに住宅における脱炭素化を推進してまいります。

次に、「電気自動車用充電器の設置」についてです。公共施設における電気自動車(EV)の充電器のインフラ整備を進めるため、令和5年7月の公設によるEV充電器の設置に加え、官民連携による民設民営方式を取り入れ、令和6年度は2か所の整備拡大を図ってまいります。民間事業者との連携により、EV充電設備の整備や充電スポットを区民周知し、ゼロ・エミッション・ビーグル(ZEV)の利用促進に向けた取り組みを加速させてまいります。 

「世田谷区地域経済発展ビジョン」に基づく取り組み

令和6年4月に「世田谷区地域経済発展ビジョン」という新たな経済産業計画の策定を予定しています。このビジョンでは、「地域経済の持続可能な発展」の実現のため、経済的発展に加え、社会課題や地域課題の解決など、非経済的価値の重要性を認め、両立する取り組みを推進していきます。コロナ禍を経て、区内事業者にも地域や社会課題に対する意識が高まりつつある中、これを担う事業者等を後押しする仕組みや支援の促進の一つとして、補助金制度を創設し、社会・地域課題の解決や地域の活性化を図るソーシャルビジネスに対して、補助を行います。また、公共的役割やまちの賑わいに貢献し、地域産業の基盤でもある商店街においては、担い手の高齢化や空き店舗の増加などの課題に対する取り組みとして、地域の人材や資源を掘り起こし、地域経済活性化を目指すエリアリノベーション事業を実施し、商店街等エリアにおける魅力の再創出を図ります。 

都市づくり・みどり

千歳烏山駅周辺街づくり

区は、都や京王電鉄とともに、京王線の連続立体交差事業に取り組むとともに、駅周辺の街づくりにも積極的に取り組んでいます。千歳烏山駅周辺地区は、区の都市計画マスタープランで「主要な地域生活拠点」に位置付けており、区北西部の拠点として更なる発展を目指し、街の将来像である「地区計画」を定め、住民と連携して街づくりを推進しています。主な取り組みとして、駅周辺の商店街連合会に設置された街づくり委員会では、目指すまちの姿を「ちとから・まちづくりデザイン」として取りまとめ、実現に向けた活動が進められています。また、区が事業を進めている駅前広場を含む南側地区では、駅周辺が大きく変わっていくことなどを捉えて、地権者により、市街地再開発事業を活用した街づくりの検討が進められ、令和4年度、再開発準備組合が設立されました。現在、事業化に向けた取り組みが進められています。区は、こうした機運をしっかりと捉え、活動の支援や連携を積極的に行い、駅周辺のさらなる魅力向上を目指し、街づくりに取り組んでまいります。 

大規模公園整備の取り組み

現在、区では、3ヘクタールを超える大規模公園の整備を、3つの公園・緑地で進めています。まず、玉川野毛町公園拡張事業についてです。開園前からオープンスペースや樹林地での活動の試行やデザインの検証を繰り返し行うことで、みどりの将来像や実際の公園利用を見据えた質の高い公園整備の検討を進めてきました。区民の参加と協働で作り上げた設計をもとに、現在、1期工事に着手しています。これまでの区民活動を踏まえ、事業者と住民協働による公園運営の参画も検討しており、令和7年度末の全体開園を目指しています。

次に、上用賀公園拡張事業です。先ほど少し触れましたが、令和5年度に策定した基本計画により、防災、みどり、スポーツの3つの要素を調和・連携させる方針のもと公園づくりを進めていきます。スポーツ施設では、全区的なスポーツ大会の開催やパラスポーツ推進の拠点としての体育館を整備するとともに、既存樹木の保全や公園と住宅が調和した地区の形成に配慮していきます。また、この拡張用地が緊急輸送道路である世田谷通りに面していることから、大規模備蓄倉庫や物資集積場所、ボランティア等の活動拠点等、災害時を想定した区の防災拠点としての機能を備えます。令和6年度はDBO方式による整備・管理運営事業者の公募選定に向けて準備を進めるとともに、地域の皆さんに親しまれる公園を目指し、引き続きオープンパークを開催してまいります。

最後に、(仮称)北烏山七丁目緑地事業について、計画地は烏山寺町という、お寺が多く集まっているエリアに近い場所にある樹林地で、周辺の社寺林とともに地域の豊かな生態系を保障している重要な緑の場所となっています。近隣の皆さんが長く親しんできた空間でもあります。20年ほど前に民間事業者に売却され、宅地開発が予定されていましたが、地域の皆さんからは、何とか区で買い取って保全して欲しいとの要望をいただいており、熱心な署名運動なども繰り返されていました。区では、「世田谷みどり33」の実現を目指して、烏山地域に残る貴重な樹林地である本地を取得し、新たなみどりの拠点として整備します。合わせて、地域の防災性向上などのため、グリーンインフラの推進や地先道路整備を行います。令和5年度に、緑地整備の基本的な考えとなる基本構想を策定しましたので、令和6年度からはワークショップにより地域の皆さんとの意見交換を行い、どのように樹林地の保全をしていくか、住民参加で話し合っていくという取り組みを始めていきます。

地域行政・DX

地域行政推進計画に基づく取り組み

地域の実態に即した、参加と協働のまちづくりを展開するため、各地区・地域の特性を踏まえ、区民ニーズを的確にとらえて、政策や施策を組み立てていく必要があります。

令和5年度の車座集会とタウンミーティングでは、様々なご意見をいただきました。このご意見を踏まえて、地区では、地区アセスメントによって課題を明らかにし、また、総合支所を置く地域が地区を総括し、地区を跨る地域の課題や取組みを、新たな地域経営方針としてまとめています。

令和6年度は新たな地域行政推進計画のもと、地域行政の目的である「地域の実態に即したまちづくり」をさらに進め、身近な地区・地域の課題解決に幅広い世代の参加と協働により取り組んでいきます。具体例のひとつとして、車座集会で複数の方から、子どもたちが身近なところでテスト勉強や学校の宿題、受験勉強など自習・学習に使える場が少ないという意見がありました。そこで、区民センターや地区会館等の利用率などを調べ、先行して試行的に区民センターや、地区会館の会議室などを子どもたちの勉強のスペースとして開放する可能性を検討していきたいと考えています。こうした様々な課題に対する解決策を進めていきたいと思います。 

デジタルデバイド対策

急速なデジタル化が進む一方で、必ずしも高齢者に限られたものではありませんが、デジタル化に対応していくのが難しいという高齢者を中心とした区民への支援を推進するために、28か所のまちづくりセンターで「地区でのスマホ講座」や視覚障害者や聴覚障害者の方に向けたスマホ相談会も開催します。デジタル化が急速に進展する社会状況の中で、誰もが暮らしやすい地域社会を実現するために、しっかり力を入れていきたいと思います。 

健康・福祉

せたがやデジタルポイントラリー事業

コロナ禍による外出自粛により閉じこもりがちだった高齢者の外出を促進し、健康寿命の延伸や持続可能な介護保険制度に資することを目的に、令和5年10月2日から令和6年3月29日まで区内3地区を対象として、試行的に実施し、令和5年末までで245人が参加し、約40%の方の外出頻度が増加しています。令和6年度は試行事業の状況を踏まえて、区内28地区に拡大して実施することにしました。

参加者は専用のアプリをダウンロードしたスマートフォンを持って、区内280か所に設置したラリースポットを訪問し、ポイントを貯めていただきます。貯まったポイントは、50ポイントごとに500円分のせたがやPayのコインに交換することで、せたがやPay加盟店で買い物することができます。参加対象は65歳以上の区民で、定員は4,200人としており、説明会や相談会を地区ごとに開催し、スマートフォンの操作が苦手な高齢者にも参加いただけるようにサポートしていきます。今後のスケジュールは、令和6年8月から、区のおしらせやホームページ、ポスター、チラシ、説明会などで高齢者に周知するとともに、9月2日から電子申請などで申込みを開始し、10月1日から事業を開始します。 

手話を使いやすい環境の整備等の推進

区議会第4回定例会において「世田谷区手話言語条例」が成立しました。この条例により、区民に言語としての手話の認知・理解を深めてもらい、手話を必要とする方の権利が尊重される地域共生社会の実現を目指していきます。来年度はスマートフォンやタブレットを使った遠隔手話通訳の導入や、区役所の手話通訳者の待機時間拡充、手話体験教室の拡充などにより、手話の理解や普及、手話を必要とする当事者が手話を使いやすい環境の整備を推進していきます。 

補聴器購入費助成事業

聴こえに関する支援として、「中等度難聴者のための補聴器購入費助成制度」についてです。身体障害者手帳に該当しない中等度難聴の方や片耳のみが高度・重度の難聴の方で、聴力の低下により周囲とのコミュニケーションが難しくなっている方がいらっしゃいます。そうした難聴の方々が適切に補聴器を装用することで、聴覚のバリアフリーを進め、就学における人間関係の構築や就労のための円滑な意思疎通、高齢者の認知機能低下の防止など、ライフステージに応じた生活の質を高めることを目的に、補聴器の購入に要する費用の一部を助成します。現在は18歳未満の中等度難聴の児童を対象とした補聴器助成を行っていますが、これを高齢者までの全世代に拡充していきます。成人は助成額5万円とし、大学等の在学者については助成額を最大13万7,000円とする特例を設けて、学業に専念できるよう支援します。 

教育

多様な学びの場や居場所の充実

全国的な傾向でもありますが、区では、不登校の児童・生徒の数が令和4年度で1,540人となり、直近5年間で1.87倍と増加傾向にあります。不登校の児童・生徒に対する支援を、学校が組織的・継続的に行うため、教職員共通の対応の指針となる「不登校支援ガイドライン」を、令和6年3月に策定します。不登校の未然防止や早期発見・早期対応、長期化した場合の支援など、各段階における対応の指針に基づいた取組みを推進していきます。

そうした中、学びの多様化学校(不登校特例校)分教室「ねいろ」の指導体制の充実として、現在、世田谷中学校の分校として、一人一人のチャレンジ意欲や個性を伸ばす教育活動を行っています。令和6年度は、指導体制の充実に向けて、区独自で会計年度任用職員の教員を配置します。また、令和7年1月から、学びの多様化学校分教室「ねいろ」における給食提供も開始します。

また、学校内の居場所を作ろうということで、学校に登校しているが、様々な事情から教室に入れず、保健室など別の場所を居場所としている児童・生徒への支援を目的として、区では「ほっとルーム」というスペースを設けています。その整備として、令和6年度は、現在の15校から60校に、令和7年度には全校へ展開できるよう、受け入れスペースの確保に係る環境整備を進めていきます。

続いて、「ほっとルームせたがYah!オンライン」についてです。令和5年度より、不登校及び不登校傾向のある児童・生徒を対象にタブレット型情報端末等を利用したオンラインによる支援を実施していますが、令和6年度から新たにメタバース環境も導入し、アバターを活用して、より気軽に参加しやすい環境を整備することで、支援の拡充も図っていきます。 

グランドビジョンに基づく子ども・子育て支援の充実

子どもの意見表明

子どもたちの「こんなことしたい、やってみたい」を応援するために、子ども基金を活用し、子どもたちの意見表明と、地域社会での自発的な活動を支援する事業をモデル実施します。

区内在住・在学・在勤の小学校1年生から18歳までの子どもで構成する団体を募集し、子どものアイディアから生まれ、子どもが主体となり区内で活動する費用の一部を、1団体20万円を上限に助成します。子どもたちが発案し、子どもたち自身で中身を作っていく、主体的な活動を応援します。

次に、児童相談所が関わる子どもの権利擁護についてです。

令和6年4月に施行される改正児童福祉法で、一時保護所や児童養護施設に入所中の子どもなど、児童相談所が関わる子どもの権利擁護の仕組みとして、意見表明等支援事業が法定化されます。区では令和6年度より、一時保護所から段階的に事業を実施していくことにしました。子どもに寄り添った立場である意見表明等支援員、いわゆる子どもアドボケイトが区の一時保護所や児童養護施設等へアウトリーチ、または子どもなどからの要請を受けて、子どもの生活の場に赴き、子どもの意見形成や意見表明を支援して子どもに代わって意見を代弁して伝えるなど、児童相談所が関わる子どもの意見表明権を保障していきます。 

子ども・子育て関連施策の充実

次に、ファミリーアテンダント事業についてです。

区では、在宅で子育てをしている家庭が多く、また日常的に子どもを見てもらえる親族や友人・知人が少ないことから、特に孤立しやすいとされる0歳児を育てる家庭への見守りや孤立防止に向け、区内在住の5か月から11か月の子を持つ子育て世帯へ、月1回の定期的な家庭訪問等により、日常的な困りごとや悩みの早期把握、児童館やおでかけひろばへのつなぎをはじめとする地域の子育て支援情報を提供し、訪問1回当たり、子どもの支援用品に利用できる3,000円相当の電子チケットを配布します。あわせて、地域の民間団体等と連携して、子育て世帯の不安や悩み、ニーズに寄り添う伴走支援を実施することで、子育て世帯の孤立防止と地域で見守る支援を強化していきます。

続いて、私立幼稚園等保護者負担軽減補助の拡充についてです。

少子化や物価高騰等の社会状況の急激な変化により、私立幼稚園の保育料における家計負担が増大していることから、在園児の保護者に対して入園料や保育料等の補助額を拡充し、保護者負担の軽減を図ります。入園料補助金は、年間上限額を1人当たり9万円から1万円引き上げ10万円に、保育料補助金は、月額上限額を1人当たり2万9,500円から1,500円引き上げて3万1,000円とします。

次に、特別支援教育事業費補助の拡充についてです。

区では未就学児の人口が減少していく一方、発達に課題のある幼児は増加している現状を踏まえ、教育環境を整備し、障害児の受け入れ促進を図り、障害児が在籍する私立幼稚園等への補助を拡充していきます。これまで対象園への補助額は、都の補助制度も併用し、障害児の入園期間が1年間である園では、受け入れ児童1人につき年額10万円としてきましたが、障害の程度に応じた段階的な補助額に拡充します。新たな補助制度では、障害の程度が重い園児を受け入れた園に対して、園児1人につき、これまでの年額10万円から49万2,000円の補助とします。障害の程度が比較的軽い園児を受け入れた場合は、園児1人につき、これまでの年額10万円から、年額23万7,000円の補助とします。

未就学児の定期的な預かり事業についてです。

区内には、在宅で子育てをしている0歳児から2歳児の家庭が多く、また、日常的に子どもを見てもらえる親族や知人が少ないという状況があります。この点を踏まえて、在宅子育て家庭の育児負担や子育て不安の軽減を図るとともに、多様な関わりの中で、様々な体験・経験を通して、子どもの健やかな成長を図ることを目的に、都の制度を活用して、保育所等の空き定員や空きスペースを活用し、保護者の就労等の有無にかかわらず、未就園児を一定期間お預かりする事業を実施します。対象者は、保育園などの特定教育・保育等を利用していない0歳児から2歳児で、対象施設により受け入れ年齢は異なります。実施対象施設は、私立保育園、私立認定子ども園、地域型保育事業、認証保育所、私立幼稚園とします。

なお、原則として私立保育園等では2か月のお預かり、認証保育所や私立幼稚園では2か月以上のお預かりとし、週何回の利用とするか、1回当たりの時間等の詳細は、施設ごとの受け入れ態勢を踏まえて、運営者と協議して決めたいと考えています。

次に、一時預かり利用者負担軽減事業についてです。

令和6年4月の児童福祉法改正に伴い、国の低所得世帯等を対象とした一時預かり負担軽減事業が開始されます。区では本事業を活用して、低所得世帯等の利用者負担を軽減することにより、一時預かり事業の利用を促進することで、在宅子育て家庭の負担軽減を図るとともに、子どもの健やかな成長を支援します。対象世帯は、特定教育・保育等を利用していない生活保護世帯、住民税非課税世帯、年収360万円未満世帯のほか、要支援児童のいる世帯です。軽減額は1日当たり最大で3,000円です。 

生活困難を抱える子どもと家庭への支援

生活保護世帯の子どもが、大学・専門学校等に進学する場合、該当の子どもは生活保護の適用から外れて世帯分離することとなり、世帯の生活保護費が減額になるという現状があります。例えば、兄弟がいる2人親家庭では、保護費として支払われる約4万円が、世帯分離することで減額し、ひとり親家庭では約5万円の減額となります。つまり、進学により生活保護の枠組みから外れてしまいます。

公立・私立ともに学費が上がる中で、どの家庭でも進学費用の工面は大変だと思いますが、生活保護世帯では、すでに厳しい状況から、収入が約4万から5万円減額になります。親に迷惑をかけたくないという思いが生じるからではないかと思いますが、生活保護世帯の子どもが大学等に進学するか考える際に、約6割が世帯の生活保護費の減額が「影響した」と回答している国の調査結果もあります。このことが、生活保護世帯の子どもの大学進学率が低いことの原因の1つとして考えられます。国の「高等教育の修学支援新制度」により、授業料の一部減免を受けることができるようになりましたが、大学の学費が平均120万円ほどかかる中、残りの学費及び生活費を学生自身がアルバイト等で捻出しなければならない現状があります。

こうした現状に鑑み、区として、国の制度の狭間にあり、困難を抱えている生活保護世帯出身の若者の大学等高等教育への進学支援及び中退防止を図るべく、給付型奨学金を開始します。特に成績要件はつけていません。対象者は、区内在住の生活保護世帯出身で、大学等の高等教育に進学する若者です。給付内容としては、上限50万円の学費、教材費・通学交通費は実費で支給します。生活保護のケースワーカーとの連携のもと、対象者に周知するとともに、世帯の状況に応じて申請手続きをサポートしていきます。今回の給付型奨学金の創設について調べてみると、以前には高校進学も認められていなかったようです。しかし、高校進学率が上がるにつれ、1970年(昭和45年)以降は世帯分離しないで通学することが認められました。国等の奨学金があるとはいえ、生活保護世帯の子どもの大学・専門学校への進学に経済的なブレーキがかかっているような状況を改善したいと考えました。

続いて、こちらも生活困窮の子どもと家庭を支える学習・生活支援の拠点事業「まいぷれいす」についてです。

生活困窮世帯の子どもの成長と家庭の安定に向けた学習生活支援の拠点事業(愛称「まいぷれいす」)を令和3年8月より区内北部の烏山地域で実施しています。「まいぷれいす」では、学習・生活習慣に課題を抱えている中学生を対象に、週5日、夕方から夜にかけて居場所を提供し、学習支援や生活支援を行うことによって、経済的な困窮或いは、養育困難、虐待等のリスクがある家庭の子どもが、自分の自信を取り戻して、地域で安定した生活が送れるようになることで、子どもの貧困対策の推進に加えて、児童相談所設置区におけるセーフティーネットの強化としての機能も担っていることが、運営の中で明らかになりました。

このような場があることで、児童相談所から見ても、非行等、或いは色々な問題を抱えている中学生年代の子どもたちが「まいぷれいす」に通うことで安定した、また高校に進学できたといった実績が出てきています。そのため、令和6年6月より、区内南部の玉川地域に2か所目を新たに開設します。中学生一人ひとりに寄り添いながら、自ら生きる力を育むとともに、子ども家庭支援センター等との連携のもと、その保護者が抱える困りごとへの相談にも対応していくことで、地域のセーフティーネットとして、子どもをしっかり支えていく役割を果たしていきます。 

新たな行政経営への移行実現プラン

さて、この間に社会状況は急激に変化してきました。行政ニーズも複雑化しています。また、高度経済成長期に建築された区の公共施設や学校も老朽化し、対応期限を迎えつつあります。改築・改修・修繕や災害への備えも同時に行っていかなければなりません。

相当量の工事の発注や点検、監督などしなければならない業務は多くある一方、職員数など区の資源には限りがあり、これまでの仕事の進め方では対応しきれないことも想定されます。こうした厳しい展望を踏まえ、令和6年度を初年度として、令和9年度までの4年間を計画期間とする「新たな行政経営への移行実現プラン」を策定し、これまでの削減一辺倒の行政改革から、区役所全体で業務の再構築や組織と仕事のあり方の変革に視点を移して、持続可能な自治体経営を作っていきたいと思います。

これら新たな取り組みの構築に、「ヒト・モノ・カネ・情報」といった資源を先行投入するなど、体制を整え、成功事例を全庁に横展開し共有する仕組みを作ることによって、他業務への広がりや、職員に区民目線での改善を自分ごととして実施するよう促すなど、さらなる相乗効果を図っていきます。

最後にプランを実現するにあたり、5つの到達点を定め、102の取り組みをまとめました。プランに基づき令和6年度予算に7億6,000万円を計上し、令和6年度から令和9年度の業務時間約14万3,000時間の削減を見込んでいるところです。ここで生み出す職員の時間を企画立案などの「新たな仕組みづくり」や相談業務支援など「区民目線からのサービス利便性の向上」などにあて、区民福祉の向上、時代に即した新たな視点による区民サービスの実現を推進していきます。

なお、このプランは、絶えず見直し、随時取組みの追加や修正を行うことで、その時々の社会状況や事業の進捗を反映した機動的な対応を図っていきます。

質疑応答

  • 記者

防災に関する予算について、前回の会見時、能登半島地震を受けて強化すると発言されていた。今回、スタンドパイプ設置やベッド配備を行っていくという話もあったが、能登半島地震を受けて、どのような思いで今回の予算を組んだのかお聞かせいただきたい。 

  • 区長

予算編成は12月に詳細を詰め、1月に最終的な予算案を編成する流れである。車座集会やタウンミーティングで「一番に防災力の強化をして欲しい」という声が多くあり、これを予算の柱とすることは12月の段階ですでに決めていた。ただ、1月の能登半島地震を受け、取り組みのスピードアップや量的拡充をさらに進める必要があるということで、現年度補正予算による防災用品のカタログギフト配布事業なども合わせ技で実施していくこととし、できることを全てやるという姿勢で今回の予算を編成した。 

  • 政策経営部長

12月時点ですでに「防災」を基軸とした予算編成とすることは考えていたが、1月1日の能登半島地震を受け、区長からさらに、との指示を受け、一層の強化を図った。特に在宅避難を推進するためのカタログギフト配布について、しっかり予算をかけて在宅避難を支援したいと考えている。在宅避難においては備蓄が重要だが、区民意識調査で「何日分の備蓄をしているか」を尋ねたところ「1~3日分」と回答した方が64%であった一方、1割以上の方が「備蓄をしていない」と回答しており、この改善にも区としては力を入れて取り組みたいと考えている。 

  • 記者

防災面では「ペットの避難」という課題もあり、他区ではペットの避難支援に重点的に取り組んでいるところもある。世田谷区は人口が多いため、ペットの数も多いかと思う。今回の予算案には盛り込んでいないかもしれないが、世田谷区で行っているペットへの配慮等があればお聞きしたい。 

  • 危機管理部長

区ではペット同行避難を軸にしている。様々な事情をお持ちの避難者の方々に対応できるよう、各避難所の運営組織が、実際に避難所を開設・運営する際の「避難所運営マニュアル」において、ペット同行避難の考え方や対応についてきめ細かく掲載するなど、これからも進めていきたいと考えている。 

  • 記者

2点お尋ねする。1点目に、「多様な学びの場や居場所の充実」事業で、いわゆる不登校児の支援がかなり手厚くなっているように思うが、ここにかける区長の思いをお聞きしたい。2点目に、生活保護世帯出身の大学生等への給付型奨学金について、92万区民の中で対象人数はどれくらいか。また、ここに注目したのは貧困の連鎖を断ち切るというような趣旨があってのことか。この事業を実施することとした理由などお聞きしたい。 

  • 区長

「不登校特例校」は「学びの多様化学校」に名前が変わり、一般の学習指導要領よりも柔軟なカリキュラムを組むことができるということで、区でもすでに1か所を分教室として運営している。

この不登校問題で陥りがちなことだが、不登校の受け皿として、区では公設民営のほっとスクール希望丘、城山、尾山台があるが、希望者が多くなかなか入りきれずに入室待ちとなっている。不登校特例校でも、人気が高まってくると入りきれなくなり、また増設していくことが考えられる。各学校にほっとルームを作り居場所の提供も進めていくが、もう1つ大事なのは、行って楽しく学べる学校に変わっていくという視点だと考えている。

学びの多様化学校では、子どもたちの内側にある創造性や知的な興味、冒険・挑戦への意欲など、そういうものをしっかりと引き出していけるような学びが必要だと考えている。区民公開で開催している「総合教育会議」でも、そのような場を作っていこうという方向性が出ているところである。

不登校の子どもたちが通える既存の場所をよりよくする、不登校ではないが教室には入れず校内のほっとルームには行けるという状態を改善していくといったことはもちろんだが、不登校の子どもたちがどんどん増えるので次々と受け皿を作るということでなく、学校の場においてより多様に学べるということ、学校全体をそのような場とすることも考えていかなければならない。教育委員会では、令和6年度からの新たな教育振興基本計画をまとめているところである。 

  • 教育総合センター長

区長が申し上げた通り、不登校の子どもたちを減らすという視点ではなく、不登校になる子どもたちを出さないという視点で、魅力ある学校での教育改革を図るための学びの多様化の実践を起爆剤としたいと考えている。

  • 区長

生活保護世帯出身の大学生への給付型奨学金について、まず、以前の記者会見でも紹介したが、児童養護施設退所者等の若者への給付型奨学金の給付上限を50万円に拡充している。この世田谷区児童養護施設退所者等支援事業には全国からも応援をいただいており、すでに約2億7,000万円の寄附をいただいている。児童養護施設、社会的養護の枠組みの中から進学するということについては相当程度拡充できた。

一方、進学が困難と言えば、生活保護世帯の若者への支援はどうなのかという議論が議会でも出た。生活保護世帯以外にも生活の困窮により進学が困難な若者たちもいるが、生活保護制度は、大学や専門学校への進学を前提とした制度ではない。世帯分離しなければ進学できず、世帯分離すると分離する前の世帯では保護費が減額されてしまう。

今日の子どもファーストや高等教育の無償化といった施策により、国も努力していることは確かだが、制度の隙間で進学を諦めている若者たちがいる。そこをカバーする制度を作り、過去に高校進学を是としたように区切りを変更してほしい思いはあるが、言うだけでは変わらない。まずは区内の対象となる若者への支援を開始しようということである。

  • 子ども・若者部長

対象者は来年度予算で60人を想定している。在学中の方、新たに進学を見込まれる方を合わせた人数である。

  • 記者

生活保護世帯出身の進学希望者への支援について、この取組みは全国的にも珍しいのか伺いたい。

  • 区長

生活保護世帯も含んだ奨学金は23区の中でも存在する。ただ、成績要件を設けている自治体が多く、成績要件を設けずに包括的に支援する自治体は、23区に限らず他自治体についても調べているが、現段階では見つかっていない。

  • 子ども・若者部長

生活保護世帯対象に成績要件を設けずにとなると、23区には無いと聞いている。担当所管部においてホームページ等で確認した限りでは、名古屋市で生活保護家庭の大学進学に年2回、5万円ずつ給付していることを報道記事で拝見した。

  • 記者

冒頭あいさつで言及のあった、区内の認可外保育施設における重大事故件に関連して、認可外施設であり、立ち入り調査を年に1回実施しているとのことだが、認可外施設における課題や問題点など、区長として考えていることはあるか。

  • 区長

生後5か月に満たない赤ちゃんが亡くなられたということで本当に痛ましい事故だったと思うとともに、絶対に繰り返してはならないことだと思っている。認可と認可外の区分けについて、区では、認可保育園を相当程度整備してきた。すべて私立認可保育園で、全国各地で保育園を経営している事業者が運営している保育園を視察し、保育に望む園の姿勢、言葉がけや子どもの尊厳や人権を尊重しているかなど様々なチェックを行い、基準を満たさない園はお断りするなど、保育内容の確認と審査を行っている。認可外施設について、今回の事故があった園は、平成12年もしくは平成13年に、当時は都の窓口で認可外の申請をされたと聞いている。令和2年からは、区が児童相談所を有していることから、現在は認可外の申請も区が受けることとなっている。

区の児童相談所開設前は、都が立ち入り調査もしてきたが、都内の施設数が多く、毎年必ず行うところまではいかなかったとも聞いている。区内には認可外保育施設や認証保育所、企業主導型保育所が相当数あるが、区では、2人1組で年に1回施設を回り、保育内容等を調査している。今回、保育の専門家にも入っていただき検証委員会を設置し、区としてもっと何をするべきだったのか。或いは、都や国の制度として「認可外」があることから、その安全性や保育内容のチェックについての課題はあるだろうと思う。そうしたことを検証委員会で分析し、区としてやるべきことを明示していただき、その上で、区としてやれることについては全力を挙げたい。今後こういった事故が二度と起きないような体制を組んでいきたい。

  • 記者

今回お子さんを亡くされた親御さんが、認可保育所に複数申し込んだが入れず、認可外施設に入れざるを得なかったという報道もされているが、区では認可園をかなり整備してきていると思うが、今後その辺りの充実を考えているか。

  • 区長

待機児童ゼロを何年か続けて発表してきた。色々聞き取りをしてみると、数年前から認可保育園の0歳児枠に空きが出てきた。保育事業者にとって、保育枠に空きがある状況は経営上、大変だという声があった。認証保育所などには、1歳児保育にスライドしていくようなことを区としても働きかけた経過もある。今回、4月には0歳でも生まれた月によっては認可園すべて埋まっている状態になっていた。認可園に常に入れる状態を作り出すにはどうしたらいいかという課題はあると受けとめている。保育を希望する人が、地域の保育施設で良質な保育を受けることができる体制を作っていきたいと思うが、そこは制度的な問題も今後出てくるかと思う。検証委員会ではそうした議論もしていただきたいと思っている。

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