区長記者会見(令和6年1月11日)

最終更新日 令和6年1月22日

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会見を行う区長
記者会見の様子

令和6年1月11日 (木曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

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PDFファイルを開きます会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。

区長あいさつ

あけましておめでとうございます。2024年最初の世田谷区長定例記者会見を始めます。

今年もどうぞよろしくお願いします。

まず、元日に発生した、最大震度7の令和6年能登半島地震で被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、残念ながら犠牲になられた方々に、謹んで哀悼の意を表します。

被災地では余震が断続的に発生し、現在も救護・捜索活動が続けられ、多くの方が避難所での厳しい寒さの中にあります。多くの方々が一日も早い生活再建への道筋を開けるよう、区としてもできる限りのことをしていきたいと思います。

区では、1月5日(金曜日)に能登半島地震に伴う被災地支援本部を設置しました。災害支援金の受付を開始し、現在、区役所本庁舎、各総合支所、まちづくりセンター、出張所、梅丘分庁舎に募金箱を設置しています。先日、交流自治体の新潟県十日町市から毎年運んでいただく雪でつくられたすべり台などが楽しめる「新年子どもまつり」や「令和6年二十歳の集い」が開催され、そこでも募金にご協力いただきました。募金箱、またイベントで募金いただいた支援金は、区から被災自治体へ直接お手渡しする形で支援したいと思います。義援金については、日本赤十字社が実施する「令和6年能登半島地震災害義援金」をご案内しています。

年頭にあたり、2024年を表す漢字として「生」という一字を選びました。

2022年から続くロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻だけでなく、イスラエルとハマスの軍事衝突が発生し、それに伴うガザ地区への空爆や地上侵攻により多くの市民や子どもたちが犠牲となり危機的な状態にあります。一刻も早い停戦、平和への道を、日本も含めて世界各国が外交努力を尽くして求めているところです。恒久平和は人類共通の願いです。今こそ、平和への思いを一つに、生まれてくる新しい命が安全に紡がれていくことを祈り、今年の一字としました。今年こそ、平和を取り戻す年であることを願ってやみません。

また、2020年1月頃より、世界的に大きな流行となったコロナ禍は収束しつつありますが、気候変動の影響による甚大な自然災害や物価高、人口減少、少子高齢化など地域社会を取り巻く課題は数多くあります。区でも、テレワークなどの活用が急速に広まったこともあって、子育て世代を中心に都市部から地方へ人口が流出する動きもありました。都内の分譲・賃貸における住宅価格の上昇も一因かと思います。区としては、切れ目のない子育て支援を掲げており、引き続き質の高い支援を進めていきたいと思います。他方で、私自身、地方の町並みを見る機会がありますが、この10年でさらに過疎化や商業地の衰退が進み、東京への人口集中と裏表の関係にあると感じています。そうした意味で、災害に弱いという都市の特徴があるなかで、全国の自治体との交流・友好関係を重視して、様々な課題に取り組んでいきたいと思います。

2015年より、区では「自治体間連携フォーラム」と銘打ち、区と交流のある自治体との意見交換を行ってきました。これまで雇用環境、自然エネルギー、災害対策といったテーマで行われ、自然エネルギーについては独立した「自然エネルギー活用による自治体間ネットワーク会議」として自治体交流セミナーの形で、最も多い時には100近い自治体に参加いただきました。この会議では、地方で作られた自然エネルギーを都市部で使うというマッチングを推進する機運醸成に貢献できたと思います。

区ではこれまで、「参加と協働」を合言葉に、区民とともに、あらゆる世代の皆さんが自分らしく生きていくことができるまちづくりを目指してきました。引き続き、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながり、生きがいを持って楽しく生きることができるまちを、皆さんとともにつくっていきたいと思います。

「参加と協働」による公園づくりについても紹介します。この間に報道もしていただきましたが、玉川野毛町公園の拡張事業についてです。

現在の玉川野毛町公園と等々力渓谷に隣接する場所にある国土交通省の宿舎跡地約3ヘクタール弱を区が取得し、大変長い時間をかけて、公園の将来像やデザインついて区民や専門家を交えて意見交換を繰り返し、参加と協働による公園づくりを行ってきました。そのなかで「玉川野毛町パークらぼ」を発足し、区民発意による7つのテーマで16のプロジェクトが企画実施されるまでとなりました。「玉川野毛町パークらぼ」は、現在、毎月第一日曜日に「アクティブDAY」として拡張予定地を開放し、住民発意による様々な活動をされています。

先日1月7日(日曜日)にも、書き初め大会やウェルカムガーデンの手入れ、区民参加の森づくりが行われました。今後2月4日(日曜日)、3月3日(日曜日)にもこうした活動が実施される予定で、公園づくりに力を入れてきた区民グループが、それぞれコーナーやブースを出す予定です。例えば、歴史・古墳地形などの解説や、生きもの調査、キッズパーク(子ども遊び)など、それぞれのグループが活動を披露されます。また、3月下旬には、一部開園イベントが企画されています。

区長として働きながら痛感するのは、公園は100年、200年という未来に向けて残していく、私たちのまちづくりのメッセージであるということです。建物は50年、100年経つと相当に老朽化し、建て替えられていくこととなりますが、公園の寿命は大変長い。そういう意味で、みどりのスペースを作ることは、防災上も大変重要であるとともに、都市の魅力にもなると思っています。

また、区では現在、大きな公園づくりを玉川野毛町公園含めて3件進めているところです。2つ目は上用賀公園で、スポーツと防災両面の拠点として、これから整備を進めていくところです。本日は、もう1つの「(仮称)北烏山七丁目緑地」についてご紹介します。計画地には、雑木林が相当の広さで残っています。以前マンションや住宅開発の計画があったそうですが、この貴重な樹林地を区が数年かけて取得し、今後、緑地として保全整備していきます。2022年度から2023年度にかけて実施した生物資源調査では、400種近い植物、300種以上の昆虫が確認され、生物資源の宝庫だと確認されました。

こちらの緑地についても玉川野毛町公園での取組みにならって、地域住民の方に開いていきます。2023年11月には、秋の紅葉シーズンに合わせて現状のまま開放イベントを開催し、約400人の方々にお越しいただきました。イベントでは、緑地事業や生物資源調査結果のパネル展示やアンケート調査等を実施するとともに、椅子やテーブルを貸し出し、来園者に自由にくつろいでいただきながら、大きく育った樹木など現地に残された自然を感じていただきました。次回は、3月末の桜の季節に合わせて開放イベントの実施を予定しています。

現地開放でいただいた意見や感想を踏まえながら、2024年度以降、地域の方々に参加いただくワークショップや地域の子どもたちと一緒に緑地づくりを考える機会を設けながら、緑地の計画づくりを進めていきます。

区内には樹林や公園・緑地・水辺などが分布し、多数の生きものが生息しています。区では、区民の皆さんが、ご自宅の庭、周辺の公園やその近くなどで生きものを探す「まちの生きものしらべ」を今年度も行いました。多くの小学生を含め、131人の方から2,748件もの報告があり、身近で観察できるアゲハチョウやヤモリ、カマキリ、カブトムシなどを中心に、タヌキやオナガなども含め、区内の各地から様々な報告がありました。取りまとめたものは、3月にホームページで公開する予定です。

街なかに点在するみどりは、生きものがみどりの拠点と拠点を行き来するための経路となる、大切な役割を果たしています。ご自宅の庭やベランダ、店先などで、ちょっとした空間で生きものを呼ぶことができる「ちょこっと空間」を区内に広げていくため、区ではビオトープの作り方なども区公式YouTubeチャンネルで動画配信しており、今後も追加していく予定です。

次に、ふるさと納税について、お話ししたいと思います。

区への寄附は、速報値ですが2023年12月末時点で、すでに2022年度を上回る3億円以上の寄附額となる見込みです。ただ、減収額も年々増加しており、2023年度減収額の約99億円は、一般会計予算の約3%。区民税収の約8%になります。大変大きな金額であり、今後さらに増加するのではないかと強く心配しています。

また、この制度では地方交付税の交付を受けている地方公共団体には4分の3の補填措置があります。ふるさと納税による減収額トップの横浜市は、国からの補填が204億円あるため、実質の減収額は68億円です。名古屋市や大阪市なども流出額は大きいのですが、実質的な減収額では地方交付税が不交付の川崎市、世田谷区がそれぞれ1位、2位となります。例えば、ふるさと納税で高級なワインを4本もらったら、そのうちの3本は国から財源が補填されるというのがこの制度です。令和5年度の補填総額が約3,627億円にもなり、国の財源も大きく圧迫しており、財政制度等審議会でもようやく「これでいいのか」という議論になってきたようです。

ふるさと納税に興味がなくやらないという方、あるいは、ご自身の判断で「地方税は地方に払うべきだからふるさと納税はしない」と仰ってくださる方もいらっしゃいます。大変ありがたい言葉ですが、補填のための3,600億円の原資は国税です。つまり、知らないうちにふるさと納税制度を支える側に回ってしまうような制度になっています。

また、今年度1兆円規模まで拡大したこの制度ですが、100億円を超える増収となっている自治体はごく一部です。地方の町や村にいらっしゃる高額納税者の方がふるさと納税をすることでも影響が出てきます。都市から地方へ財源が移るというだけの話ではなく、その逆もあるのがこの制度です。

さらに、ワンストップ特例制度により、ふるさと納税の利用額は大きく増加しましたが、この制度は、本来国が負担すべき所得税控除分を自治体が肩代わりしており、開始以来、区だけでも累計21億円もの負担となっています。この問題については全国市長会からも是正が求められているところです。

また、ふるさと納税のポータルサイトの手数料の問題もあります。ふるさと納税のポータルサイトは、全国の自治体の取組みや返礼品等が一覧でき、非常に活発に利用され、自治体としても有用なものではありますが、10%前後の手数料が発生し、その内訳等の詳細が明らかになっていない状況に問題があると考えています。自治体や国には、税がどのように使われたのか納税者に説明する義務があります。ふるさと納税の利用額が国全体で1兆円規模なので約10%の手数料だと約1,000億円。区は99億円規模のため約10億円という、大きな支出の中で何に使ったのか1つ1つ検証する作業を、区や区議会でも行っているところです。

区は、これまでの間、ふるさと納税の返礼品競争には乗らず、社会福祉や地域貢献型のプロジェクトへの寄附など、本来の寄附文化の醸成を目指してきました。ただ、流出額が毎年2割程度増加していく状況から、返礼品の拡充に取り組むと、一昨年前に方針を転換しました。以前に紹介した、版画作品などの文化芸術に絡めた品や、とても手の込んだおはぎ、パンやお饅頭など様々な品を出しています。世田谷の魅力を発信していけるよう今後も取組みを進めていきます。

区への寄附の状況としては、2023年12月だけで1億2,600万円ほどの寄附をいただき、昨年2023年の1月から12月までを見ると約4億円でした。一昨年は、2億1,500万円でしたので、2倍近く伸びています。今後も、ふるさと納税制度に対して、国への問題提起や意見は区長会等を通してしっかり述べつつ、区としてできる努力をしていこうと思います。

2月12日(月曜日・祝日)に第7回せたがや国際メッセと、同時開催でホストタウンコンサートを開催します。会場は日本大学文理学部百周年記念館ニューアリーナです。せたがや国際メッセは多文化共生社会の構築に向け、区民が多様な文化を知り・触れることができる、国際交流イベントとして2017年度から始まりました。2023年度は3年ぶりに見本市形式で開催し、2,000人の来場者を迎え、ブースや体験コーナー、ステージとにぎわいました。今回は、20以上の団体が参加し、ブース出展では区内にあるアンゴラ、タンザニア、トーゴ、モザンビーク、ルワンダの各大使館や、NPO、JICA東京などが出展します。また、体験コーナーでは、多言語での絵本読み聞かせや民族ダンス体験としてペルーダンス体験が行われ、ステージでは、和太鼓の演奏や、様々な民族の歌・踊りが披露されます。

区がアメリカのホストタウンであることから、今回初めて同じ会場でホストタウンコンサートも同時開催し、ステージではゴスペルのコンサートを予定しています。このイベントは事前申し込み不要でご来場いただけます。

発表項目

せたがやPayによる臨時消費喚起策の実施について

まず、「せたがやPay」の現状についてです。11月に閣議決定された国のデフレ完全脱却のための総合経済対策への対応として、国の補正予算を裏付けに追加された「重点支援地方交付金」を活用し、区では、世田谷区商店街振興組合連合会が運営するデジタル地域通貨「せたがやPay」への支援を拡充して、2024年2月から5月までの4か月間に渡って、消費下支え等を通した生活支援と区内経済活性化を目的に消費喚起策を実施します。

物価高の影響が長引く中で、区では消費が活発な12月に、せたがやPayによる最大10%のポイントアップキャンペーンを実施し、現在も最大5%還元を実施しています。さらなる臨時消費喚起策として、2月・3月にかけて最大20%を還元、4月・5月には最大10%還元に取組みます。新年度の前に、新生活に向けた準備などで活用していただき、区内経済の活性化に寄与していただけたらと思います。2月・3月、そして4月・5月いずれのキャンペーンも1人あたり月額10,000ポイントが還元の上限です。

「せたがやPay」の取組みを振り返りたいと思います。開始当初は登録店が2,000店舗から2,500店舗の間と伸び悩みましたが、2023年末時点で5,093店舗となり、5,000店舗を突破して、約1年前から400店ほど増えています。

「せたがやPay」アプリのダウンロード数は、2023年末時点で累計約33万8,000件となり、1年前と比較して8万3,000件増加しています。

「せたがやPay」利用額は、2023年末の累計で203億円を超え、200億円規模に成長しています。地域デジタル通貨として、かなり利用されているのではないかと思います。現在は、セブンイレブンなどにあるセブン銀行ATMでの現金チャージに対応していますが、新たにオンラインチャージの導入も予定しており世田谷区商店街振興組合連合会と連携して、今後も利便性の向上に努めて、さらに活発に使われるようにしていきたいと思います。

キャッシュレスによる税の支払いについて

キャッシュレスによる税の支払いについて、区では、区民の利便性向上を図るため、各種キャッシュレス決済サービスを段階的に進めてきました。これまでは、住民税の普通徴収分の納付において、スマートフォンアプリを利用したコード決済対応アプリの取り扱いは5種類でした。

このたび、2024年1月4日から、楽天ペイとファミペイの取扱いを追加して全部で7種類として、キャッシュレス決済のサービスの拡充を図りました。

楽天ペイはスマートフォンアプリを利用したコード決済において、利用率が高いと言われていますので、調整を進めて、ファミペイとあわせて取扱いを開始しました。少しずつ利便性の向上を図っているところです。私からは以上です。

質疑応答

  • 記者

被災地支援について伺う。災害支援金の受付を開始したということだが、現在集まった金額が分かれば伺いたい。また、東京都は都営住宅の100戸提供を予定していたり、文京区では支援物資を届けるなど支援が進められているが、区で何か支援策を検討していれば伺いたい。

  • 区長

文京区は能登町と非常に交流関係が盛んであったことから、すぐに物資を支援したと文京区長からお聞きした。区でまず始めているのが支援金で、私自身も募金を呼びかけた新年子どもまつりでは、親子連れなど多くの方に協力いただき、18万5,000円ほどの支援金が集まった。今後、地域の自治会・町会やスポーツクラブなど、様々な団体が取り組みをされると思う。独自で支援される団体・個人の皆さんや、区の窓口を活用して支援したいという方もいらっしゃるだろう。東日本大震災の際にもこのような支援金の活動に長く取り組んできたので、支援の裾野を広げていきたい。また、私たち自身も街頭で呼びかけるといったこともしたいと思っている。

区職員の派遣についても、しっかり取り組んでいきたいと考えている。東日本大震災の時などは、交流自治体を中心に支援を開始した。今回は、区の交流自治体である石川県小松市へ連絡したところ、区の職員が早急に行かなければならないような被害までには達していないとのことだった。しかし、今回の地震は特に大規模な地震で、多くの家屋が倒壊し、輪島市では大規模な火災も発生しており、道路が寸断され物資の支援だけではなく人的な支援を送るのも困難だそうで、国や石川県には上手くコントロールしてほしいともおっしゃっていた。私の考えだが、自由に交通できる場所にいわゆる支援拠点を設けてはどうかと思う。全国の自治体で、必要ならいつでも行けるというところが多いと思うが、現状東京都では、都の職員がまず現地に入り、例えば保健師の派遣などは23区では輪番制とし、区は17番目行く予定である。

その他にどのような支援のニーズがあるか、能登出身者や友人・親族等に関係のある職員もおり、区として何ができるのか現在リサーチしている段階である。

罹災証明書の発行や屋根にブルーシートを張る人手が足りないという話も出ている。被災者の要望と支援が上手くマッチングできていないのが現状だと思う。できる限り早く、自治体だけでなくボランティア団体も含めて、手伝いたいという人々を整理して需要に結びつけていく仕組みづくりがまずは必要かと思う。また、支援はかなり長期間となると思う。都の住宅提供も含め、旅館・ホテルなどをみなし仮設住宅として提供しようという動きが少しずつ進んでいる。早期に移っていただき災害関連死を防いでほしい。そのあとに、どのような形で住宅を再建していくのかという問題があるが、今回の地震規模では、長期にわたる計画が必要だと思う。そのような中、一旦故郷離れて暮らすという選択をされる方が、今後どのくらい出てくるのか。そうした状況を見ながら、区としてできることだけではなく、23区全体での支援など、復興に向けた長期に渡る支援に努力していきたいと思っている。

  • 記者

区営住宅など、区内のスペースを貸すといったことを今後検討していくのか。

  • 区長

東日本大震災のときには約200戸の区営住宅を確保したが、入居希望者はその倍近くであった。その際、区民の方がお持ちの貸家やマンションを一旦の避難場所として提供いただいた。当時、みなし仮設住宅は8万円ほどで、区内の家賃相場からはかなり低いものであったが、多くの区民の皆さん協力いただき、おそらく100世帯以上に住んでいただいたと思う。現在の都の100戸の提供も含め、被災した方の生活再建のプランの中に、そういった住宅支援が必要だということであれば、直ちに検討したいと思う。現時点ではまだ分からない状況のため準備する体制に入っているわけではないが、情報収集しながら考えていきたい。

  • 記者

区職員を現地に派遣すると言及していたが、派遣時期の目処があれば伺いたい。

  • 区長

熊本地震の際には、区役所内に熊本出身者のグループがあり、熊本市役所の方たちとふるさと区民まつりなどで交流があったことから、すぐに連絡がつき先遣隊として派遣した。ただ、石川県輪島市とその商店街を通したつき合いがあるが、文京区が能登町に支援を行ったような自治体間の繋がりがはっきりとはないのが現状である。そのため、どのような形で職員を派遣することができるのか情報収集中であり、いつ頃という目処はたっていない。

  • 記者

今回の地震を受けて、備蓄品の増強など、区の防災体制を見直すことは考えているか。

  • 区長

今回の地震が起こる前に、28か所のまちづくりセンターでの車座集会、5つの総合支所でのタウンミーティングを行ったが、そこでの話題の筆頭は防災対策の強化であり、特に地域防災力を強化してほしいとの声をいただいた。災害対策の強化という点は、能登半島地震が起こる以前から打ち出したいと思っていたが、今回の地震の規模や避難所の状況をみると、寒い時期に体育館に直接寝るということは、かなり健康リスクを伴うということで、例えば、備品関係で段ボールベッドの増強などを検討しているところである。改めて見直し、てできることを早くやろうと考えている。

  • 記者

来年度の当初予算案を組みなおすという考えか。

  • 区長

まだ来年度予算を組んでいる最終段階であり、後日予定している当初予算案のプレス発表で何らか発表できると思う。

区には色々な魅力があるが、欠点というと災害に弱いところだと思う。人口が多く過密で、木密対策も進んできてるとはいえ、震災時に一旦火災が発生してしまうと、消化するのは困難である。当面の自治体の仕事の大きな部分は災害に備えることだと思う。いつ起こるかわからないのが災害だが、地震や火災、風水害など、どれも今までの常識を超えて備えていくことが必要だと考えている。

  • 記者

(仮称)北烏山7丁目緑地について、区で住民参加の公園づくりを行っている3か所のうちの1つということだが、いつ頃を目途として、最終的にどのような形となることを考えているのか。また、マンションの建設計画などがある中、区が土地を取得したという話もあったが、区長が考えるまちづくりについて一言いただきたい。

  • 区長

玉川野毛町公園では、計画というよりも住民と話し合いながら、何をどうするかも含めて一緒に考えるスタイルで取り組んだ。結果として、ありのままの樹木を活かしたり、でこぼこの敷地を平たんにするだけでなく段差を利用して子どもたちの遊び場にしたりと色々なアイディアが生まれている。

上用賀公園は防災拠点としても整備していく。区役所本庁舎等整備が進んでいるが、完成後も周辺の道路状況を踏まえると多くの車両が行き来する備蓄・物流の拠点とするには限界がある。関東中央病院に隣接していることもあり、防災対策を基本に、世田谷通りに面している上用賀公園の拡張予定地を取得してきた経緯があり、体育館や多目的広場を整備し、災害用の備蓄、また、それを運搬する車両の出入りも緊急時に確保できるように考えている。上用賀公園はその中で、区民の皆さんの意見を聞くという形になっており、玉川野毛町公園での取組みとは少し異なる。

そして、(仮称)北烏山七丁目緑地については、もともと雑木林があり、野鳥も多いすばらしい環境だと近隣の方々が評価されていた。都心部で開発の手がおよんでない土地のため、宅地化の動きがたびたびあった。そういった状況もあり、区で土地を取得してほしいという署名運動が40年前にもあったそうだが、民間のデベロッパーに売却された経過があった。ただ、そうした経過があったことや、区でも諦めずに働きかけてきたこともあり、その土地を区に売っていただけた。そうして今回の公園づくりにつながった。公園が実際にオープンするのは令和10年以降という話になっているが、部分的な利用は、もう少し早い段階で始められると思う。

  • 政策経営部長

区長が申し上げた通り、この土地は、地域住民の方々の声を受けて公園を整備していくため、一緒に計画等を立てながら、具体的にどう整備するか。また、その運営についても議論させていただきながら進めていきたいと思っている。

  • 記者

公園の整備について、区長として思いがあれば伺いたい。

  • 区長

23区内で広い土地が出てくると、どうしても複合商業施設や立体公園の整備という発想が出てくるかと思う。長期的に見たときに賃料を得られるとか開発費を安く済ませられるということはあるかもしれないが、都市資源として、区の1人当たりの緑地率はまだまだ低く、2.9平方メートル程度しかない。この間、他にも公園を作っているが同様に人口も増えており、3平方メートルに届かないという状況のため、もっと引き上げていきたい。

公園のような、潤いのある場所、コミュニティーがつくられ、対話やイベント、出会いがある場所があることで、都市の価値は上がる。10年、20年という長期的な単位で推し量ると、みどりへの投資は必ず住みやすさの評価で返ってくると考えている。まだまだみどりは足りないので積極的に進めたい。区のみどり率は25%に達していないが、33%まで向上させようという目標を立てている。この目標期限まであと8年であり、かなり高いハードルだが、公園づくりを住民の皆さんとともに作り上げる取組みだということを定着させていきたいと思う。説明した大規模な公園だけでなく、小規模なポケットパークなど、小さな子どもたちも利用できる公園も、例えば子育て団体や保護者の方々の意見も伺いながら、みんなの共有資産として整備していけるよう力を入れていきたいと思っている。

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