区長記者会見(令和5年10月27日)

最終更新日 令和5年11月8日

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会見を行う区長
記者会見の様子

令和5年10月27日(金曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。新しいウインドウが開きます

PDFファイルを開きます会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。

区長あいさつ

令和5年度5回目の記者会見を始めます。

まず、区立小・中学校における学校給食費無償化についてです。区では、区立小・中学校給食費の完全無償化を令和6年度も継続します。振り返ると、令和元年10月に学校教育における保護者負担の軽減策として就学援助対象者を拡大し、無償化の範囲を広げています。令和5年度には、物価高騰に伴う緊急的な措置として所得制限を設けずに実施することで給食費無償化を進めてきました。

令和6年度以降については、今秋に判断したいと以前の会見時にも申し上げていました。この間、物価や賃金などの社会経済状況を注視してきましたが、物価の高止まりの状況に加え、少子化対策としての子育て家庭への経済的支援や、義務教育の無償化を一層進めるといった観点からも検討を重ねた結果、令和6年度以降の区立小・中学校給食費の完全無償化を実施することとしました。

なお、学校給食費の無償化は、本来、国が取り組むべき課題であると考えており、特別区長会を通して、国に対して早期の無償化実施を求めています。その検討はまだこれからだと思いますので、実現するまでの間、区として無償化を継続していきたいと考えています。

次は、各地区の皆さんと意見交換を行う「車座集会」についてです。6月24日から9月24日までの期間、全28地区で開催しました。合計で661人の方にご参加いただき、4年前に実施した前回の512人を超える参加人数となりました。

「避難所運営の支援の充実に取り組んでほしい。」、「ふるさと納税による区への影響に伴い、税収減への実効的な対策をしてほしい。」といったご意見が寄せられました。

今回の28地区による車座集会でのご意見を踏まえて、11月には、総合支所を設けている5地域でのタウンミーティングを開催してまいります。11月5日から25日までの間に5か所で行います。5地域共通のテーマとして、「地域防災力の向上」を取り上げるほか、地域ごとにテーマを設定し、ご意見を伺います。一部のタウンミーティングは申込み期限が過ぎていますが、会場に余裕があれば参加受付可能ですので、ぜひご参加いただけたらと思います。このタウンミーティングにおいて、地域の各総合支所の「(仮称)地域経営方針」を策定していく予定です。

次に、ふるさと納税についてです。特別区長会では、令和5年度の「不合理な税制改正等に対する特別区の主張」について公表する予定です。令和5年度の特別区全体での減収は約829億円と昨年度比で125億円増加しており、そのうち約12%を世田谷区の減収額が占めています。ふるさと納税制度により、都市部の自治体財源を圧迫しているだけではありません。例えば横浜市の場合、流出額の額面では全国1位となっていますが、地方交付税交付団体であることから、その4分の3は国から補填を受けています。この国の補填金額が令和4年度に3,000億円を超え、令和5年度は約3,627億円となり、国の財政そのものも圧迫しています。財政制度等審議会においても、ふるさと納税の仕組みについて検討すべきといった議論もなされているところですが、地方自治体の財政を直撃し、国の財政も大きな影響を受けています。地方交付税交付団体における補填のあり方についても、ぜひ議論していただきたい。

もう1つ、ワンストップ特例制度についても再三指摘してきました。本来、国が負担すべき税の減収分を自治体が肩代わりしているもので、早急に是正されるべきだと声を上げていきたいと思っています。また、根本的な税の体系という点で見ても、住民税の支払い額が多い高所得者ほど、ふるさと納税の恩恵を受けるという構造があります。収入が少ない非課税世帯は、そもそもふるさと納税を行うことができません。まずは、ふるさと納税による控除に上限を設けることや、住民税所得割額の限度が2015年に10%から20%に変更されたことで、自治体版通販競争のような状況になったとも言われていることから、もう一度10%に戻すことも含め、ふるさと納税がこれだけ広がり定着した中で、早期に全面的にストップすることはできないまでも、是正するということについては一刻の猶予もないのではないかと考えています。

一方、区への寄附の状況ですが、区でも令和4年からスイーツ等を中心に、返礼品の充実に取り組み始めました。令和5年度も新たにパンやカレー、スイーツなど、さらに種類を増やしています。年末にかけての利用増加に合わせ、随時追加していこうと考えています。

次に、砧モデル地区におけるデマンド型交通の実証実験についてです。都市部においても、バス路線の減便や廃止など深刻な問題になっていますが、区にも交通不便地域があります。鉄道駅から500メートル以上、かつ最寄りのバス停から200メートル以上離れたエリアとしており、現状として区内の約2割を占めています。

そこで、令和5年5月1日より、交通不便対策の具体的な実証試験として、砧・大蔵地区において、利用者の予約に応じて運行するデマンド型交通による実証運行を開始しました。

狭あいな道が多い地域特性を踏まえ、ワゴン車を活用しています。実証運行期間は令和6年4月30日までで、1年間の利用実績を検証し、2年目以降の運行継続につなげ、最大3年間の実証運行を考えています。現在運行日時は、月曜日・水曜日・金曜日の週3日間とし、午前8時30分から午後6時までです。電話または専用予約サイトで予約でき、運行地域内に44か所の乗降地点を設けています。このうち、令和5年9月1日からは、既存のバス停11か所を新たに加え、路線バスとのアクセス向上も図っています。運行区域内には、祖師ヶ谷大蔵駅大蔵駅をはじめ、大蔵運動場や世田谷美術館などもありますので、おでかけの際にはぜひご利用いただけたらと思います。

私もデマンド型交通のワゴン車に実際に乗ってみました。ワゴン車ですがPASMO等の交通系ICも使用可能で簡単に乗ることができ、親子連れや高齢の方が乗りやすい社会的な移動手段だと感じました。「子どもとのお出かけが楽になった。」、「外出が苦になっていたが楽になった。」などの声が寄せられています。ただ、このような便利な交通手段があまり知られていないことから、乗車率はまだ低い状態です。区としても、地元の協力を得て実施していますので更なるPRにより利用促進に取り組んでいきます。

次に、IFLA-APR2023日本大会についてです。国際ランドスケープアーキテクト連盟(IFLA)によるアジア太平洋地域会議(APR)が日本で開催されます。この大会は、一般社団法人ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)が主催し、区も後援しています。気候変動時代の展望と戦略についての国際会議です。本大会では、「Living with Disasters/自然と共に生きていく」をメインテーマに、アジア太平洋地区で活躍するランドスケープアーキテクトの皆さんが参加し議論が交わされます。この国際会議の会場が二子玉川、ライズスタジオ&ホールで行われます。私も開催地の首長として、初日の開会式に出席し、区におけるランドスケープに関わる取り組みについて挨拶させていただく予定です。この国際会議では3つの目標を掲げています。1つ目が「グリーンインフラ」、自然を生かした社会的共通資本の整備としてみどりの量の確保、2つ目が「ウェルビーイング」、自然と共に暮らす幸せな生き方の探求としてみどりの質の確保、そして3つ目が「ランドスケープカルチャー」、地域の自然に根ざした文化と歴史の継承として区民の参加と協働です。これらを柱に据えて、気候変動時代に耐えうる持続可能な社会基盤の実現を目指していきます。大会日程ですが、11月16日から18日までの3日間、基調講演や3つの目標についてのテーマ別セッションが予定されています。最終日には現地ツアーが組まれており、区内の二子玉川公園をはじめ、現在整備中の玉川野毛町公園拡張エリアや下北沢の小田急線上部利用についても見学地として予定されています。世界のランドスケープの専門家たちがどのような問題意識で、世田谷に集まるのかということでぜひ取材いただければと思います。

発表項目

発表項目に移ってまいります。

総合教育会議を踏まえた教育大綱の策定について

まず、区では、総合教育会議での議論を踏まえて、新たな教育大綱を策定します。

現在の教育大綱は、法律の定めに基づいて平成27年に策定しましたが、この間、区民に開かれたシンポジウム方式等で、学びの質の改革を主軸に、ICT教育や非認知的能力、学習指導要領がうたう学びがどのように変わっていくか、または変わっていくべきかといった様々な議論を、教育委員会とともに総合教育会議において多くの学識経験者や現場での実践経験者にご協力いただきながら続けてまいりました。

これまでの議論を踏まえ、今回、新たな教育大綱を策定することとしたものです。教育大綱(素案)については、教育委員との議論の中で、教育委員会が策定する教育振興基本計画と比べて、行政文書らしくなく語りかけるような文章で表現していこうということで作成しています。10月21日(土曜日)の総合教育会議では、この教育大綱(素案)について、小学生、中学生に意見発表をしてもらいました。子どもたちは、事前にワークショップで意見交換しそれぞれの考えをまとめてくれました。

ワークショップでは、兵庫県立大学の竹内和雄教授のファシリテートにより、子ども達が教育大綱(素案)を読んでの感想や共感した言葉などをうまく引き出していただきました。「個性」「学び」「仲間」の3つのテーマに分けた発表では、「一人一人が違って良いもの。意見を否定しないことが大事。」、「生活の中で発見し、興味を持ち、追究する。それを活かし、周囲に伝えることで深い学びが得られる。」「仲間を尊重しながら個性をつなぎ合わせ協力することが大切。」などの意見があり、子どもたち自身が教育大綱をどのように受けとめ、感じたのか聞くことができました。

子ども達の発表の後、私と教育長、教育委員からも子ども達にそれぞれ質問をしました。教育長からの「『子どもは未熟な大人として、くくれない』という部分に共感したのはどうしてですか」という質問に対して、「子どもが大人より知識や技能は劣っても、子どもを一人の人格者として尊重してくれる姿勢が嬉しい。」といった発言がありました。私からは、「新しい教育大綱ができることで、学校や教育が変わると思いますか。」と質問したところ、「大綱ができるだけではすぐには変わらない、一人一人が意識を持つことが大事。」という中学生の意見もありました。

こうした子どもたちの意見も踏まえて、教育長と教育委員とさらに議論を深めました。世田谷の教育の大きな理念を、短く読みやすい表現でまとめた新たな教育大綱の素案は、子どもたちにも身近に感じていただけたのではないかと思います。議論を踏まえた最終的な修正を経て教育大綱を11月に策定します。会議でも多くの区民や学校現場、子どもたちに知ってもらうことが大事ではないかという意見も出ており、区のおしらせやホームページでお示ししていきます。今年施行されたこども基本法の第三条には、子どもに関わる事柄に関して子どもの意見を表明する機会が確保されることをうたっていますので、今回、区の基本的な枠組みとなる教育大綱について、子どもたちの意見が聞けたことを大切にしていきたいと思います。

令和5年度第3次補正予算における区の取り組みについて

ここから、補正予算に関わる諸事業について説明します。

 せたがやPayによる物価高騰対策について

まず、せたがやPayによる物価高騰対策についてです。区では、世田谷区商店街振興組合連合会が運営するデジタル地域通貨「せたがやPay」を活用し、4月から9月まで最大7%還元、そのうち7月から8月にかけては夏の消費喚起策として最大20%の還元キャンペーンを実施し、中小個店、生活者の暮らしを応援してきました。加盟店舗数もどんどん伸びてきており、9月末現在で4,987店舗、おそらく今は5,000店を超えてきたところかなと思います。ダウンロード数は昨年の3割還元キャンペーンのタイミングで大きく伸び、現在の累計は約32万件となっています。また、月間利用者数は約8万人にのぼります。累積利用額については、当初はなかなか利用が広がらなかったのですが、昨年の3割還元キャンペーンを機に大きく広がり、昨年には100億円を超え、現在は累積176億円規模にまで拡大しています。地域のデジタル通貨としては相当な広がりを持つことができたのではないかと思います。

今年度下半期もキャンペーンを継続し、10月から令和6年3月まで最大5%、そのうち消費が活発な12月の歳末期には最大10%還元を行っていきます。

また、せたがやPayはポイント還元による物価高騰対策だけでなく、31万人もの登録者がいることを活かし、区民の皆さんの行動変容のインセンティブとしての活用も行っています。例えば、電気やガスの使用量削減や環境性の高い再生可能エネルギー電力への切り換え等を促進する「省エネ・再エネポイントアクション事業」や、8月の定例会見でもご紹介した、高齢者の介護予防を目的に、現在、区内3地区で試行中の「高齢者外出インセンティブ事業」、これはスマートフォンやICタグを持って外出し、参加者同士がすれ違ったりすることでポイントを獲得できるという取り組みですが、いずれも、獲得したポイントをせたがやPayのポイントに交換できる施策となっています。

さらに、せたがやPayのチャージ方法について、これまでのセブン銀行ATMでの現金チャージに加え、新たにオンラインチャージの導入を予定しています。これは、日本電子決済推進機構が運営する「BankPay(バンクペイ)」との連携によるものであり、今年度中の実装に向けて、現在、世田谷区商店街振興組合連合会と準備をしているところです。

くみん窓口・出張所の窓口改善の取り組みについて

続いて、くみん窓口・出張所の窓口改善の取り組みについてです。

区は人口が多いこともあり、春の時期は転入・転出される方でくみん窓口・出張所の窓口が大変混み合います。この混雑を緩和するため、様々な取り組みを行います。

1つ目は、コンビニ交付手数料の減額です。住民票の写しや印鑑登録証明などの交付を受ける場合の交付手数料について、窓口交付では1通300円、コンビニ交付では1通200円としているところですが、令和6年3月・4月の窓口混雑期間に限り、コンビニ交付の手数料を1通10円と大幅に減額します。コンビニ交付の利用を促進することで、窓口混雑の緩和を図っていきます。

2つ目に、マイナンバーカード電子証明書手続きコーナーの増設です。現在、28か所あるまちづくりセンターのうち、5か所でマイナンバーカードの電子証明書等の手続きを受け付けています。さらに7か所のまちづくりセンターに手続きコーナーを増設し、受付窓口を12か所に拡充します。

3つ目は、申請書作成支援ソリューションの導入です。マイナンバーカードのICチップ情報を利用し、住所や名前等、必要事項の一部を申請書に自動的に印刷できる機器を導入します。令和6年1月に世田谷総合支所くみん窓口に設置し、他の窓口への横展開も検討していきます。

私からは以上です。

質疑応答

  • 記者

2点伺う。

1点目は学校給食の無償化について、令和6年度以降も継続ということは令和7年度以降も継続していくと考えていいか、もしくは、令和6年度に今回と同様に継続するかどうか判断するのか改めて伺いたい。

2点目は交通不便エリアについて、既存のバス路線がなくなったり、便数が減少されたりという状況は実際に区内の事例としてあるのか、もしくは全国的な一般的事例としてあげたものか。

  • 区長

学校給食費の無償化について、昨年は財源の問題などを踏まえた上で、1年間の物価高騰対策として剰余金から捻出したが、今後の対応は改めて判断するとしていた。今回申し上げたのは、国が給食費無償化を実現するまでの間、区として継続するということである。物価高騰だけではなく、少子化対策や義務教育の無償化の推進に資するという点で判断した。

2点目の質問は区内の事例である。どのバス会社もコロナ禍の影響を受け、便数の減少や運行路線の廃止などが発生している。バス等の交通手段については、交通不便地域を含む地区の車座集会でも訴えがあった。この課題への一つの答えとして先ほど発表したデマンド型交通の実証運行がある。うまく広げていきたいと思っている。

  • 記者

学校給食費の無償化について、特別区の自治体のなかには、私立学校や都立の特別支援学校も対象にしている自治体もあるが、世田谷区は区立の小・中学校のみ対象ということか。

  • 区長

給食費無償化について昨年から議論されているのが、子どもの居場所であるほっとスクールや不登校特例校についてはどうなのか。そして、都立の特別支援学校は、学籍は区立学校にあるということで議会でも議論になり、現在検討を進めている。

  • 政策経営部長

区長が申し上げた通り検討する。区としてできることをするということで検討しており、私立学校については都も対応しているかと思うので、その動向を見ていきたいと思っている。

  • 記者

学校給食費の無償化について、今年度の予算は財政調整基金を取り崩す形だったが、来年度以降は一般の区民税などが財源になるという認識でよいか。

  • 政策経営部長

令和6年度の予算編成において、業務見直しなど様々に取り組む中で予算を確保したいと思っており、この財源から捻出する、というものがあるわけではない。今後の予算編成の中できちんと組み込んでいく。

  • 記者

業務見直しという話があったが、学校給食費無償化の財源を確保するために、その他の事業が廃止や縮小、先延ばしするということもあり得るかと思うが、区長としてどのように判断していくか。

  • 区長

基本的に区ではこれまで人口が増えてきている。高齢化社会や少子化傾向も出てきているが、年間6,000人のお子さんが生まれており、区民サービスに関する事業は拡大している。事業の見直しは以前から行っており、必要に応じて統合や見直しをすることは当然あり得る。現在は、それぞれの基金を適切に積み立てており、区民サービスが削減されるような影響はない。とりわけ教育分野では有り得ないと考えている。

  • 記者

国際ランドスケープアーキテクト連盟の国際会議について、開会の際、区のランドスケープの取り組みについて話すということだが、どのような取り組みについて話す予定か教えていただきたい。

  • 区長

私は開会式で挨拶させていただくが、最終日には現地ツアーが組まれており、会場近くの二子玉川公園をはじめ、住民参加型で整備を進めている玉川野毛町公園の拡張用地や、同じく住民参加型で整備された下北沢の小田急線上部利用も見学予定となっていることから、そのあたりについて紹介したいと思っている。

  • 記者

せたがやPayについて、開始当初の目的は、家計支援というよりは、中小個店へのキャッシュレス化などの支援であったと思うが、せたがやPay導入によりどのような効果をもたらしているか、事業者数の変動やキャッシュレス対応店の割合など定量的なデータはあるか。

  • 区長

印象としては、個店の方からのお話しとして3割や2割の還元キャンペーンを実施している期間には明らかにお客さんが増えたと聞く。区民の方もせたがやPayの使用に慣れている方も多くなった。また当初は使える店がないという声もあったが、5,000近い様々な店舗で使えるようになり、デジタル決済基盤を構築するという点で効果があったと思う。また、アプリとしても、エリア別や店舗ごとにサービスの追加、例えば特定の注文により特典が付くといったカスタマイズを行えるように、システムの強化を行っていると聞いている。 

  • 経済産業部長

ご質問いただいた通り、せたがやPayは中小企業支援を目的として、世田谷区商店街振興組合連合会が運営しており、区はそれを支援させていただいている。大きな目的は中小企業支援であり、区内の経済循環を目指していること。そして、今回の発表のような消費喚起を行うこと。さらに、社会的価値の付加という点で先ほど区長から発表したように高齢者外出インセンティブ事業の試行や省エネ・再エネポイントアクション事業がある。そして、今区長が申し上げた、商店街独自の原資による、商店街イベント等でのせたがやPayを活用してお金を循環させるといった施策を組み合わせ、総合的な施策を今後も展開していこうと考えている。

質問の定量的なデータについては、概ね半年に1度、せたがやPayを利用していただいてる区民の方々と事業者の方々へアンケートを実施している。現在集計、分析しているところで、その結果は議会等を通じて報告したいと考えている。

  • 記者

住民票等のコンビニ交付手数料の減額について、10円ということでわかりやすくインパクトもあると感じたが、他自治体の事例などを参考にしたものか。また、どれくらい珍しい取り組みか、わかれば教えてほしい。

  • 区長

八王子市での取り組みを参考にさせていただいた。 

  • 地域行政部長

八王子市において、コロナ対策として接触を少しでも減らすという狙いで、コンビニ交付を10円で実施されたという経過がある。コンビニ交付の機械の最低金額が10円であり、今回の金額はそのあたりも踏まえて設定した。今回は令和6年3・4月の混雑期である2か月間で実施する。

  • 記者

コンビニ交付の利用にはマイナンバーカードが必要ということでよいか。

  • 地域行政部長

お見込み通り。

  • 記者

マイナンバーカードを巡っては様々なトラブルもあり、区長も国に苦言を呈する場面もあったが、一定程度普及をしたからには使えるものは使うという考えか。

  • 区長

マイナンバーカードを普及し、活用を呼びかける立場であることは当初から変わっていない。私が現在に至るまで主張しているのは、マイナンバーカードの健康保険証の扱いについてである。任意で持つのがマイナンバーカードであるのに、法改正もなく、紙の保険証を廃止するという非常に乱暴なやり方はやはり筋が違うのではないか。実際問題として、紙の保険証が無くなってしまったら困ったことになる。高齢者施設の人はどうするのか等、様々な部分での吟味が足りていないことが一番の懸念点である。焦らず、混乱が起こらないように進めていくべきである。また、システム上の欠陥と思われる誤認識の問題や、後期高齢者医療の窓口負担割合が変わった場合に紙とマイナ保険証で表示が異なる事象があるというのも、放置できない問題だと考える。一度システムを止め、完全にリニューアルして、不具合を解消してから再スタートするのが通常の進め方ではないかと思う。

  • 記者

行政として便利になる部分に関してはしっかり活用していくということか。

  • 区長

先ほどご紹介したコンビニ交付10円の取り組みなどはその1つである。

  • 記者

窓口混雑緩和の取り組みについて、申請書作成支援ソリューションの導入により申請書類の手書きの手間が省かれることで、どれくらいの時間が削減できる見込みか具体的なデータがあれば教えてほしい。

  • 地域行政部長

令和4年の待ち時間が、異動届関係で79分ほどとなっている。申請書作成支援ソリューションの導入単独における時間短縮の効果は測れないが、先ほど区長から説明させていただいたマイナンバーカード電子証明書手続きコーナーの増設やコンビニ交付手数料の減額等、一連の取り組み全体の効果としては、5分程度短縮できるというのが現在の試算である。効果が測れない施策もあるため、さらなる削減を目指して今後取り組んでいきたい。

  • 記者

ソリューションの対象となる書類の種類を具体的に教えてほしい。

  • 地域行政部長

転入届、転出届のほか、印鑑証明や住民票の発行等が対象である。

  • 記者

新たな教育大綱を11月に策定するということだが、教育振興基本計画なども新しく策定をする予定なのか。その場合の策定時期は11月か、もう少し時間をかける予定か。

  • 区長

教育振興基本計画は、教育大綱と同時併走しながら作っており。教育大綱と教育振興基本計画を合わせて捉えてもらえると非常にわかりやすい内容になっている。計画についてはつい最近までパブリックコメントを実施していたところで、教育大綱を追いかけるような形で、令和6年2月に策定する予定である。案としては既にかなりまとまっていて、案をもとに区民の意見を聞いたり、子どもたちからの意見を聞いたりというようなことも考えている。

  • 記者

区長もおっしゃっていた「新たな学びの場」など、そういった新しい教育の詳しい内容については、同時並行で議論を進めていき、2月の計画策定時に反映されるというイメージか。

  • 区長

その予定である。この間、総合教育会議で議論してきた内容を、我々議論した側にいる人間はよく理解していても、必ずしも幅広く共有されているところまではいってないと認識している。教育振興基本計画の策定はもう少し先になるが、今の段階でも案を読むことができる。例えば不登校対策へのアプローチを狭い枠でとらえるのではなく、これまでの学校教育になかった新しい子どもたちの学びの場を作ろう、あるいは小中学校全体でそういったプログラムにトライしていこう、まちにどんどん出ていって、まちで学ぼうなどの内容が盛り込まれており、そのような意味で、計画にはだいぶ特色が出てくるかと受けとめている。

  • 政策経営部長

教育振興基本計画については、令和6年2月の議会に報告をし、3月の教育委員会で計画を議決いただき、策定となる予定であることを補足させていただく。

    記者

本庁舎整備工事の遅延について、最終的な工期延長がいつまでになるか、遅延による実損の計算について進展はあるか。現在どのような状況か。

  • 区長

最終的な全体の工期についてはまだ検討中である。区としての実損、工事が遅れることで区が余分に負担をしなければいけない費用部分については、しっかりと精査をした上で、現在大成建設と交渉をしているところである。私としてもなるべく早く大筋合意をしたいと考えている。区民に大きな負担を背負わすようなことにはしないという方向で交渉しており、まだ結論を申し上げる段階にないのは残念だが、鋭意交渉を継続しているところである。

  • 記者

先日、江東区の木村弥生区長が辞任を表明されたが、受けとめは。

  • 区長

木村区長は令和5年4月の統一地方選挙、私と同じタイミングの選挙で選出され、就任からわずか半年で辞職をすることになったということで大変驚いている。報道以上のことを知る術はないが、ネット広告に関して強制捜査が入ったと伺っている。YouTube等とリンクした有料広告、SNS、またオートコールという自動的に架電をする機械などもあるが、コミュニケーションツールが進化してきており、それにふさわしい公平公正な選挙のあり方のルールを確立していく時期に来ているのではないか。捜査の行方を見守っていきたいと思う。

  • 記者

袴田巌さんの件について伺いたい。姉の英子さんが90歳、巌さんも87歳ということで、一刻も早く無罪が獲得されるべきだと思う。一般市民をはじめ海外の方たちも大変興味を持っているかと思うが、どうすれば早期解決につながるか。

  • 区長

再審が始まり、検察側が有罪を立証すると表明している以上、手続き等を省略することはできない。その期間を圧縮して、早く進めていただきたいと望んでいる。一連の経過を見ていると、静岡地裁で再審開始が決定されてから9年経過している。高齢の2人からすると重い9年間だったと思う。そういった意味で、検察の特別抗告が際限なく行える今の仕組みは、再審制度の欠陥ではないか。再審開始の決定は早々出ていないため、決定がなされたらしっかりと審理するということが最低限の改善であるべきで、立法府にしかできないことである。そういった議論が、今回をきっかけに高まっていくことを期待したい。

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