区長記者会見(令和5年8月1日)

最終更新日 令和5年8月10日

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会見を行う区長
記者会見の様子

令和5年8月1日(火曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。新しいウインドウが開きます

PDFファイルを開きます会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。

区長あいさつ

今年度3回目の会見を始めます。

まず、ふるさと納税について、前回の記者会見では、令和5年度の流出額が5月8日時点の速報値として97億円となったことを発表しましたが、7月1日時点の最新の数値では、さらに2億円ほど増加し、約99億円となりましたことをご報告します。

また、本日8月1日(火曜日)、総務省から、令和5年度の現況調査結果が発表されました。ふるさと納税による全国の寄附額の合計が9,654億円余りとなりました。それに伴う全国の住民税控除額の合計も、昨年度の5,716億8,000万円から、6,798億2,000万となり、大変大きな額が流出している状況が続いています。

また、総務省が発表したふるさと納税による流出額の最多は、約272億円の横浜市ですが、地方交付税によって4分の3の約204億円が補填されます。流出額上位5自治体の中で、流出額の影響をそのまま受けるのは不交付団体である川崎市と世田谷区です。実質的な減収額は、川崎市の121億に次いで、98億円の2位となります。

現状のふるさと納税制度の見直しを、私たちは求めています。

総務省が発表した制度の見直しとしては、寄附の募集に要する事務費用の5割の基準について、これまでは寄附の募集に要する直接的な費用のみを対象としていたところ、本年10月からは、寄附受領後に発生する事務の費用も幅広く加えるというものですが、抜本的なふるさと納税の見直しには繋がらないだろうと考えています。そもそも、ふるさと納税の寄附額が激増したのは、平成27年の税制改正で、住民税控除額のうち、特例分の上限を所得割の1割としていたところ、倍の2割となったためです。また、ワンストップ特例制度も一つの要因です。これについても、抜本的な見直しの一つとして、特別区長会で挙げていますが、国の所得税控除分を、なぜか自治体側が肩代わりしている不合理な制度です。

返礼品競争ということで自治体同士の過度な競争に対して、私たち世田谷区は、地域貢献や社会福祉といった寄附本来の趣旨を醸成しようと展開してきましたが、昨年から方針を変更し、スイーツや宿泊券、食事券等の返礼品の充実に取り組み始めたところです。いただいた寄附の総額は約2億8,000万円と、前年の約1億4,000万円から倍増しましたが、流出額は約99億円もの金額になっています。ふるさと納税を利用できる課税世帯のうち約3割がふるさと納税を行っているとのことで、理論上、まだ多くの方々が利用することも可能なため、今後、100億円、150億円、180億円と流出額の上昇が止まらない事態も考えられます。そうなっていくと、世田谷区の住民税の使い道が限られてくることも今後考えられます。流出した額をふるさと納税で取り戻そうとすると、地方の高額納税者をターゲットにした返礼品を設定することになりますが、これでは貴重な各地方の税財源を逆にいただくことになってしまいます。本来、区は、地方都市や、農業や漁業で成り立っている地方自治体と友好関係を築く必要がありますが、そのような税財源を奪い合う関係に追い込まれるのは本当に不本意です。しかしながら、そのような状況に追い込まれつつあるということで、1日も早い制度の見直しを求めたいと思います。

次に、5年ぶりにアメリカ・オレゴン州ポートランド市を訪問してきました。令和元年に、テッド・ウィーラー市長が世田谷区に来訪され、シンポジウムや、都市デザインに関する意見を交換し、令和3年には、みどり政策を中心としてポートランド市職員の実務研修生を受け入れ、今年はポートランド市マウントテイパー中学校の生徒40人程が、区内中学校に訪問して生徒と交流するなど、様々な交流が続いています。今回は、ポートランド市の都市政策やまちづくり、人権に関わる部局等担当者との意見交換や現地視察を行いました。現地での7月7日、ポートランド市内の公園のリ・オープニングイベントに出席しました。同市のコミッショナーを表敬訪問し、区でも熱心に取り組んでいる住民参加の公園づくりについて、民間のランドスケープデザインの企画設計事務所等も訪問しました。今後も交流を続けつつ、環境やグリーンインフラについても見聞を共有していきたいと思っています。

次に郷土資料館の再開館についてのご案内です。

郷土資料館では、老朽化した機械設備や電気設備の機能更新を主な目的に大規模改修工事を実施し、本日8月1日(火曜日)に再開館しました。開館時間は午前9時から午後4時30分まで、入場料は無料です。郷土資料館では、常設の展示として、世田谷の原始時代から近現在までの歴史的な展示物を時代ごとに展示しています。今回のリニューアルを契機に、来館者にわかりやすい展示となるよう、展示の工夫として、子ども向けの解説パネルや直接手に取って学べる体験コーナーを設置しています。また、再開館を記念し、2つの特別展示を開催します。1つ目は「重要文化財である野毛大塚古墳」です。玉川野毛町公園内の野毛大塚古墳の約220点の出土品を10月22日(日曜日)まで展示します。2つ目は「館蔵品でみる宗教美術の造形(かたち)」をテーマに、約50点の絵画や仏像などを展示します。10月28日(土曜日)から12月28日(木曜日)までの開催です。

次に、「第44回せたがやふるさと区民まつり」についてです。8月5日(土曜日)と6日(日曜日)の午前11時から午後7時まで、会場は若林公園を中心に、松陰神社境内や国士舘大学世田谷キャンパスの一部を使用して開催します。実行委員会が主催となって企画・運営していただき、区も、安全面を中心にバックアップしています。

催しの内容として、「ふるさと物産展」が大変人気です。区が交流関係を持っている21自治体が、自慢の特産品を持ち寄り各テントで販売します。多くの区民の方々が楽しみにされています。その他にも、様々なステージや、囲碁・将棋コーナー、お囃子舞台、子ども達に大人気の子どもコーナー、昔あそびコーナー、飾り神輿の展示なども登場します。非常に暑い時期ですので、区としてもこれまで以上に熱中症対策を準備しますが、来場の皆さんにも十分気をつけていただいて、思う存分楽しんでいただきたいと思っています。

ふるさと区民まつりは、平成28年の第39回まで、JRA馬事公苑で開催していましたが、平成29年の第40回からは、馬事公苑の東京2020大会馬術競技会場に向けた整備が始まったことから、区役所周辺に会場を移して、令和元年の第42回まで開催してきました。令和2年は、東京2020大会開催の影響を受け中止とし、令和3年はコロナ禍によりオンライン開催としました。令和4年から本庁舎等整備工事の影響に伴い、若林公園周辺に会場を移して開催しています。そして、来年令和6年の第45回区民まつりは、かつて大盛況だったみこし行進や阿波踊り、フィナーレコンサートなど、スケールの大きい会場としてリニューアルするJRA馬事公苑に戻って開催しますので、あわせて楽しみにしていただきたいと思います。

次に、コード化点字ブロックによる音声案内の実証実験についてです。8月21日(月曜日)から25日(金曜日)まで世田谷区視力障害者福祉協会が主体となり、コード化点字ブロックの実証試験が行われます。「うめとぴあ」の区複合棟「世田谷区立保健医療福祉総合プラザ」の施設内の一部から小田急線梅ヶ丘駅までの点字ブロックに標識を貼り、専用のスマホアプリで読み取ることで、周辺状況が音声案内されます。区では、今年度策定した「世田谷区移動等円滑化促進方針」の取組みの一環として実証試験に協力していきます。

さて、前回会見時に言及しましたマイナンバーカードに関することについて、一言触れたいと思います。各種報道によると、岸田首相が紙の保険証の来年秋での廃止を延期する方針を示すのではないかとのことです。区としては、電子化・デジタル化については、区民の利便性が向上するとともに正確な事務が行われるのであれば推進していこうと、マイナンバーカード発行にも率先して取り組んできました。しかし、今回のマイナ保険証に関して、法令で処理が義務化されないまま紙の保険証がなくなるということは、事実上医療へのアクセスが難しくなるのではないか、そしてその進め方が強引だったのではないかと考えています。問題点としては、現在のマイナンバー保険証に関する間違いがまだまだ多いということです。様々なデータの反映、保険証と一言で言っても、75歳以上の方の後期高齢者医療保険への移行やその負担率の変更など、制度は変わっています。また、就職、転職、離職等による各種保険への移行もあります。さらに、医療データの反映は診療報酬明細を通して行われるということで時間差も発生します。こうした様々な手続きが行われるなかで、現時点ではまだミスが多いレベルではないか、一度凍結して、ミスがなくなるよう実用に耐えられる水準に到達させてほしいと思います。

そして、自治体で発行する資格確認書についてです。発行業務を区でも何度もシミュレーションしましたが、実際に希望者が発行のため区役所の窓口に並ぶような事態となれば、マイナンバーカードの特設窓口と同様の窓口を設ける必要が生じてきます。もしくは、プッシュ式で該当者へ送付するとなれば、区は保険者として国民健康保健の加入者の中で、マイナンバー保険証を持っていない方を突合し、資格確認書を必要な方へ送ることになります。そのためのシステムを組むとなると億単位もの予算が必要になります。しかも、このシステムは自治体システムの標準化に伴い、1年間ほどで不要となってしまいます。現状では、紙保険証を当面存続させ、資格確認書の発行を不要とするのがいいのではないかと思います。

そして、やはり現場の声、自治体はもとより各健康保険組合や医療機関など様々な現場の声を聴いて制度を再設計していただきたいと思います。

発表項目

世田谷区本庁舎等整備工事について

まず、本庁舎等整備工事についてです。

世田谷区本庁舎等整備工事において、前回会見で8か月もの大幅な工期延伸の申し入れが施工者の大成建設株式会社東京支店(以下、大成建設)からあった旨のご報告をしました。その後、7月14日に、2期・3期の工事についても、全工程であわせて22.5か月、2年近く延期する見通しとなったという文書を受け取り、衝撃を受けたところです。

この2期及び3期の14.5か月延伸の申し入れを含む「工程遅延に係る経緯等報告書(2・3期工事)」の提出を受けて、区では、学識経験者4名を中心とした「世田谷区本庁舎等整備に係る2期及び3期工程検証委員会(以下、検証委員会)」を設置し、大成建設が示す2期・3期の工事の見直し工程について検証を行っており、1回目が7月21日、2回目が24日、本日8月1日に3回目、そして8月8日に4回目というハイピッチで進めています。

第1回目の検証委員会において2期・3期の見直し工程に対する指摘としては、

・現場の安全確保とともに、施工計画等の工夫により、最大限、工事を合理的に進めるよう施工計画等を検討すること。

・2期・3期工事の施工条件等を踏まえた、より効率を上げる作業計画を検討すること。

といった事柄が挙げられました。その他に、

・周辺住民、建物利用者、区民全体への影響を考慮した工程立案が必要である。

・長期にわたる工事であり、現場で働く方々のフォローが大事であり、健全な状態で働ける体制づくりが必要である。

などの指摘もありました。

今後、最大限合理的に進められる工程計画や再発防止策など、確実な工程履行に向けた取組みについて、検証委員会による検証を進め、2期・3期の工期の変更にあたっては、検証委員会の議論を踏まえて、改めて大成建設と協議し、区として決定していきたいと思います。

これまで、大成建設では東京支店長を筆頭に協議にあたってこられていましたが、7月31日には、土屋弘志副社長(営業総本部長)の訪問を受け、直接協議を始めています。先方からは、陳謝と、今後全力をあげていくとのお話しでした。私から改めて強く申し上げたのは、最大の問題として「2年は長すぎる」ということ。そして、報告書の紙は受け取っていますが、了承したということとは異なる、ということを伝えました。

「1期工事8か月延伸」は突然の事態でした。新庁舎への移転準備を直前に止める等、区は対応に追われました。この理由も、にわかに信じられない段取りの欠如や建築業界では常識であることの基礎の基礎ができていなかったという、見通しの甘さについて謝罪がありました。着工から2年が経過し、現在も工事は進んでいます。「着工時の見立てが甘かった」という言い分に納得はできなくても、時計の針を2年前に戻すことはできません。延伸期間を縮減できないかという思いはありましたが、やむを得ず受け入れました。

一方で、2期・3期工事は未来のことです。竣工まで2年近く延伸すると、新庁舎の完成は6年後です。この6年の工程計画を今から見直す、或いは組み直すということは十分あり得る話です。私たちは、大成建設が1期の遅れを2期・3期で少しでも取り戻すような再提案があるかと期待しましたが、逆に2年の工程延伸となれば、区政への影響は余りにも大きすぎます。遅延期間の短縮に向けて、総力を挙げて取り組んでほしいと伝えました。

2期・3期の遅延理由も、部品や人手の手配がつかないなどではなく、最初の計画段階で重要な点を見落としていたところにあります。例えば、テラス躯体工事期間の見誤りによる遅延でした。大成建設であれば、テラスの施工経験は多いと思いますが、「見通しの甘さでした。申し訳ありません。」ということでした。

次に大成建設の施工者選定の入札参加時の姿勢についてです。もともと現在の区庁舎が前川國男氏の設計で代表作と評価されてきたこともあり、施工者選定に関しては、公平かつ客観的に最適な施工者を選出するため、準備段階から設計に至るまで、多くの議論を重ねてきました。学識経験者から組織される施工者選定委員会を設置し、労力も予算も時間もかけ、技術提案型総合評価方式という仕組みを構築しました。

入札では、結果、大成建設が価格点で抜きん出て、総合評価で施工者として選定されました。技術提案を審査する委員会のヒアリングの場では、75か月の工期について審査委員から「工期は守れるのか」という質問に対しても、「建設業の働き方改革を踏まえても工程は成り立っている、大丈夫」と回答していた経緯があります。

ところが、現在は工期を守るどころか、大幅な遅延を申し入れてきています。「既存庁舎の元施工の企業として、本工事への強い受注意欲があった」としても、事業者選定で大成建設が示した内容工程表は、「審査の正確性・公平性を大いに棄損するものではなかったか、信頼を裏切るものではなかったか」と申し上げました。

1期から2期・3期にいたる2年近い遅延について、例えば検査が当初の見込みよりずっと短く計算していたなど「見通しが甘かった」という説明が大成建設からありました。施工者選定時点で、シビアに工程を精査していれば、75か月では完成できないという結論になったのではないか。入札審査の際に、できないことを「できる」と欺いたことになりませんかと、道義的、倫理的な責任は極めて重いと申し上げました。区庁舎は区民からの税金で建設しています。そして各事業や議会、また施工者選定に関わった学識経験者や他の参加事業者がかけた熱意に対して、あまりに誠実を欠くと思います。改めてエントリーする資格はあったのですかと申し上げました。

さて、損害賠償については区と大成建設で協議しています。公共工事の場合、違約金の約款上のパーセンテージがあり、ホテルなどの民間施設のように逸失利益などの数値を簡単には算出することはできません。技術上のペナルティもあるが、2年という大幅な遅れは想定していません。区庁舎を活用した区民の自発的な活動に加え、子育てから障害福祉、介護、都市整備などの事業の進展に大きな影響があり、そのサービスや事業を必要とする92万の区民が受ける影響も大きいものです。そういった、目に見えず数値化できない部分に対しても、真摯に区の示す内容を受けとめ、協議を進展させていきますとのことでした。

高齢者外出インセンティブ事業の試行について

6月17日(土曜日)に開催された「次期基本計画策定に向けたシンポジウム」において、この審議会の委員で福祉保健審議会会長である中村秀一(医療介護福祉政策研究フォーラム理事長、国際医療福祉大学大学院教授)氏から興味深い発表がありました。

区の介護保険第1号被保険者(65歳以上)に占める75歳以上、85歳以上の割合は国、東京都を上回っています。また第1号被保険者の要介護認定率も国、東京都を上回っています。

ただ年齢階層が上がるにつれ、認定率が上昇するが、年齢階層別の認定率に着目すると、例えば75歳から79歳で平成28年度の13.5%が令和4年度には12.6%まで落ちています。また80歳から84歳についても、平成28年度の30.7%から令和4年度には28.1%と落ちています。この数値の発表前には社会参加割合が高いと医療支援、介護認定率が低いという検討会の資料もご紹介いただきました。

つまり高齢者が家に閉じこもらず、外に出て誰かと会って何かをすること、お互いを助け合うことで、要支援や要介護の認定に至る時期を遅らせる効果があります。

そこで高齢者外出インセンティブ事業「めざせ元気シニア せたがやデジタルポイントラリー」を実施します。3地区のみの試行ですが、参加対象として松沢地区、用賀地区、祖師谷地区にお住まいの65歳以上の方で、各地区300名程度を見込んだプロジェクトです。

スマートフォンアプリでの参加か、ICタグをぶら下げて参加します。店舗や公共施設、あんしんすこやかセンターなどラリースポットを訪れ、ポイントを獲得するだけではなく、街中で、スマートフォン参加者とICタグ参加者がすれ違うことでポイントが獲得できます。街を歩くことのインセンティブであり、50ポイント貯まったら、スマートフォン参加者にはせたがやpayのコイン500円分、ICタグ参加者は、区内共通商品券500円分と交換できます。また希望される方は、ICタグ参加者がこの店舗に入った、スマートフォン参加者とすれ違ったなどポイントが加算されるところで、ご家族等にメールを送信する見守り機能も利用することができます。

申し込みは電子申請などで、9月1日(金曜日)から開始予定で、3地区の掲示板や説明会等を通じて周知します。事業終了後には参加者のアンケート結果などから、事業の評価を行い、翌年度以降の全地区での実施を目指していきます。

メルクマールせたがや10年目シンポジウムについて

「メルクマールせたがや」が開設10年目を迎え、シンポジウムを行います。平成26年に不登校やひきこもり等の生きづらさを抱える若者支援の総合相談センターとして「メルクマールせたがや」が開設されました。公認心理士、精神保健福祉士などの専門職が、担当制で継続的に支援しているほか、安心して過ごせる居場所の提供やプログラム、家族会の開催など若者とその家族を総合的にサポートしています。

本年9月に開設から10年目を迎えるにあたり、8月8日(火曜日)に「ひとりぼっちにならない社会へ」をテーマにシンポジウムを開催します。「ひきこもり」について多くの著作がある筑波大学教授の斎藤環さん、明治大学子どもの心クリニック院長の山登敬之さんをゲストにお招きします。

「メルクマールせたがや」は、令和4年4月より、生活困窮者自立相談支援センター「ぷらっとフォーム世田谷」とともに世田谷ひきこもり相談窓口「リンク」の運営にも携わっています。これまでは、40歳未満が「メルクマールせたがや」、40歳以上は「ぷらっとフォーム世田谷」で支援していましたが、ひきこもりの状態にある方の年齢は違えど変わりはなく、年齢により支援をやめてしまうのではなく、厚生労働省が創設した重層的支援体制整備事業の仕組みを活用しながら、一緒の窓口とすることを実現しました。ひきこもりへの理解促進を目的としたキャラクターの公募をしたところ、「モーリー」が選ばれました。癒しの妖精という設定は「リンク」の居場所を利用されてる方々が考えてくれました。

「子どもSOS相談フォーム」正式運用について

夏休みが明ける前の8月下旬にはいつも、どうしても学校に行けなかったら児童館や青少年交流センターで待っているよという発信をしています。コロナ禍も踏まえて子どもたちは悩みが深い状況であり、そのような中で「子どもSOS相談フォーム」正式運用について報告します。

これはただの窓口ではありません。区では区立小中学生全員にタブレット端末を配布してます。そのタブレット端末から教育委員会に直接相談することができるアンケートフォームです。

子どもたちが相談したいと思ったときに、自分の部屋で、タブレットから相談内容が送信でき、相談相手も指定できます。また、教育委員会で相談を受け付けた後、面談につなげ、子どもたちの悩みや不安を受けとめ、改善を図るために、専門機関との連携協力体制を整えています。

相談から面談支援までの流れは、子どもたちがタブレットから相談内容を送り、教育委員会が受信、学校が対応する場合は、指定された教職員が面談します。教育委員会が対応する場合は、相談員が訪問して面談をします。そして不安や悩みの改善解消に向けて、学校や教育委員会、関係機関が支援を行う流れです。

「子どもSOS」のアイコンを押すと相談フォームが表示され、低学年の子どもも読めるようにしています。担任の先生、担任ではない先生、保健室の先生、スクールカウンセラー、教育委員会の相談員など、誰に相談したいかを選ぶことができます。また「今は相談したくない。見守っていてほしい」も選んだ場合は、相談内容があってでも連絡はいきません。

夏休み前後には、子どもが亡くなってしまう痛ましい事件が毎年起きています。この相談フォームは、7月18日(火曜日)から運用開始していますが、子どもたちのSOSを見逃すことがないよう、緊急を要すると判断した相談については、早急に対応できるよう専門機関との協力関係を整えていきたいと考えています。子どもたちへのメッセージの中には、せたがやホッと子どもサポートなど他の相談窓口も案内しています。この相談フォームの場合は、どこの誰が相談しているかが教育委員会に送られることを子どもたちに伝えています。早い段階での情報収集から、場合によっては、子どもと接触することも含め、セーフティーネットとしての活用を図っていきます。

質疑応答

  • 記者

ふるさと納税について伺いたい。

まず、本日総務省が発表した資料によると、流出額トップ20のうち、8つは東京23区の自治体で、首都圏内では12自治体となる。地方と都市部での偏在があることについて率直にどう思うか。

2点目に、首都圏の自治体の中でも、地方交付税の交付団体か不交付団体かどうかで格差があることについて、どのような問題意識があるか。

3点目に、返礼品の拡充の面で、世田谷区としてどのように対策していくのか。

最後に、ふるさと納税制度の抜本的な見直しについて、これまで特別区長会でも声明を出しているが、なかなか現状は変わっていない。何か新しい仕掛けが必要ではないかと思うが、国に対してどのように働きかけをしていくのか。

  • 区長

ふるさと納税については、東京23区全体が影響を受けており、世田谷区は人口が多いこともあり一番影響を受けている。ふるさと納税の仕組み自体が、有名な特産品・名産品を有する自治体にとってはチャンスとなるが、首都圏など都市部の自治体では中々難しい。

地方交付税の交付団体かどうかについては、例えば、川崎市と横浜市は隣合わせの自治体である。横浜市には約200億円の補填があり、川崎市には補填されない、2つの自治体にそこまで差があるのだろうかと思う。地方交付税の交付・不交付により、補填されるかどうか区分けされるが、一方で、ふるさと納税を多く得ている自治体では、地方交付税による差し引きなどは特段行われていない。

区は寄附獲得のための工夫をせず漫然としていたから、流出したのではないかと誤解されることもある。区はこれまで、児童養護施設等退所者を支援するための寄附など、社会貢献型のふるさと納税を用意し、一定の反応も得てきている。ふるさと納税のあり方に関わるが、東京23区と川崎市などを除く地方交付税の交付団体では、ふるさと納税で、流出した金額の75%が国から補填される。この補填分を地方創生のために公平かつ効果的に充てていくことが、政策として順当ではないか。

返礼品の拡充については、世田谷美術館等と連携するアート関連のものや世田谷区でしか出せないものを提案しようと話をしている。また名産品や、区内の優れた物品などもさらに加えていきたいと思っている。少しでも流出による影響を少なくするようにしたいが、残念ながら、現在は流出の流れに押されている状態である。ふるさと納税については大量にコマーシャルされているが、それは仲介料によるものであり、原資は税金である。ふるさと納税は、個人単位で考えれば、悪いことは何もない。住民税が控除されて品物も送られてくる。お得だから使わなくてはとなるし、物価やエネルギー価格の高騰をはじめ、生活も厳しくなっている状況で、多くの方が使うという気持ちは理解できる。しかしながら、寄附金額に上限がなく、青天井なのはおかしいのではないか。現状、ふるさと納税は、500万円でも1,000万円でも2,000万円でも寄附が可能である。これは税制を歪めることにならないか。ふるさと納税で蟹やワインなどの特産品・名産品を手にしても良いが、そこに30万円や50万円までという上限を設けるべきではないか。寄附額の上限を設ければ、区の99億円という流出額は大きく減るはずであり、また、ふるさと納税で生活の質を向上しようと利用していた方たちも、引き続きある程度の寄附ができるだろう。

現状の制度のまま継続するというのであれば、東京23区や川崎市などの不交付団体にも、流出額の補填をしていただきたい。92万人の区民がいるということは、それだけ行政需要が多いということでもある。流出額がどんどんと増加しているなかで、もはや何もしないという段階ではない。

  • 記者

世田谷区本庁舎等整備工事について、7月31日に土屋副社長と直接面会したということでいいか。そして、大成建設は工期の遅れによる損害等については真摯に対応するとのことだったが、面会の際、遅れにより区側が受けた影響について、どのように対応すると話していたか。

  • 区長

昨日は、土屋副社長(営業総本部長)と、営業本部に所属する2名の方と直接面会した。補償については大成建設の東京支店と連日交渉しているところであり詳細は控える。土屋副社長には、まず、本工事請負約款に基づき、年3%の割合で違約金を支払うことは当然とした上で、2年間で区が受ける影響について時間をかけて話した。私から強調したことは、目に見えない、数値化しづらい損害である。例えば、工事遅延に付随することで、区民の方々が施設を利用することができない、区のその他事業の遅れや職員の残業などである。副社長からは「目に見えない部分についても、誠意を持って協議に応じたい」と話があった。金額等詳細については事務方で詰めてもらい、今後の方向性についてなるべく早く示していくことで同意していただいた。

  • 記者

目に見えない部分の損害についても対応してもらう方向とし、区側に負担がないようにしていきたいということか。

  • 区長 

もちろんそうである。

違約金としては、工程延伸に伴う遅延違約金や技術提案の不履行に伴う違約金で4億数千万円請求する。加えて実際の損害としての損害賠償がある。例えば、当初10月に新庁舎へのサーバー設置を予定して発注もしていたが、今回の工程延伸により設置することができなくなった。現庁舎等に仮設置し、工事完了後に移設するとなると、追加の作業費用がかかる。このような損害を精査していくと相当な金額となる。

これまで2年もの長期間で遅れた例は聞いたことがなく、民間の商業ビル等の遅れであれば、莫大な金額の違約金、損害賠償となる。大成建設には、損害賠償が商業ビル等より低いからといって、公共施設の対応を後回しにすることなどはないように、信頼関係を再構築するつもりで真摯に取り組んでほしいと繰り返し申し上げた。

  • 記者

本庁舎等整備工事について、3点伺いたい。

1点目に、過去の事例で、工事の大幅な遅延により、自治体側が施工業者へ多額の損害賠償請求を求めたことはあったか。

2点目は、違約金や損害賠償額の算定は難しい部分かと思うが、数十億円なのか百億円以上になるか、金額の規模感を伺いたい。

3点目に、損害賠償の算定、請求の時期など、年度内となるのかなど今後のスケジュールを伺いたい。

  • 区長 

まず、これだけ遅延が発生した過去の事例は把握していない。半年や3か月の遅れといった例はあるようだが、損害賠償を請求し、実際に賠償金が支払われた事例は、現時点で我々としては知りえていないところである。

損害賠償金額の規模については、まさに現在交渉を行っている。本工事請負契約約款に基づいた遅延違約金、あるいは技術提案不履行に伴う違約金については二桁の億、これが商業ビルの建設等であれば逸失利益も含まれるため三桁の億になるのではないかと思う。そのような、数値化できる部分以外の補償についても大成建設には申し上げた。具体の金額の規模については今後協議していく。

この問題を工事が完了する6年後に決着することは全く考えていない。新たに予算を組み、支払をしていくものであり、できる限り早急に合意し、1期工事、そして2期工事と清算することを考えている。

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