区長記者会見(令和5年6月22日)

最終更新日 令和5年6月29日

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会見を行う区長
記者会見の様子

令和5年6月22日(木曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。新しいウインドウが開きます

PDFファイルを開きます会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。

区長あいさつ

それでは6月22日定例記者会見を行います。

まず、連日新聞やテレビで報道されているマイナンバーカードをめぐる混乱について、一言申し上げたいと思います。

6月21日、岸田首相は「マイナンバー情報総点検本部」を立ち上げると表明しました。医療・年金・保険・福祉と幅広い分野で様々な不具合や別人への紐づけなどあってはならないミスが多発しており、秋までに総点検を「新型コロナウイルス対応並みの臨戦態勢で行う」と話されました。新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置づけが5類へ変更されたとはいえ、現在も脅威が去ったわけではありません。2020年からの3年間は、どの自治体も総力を挙げて新型コロナ対策に取り組んできました。救急搬送の対応や各医療機関との連絡など保健所を中心に昼夜分かたず総力で取り組みました。またワクチン接種についても、世田谷区民約92万人という人口で、適切に接種できる体制を整備しました。目に見えないウイルスとの戦いでした。

一方、今回のマイナンバーカードに関連する問題は、人為的なミス、あるいはシステムの不具合との戦いになるのかもしれません。しかし、その総点検のために自治体の人的・物的資源を短期間に一挙に集中させることは、どう考えても不合理です。

そして、マイナ保険証の問題についても申し上げます。2022年の秋、河野デジタル担当大臣が紙の保険証の廃止を発表しました。それにより医療機関にかかれなくなることを心配された方々からの問い合わせや、マイナンバーカードを取得しようとする申請が各窓口に殺到しました。

マイナポイント事業では、ポイントの付与期限が段階的に延期されましたが、最終的な期限だった2023年2月末には、世田谷区だけで約5万件の申請を受け付けています。

マイナンバーカード、特にマイナ保険証は、利用者である区民の利便性向上のためでなければなりません。私たちは新型コロナの影響で高齢者施設の施設長等と相談や議論をしましたがマイナンバーカードについては本当に困っています。マイナンバーカードと一体化した保険証に、暗証番号等のメモを一緒に保管すること等は、様々なリスクを考慮すればできるものではありません。また、そもそも誰が、高齢者施設に訪問してマイナンバーカードを作るのか、自治体職員が一人ひとりの写真を撮影しに行き、作成することは非現実的です。リスクが多く、便益がほとんど見当たりません。

紙保険証のデジタル化は便益の拡大のために行われるはずが、リスクの方が大きくなってしまうことはあってはなりません。紙保険証が廃止された後も、マイナ保険証を使わない方には資格確認書を1年間有効にすると政府が見解を示していますが、これも簡単に郵便で送るわけにはいきません。本人確認などを行う必要があり、1年に1回行列ができる状態にするのかという話になります。

我々も窓口の混雑を可能な限り最小化していきたいです。現在マイナンバーカードの申請が大変多く、特別な態勢をとり、臨時的な窓口も設置しています。こうした段階に来て制度が迷走することはあってはなりません。人口の多い世田谷区も含め、制度設計の段階で現場となる自治体へ意見聞く、あるいは仕事の現場を見るべきではなかったかと指摘をしたい。

また、マイナ保険証では、別人のデータが表示されてしまうなどで保険証として適合せず、医療費を10割負担しなければならなくなったという話も多くあります。マイナ保険証のような大きなシステムを稼働させるには、テスト期間を設け、不具合やバグを修正して本格軌道に乗せていくのが本来の手順であり、前のめりが過ぎるのではないか。

デジタル社会の良い面は区としても活用推進していくつもりですが、それはあくまで、一人ひとりの利便性が向上していくことで、待ち時間が解消されるとともに、しっかりと正確な手続きができるということにつきますので、一言申し上げました。

それでは発表項目の前にいくつかご案内したいと思います。

はじめに、世田谷区児童養護施設退所者等相談支援事業「せたエール」の開始についてです。区では、「せたがや若者フェアスタート(世田谷区児童養護施設退所者等支援事業)」を開始し、児童養護施設等を退所した若者への高校卒業以後の返済不要の奨学金給付や、居場所作りや住居の提供なども行ってきましたが、今回開始する「せたエール」は、相談の場です。居場所や個別相談の場所、セミナーや仕事、あるいは進学も含めた進路相談等の支援計画など、なるべく立ち寄りやすい場所ということで、下北沢駅から徒歩1分のビルの一室に部屋を設けます。運営は児童養護施設の退所者支援で実績のある認定NPO法人ブリッジフォースマイルにお願いしています。水曜日の14時から18時、金曜日・日曜日・祝日の14時から20時まで予約なしで自由に立ち寄ることができます。個別相談の予約は、月曜日と土曜日を除いて、10時から18時まで受け付けます。

6月28日(水曜日)にオープンしますが、電話相談はすでに開始しています。

次に「世田谷区パートナーシップ宣誓」について、平成27年11月5日に、渋谷区と同時にスタートして今年で8年目を迎えました。世田谷区の場合は、同性カップルの宣誓にあたり宣誓書類を提出してもらい、区から受領証を交付する方式です。これまでに222組のみなさんに宣誓していただきました。全国255の自治体が導入しており、4,186組がすでに宣誓されています。人口カバー率は65.2%となり、国民の3分の2はパートナー宣誓制度のある自治体に住んでいることになります。

次に、「男女共同参画社会基本法」の公布・施行日である平成11年6月23日を踏まえ、内閣府では、毎年6月23日から29日までを「男女共同参画週間」と定めています。今回のキャッチフレーズは「~無くそう思い込み、守ろう個性~みんなでつくる、みんなの未来」です。

性別に関わらず、自らの個性、そして能力を発揮し、夢や希望を叶えていくために、男女共同参画社会の実現は必須です。区では「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」において理念を定め、「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」において具体的な施策を定めて推進しているところです。

また、区には、男女共同参画推進の拠点として「男女共同参画センターらぷらす」が三軒茶屋にあり、様々な講座やイベント等を行っています。毎年開催する「らぷらすフェスタ」において、今年は、樋口恵子氏と坂東眞理子氏を招き、男女共同参画の観点から「老い」について講演いただきます。

次に、新たな学びの実践に向け、7月1日(土曜日)13時から、教育総合センターで「総合教育会議」を行います。新たな教育大綱の検討に向けて、公開の場で教育委員会と区長の私で議論します。会場120名、オンラインは1,000名で参加者を募集しています。(参加募集は6月26日(月曜日)で終了しています)

会議の第一部では、新しい学びの実践に向けて、株式会社SPACEの代表の福本理恵さんに「一人一人の個才が輝く時代」というテーマで講演いただくとともに、福本さんにも参加いただき、教育長、教育委員とともに意見交換を行います。

第二部では教育大綱(素案)についての議論を深めていきます。当日の様子は、後日YouTubeの区公式チャンネル「せたがや動画」でも配信予定です。

区の「次期基本計画」では、「子ども・若者が笑顔で過ごせる環境の整備」を重点政策に位置付けています。区内には、17もの大学・学部をはじめとする教育機関が位置することから、子ども・若者にとっての資源として活用し、世田谷のまちのあちこちで子どもがワクワクし、知的、身体的にもいろいろな冒険、挑戦ができる機会を作っていこうと思います。

子どもの学びのために、私たち大人に何ができるのかが重要で、そのために、7月29日(土曜日)にシンポジウムを開催します。「世田谷のまちを学校に~子どものウェルビーイングを考える~」ということで子どもたちのウェルビーイングについて考えるシンポジウムです。

建築家で手塚建築研究所の代表で、東京都市大学教授である手塚貴晴氏に基調講演いただきます。手塚氏はOECD(経済開発協力機構)とUNESCO(国連教育科学文化機関)により、世界で最も優れた学校に選ばれた「ふじようちえん」など、子どものための子どもに寄り添った空間設計を手がけられています。「地元世田谷のためなら協力します」とご快諾いただき、講演していただきます。

後半はパネルディスカッションを行います。一般社団法人つながりのデザイン代表理事で尼崎市など自治体の現場に入りながら、市民との共同作業について多く経験をお持ちの船木成記氏、手塚氏、私、渡部教育長、宇都宮教育総合センター長の5名で、「今、私たち大人に何ができるか」をテーマに議論します。

発表項目

地域行政の推進に向けた車座集会の開催について

区は昨年、「世田谷区地域行政推進条例」を制定しました。条例では平成3年から区独自の地域行政制度である地区・地域、そして全区の三層制のもと、28ある地区のまちづくりセンターを「区民生活を包括的に支援する地区の行政拠点」と位置付けています。これまで各地区では、まちづくりセンターとあんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)、社会福祉協議会地区事務局を福祉の相談窓口として繋がる3者連携を進めてきました。そして、条例の制定でさらに、地域コミュニティにおいて、子どもを介した重要な場である区内25か所の児童館も含めた4者連携の取組みを進めています。

また、条例では各地域の総合支所を、各地区の課題を把握してまちづくりセンターを支援しながら、地域全体を経営していく位置付けとしています。

「車座集会」についてご説明します。発表スライドの写真は、4年前の前回開催時のものです。この回は参加者が多く対面形式ですが、基本的には名前のとおり車座でお話を伺います。

区長として現在4期目ですが、過去1期目、2期目、3期目の選挙後に同様に28か所の地区を回っており、今回で4回目の開催となります。

4年前は「地域行政」をテーマに、区の地域行政制度を条例化していくにあたって、区民の皆さんがどのように捉えているかディスカッションする目標がありました。

今回は、条例が制定されたことの報告を含めご意見いただく予定です。6月24日(土曜日)から9月まで、土曜日・日曜日に開催していきます。28か所で車座集会を行うことで、それぞれの地区の課題が出てくるかと思います。そうした地区の課題を受け止めた後、5地域ごとでタウンミーティングを実施し、それを経て、「(仮称)地域経営方針」の策定につなげていきます。「車座集会」の開催は過密スケジュールです。すでに申込期限が過ぎている会場もありますが、各会場に余裕があれば期限後も受付可能ですので、開催するまちづくりセンターにお問い合わせいただきたいと思います。過去の経験から、全地区で500人程度の方の意見を伺うことになります。過去の意見では待機児童問題もありました。また、福祉の窓口が複雑で分からないという話もあり、このお話から先ほど紹介した3者連携に繋がりました。このように、世田谷区で抱える問題や災害への備え、またマイナンバーカード等に関する意見、或いは、我々区が気づいていない事柄など多様な意見が出ることと思います。

ふるさと納税による区税への影響と寄附実績について

次に、ふるさと納税による区税への影響と寄附実績についてです。

令和5年5月の速報値で、区民税の流出額が昨年度の額87億円から更に10億円ほど増加し、97億円となりました。あと3億円で100億円という見通しが出てきて、大変ショックを受けています。

区はこれまで、返礼品目当てのふるさと納税に一定の距離を置くということで、地域貢献・社会支援型の寄附に絞ってきましたが、流出額が非常に大きく、方針転換して返礼品を充実させる苦渋の決断をしました。区内有名店のスイーツや宿泊券などを用意したところ大変反響があり、昨年、令和4年度は約2億8,600万と、前年、令和3年度の2倍近く寄附がありました。

しかし、喜んだのも束の間、流出額は約10億円の増加となり本当に残念です。ただ、従来は年末にふるさと納税がピークを迎え、1月からは低調していくものの、今年は寄附が順調に続いていると報告を受けています。

ふるさと納税による区税への影響額の推移のグラフを見ると、流出額がどんどん増え、歯止めがかからない状態で、累積額は458億円と大変な金額になっています。令和4年度の寄附金と令和5年度の流出額を比較すると、寄附金の30倍を超える税が流出しており、看過できない状況です。

改めて、ふるさと納税制度の欠陥について申し上げたいと思います。

1つ目は、高額所得者ほど得をし、逆進性の要素が強いことです。もともと、収入の低い非課税世帯は対象とならない制度です。そして、高額所得者であればあるほど、寄附による恩恵が多い制度となっています。年収400万円の方と2,500万円の方を比較すると、収入の差は約6倍ですが、ふるさと納税による恩恵は、400万円の方が1万600円に対して、2,500万円の方は25万4,500円です。恩恵の差は約24倍になります。収入差は6倍なのに、恩恵差は24倍になる、さらに収入の高い方はより一層恩恵が増えていく。高額所得者の恩恵が青天井であることについて、国は説明できるのだろうかと思います。税の配分とは、社会的に厳しい、或いは何らかの事情で公的なサポートを必要とするところに、高額所得者からも相当の税を払っていただいて、均等に人間らしい生活ができるよう支えていくことだと思います。その点、逆進性は大きな要素です。

世田谷区がなぜふるさと納税の影響が深刻なのか。ふるさと納税による流出額は、例えば令和4年度だと横浜市の230億円が一番大きいです。しかし、流出額上位5自治体のうち世田谷区と川崎市は、地方交付税の不交付団体です。横浜市や名古屋市、大阪市は地方交付税により補填されているため、実質的な減収額では、川崎市が1位、世田谷区が2位となります。

こうした区の現状を踏まえ、2つ目の問題点として、ワンストップ特例制度があります。本来、国が負担すべき所得税の控除相当分まで、地方自治体に負担させているという矛盾です。加えて、先ほどお伝えしたように、地方交付税の不交付団体には減収に対する補填が全くないということも矛盾しています。

これらの問題は、特別区長会でもたびたび主張しており、抜本的な見直しとして、ワンストップ特例制度の見直しや、税控除額に上限を設けるべきではないかということ、そして、不交付団体への補填がないことの見直しをすべきです。ふるさと納税は、例えば地方交付金を100億円受け取る自治体でも、ふるさと納税による寄附金は、別勘定で受け取ることができる構造になっていることから、大都市と地方の対立かのように報じられることもありますが、地方の市町村にも流出に悩む自治体は多くあります。ふるさと納税制度の抜本的な見直しについて迫っていくとともに、区長会でも問題にしていきたいと思います。

 熱中症予防の取組みについて

次に、熱中症予防の取組みについてです。世田谷保健所の調査によると、区内の昨年の熱中症死亡者18名のうち、約9割が65歳以上であり、約9割は室内で亡くなっています。また、室内で亡くなった方の約9割はエアコンが設置されていながら未使用だったことが判明しています。夜間も含め、エアコンを活用して熱中症を予防していただきたいと思います。昨年の6月は大変暑く、救急搬送が一昨年の6倍にもなりました。今の時期から体を動かし、汗をかく習慣などつけて、熱中症予防につなげていただきたいと思います。

区での取組みを紹介します。まず、高齢者の方に向けた「熱中症予防シート」です。高齢者の方は、少し暑さを感じにくいこともありますので、液晶温度計がついているこのシートを室内の見やすい場所に貼っていただき、室温上昇気を付けていただき、エアコン使用の目安にしていただければと思います。主に75歳以上のひとり暮らしや高齢者のみの世帯の方などを対象に、民生委員の方等に配布していただいています。

次に、「お休み処」についてです。区内約270か所に黄色いのぼりを立て、熱中症予防「お休み処」を設けています。6月15日から9月末まで、公共施設や調剤薬局、接骨院、整骨院、商店街のまちのステーションや公衆浴場、また障害者、高齢者施設など多くの民間施設のご協力により実施しています。歩いている途中に「お休み処」で涼んだり、水分を補給していただくことができます。「涼風マップ」では、「お休み処」の開設場所をマップで記載していますので、ぜひ使っていただきたいと思います。また、熱中症予防の啓発動画を区公式YouTubeせたがや動画で公開しています。

区内には区施設や民間の施設など多くの社会資源があります。東日本大震災の際や一昨年にも電力供給の逼迫等がありましたが、一人一人がエアコンで涼むというより、図書館など公共施設などで涼しい環境をシェアするクールシェアの考え方も進めていきたいと思います。

凸版印刷との連携協定における電子通知の実証実験について

最後に、凸版印刷株式会社との連携協定において、電子通知の実証実験を実施することとなりました。区は令和3年9月から保育園入園申し込みの電子申請を導入し、その件数は令和4年度で約1,800件、全体の2割程度となっています。さらなるデジタル化・オンライン化を進めるため、内定通知や保育料決定通知等、秘匿性の高い通知の電子化等を図るため、令和4年12月に凸版印刷と締結した「行政手続きオンライン化推進連携協定」に基づき、実証実験を行っていきます。

実施対象ですが、保育施設を継続して利用するために年に1度実施している保育の必要性などを確認するための「現況確認」の通知で行います。今回は区立保育園45園、約3,000世帯の方を対象に行います。

現状では、現況確認で使用している「家庭状況届」を紙書類で通知しており、皆さんに記載いただいています。今回の実証実験では、凸版印刷が運用する電子通知送付サービス「Speed Letter Plus(スピードレタープラス)」を使い、デジタルによる通知を送付します。

区は、在園児童名を記載した電子通知を「スピードレタープラス」に一斉に送付し、登録メールアドレスに電子通知が届いた旨のプッシュ通知が自動で送られてくるので、保護者は、「スピードレタープラス」で個人ごとの通知を確認することができます。

今回は、「現況確認」における電子化の実証実験ですが、この成果を検証・分析することで、秘匿性の高い通知を電子化し、大量に一斉送付する際の課題等を整理しまして、本格的な導入を目指して区民の利便性を高めていきたいと思います。区としては、デジタル化を進めていく際には、テストをしながら、不具合があれば、その都度修正して進めていきたいと思います。

質疑応答

  • 記者

マイナンバーカードの関係で伺いたい。世田谷区は都内最多の人口だが、口座紐付けのミスなど、事務的なミスや不具合が現時点で報告されているか。また、先ほど区長が話されていた健康保険証との一体化に関する話の趣旨は、場合によって止めた方がいいということか、あくまで丁寧に進めてもらいたいということか。

  • 区長

別人への口座紐づけ等については国からの照会もあり、区で調べているところだが、現時点で、具体的な事例としては確認されていない。今現在確認されていないという理解でお願いしたい。

マイナ保険証について、私自身の考えとしては、最終的に不具合が最小化された状態であれば、あって良いだろうと思う。ただし、その場合にもあらゆる人に強要するべきものではない。マイナンバーカード、マイナンバー制度自体が、あくまでも個人の選択を基本にしており、保険証を廃止しても、資格確認書を用意するから問題ないというのは乱暴ではないか、従来の保険証を存続すべきという意見だ。マイナ保険証は、医療機関等での不具合も発見されていることから、紙の保険証廃止は凍結し、マイナ保険証自体も不具合について一斉点検し、これ以上の混乱を防ぐべきではないか。医療機関でも混乱が起きているとのことから、この事態は放置すべきではない。マイナンバーカードを一挙に国民に広げたいという意図は理解できるが、余りに性急に過ぎる。河野デジタル担当大臣が紙の保険証廃止を発言してから、問い合わせや申し込みが大挙して押し寄せ、その対応がまだ続いてる状態である。さらに、最近は、様々な不具合に関する報道を受けて、マイナンバーカードを返納したいという問い合わせも幾つかあると聞いている。

安心して運用できること、間違いが少ないことは重要だが、現状を是正するために、自治体での人海作戦で検証してほしいというのは少し筋が違うのではないかと思う。

  • 記者

ふるさと納税について伺いたい。寄附を増やす取組みを行っても、なかなか現状が改善されていかない点について区長として一言いただきたい。また、今後さらに返礼品を増やす予定はあるか。

  • 区長

返礼品については、例えば家具などに広げていけないか検討している。悩ましいところだが、インテリアデザインやリフォームなど技術を持っている人や企業は数多くいるが、そういったものを返礼品として出していいのか。地方の大事な産業でもあるだろう。これ以上追い詰められていくと、自衛のため、納税額の多い方からの高額の寄附を集められるような返礼品を考えざるをえない。そうなれば、ふるさと納税の趣旨に全く沿わないものになってしまうのではないか。可能な限り行いたくないが、今後流出額が100億を超え、150億を超えとなれば耐えられるわけがないと考えている。

  • 記者

ふるさと納税について、流出額が100億、150億にもなるとのことだが、今後の見通しとして、そのような増え方をしていくと考えているのか。

  • 区長

以前、税理士の方と話したことだが、税務申告の際に、ふるさと納税のアドバイスをしないと顧客から苦情が来るので必ず案内すると聞いた。コマーシャルにしても、年末になると、とふるさと納税の広告が多く出てくる。そうなると、故郷どうこうではなく、返礼品の内容で決めるようになってしまう。住んでいる自治体に税金を払わずにそれなりの返礼品をもらえるということで、一個人にはいいことかもしれないが、流出した納税額は、区税全般で埋めていかざるをえない。その意味で公平でない部分もある。自らの故郷へ感謝の気持ちを込めてふるさと納税で応援しようということは全く否定しない。また、東日本大震災の時など被災地応援の寄附は非常に増えていた。北海道胆振東部地震の時には、区でも代理寄附を行った。また、医療的ケアを必要とする方々や児童養護施設等の退所者を支援する寄附もいただいて本当に役立っており、全否定するつもりはない。しかし、現状として、大半は返礼品の競争となり、その情報が広く発信され、多くの国民に情報が行き届いてしまっている状態であることから、来年以降、流出が減っていく見込みは全くない。100億円を超えるのも時間の問題である。

何が問題かというと、この状況を良しとしている国の問題だと思う。高額納税者の方々は非常に多くの返礼品を獲得する一方、数万円分しかできない方々もいるという制度は問題ではないか。地方を活性化させるのであれば、寄附金額の上限を設けること、そして、住民税所得割の控除上限を2割から、平成27年の税制改正前の1割に戻すことが必要だと考えている。

残念ながら、大都市での多額の流出以外に、人口の少ない地方でも、特産物がなく流出している自治体もある。現在のふるさと納税制度は、制度として多くの人を幸せにしているのか、むしろ貴重な税財源を蝕んでいくような制度で良いのか、訴えていかなければならないと思っている。現在の制度は抜本的に見直すべきだと思う。

  • 記者

ふるさと納税による減収について、以前、学校改築や高齢者施設整備への影響といった表現もあったが、具体的にどんな影響が出ているか伺いたい。

  • 区長

流出額の大きさを表す例えとして、学校改築や高齢者施設整備などで表現した。減収により直接的に、事業が中止することがないように予算全体で対応している。

  • 記者

実際に中止された事業はないが、減収額により、例えば学校改築などに影響が出てくることもあるか。

  • 政策経営部長

学校改築や高齢者施設整備は優先順位が高い事業のため、大きな減収となっても優先的にやらざるを得ないと考えている。減収により何かが実施できなくなるというよりは、減収がなければできたかもしれない事業等まで手が回らないといった状況はある。

  • 記者

本庁舎等整備工事の工程延伸について伺いたい。6月9日(金曜日)に大成建設から工程延伸に関する報告書が区へ提出されたが、区として納得できる内容だったか。また、工事が6か月延伸したことにより、どのような影響や損害があるか。

  • 区長

報告書の内容は、5月30日(火曜日)の大成建設による本庁舎等整備工事における1期工事完成日の再延伸についての記者会見や、区への謝罪時の説明内容と変わりない。

施工計画や施工管理の検証不足ということで、具体的には躯体を支える仮設支柱の設置や、外部足場がある状態での外構工事などが、当初の想定と異なり、その検証含めて時間を要し、再延伸してしまうという内容だった。日本を代表するゼネコンとして、このような事態となることはにわかに得心しがたいと思っている。

6月21日(水曜日)のDX・地域行政・公共施設整備等推進特別委員会において、本庁舎等整備工事の工期延伸に関する参考人として、大成建設から4名出席したが、5月30日(火曜日)の記者会見と同様、「施工計画や管理が行き届いていなかった大成建設の責任である。」との回答だった。

損害については、まだ具体的な数字の確定には至っていない。一例として挙げると、第1期工事で完成する庁舎にサーバーを設置して環境構築する予定であったが、今回の延伸により一旦、現庁舎等に設置し、工事完了後に改めて移設することとなると、作業費用が追加で発生するという報告も受けている。

  • 政策経営部長

6月21日(水曜日)のDX・地域行政・公共施設整備等推進特別委員会にて報告したが、第1期工事の延伸による影響として、新庁舎に入れる什器の購入予定を一旦止めるため損失が発生するだろう。今年度予算での影響額を算出しているが、具体的な数字はまだ出ていない。今後、2期、3期工事も工期延伸となると、例えば、本庁舎等以外の場所に賃貸で執務室を設けている部署が、工事完成後に本庁舎へ移転予定だったところ、延伸により賃借料が追加発生することも考えられる。ただ、現時点で具体的な数字は出でいない。

  • 区長

7月の半ばに、大成建設から2期、3期工事の工程検証について報告を受ける予定である。その内容によって、賃借料の負担等、今後の見通しが判明してくるだろう。

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