令和5年第3回区議会定例会 会派意見

最終更新日 令和5年11月18日

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4年度決算に対する会派等の意見

4年度決算を審査するため、46名の議員で構成する決算算特別委員会を設置し、10月3日から10月17日の間、延べ7日間にわたり質疑を行いました。

ここでは、決算特別委員会での質疑や要望、今定例会最終日に表明された令和4年度決算に対する各会派等の意見の一部を要約してお伝えします。

本会議での意見表明者


自由民主党世田谷区議団=石川 ナオミ
公明党世田谷区議団=福田 たえ美
立憲民主党・れいわ新選組世田谷区議団=中山 みずほ
日本維新の会・無所属・世田谷行革110番=大庭 正明
日本共産党世田谷区議団=中里 光夫
都民ファーストの会・Setagayaあらた=そのべ せいや
生活者ネットワーク世田谷区議団=関口 江利子
レインボー世田谷=上川 あや
世田谷無所属=ひうち 優子
国際都市せたがや=神尾 りさ
せたがやの風=つるみ けんご
国民民主党世田谷=石原 せいじ
参政党=岡川 大記
無所属=青空 こうじ

未来志向の行政経営へと舵を切り誰もが暮らしやすい世田谷を築け
―自由民主党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来人口推計によれば、2056年に1億人を割り、2070年には8700万人まで減少する上、4割近くを高齢者が占め、出生率はさらに低下するという。また、別の研究機関も少子化のスピードや社会の在り方が変わらない限り労働力不足に歯止めがかからず、多くの中小企業が廃業すると予測している。

将来的な人口減に伴う人材不足や税収減が避けて通れない中でも、子どもたちが将来に夢や希望を持てる世田谷を築くためには、未来志向の行政経営へと転換し、DX推進をはじめとした抜本的な業務改革、組織構造や業務フローの再構築を進め、真に必要な施策への人材の投入や財源の適正な配分などを徹底することが不可欠だ。そして、更なる事業の相乗効果を生むために全所管が高いレベルで連携を図る必要があり、区長には強いリーダシップが求められている。

これまで我が会派は、保坂区政での新実施計画事業の達成率の低調ぶりを指摘してきたが、今定例会で示された4年度の事業評価によれば、達成率が53%にとどまる。区長は、昨年の決算特別委員会において、計画目標の達成率100%を目指すと明言しており、この結果は評価できるものではない。今年度こそは貪欲に全ての目標を達成できるよう、副区長以下、職員の奮起に期待する。また、策定中の次期基本計画においては安易な目標設定に終わらず、その妥当性を見極め、組織や人員体制についても並行して十分に検討を重ねよ。

以下、重点的に取り組むべき施策について、意見を申し上げる。

まず、物価高対策についてである。国は経済成長の成果を国民に還元するための対策を検討しているが、物価高の早期終息を見通すことは困難な状況だ。区は6年度予算への計上はもとより、補正予算の編成も視野に、区民生活と区内事業者への迅速かつ継続的な支援に取り組み、物価高の長期化に鑑みた支援対象の拡大も検討せよ。区独自の給食費無償化は国からの補助が実現するまで継続するとのことだが、単なる区長のバラマキ施策とはせず、区財政に影響を及ぼすことがないよう財源確保策についてしっかりと検討せよ。

次に、少子化対策についてである。国は児童手当の所得制限撤廃や保育所利用要件の緩和など、様々な分野での検討を加速しており、都も18歳以下への給付金である018サポートの申請を開始した。区としても国や都任せにせず積極的に取り組むべきであり、第2子の壁を打破するため、在宅子育て家庭をはじめ、これまで行政の手が届きにくかった層への独自施策などを迅速に構築し、実行せよ。

次に、災害に強いまちづくりについてである。今年は関東大震災から100年の節目であり、防災の取組の大切さを改めて心に刻んだ。区は、未来永劫(えいごう)「区民の生命を守る」という確固たる信念を持ち、ゲリラ豪雨や大型台風による浸水対策、都市計画道路の整備、既存建築物の耐震改修促進などに積極的に取り組め。特に、災害時の避難所であり、日々子どもが過ごす学校施設については、安全に使用できるよう年3校以上のペースで改築を進めよ。加えて、近年の異常な暑さから子どもや教職員を守るため、空調機器の更新や遮熱改修についても早急に進めよ。

最後に、本庁舎等整備についてである。区役所史上最大のプロジェクトが2年近く延伸となった責任が大成建設にあることは間違いないが、区長の当事者意識を欠いた対応には改めて猛省を促す。同じ(てつ)を踏まぬよう、品質の確保と安全第一を大前提に、工期の適正管理を徹底せよ。また、区民が被った損失の補償について、断固たる姿勢で大成建設との交渉に臨め。

以上、各政策について議会との合意形成を図った上で、迅速果断に実現することを切に求める。

激変する社会状況を正確に見極め区民を守る機動的な対策を講じよ
―公明党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

4年度決算は新型コロナや緊迫する世界情勢、ふるさと納税による減収など様々な影響を大きく受けたものとなった。そのような中、予算の未執行残高は30年度からの5年平均で215億円に上り、我々はこうした区財政の現状を看過することはできない。未執行予算を安易に基金に積み立てる姿勢を改め、社会状況の変化に応じた機動的な対策を講じる財源として活用せよ。

以下、我が党が最重要課題と考える施策について意見を述べる。

第1に、前例踏襲型の区の体質改善に向け、効果検証もせず漫然と配布している広報物を電子化しコスト削減を図るとともに、費用対効果などを踏まえ事業継続の可否を判断する明確な基準を設けよ。また、若手職員の退職者が多い現状を重く受け止め、職員が挑戦できる魅力的な組織へ変革せよ。

第2に、危機管理機能の強化に向け、新たに登用する危機管理監を中心に、民間との災害時協力協定や避難所の運営体制などの災害対策を総点検し、実効性を高める取組を進めよ。また、誰一人取り残さない強い覚悟で避難行動要支援者の避難支援に力を注げ。

第3に、物価高が長期化する中、区民生活を支援するため、せたがやペイ20%ポイント還元事業を実施するとともに、スマホ操作が不得手な方へのマイナンバーカードを活用したポイント還元策を検討せよ。また、清掃や通所事業など公益性が高く車両運行を伴う事業者にガソリン代を補助せよ。

第4に、公共施設マネジメントを着実に進めるため、施設を改築する際は環境への配慮や維持管理費の抑制に関する検討プロセスを広く公開せよ。また、避難所となる学校には改築に併せてLPガスを活用した非常用電源を設置せよ。

第5に、未来への投資として、不登校の児童生徒の増加を踏まえた不登校特例校分教室の拡充や、ほっとルームの全校設置に取り組め。また、中高生世代の活動の場として区内5地域全てに青少年交流センターを整備せよ。

第6に、障害のある若者が地域で自立した生活を送り、自分らしく社会で活躍できるよう、就労支援に向けた実践的な職業訓練機能の総合拠点を区内に整備せよ。

区民の安心安全な生活を守るため分野横断的な施策を展開せよ
―立憲民主党・れいわ新選組世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

以下、5つの点から区政の重要課題に対して意見を述べる。

第1に、次期基本計画をはじめあらゆる計画はジェンダーや人権尊重、福祉の公的責任の視点から策定を進めよ。子どもに関する政策は子どもの権利保障の観点を重視し検討せよ。次期実施計画の成果指標は明確なものとし実効性を高めよ。今後の官民連携による事業は、行政と民間のどちらが適しているかの精査や契約形態の検討などを十分に行った上で臨め。

第2に、格差を生まない社会を実現するには、介護や保育、教育といった暮らしを支えるベーシックサービスの拡充が不可欠だが、サービスを提供する担い手の不足が大変深刻だ。区は介護従事者や保育士などの処遇改善や非正規雇用問題への対策強化に注力せよ。

第3に、低賃金などを理由に働く若者の海外流出が危惧される中、区として労働報酬下限額を継続的に引き上げるとともに職種別下限額を設定せよ。また、インボイス制度の開始により影響を受ける中小企業や、原材料費などの高騰分を価格転嫁できない下請企業などに対する相談支援体制を構築せよ。事業の民間委託を推進するに当たっては不安定な雇用の拡大につながらないよう十分に留意せよ。

第4に、首都直下地震に備え、避難行動要支援者の個別避難計画の早期策定、耐震診断枠の拡充、在宅避難の促進、災害協定の拡大、地域や地区別のリアルタイム災害情報の発信などに積極的に取り組め。また、民有地におけるみどりを保全するため国分寺崖線保全整備条例などの見直しを検討せよ。

第5に、学校現場に関わるあらゆる人々が、課題を抱える子どもを必要な支援につなぐ体制の構築が必要だ。コーディネーター役となるスクールソーシャルワーカーの配置拡充や活用方法の改善に取り組め。全区立小中学校での別室登校「ほっとルーム」の展開では、教育委員会と学校が密に連携し、福祉の視点を持った学校生活サポーターを配置して進めよ。インクルーシブ教育の実現に向け教育委員会を中心に全庁連携で取り組め。

最後に、縦割り行政から脱却し、トライアンドエラーの精神で区政を変革することを強く要望する。

区長はトップとしての自覚を持ち責任を恐れず適時適切に決断せよ
―日本維新の会・無所属・世田谷行革110番―(一般会計には反対、その他の会計には賛成する意見)

我が会派は、区長の就任以来区政が停滞しているのは、重要な決断から逃れ、やるべきことをやらない区長の姿勢にあると再三指摘してきた。新実施計画の達成率が低調だった言い訳に計画期間最後の2年間に蔓延(まんえん)した新型コロナを挙げたことからも、改めて区長の責任感のなさに呆れるばかりだ。

決算特別委員会では部課長から意気込みに欠ける答弁が多かった。腰の重い区長の姿勢が職員にまで波及し行政サービスの低下を招いていると分かり、極めて残念だ。

振り返れば保坂区政は数多くの失態を繰り返してきたが、その最たるものが本庁舎等整備工事の遅延である。直接的な原因は大成建設にあるものの、区民会館の外観の保存や現庁舎機能を維持しつつ建設を行う難工事を提案した区長の責任は重い。こうした難工事を認めざるを得なかったのも、自身の案が認められるまで議論を長期化する区長の姿勢に、区民の命を守る災害対策機能の強化に向けて一刻も早く本庁舎等整備を進めたい議会が業を煮やしたためである。

最後に、区長が示す新たな教育大綱について述べる。区の教育の指針を示す重要な大綱が、自身の著書で中学時代の万引きを公言する区長の下で策定されていることに区民はどう感じるか。過ちを悔い改める姿勢のない区長には教育を語る資格はない。

参加と協働による地域行政を進め区民主体の区政運営を確立せよ
―日本共産党世田谷区議団―(国保会計と後期高齢者会計には反対、一般会計と介護会計と給食会計には賛成する意見)

保坂区政3期目の最後となる4年度予算は、コロナ対策や地域行政推進条例の制定、参加と協働の推進などに取り組んできた。また決算では区民税が増収となり、基金は史上最高の1632億円となった。この財源を区民の命と暮らしを守るために積極的に活用せよ。

平和の問題で、国際的緊張が高まる中、危機を煽ることは戦争準備への加担だ。戦争準備は自治体の仕事ではない。また関東大震災時に起きた朝鮮人への殺傷事件を区史編纂に反映するなど平和に関する取組を推進せよ。

物価高騰、インボイス制度で打撃を受ける事業者への支援策を講じよ。次期基本計画の重点政策に、高齢者と障害者の福祉の充実を位置づけよ。震災時の在宅避難者支援プランを早期策定せよ。介護人材と教員の確保に努めよ。インクルーシブ教育とジェンダー平等の取り組みを着実に進めよ。気候危機対策を進めるために、建物の断熱化を進めよ。公務の魅力を引き出す環境を整え、必要な人を増やせ。官製ワーキングプアを生まない行政経営に取り組め。

DXの徹底と子ども真ん中社会へ
―都民ファーストの会・Setagayaあらた―(全ての会計に賛成する意見) 

くみん窓口に限らず全ての窓口業務において、DXを徹底し区民サービスの向上に繋げよ。若者が子どもを持ちたいと思えるよう子育て・教育に係る経済的負担の軽減や、さらなる仕事との両立支援に取り組め。地球沸騰化の中、グリーンインフラの拡充や脱炭素社会への取組を加速せよ。ChatGPTなどの生成AIが進化をし続ける中、大人からの指示により早く正確な出力を競うような従来の教育は意味をなさなくなりつつある。自ら考え行動する力や、主体性を育む教育への転換をはかれ。

誰一人取り残さない社会を目指せ
―生活者ネットワーク世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

世田谷の平和教育では国際戦争を自分たちに関係ないこととせず、対話で理解を深め平和を守る重要性を十分に伝えよ。ジェンダー平等社会を実現するため、いまだに残るあらゆる差別や不利益の実態を踏まえデータに基づいた対策を講じよ。福祉人材の確保に向け、区独自の報酬上乗せや実態調査に基づく業務改善を促進し多様な人材が働きやすい環境づくりに取り組め。気候変動に伴い甚大化する自然災害から次世代が生きる未来を守るため、気候危機対策基金などを活用した対策を力強く進めよ。

名ばかりの施策推進を改めよ
―レインボー世田谷―(全ての会計に賛成する意見)

区が自治体の憲法「基本構想」で掲げた「多様性の尊重」は理念に基づく政策実践こそが大切だが各部、対応が手薄すぎる。多様性尊重条例に則しLGBTQ支援を各行政計画に明記せよ。視覚障害者が使えない電子申請や合理的配慮の薄い難聴者支援施策も改めよ。

時代の変化に即した施策を進めよ
―世田谷無所属―(全ての会計に賛成する意見)

DX推進による電子申請や書かない窓口を早急に実現するとともにデジタル機器に不慣れな高齢者への支援体制を構築せよ。電動キックボードに係る交通ルール改正に伴い安全啓発を一層強化せよ。急速な社会の変化を的確に捉えながら各種事業の改善に取り組め。

誰もが活躍できる世田谷を築け
―国際都市せたがや―(全ての会計に賛成する意見)

人口減少が進む今、持続可能な世田谷を築くため、障害者や長期失業の若者など社会的弱者が活躍できるよう包摂的成長を目指せ。次期基本計画の目標と成果指標、各部の計画と個別調査を連動させ、庁内一体で区民が心身ともに生き生きと暮らせる政策を推進せよ。

現場の想いを基に区政改革を
―せたがやの風―(全ての会計に賛成する意見)

区は目標や責任の所在が曖昧な行政計画を平然と打ち出しており、区政改革を本気で進める意思があるのか甚だ疑問だ。区は議会と真摯に向き合い議会軽視の姿勢を改めよ。区には志ある職員が大勢いる。その方々の想いが形になる世田谷区役所になることを期待する。

次代を担う若者が輝く社会を築け
―国民民主党世田谷―(全ての会計に賛成する意見)

次代を担う若者が伸び伸びと才能を発揮できる世田谷を築くため、挫折や苦難に直面した際にいち早く必要な支援へとつなげる仕組みをつくれ。次期子ども・若者計画に若者世代の意見を積極的に取り入れ、真に若者が求める行政サービスを提供できるよう尽力せよ。

決算審査を現年度の施策に生かせ
―参政党―(全ての会計に賛成する意見)

決算審査を現年度の施策に生かすため、決算数値の早期公表や10月に行う決算特別委員会の前倒し開催など、決算に対し深く議論できる工夫が必要だ。また、区にはコロナワクチン後遺症患者への支援や伝統芸能の保護、子どもの感性を育む教育の推進を強く求める。

世田谷の魅力度向上に尽力せよ
―無所属―(全ての会計に賛成する意見)

高齢者がいつまでも気の合う仲間との会話や食事を楽しめるよう口や歯の健康づくりを推進せよ。校庭の人工芝化や異文化に触れる機会の充実を図るなど、魅力ある学校づくりを進めよ。世田谷線沿線の魅力ある景観づくりを進めるよう鉄道事業者に働きかけよ。


(補足)代表質問や一般質問、会派意見では下記のとおり省略表記を使用しています。

  • ファミサポ事業=ファミリー・サポート・センター事業
  • うめとぴあ=梅ヶ丘にある全区的な保健医療福祉拠点の愛称
  • 東リハ=東京リハビリテーションセンター世田谷

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