令和2年第3回区議会定例会 会派意見

最終更新日 令和2年11月14日

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元年度決算に対する会派等の意見

元年度決算を審査するため、47名の議員で構成する決算算特別委員会を設置し、9月30日から10月13日の間、延べ7日間にわたり質疑を行いました。

ここでは、決算特別委員会での質疑や要望、今定例会最終日に表明された令和元年度決算に対する各会派等の意見の一部を要約してお伝えします。

本会議での意見表明者


自由民主党世田谷区議団
=下山 芳男議員
公明党世田谷区議団=平塚 敬二議員
世田谷立憲民主党社民党=羽田 圭二議員
無所属・世田谷行革110番・維新=桃野 芳文議員
Setagayaあらた=小泉 たま子議員
日本共産党世田谷区議団=中里 光夫議員
生活者ネットワーク世田谷区議団=金井 えり子議員
減税せたがや=あべ 力也議員
レインボー世田谷=上川 あや議員
世田谷無所属=ひうち 優子議員
都民ファーストの会=そのべ せいや議員
区民を守る会=くりはら 博之議員
無所属=青空 こうじ議員

世田谷の明るい未来の実現に向け今なすべき区政運営を展開せよ
―自由民主党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

2020年は新型コロナの猛威により、感染防止を踏まえた生活様式への変容を余儀なくされ、更には、東京2020大会をはじめ各地イベントも軒並み中止された。また、区制施行88年、人間で言えば米寿を迎える年でもあり、先人たちから継承してきた区政運営のバトンを確実に次世代へつなぐため、我々は知恵を絞り、「世田谷区が明るい未来を迎えるためには、今何をなすべきか」を真剣に考え、議論し実行する必要がある。

コロナ禍で住民同士や区政と区民との関係が以前と比べ弱まりつつある今、我が会派はこの戦後最大の危機を区民とともに乗り越え、愛する世田谷がより大きく発展するために、政策提言を行っていく。

元年度決算では、納税者数増に伴い特別区税が前年度比で40億円増加した一方、特別区交付金が前年度比22億円の減となったことで、数年間続いていた増収傾向に陰りが見え始めている。また、経常収支比率は2.1ポイント増の81.4%と、2年ぶりに80%台に上昇し財政の硬直化も懸念される。区は毎年のように大幅な税収増を見込み、行財政改革を後回しにしてきたが、今日の経済情勢に鑑みると本腰を入れて取り組む時が来た。今こそ、区長はリーダーシップを発揮して政策の優先順位を見極め、必要な政策には大胆に予算を配分し、減ずべき政策には厳しい判断を下すなど、果敢に行財政改革を進めよ。

また、基金残高は1060億円と、特別区債残高を約360億円上回ったが、4年後には基金残高が約560億円まで減少し区債残高は約1000億円に増加する見込みだ。今後コロナショックによる大幅な減収も見込まれる中、一層計画的な基金活用を図るとともに将来に影響を及ぼさないよう特別区債は厳格に発行せよ。

以下、区が重点的に推進すべき施策について意見を述べる。

コロナ禍の今、感染拡大防止と社会経済活性化の両立を図る区政運営が求められる。経済的困窮者への支援をはじめ、地域経済の循環を一層進めるために区内事業者からの物品購入を促進するなど、できることから早急に取り組め。

高齢者施策の推進では、コロナ禍で外出控えが進む今、懸念される体力や認知機能の低下に対し、「新たな生活様式」に沿った介護予防事業を展開せよ。

教育政策では、児童生徒に一人1台のパソコンを整備するGIGA(ギガ)スクール構想を推進する一方で、従来の対面での教育にも注力せよ。児童生徒の誰一人も置き去りにせず、教員も誰一人として挫折させないための支援を充実せよ。

実施までに混迷を極めた「社会的検査」は区長がPCR検査の対象を「誰でも、いつでも、何度でも」と豪語したものの、結局は介護事業所などの従事者のみを対象に事業が開始された。「誰でも何度でも受けられる」と誤解を与え、国内世論までも混乱させた区長の責任は非常に重く猛省を促す。混乱の要因は「庁内での議論を行わない」、「国や都との調整を行わない」、「区議会との議論を行わない」という3つの「ない」によるものであるが、最大の失態は独善的にメディアで公表した区長の行為にある。二度と同じ(てつ)を踏むことがないよう強く忠告する。

今後の課題は新型コロナ対策に加え、震災対策、本庁舎の改築、環境問題、区内産業振興、高齢者障害者施策など多岐にわたる。そして何よりも財政の健全性を確保し円滑な区政運営が最大の課題だ。コロナ禍で顕在化した課題を克服するとともに新しい未来の確立に向け地域経済を元気に、区民生活を豊かにするため「今何をなすべきなのか」を徹底的に議論し、地に足をつけた区政運営を展開せよ。

聖域なき行財政改革を断行し区民生活と地域経済を再生せよ
―公明党世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見)

新型コロナの影響により3年度の区の歳入は最大で約286億円の減額が見込まれ、かつてない財源不足に陥ることが懸念される。区政運営の危機的状況である今こそ、新公会計制度を生かしたフルコスト分析により、施設の運営形態や費用対効果などの面から徹底的に全事業を見直し、生み出した財源を区内産業や区民生活に大胆に還元する真の行財政改革を断行せよ。

以下、我が党が最重要課題と考える施策について意見を述べる。

第1に行政手続のデジタル化についてである。コロナ禍で行政のデジタル化の遅れが浮き彫りとなった。デジタル化推進に当たり、区民目線での行政窓口の刷新と業務改善による職員の働き方改革を進めよ。また、マイナンバーカード普及のための体制強化とマイナポータルの活用拡充に取り組め。

第2に新型コロナウイルスの検査体制の強化についてである。重症化リスクの高い高齢者と関わる介護施設職員へのPCR検査拡充は評価する。保護者の検査陽性に伴う入院に際し、残される要介護者や子どもの見守りに係る相談のワンストップ窓口を設けよ。

第3に地域行政制度についてである。コロナ禍で人と人との関わりが減少し、地域コミュニティーの弱体化が懸念される。仮称地域行政推進条例の策定に当たっては、地区の防災力や福祉力の向上に向けた地域コミュニティーの再構築を見据え検討せよ。また、地区のコミュニティー形成を推進するまちづくりセンターの強化とそれをバックアップする支所の権限、財源の拡充について明確に示せ。

第4に認知症とともに生きる希望条例についてである。今般、条例が制定されたことは区の認知症施策の大きな前進である。3年4月に策定予定の仮称認知症とともに生きる希望計画には、区民が認知症への理解を各地区で深めるための具体的な方策を示せ。

第5に老人休養ホームふじみ荘の廃止についてである。ふじみ荘のような高齢者の誰もが利用しやすい施設は、生きがいづくりやフレイル予防に重要である上、コミュニティー形成にも不可欠である。代替施設として千歳温水プール内の健康運動施設などを高齢者が利用しやすいように整備し周知せよ。

第6に教育総合センター構想についてである。公私立の保育園、幼稚園、認定こども園の連携体制を強化し幼児教育を充実せよ。また、インクルーシブ教育などに係る先駆的な調査、研究成果を教員の研修や支援に生かすなど、公教育の礎となる責任と役割を果たせ。

新型コロナから区民を守るため社会で支える仕組みを再構築せよ
―世田谷立憲民主党社民党―(全ての会計に賛成する意見)

コロナの感染拡大で露呈した経済や社会保障のもろさを改善するため、社会全体で支える仕組みの再構築に取り組め。経済対策は自助、共助では限界があり公助の使命感を持って一層注力せよ。

せたがやペイは真に経営に苦しむ個店への支援となるような仕組みとせよ。公契約条例の効果が現場に行き渡るよう尽力せよ。

区の「社会的検査」は介護事業所等の従事者や利用する高齢者の安全を守る重要な取組だ。検査の対象を学校などへも拡充せよ。

子どもへの虐待が外出自粛中に増加したことを踏まえ、児童相談所と子ども家庭支援センターとの連携を強化せよ。教育格差是正に向け独り親家庭への学習支援を拡充せよ。中高生の妊娠相談の増加を踏まえ人権教育や性教育を充実せよ。世田谷版ネウボラは子育て希望者にも対象を広げ、社会的養育の普及啓発と合わせ取り組め。ノーマライゼーションプランに障害者差別禁止条例とインクルーシブ教育に係る施策を盛り込め。

元年の台風19号での被害を教訓に水害対策の強化に加え一時避難所や福祉避難所の拡充に取り組め。区民の防犯に資する迅速な情報提供に努めよ。外郭団体への補助金の在り方を見直せ。外部人材の活用も視野に戦略的広報を展開せよ。

気候非常事態宣言の目標の明確化やエシカル消費の啓発により区民の行動変容を図れ。ものづくり学校の契約は透明性を確保せよ。らぷらすの運営体制を見直せ。

コロナ禍での経済不況を契機に、介護人材確保策や緊急介護人の報酬、対応時間などを改善せよ。

新たに発覚した耐震基準を満たさない病院などの耐震改修を促せ。緑化推進や落ち葉の再利用、再生可能エネルギーの活用に取り組め。

タッチ・ザ・ワールドの運営を見直せ。平和教育を推進せよ。インクルーシブ教育推進に向け、ガイドライン作成と教員研修強化に注力せよ。少人数学級を実現せよ。

新型コロナによる影響の長期化を見据え、区は議会の提案に真摯に向き合うとともに、経済や社会の変化に対応した区民参加の仕組みに整えよ。副区長を3人とし組織体制を強化するが、今後は外部人材の登用も視野に区民サービス向上に資する組織を目指せ。

変化する社会に柔軟に対応し真に必要な施策を見極めよ
―無所属・世田谷行革110番・維新―(全ての会計に賛成する意見)

新型コロナにより、人々は接触を避けた関わり方を模索し、社会経済は低迷した。区は財政状況を見極め、柔軟な区政運営で世田谷の未来に必要な施策を推進せよ。

本庁舎整備では職員が区長の強いこだわりと整備要件との板挟みに苦しみながら計画を練り上げてきた。今後、大幅な費用縮減と災害対策強化の両立を迫られた際は迅速に対応しつつ着実に進めよ。

児童相談所は子どもへの虐待など顕在化しにくい問題に対し、関係機関との連携の感度を高め、子どもや家庭のために最善を尽くせ。他自治体の虐待事件と同じ(てつ)を踏まないよう事例研究にも注力せよ。

区長が「誰でも、いつでも、何度でも」と喧伝(けんでん)したPCR検査の拡充策が「社会的検査」として補正予算に計上されたが、定期的とは名ばかりで検査の義務づけもなく実効性がない。我々は従来型のPCR検査拡充と各施設での感染拡大抑制の取組支援に予算を付けるべきと組み替え動議を提案した。

区長の中身のない言動やつじつま合わせを部下に押し付ける姿勢に職員は疲弊している。首長としてあるまじき姿勢に苦言を呈する。

地域の実態にしっかりと目を向け真に区民に必要な行政を実現せよ
―Setagayaあらた―(全ての会計に賛成する意見)

コロナ禍での現場職員の努力に心から感謝する。一方で特定部署に負担が集中したことなど今回の反省を次に生かす調査を行い、報告するという区の姿勢を評価する。

ふじみ荘の廃止問題に端を発した高齢者の日々の活動をいかに支援していくかについて、区の基本的姿勢に問題がある。特に、丁寧な説明として、いわゆる「高齢者に部活動、ジム通いを強制する」ような事態では、区が高齢者の生活実態を知らないことの象徴であり、考えを根本から見直せ。

認知症とともに生きる希望条例の本来の趣旨にのっとり、認知症とともに生きる主体は区民全体であることを再認識するとともに、懸案である損害賠償の負担問題については、早急に結論を出せ。

新型コロナの影響が地域社会を根本から変えていくことを認識し、行政のデジタル化を推進するとともに、更には区民に最も身近な行政拠点の在り方を明確にせよ。多文化体験コーナー「タッチ・ザ・ワールド」は全区民の利用促進に向けて在り方を見直せ。多くの区民に的確に情報が伝わるように広報の在り方を抜本的に見直せ。

コロナ禍から区民の命くらし守れ
―日本共産党世田谷区議団―(国保会計と後期高齢者会計には反対、一般会計と介護会計と給食会計には賛成する意見)

コロナ禍から区民の命とくらしを守ることが最大の課題だ。またコロナ後の区政において、経済効率最優先の新自由主義を転換し、住民福祉の増進という自治体本来の役割を発揮する区政への発展を求める。この立場で以下意見する。

第1に感染防止。PCR検査は区長の決断が国を動かした。検査費用の全額国費負担を求めよ。社会的検査は介護や障害、保育施設の全職員の定期検査へ拡充せよ。保健所の体制を強化せよ。第2に生活困窮者の早期支援。生活保護の広報や体制を強化せよ。第3に高齢者施策。介護職確保を。ふじみ荘の代替策を含め新たな高齢者施策を参加と協働で作れ。第4に水害対策。多摩川の河道掘削、排水ポンプの設置を。第5に教育。少人数学級の早期実現を国へ求めよ。

誰もが暮らしやすい社会を築け
―生活者ネットワーク世田谷区議団―(全ての会計に賛成する意見) 

区民の安心につながる「社会的検査」を実施せよ。コロナ禍での生活支援を強化せよ。区民との協働で気候危機対策を進めよ。森林環境譲与税を有効活用せよ。プラスチックごみゼロ宣言を行い実現へのロードマップをつくれ。エシカル消費の啓発やSDGs(エスディージーズ)教育を進めよ。グリーンインフラ整備と活用を進めよ。女性防災リーダーを活用し災害対策を強化せよ。うめとぴあ民間棟の事業者への指導を強化せよ。介護の社会化を念頭に施策を展開せよ。障害者差別解消条例と手話言語条例を制定せよ。DVや性暴力を根絶せよ。リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点で性教育を充実せよ。安全な給食食材を使え。学校で食器や手を洗う際は石けんを使用せよ。香害(こうがい)に係る啓発を行え。ユニバーサルデザインのまちづくりを推進せよ。

区長を先頭に福祉向上へ邁進(まいしん)せよ
―減税せたがや―(全ての会計に賛成する意見)

区長の大風呂敷で始めた「PCR検査」が結果的に国費負担となったことを評価する。行政のデジタル化を機に役所の役割を見直し、区民サービスを最大化せよ。コロナ禍における区民の安心安全確保などの政策実現へ向け、区長を先頭に各職員が主役となり邁進(まいしん)せよ。

多様性を認め合う社会を実現せよ
―レインボー世田谷―(全ての会計に賛成する意見)

家族向け行政サービスは同性カップルにも同様の権利を保障せよ。同性パートナーを事実婚に準ずる扱いとする事務処理規定を早急に整備せよ。歩行困難者のためのベンチの設置を確実に行え。区立幼稚園での偽装雇用を二度と繰り返すな。庁内の意識改革に努めよ。

社会の変化に柔軟迅速に対応せよ
―世田谷無所属―(全ての会計に賛成する意見)

マイナンバーカード交付促進やテレワーク環境整備により区役所のデジタル化を進めよ。自転車利用者増を踏まえヘルメット着用の重要性を区民周知し走行環境やシェアサイクルの整備も進めよ。電子図書館整備など機能充実を図れ。ヤングケアラー対策を強化せよ。

世田谷からデジタル行政を進めよ
-都民ファーストの会-(全ての会計に賛成する意見)

デジタルを前提に据え小手先ではなく業務を根本から見直せ。押印廃止やマイナンバーカード拡大は手段であり、目的を利便性向上・コスト圧縮へと定め、デジタルへの全面移行を進めよ。因習に固執せずテクノロジーで様々な障壁を超え、豊かな区民生活を目指せ。

新型コロナの脅威から区民を守れ
-区民を守る会-(全ての会計に賛成する意見)

コロナ禍において最前線で戦う関係者の方へ謝意を表する。新型コロナの脅威から区民を守るため、感染症への正しい理解や予防対策の周知啓発に取り組め。困窮家庭に対する経済支援策や卑劣な特殊詐欺への対策を強化せよ。広報体制を強化し情報発信を充実させよ。

地域の(きずな)を深める区政を推進せよ
―無所属―(全ての会計に賛成する意見)

持続可能な社会づくりを進め自然災害の減少を目指せ。新型コロナ感染による差別やいじめを防ぐとともに、人と人とが信頼し合える機運を醸成せよ。区職員は区民と顔の見える関係を築き、地域に愛着を持って、区民とともに地域の(きずな)が深まるまちづくりを進めよ。


代表質問や一般質問、会派意見では下記のとおり省略表記を使用しています。

  • うめとぴあ=梅ヶ丘にある全区的な保健医療福祉拠点の愛称
  • 支所=総合支所
  • 清掃一組=東京二十三区清掃一部事務組合
  • 東京2020大会=東京2020オリンピック・ パラリンピック競技大会 

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