世田谷区地球温暖化対策地域推進計画2023(令和5)年度〜2030(令和12)年度の案(概要版) 1 計画の位置づけ及び計画期間  本計画は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」第21条第4項に基づき、 区域の自然的社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出量の削減等のための総合的かつ計画的な施策を 策定し、実施するための「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)」として策定するものです。 また、「気候変動適応法」第12条に基づき、区域における自然的経済的社会的状況に応じた気候変動適応に 関する施策の推進を図るための「地域気候変動適応計画」を兼ねる計画として策定します。 本計画の計画期間は、2023年度から2030年度までの8年間とします。 また、温室効果ガス排出量の削減目標の設定にあたっては、2013年度を基準年度とし、中期目標を2030年度、 長期目標を2050年度に設定します。 2 計画の実行主体と役割 区民 ●日常生活の中で省エネ・再エネの利用・省資源に取り組む。 ●気候変動の影響を知り、備える。 ●事業者や区の取組みに協力する。 事業者 ●事業活動からの温室効果ガスの排出抑制に取り組む。 ●気候変動の影響を知り、備える。 ●区民や区の取組みに協力する。 区 ●区内最大級の事業所として事業活動からの温室効果ガスの排出抑制に取り組む。 ●区域からの温室効果ガス排出量削減のため、次の施策を策定・実行する。 ・区民や事業者の省エネ・再エネの利用・省資源等の取組みの支援、仕組みやルールづくり ・公共交通の利用促進、緑地の保全及び緑化など温室効果ガスの排出量の削減につながるまちづくり ●気候変動適応に関する施策を策定・実行する。 3 世田谷区のめざす将来像 小さなエネルギーとまちのみどりで豊かに暮らす 持続可能な未来につなげるまち せたがや 4 温室効果ガスの削減目標 (1)長期目標 2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにします。 気候危機の危機的状況を脱し、次世代に良好な環境を引き継いでいくため、2050年までに温室効果ガス排出量を 実質ゼロにします。【達成すべき目標】 あわせて、区民・事業者・区が一体となって対策を積み上げ・深堀りしていくことにより達成する、野心的な目標として、 2045年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成することをめざします。【野心的な目標】 (2)中期目標 国や都が示す2030年度の温室効果ガス排出量削減目標を踏まえたうえで、2030年度の世田谷区における 温室効果ガス排出量の将来予測に、電力排出係数の改善、現時点で想定し得る国等による対策効果、 二酸化炭素以外の温室効果ガスの削減を積み上げ、さらに、区が独自に追加し実施する対策の効果を加えて、 2013年度比57.1%の削減をめざします。【達成すべき目標】 さらに今後、時勢を捉え、新規施策の実施や既存施策の拡充を継続的に推し進めることで達成する目標として、 2013年度比66%の削減を掲げます。【野心的な目標】 また、その達成に向け、区民や事業者の取組みの努力が反映される二酸化炭素排出量の削減目標を掲げるとともに、 エネルギー消費量、再生可能エネルギーの利用に関する目標を併せて設定します。 温室効果ガス排出量(7ガス全体) 達成すべき目標 2030年度において、2013年度比で57.1%削減をめざします。 野心的な目標 さらなる挑戦として、2013年度比で66%削減を掲げます。 二酸化炭素排出量 2030年度において、2013年度比で62.6%削減をめざします。 エネルギー消費量 2030年度において、2013年度比で40.7%削減をめざします。 再生可能エネルギーの導入に関する目標 2030年度において、再生可能エネルギーを利用している区民の割合50%をめざします。 (3)個別削減目標 家庭部門の個別目標 2030年度において、 ・家庭での1人当たりの二酸化炭素排出量を2013年度比で71.0%削減 ・家庭での1人当たりのエネルギー消費量を2013年度比で45.1%削減 をめざします。 5 施策体系 区のめざす将来像の実現と、温室効果ガス排出量の削減目標の達成に向けて、区民、事業者、区等のそれぞれが、 主体的に地球温暖化の緩和と適応に向けた取組みを進めます。区は、施策の推進を通じて区民、事業者等の行動を支え、 気候危機に力を合わせて行動していきます。 6 区民の取組みと区の施策 脱炭素型ライフスタイルへの転換促進 @省エネルギー行動の実践 区民の主な取組み ○省エネルギー行動の実践 ○エネルギー消費量の「見える化」 ○自転車、公共交通、カーシェアリングの利用 ○自家用車買い替え時のZEV選択 ○近隣で採れた農産物、旬の食材利用 区の主な施策・取組み ○脱炭素に役立つライフスタイルに関する情報発信【本編p.56】 ○見える化等を活用した省エネルギー行動の支援【本編p.56】 ○公共交通の利用環境の整備【本編p.68】 ○ウォーカブルなまちづくり・自転車利用の促進【本編p.68】 ○環境に負荷をかけない自動車利用の促進とZEVのインフラ整備【本編p.68】 ○農地の保全・活用【本編p.69】 A脱炭素に役立つ様々な活動の実践 区民の主な取組み ○環境情報の収集 ○環境学習や環境保全活動への参加 ○エシカル消費の実践 ○持続可能な社会の形成に役立つ投資、基金への寄附 ○ごみを発生させない消費行動実践 ○食品ロスの削減、生ごみの減量 ○資源とごみの分別の徹底 ○資源回収への協力 区の主な施策・取組み ○気候危機を担う次世代の人材育成【本編p.59】 ○学校等における環境教育・環境学習【本編p.59】 ○環境意識の醸成【本編p.59】 ○ごみの発生抑制への支援【本編p.56】 ・「世田谷プラスチック・スマートプロジェクト」を通じた普及啓発 ・ごみの発生抑制に関する普及啓発と取組支援 ・食品ロスの削減 ・プラスチック使用製品の分別回収の検討 B気候変動への適応 区民の主な取組み ○熱中症予防対策 ○生物が媒介する感染症の情報収集 ○ハザードマップを活用した水害への備え 区の主な施策・取組み ○熱中症対策の推進【本編p.71】 ○感染症予防に関する普及啓発【本編p.71】 ○豪雨対策、風水害対策の推進【本編p.70】 ○ヒートアイランド対策の推進【本編p.70】 住まいの省エネルギー化、エネルギーの効率的利用、再生可能エネルギー等の利用拡大 @住まいの省エネルギー化・省エネルギー機器の導入 区民の主な取組み ○省エネ住宅、ZEH等の建築 ○建物の断熱化、省エネ性能向上 ○HEMSの利用 ○断熱性の優れた住宅の選択 ○省エネルギー診断の実施 ○高効率で環境性能の高い機器等を導入 区の主な施策・取組み ○住まいの省エネルギー化・省エネルギー機器の導入促進【本編p.57】 ・環境配慮型住宅リノベーション推進事業 ○脱炭素に役立つ住宅に関する普及啓発【本編p.57】 ・各種支援制度に関する情報提供 A再生可能エネルギーの導入 区民の主な取組み ○せたがや版RE100への賛同と再生可能エネルギーの利用拡大 ○太陽光発電、太陽熱利用設備等導入 ○再生可能エネルギー由来の電力メニュープランの選択 区の主な施策・取組み ○再生可能エネルギーの導入促進【本編p.57】 ・せたがや版RE100の普及促進 ・環境配慮型住宅リノベーション推進事業 ・再生可能エネルギー設備や蓄電池等の導入支援 ○再生可能エネルギー活用に向けた普及啓発【本編p.63】 ○再生可能エネルギーの地産地消の拡大【本編p.63】 ○開発事業等に伴う再生可能エネルギーの導入促進【本編p.63】 ○水素エネルギーの普及啓発【本編p.63】 ○エネルギーを賢く使うまちづくり【本編p.65】 Bみどり豊かな住まいづくり等 区民の主な取組み ○建物・敷地の緑化 ○構造材、内装や家具への国産木材の活用 ○雨水貯留浸透施設、雨庭の設置 区の主な施策・取組み ○みどり豊かな住まいづくり等の促進【本編p.57】 ・緑化助成 ○豪雨対策、風水害対策の推進〔再掲〕【本編p.70】 7 事業者の取組みと区の施策 脱炭素型ビジネススタイルへの転換 @省エネルギー行動の実践 事業者の主な取組み ○環境負荷の少ないビジネススタイルへの転換、省エネルギー行動の実践 ○エネルギー消費量の「見える化」 ○業務における公共交通、自転車、カーシェアリング、ZEVの利用 ○環境マネジメントシステムの運用 区の主な施策・取組み ○脱炭素に役立つ事業活動や働き方の促進【本編p.61】 ○見える化等を活用した継続的な省エネルギー行動の支援【本編p.61】 ○公共交通の利用環境の整備〔再掲〕【本編p.68】 ○ウォーカブルなまちづくり・自転車利用の促進〔再掲〕【本編p.68】 ○環境に負荷をかけない自動車利用の促進とZEVのインフラ整備〔再掲〕【本編p.68】 ○脱炭素に役立つ事業活動や働き方の促進〔再掲〕【本編p.61】 A脱炭素に役立つ様々な活動の実践 事業者の主な取組み ○職場における環境教育の実施 ○働き方改革の推進 ○事業活動に関わる環境情報の提供 ○エシカル消費に配慮した商品・サービスの購入・販売・提供 ○ESGに配慮した経営 ○ごみの発生抑制 ○プラスチック使用量の削減 ○食品ロスの削減 ○事業系リサイクルシステムの利用 ○店舗等での資源回収への協力 区の主な施策・取組み ○脱炭素に役立つ事業活動や働き方の促進〔再掲〕【本編p.61】 ・脱炭素化に役立つサービス提供など、脱炭素型のビジネスの推進 ○ごみの発生抑制への支援【本編p.61】 ・「世田谷プラスチック・スマートプロジェクト」を通じた普及啓発 ・2Rに関する普及促進 ・食品ロスの削減 ・せたがやエコフレンドリーショップ(食品ロスやプラスチックごみの削減に取組む小売店や飲食店で 認証された店舗)の利用促進 B気候変動への適応 事業者の主な取組み ○職場の熱中症予防 ○気温上昇等の影響を考慮した商品開発、販売戦略 ○ハザードマップによるリスクの確認、業務継続計画の策定 区の主な施策・取組み ○熱中症対策の推進〔再掲〕【本編p.71】 ○ヒートアイランド対策の推進〔再掲〕【本編p.70】 エネルギーの効率的利用・再生可能エネルギー等の利用拡大 @建物の省エネルギー化・省エネルギー機器の導入 事業者の主な取組み ○建物のZEBの実現 ○建物の断熱化、省エネ性能向上 ○BEMSの利用 ○高効率で環境性能の高い機器等の導入 ○業務用・産業用燃料電池の導入 区の主な施策・取組み ○建物の省エネルギー化・省エネルギー機器の導入促進【本編p.62】 ・既存建築物の省エネ改修 ・事業所のZEBの実現に向けた促進策の検討 ・省エネ診断、エコ・チューニングの普及推進 ・省エネルギー設備・機器の導入支援 A再生可能エネルギーの導入 事業者の主な取組み ○せたがや版RE100への賛同と再生可能エネルギーの利用拡大 ○太陽光発電、太陽熱利用設備等導入 ○再生可能エネルギー由来の電力メニュープランの選択 ○省エネや再生可能エネルギーの利用に役立つなど公益に寄与できる製品やサービスの開発、普及 区の主な施策・取組み ○再生可能エネルギーの導入促進 【本編p.62】 ・せたがや版RE100の普及促進 ○再生可能エネルギー活用に向けた普及啓発〔再掲〕【本編p.63】 ○再生可能エネルギーの地産地消の拡大〔再掲〕【本編p.63】 ○開発事業等に伴う再生可能エネルギーの導入促進〔再掲〕【本編p.63】 ○水素エネルギーの普及啓発〔再掲〕【本編p.63】 ○エネルギーを賢く使うまちづくり〔再掲〕【本編p.65】 B事業所等の緑化 事業者の主な取組み ○建物・敷地の緑化 ○構造材、内装や家具への国産木材の活用 区の主な施策・取組み ○事業所緑化等の促進〔再掲〕【本編p.62】 ・緑化助成 ・環境配慮制度を活用した緑化の誘導 ・民間施設における国産木材利用促進 8 区役所の率先行動 脱炭素に向けた基盤整備 公共施設整備・維持管理における脱炭素の推進 職員による環境配慮行動の推進 9 重点施策  脱炭素社会の実現に向け、国や東京都では、2030年度までに重視する取組みとして、業務・産業部門と家庭部門からの二酸化炭素排出量の大部分を排出する住宅や建築物の省エネルギー性能を高めることを挙げています。 再生可能エネルギーの主力電源化と移動の脱炭素化(EV等)の同時達成をめざすことも、主要な課題の一つとなっています。 また、緩和策と適応策を両輪として進め、気候変動の影響によるリスクを最小化していくことも求められています。 さらに、これらの取組みを進めていくために、気候変動が社会・経済や日々の生活に関わる問題であることをあらゆる主体が認識し、行動を変えていくことが必要とされています。 このような背景を念頭に、次のポイントを踏まえ、重点的に取り組む施策を整理しました。 重点施策選定のポイント ・世田谷区の地域特性に合うもの ・温室効果ガス削減効果が大きいもの ・区民への地球温暖化対策PR効果が大きいもの ・区民・事業者が、自主的かつ区と協働・連携して取り組めるもの ・地球温暖化対策以外の分野にも好影響を与えるもの ・気候変動適応策となるもの 重点1 住まい・建物 環境に配慮した住まいや建物の促進 具体的な内容 ・環境に配慮した住宅の推進 ・家庭用燃料電池の普及促進 ・公共施設のZEBの推進 重点2 車 ZEVの利用促進とインフラ整備 ・ZEVの普及、利用の促進 ・EV充電設備等設置の促進 ・公用車のZEV化 重点3 廃棄物 ごみの減量の推進 ・区民・事業者の2R(「リデュース」、「リユース」)行動の促進 ・食品ロスの削減 ・プラスチック使用製品の分別回収の検討 重点4 みどり グリーンインフラの活用促進 ・グリーンインフラに係る補助制度の拡大 ・みどりなどの自然の持つ様々な機能を有効に活用するグリーンインフラの促進 重点5 行動支援 脱炭素に役立つ行動変容への支援・省エネポイントアクションの拡充 ・省エネポイントアクションの拡充 ・せたがや版RE100の普及促進 ・再生可能エネルギー電力の購入の普及促進 ・次世代の人材育成 10 推進体制及び進捗管理 (1)推進体制 区民・事業者と区が連携・協働・共創し、地域が一体となって地球温暖化対策を進めます。 (2)進行管理 目標の達成に向け、対策の主体である区民、事業者、区がそれぞれ実施状況を適切に把握しながら、 計画の立案(Plan)、取組みの実行(Do)、点検(Check)、見直し(Action)を継続していきます