世田谷区国分寺がい線保全整備条例 平成17年3月14日条例第14号 目次 前文 第1章 総則 第1条〜第7条 第2章 がい線地区における建築物に係る制限 第8条〜第14条 第3章 雑則 第15条 附則  私たちのまち世田谷は、緑豊かな住宅地として発展してきた。なかでも、多摩川が永い歳月をかけて作り出した国分寺がい線とその周辺地域は、斜面地に残る樹林、湧水、川の流れなどの豊かな自然環境や心和む風景に恵まれた地域となっている。 こうした水と緑に恵まれた自然環境は、世田谷区民のかけがえのない財産であり、その恵みをすべての区民が享受しながら、将来の世代に引き継いでいかなければならない。 ここに、区民等、事業者及び区は連帯し、かつ、協働して、世田谷区において水と緑に恵まれた自然環境を有する国分寺がい線の保全及び整備を図り、環境の世紀にふさわしい緑豊かな住宅都市づくりを推進するため、この条例を制定する。 第1章 総則 目的 第1条 この条例は、国分寺がい線の保全及び整備に関し、基本となる理念を定め、区、区民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、国分寺がい線及びその周辺地域における良好な景観の形成及び住環境の整備を図るために必要な建築物に係る制限を定めることにより、貴重な自然環境が残された国分寺がい線の保全及び整備を推進していくことを目的とする。 定義 第2条 この条例において使用する用語の意義は、建築基準法、昭和25年法律第201号、以下、法という、建築基準法施行令、昭和25年政令第338号、及び都市計画法、昭和43年法律第100号において使用する用語の例による。 2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 国分寺がい線 多摩川が武蔵野台地を浸食することにより作られた河岸段丘の連なりのうち、世田谷区内の崖地をいう。 2 区民等 区内に住所を有する者並びに国分寺がい線及びその周辺地域の土地又は建築物に関する権利を有する者をいう。 基本理念 第3条 国分寺がい線の保全及び整備は、国分寺がい線が現在及び将来にわたり、区民の健康で安らぎのある生活を維持するために重要な資源であることを認識し、この重要な資源を将来の世代に引き継いでいくことを目的として推進していくものとする。 2 前項に規定するもののほか、国分寺がい線の保全及び整備は、次に掲げる指針に基づき推進していくものとする。 1 水と緑に恵まれた自然環境の保全を図ること。 2 良好な景観の形成及び住環境の整備を図ること。 区の責務 第4条 区は、この条例の目的を達成するため、基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。 2 区は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、区民等の意見を反映させるよう努めなければならない。 3 区は、区民等が行う国分寺がい線の自然環境の保全等に関する活動に対し、技術的支援、財政的支援その他必要な支援に努めなければならない。 区民等の責務 第5条 区民等は、自ら又は区と協力して国分寺がい線の自然環境の保全及び住環境の整備に努めなければならない。 事業者の責務 第6条 事業者は、建築、開発行為その他国分寺がい線の自然環境に影響を及ぼす行為を行うに当たっては、第3条に規定する基本理念に配慮し、区民等の理解を得るよう努めなければならない。 施策の推進のための措置 第7条 区長は、第4条第1項の施策を推進するため、財源の確保等必要があると認める措置を講ずることができる。 第2章 がい線地区における建築物に係る制限 がい線地区の指定 第8条 区長は、国分寺がい線及びその周辺地域のうち、特に保全及び整備を進める必要があると認める土地の区域を国分寺がい線保全整備地区、 以下、がい線地区という、として指定するものとする。 2 区長は、前項の規定による指定をしたときは、その旨を告示しなければならない。 3 前項の規定は、がい線地区を変更する場合に準用する。 建築物の構造に係る制限 第9条 法第50条の規定に基づき、がい線地区に係る第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域及び第一種住居地域においては、建築物、当該建築物の敷地面積が500平方メートル以上のものに限る、の構造について、当該建築物が周囲の地面と接する位置の高低差は、6メートル以下とする。ただし、規則で定める建築物については、この限りでない。 特例による許可 第10条 前条本文の規定にかかわらず、区長が当該建築物について、自然環境への配慮がされ、かつ良好な住環境が確保されると認めて許可したものについては、当該許可の範囲内において前条本文の規定は適用しない。 2 区長は、前項の規定による許可をする場合は、あらかじめ、世田谷区建築審査会の同意を得なければならない。 既存の建築物に対する制限の緩和 第11条 法第3条第2項の規定により、第9条の規定の適用を受けない建築物について、次の各号のいずれかに該当する場合は、法第3条第3項第3号及び第4号の規定にかかわらず、第9条の規定は適用しない。 1 建築物の増築をする場合であって、増築する部分、当該部分の階数が1のものに限る、が避難階におけるものであり、かつ、増築後の床面積の合計が、基準時、法第3条第2項の規定により第9条の規定の適用を受けない期間の始期をいう、以下同じ、における床面積の合計の数値に1.2を乗じて得た数値を超えないものであるとき。 2 建築物の改築をする場合であって、改築に係る部分の床面積の合計が基準時における床面積の合計の数値に2分の1を乗じて得た数値を超えないものであるとき。 3 建築物の大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合 建築物の敷地ががい線地区の内外にわたる場合の措置 第12条 建築物の敷地が崖線地区の内外にわたる場合における第9条本文の規定の適用については、同条本文中、建築物、当該建築物の敷地面積が500平方メートル以上のものに限る、の構造について、当該建築物、とあるのは、建築物の部分、当該建築物の敷地面積が500平方メートル以上のものに限る、の構造について、当該建築物の部分とする。 色彩の配慮 第13条 建築主は、がい線地区の区域内で建築物を建築しようとするときは、当該建築物の外壁の色彩について、国分寺がい線及びその周辺地域の景観との調和に配慮しなければならない。 建築計画の届出等 第14条 建築主は、がい線地区の区域内で建築物を建築しようとするとき、当該建築物の敷地面積が500平方メートル以上の場合に限る、は規則で定めるところにより、事前に区長に届け出なければならない。 2 区長は、前項の規定による届出の内容が、この条例の規定と適合しているかについて審査し、必要な指導及び助言をすることができる。    第3章 雑則 委任 第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 附 則 この条例は、平成17年4月1日から施行する。ただし、第9条から第12条までの規定は、同年7月1日から施行し、第14条の規定は、同日以後に行われる法第6条第1項に規定する確認の申請、法第6条の2第1項に規定する確認を受けるための書類の提出又は法第18条第2項に規定する計画の通知に係る建築物の建築について適用する。