世田谷生きもの緑化ガイドブック このガイドブックでは、生物多様性に配慮した緑化を、多くの方に親しんでいただくために生きもの緑化と呼んでいます。 1、生きもの緑化へのお誘い みどりの機能と生きもの緑化 世田谷区は武蔵野台地の南西部に位置し、多摩川や国分寺崖線、社寺林、公園や緑地、そして住宅地のみどりなど、さまざまなみどりが広がっています。 世田谷区では2017年に生きものつながる世田谷プランを策定し、区民の皆さんと一緒に生物多様性を意識したライフスタイルの実践と、その環境を将来に引き継いでいく取り組みを進めています。生きもの緑化は、生きもののすむ環境の保全、創出を通じて、生きものとともにある私たちの生活をより豊かにし、みどりの恵みを実感することのできる世田谷の実現を目指すものです。身近な場所から生きもの緑化を進めてみませんか。 次世代にも残したい生きものとのふれあい 小さなみどりであっても、自分が育てたみどりに小鳥やチョウがやってくる。それだけで楽しいものです。23区の中で比較的みどりの多い世田谷ですが、生きものと触れ合う機会は少なくなっています。ご近所の庭や公園、緑地などさまざまな場所とのつながりを意識して生きものがすむみどりをつくり。生きものとともにある日々の楽しみを次世代にも残していかなくてはなりません。 生きものにもやさしい建築 世田谷区では、毎年約3〜4千軒の建物が建築されています。地域の皆さんに親しまれてきたみどりを残したり、新たにつくるみどりを生きものの視点から考えることで、住む人だけでなく生きものにもやさしい建築を工夫してみましょう。 2、世田谷の生きものネットワークの将来イメージ みどりがつながる街並みは、私たちにとって魅力的なだけでなく、多くの生きものがそのなかを移動しながら暮らすことができます。世田谷では生きものがすむ場所を点や線でつなげ、生きもののすみやすい環境づくりを進めます。 3、生きもの緑化の実践 敷地の大きさや用途で考える 戸建住宅の場合は、庭づくりの楽しみとして、さまざまな生きものを呼ぶ工夫をしたり、戸建分譲地の場合は、分譲地全体でみどりをデザインして生きものを呼んでみませんか。また、小規模な集合住宅では玄関先やベランダ、通路などのスペースを使って生きものを呼ぶことができます。大規模な集合住宅や建ぺい率が高い地域での商業系建築物では、まとまった緑化や、屋上、壁面を利用して生きものを呼ぶことができます。 緑化の種類で考える 樹木を植える。多くの樹木があることは理想的ですが、たとえ1本の樹木からでも、連続し、点在する周囲のみどりを伝ってさまざまな生きものを呼ぶことができます。 草を植える。くさちは樹木よりも薄い地盤で緑化することができ、限られた空間でも生きものを呼ぶことができます。 水辺をつくる。多摩川をはじめ自然の河川や水辺だけでなく、区内の公園や緑道につくられた人工的な流れや池でも、生きものはすんでいます。新たな水辺をつくることで、近くの水辺から生きものを呼ぶことができます。 植える場所を考える。植物は一度植えたら、なかなかその場所から動かすことはできません。植える前に、まずその場所の環境にあう植物を選ぶことが大切です。 周辺の生きものや生態系への配慮。新たに樹木や草を植えることは、その場所にそれまでにない植物を持ち込み、その環境を変えることになります。生態系被害防止外来種など、幅広く生態系などに影響をおよぼす恐れのある外来種もあります。いまある生態系のバランスを崩さないよう、特定の生きものばかりを増やさない配慮が必要です。 4、生きもの緑化の楽しみ方 生きもの緑化を始めるにあたって、どんな生きものを呼んでみたいか、まず考えて見ましょう。呼んでみたい生きものが決まったら、その生きものが好きな環境をつくって見ましょう。つくって終わりではありません。どんな生きものがくるか、季節を追って様子をみてみましょう。このガイドブックで紹介した生きものとみどりの関係は、ほんの一例です。実際にどんな生きものが来るのか、呼びたかった生きものは来るのか。ワクワクした気持ちで生きものを待つと、みどりの手入れも楽しくなります。 冊子、巻末には世田谷区の在来種リストが掲載されています。 詳しい内容に関しては、みどり政策課までお問い合わせください。 電話番号03-5432-2282ファクシミリ03-5432-3038