五感でたのしむばいりんガイドツアー 案内CD用原稿  これからご案内する内容は、お聞きいただくだけで、羽根木公園を訪れたことのない方には羽根木公園を散策しているような気分になっていただきたい、また何度も羽根木公園を訪れている方には今まで気付かなかった羽根木公園の魅力を感じてほしいという想いで考えました。 さて、羽根木公園の魅力の一つに、ばいりんがあります。代表的な梅の花は、白くて丸い花びらが五つ寄り添ったかわいらしい形をしています。梅の花は、このかわいらしい見た目だけではなく、ほのかな甘酸っぱい香りで私たちの心を和ませてくれます。この梅をはじめ、羽根木公園には五感を使って楽しめる樹木があります。このCDでは、五感を使って楽しみながら羽根木公園のばいりん周辺を散策できるように、ガイドツアー形式でご案内をしています。 このCDで散策のイメージを膨らまし、羽根木公園の魅力に気付いていただいた皆さん、梅の花が見頃を迎える春に、羽根木公園へお出かけしませんか。一つ一つのほのかな梅の香りが集まって、甘酸っぱい香りに包まれたばいりんがみなさんの訪れを待っています。 はじめに 五感で楽しむばいりんガイドツアーは、羽根木公園南西に広がるばいりんを散策しながら、花の香りを嗅いだり、木肌に触れたりするなど五感を使って春を感じるツアーです。ツアーでは、五感で楽しめる植物のご案内に加え、公園やばいりんの歴史についてもご案内いたします。   それでは、五感で楽しむばいりんガイドツアーへ出発します。 羽根木公園ばいりんの北側にある園路からスタートします。スタート地点から南に進んで行くと、白色で一重の花を咲かせる、シラカガ、という梅や、とても薄い紅色で一重の花を咲かせる、アケボノ、という梅があるエリアに到着します。こちらでは、羽根木公園とばいりんの歴史についてご案内いたします。 羽根木公園は、昭和31年に開設されました。 この場所は小高い丘になっており、1700年頃、ろくろうじという農具を造る鍛冶屋が住んでいたことからろくろうじやまと呼ばれていました。公園になる前は、実業家で茶人であるねづかいちろうの所有だったことから、ねづやまと呼ばれていました。 現在ばいりんがあるこのあたりは、以前は一面笹原の場所でしたが、昭和42年に区議会議員選出記念として55本の梅の植樹がされ、昭和46年には東京都100周年記念の230本、昭和47年の区制40周年記念には100本の植樹がされるなど、約10回の植樹により現在の650本にものぼるばいりんとなりました。  羽根木公園ばいりん北側にある園路に戻り西に進んだところにロウバイという樹木があります。ロウバイは、12月から2月にかけて、梅に似ている花を咲かせますが、梅の仲間ではありません。ロウバイは香りの良い黄色い花を葉に先立って咲かせます。諸説ありますが、蝋細工のような色艶の梅に似た花を咲かせるのでロウバイといわれています。ロウバイの花の香りをかいでみましょう。 西に進んだばいりんの北西には、シラカガ、や、オモイノママ、という種類の梅や、ウバメガシという樹木があります。こちらでは、梅とウバメガシについてご案内します。 梅の種類について この羽根木公園にあるばいりんで、特に多い種類が、シラカガ、です。シラカガ、という種類の梅は、白色で一重の花を咲かせます。 オモイノママという種類の梅は、同じ木にピンク色と白色の花を咲かせます。 梅の香りについて 梅の花は甘酸っぱい香りがします。梅の花の香りをかいでみましょう。 鳥媒花について 梅は鳥が花粉を運びます。冬には受粉をしてくれる虫がいないので、鳥にたよっています。このように、鳥類の媒介によって受粉する花のことを、ちょうばいか、といいます。冬に咲く花は、ちょうばいか、が多く、例えばサザンカもその性質の植物です。冬は鳥のエサが少なく、他の花も少ないことから、この時期に花を咲かすことで受粉がしやすいという利点があります。 鳥と梅について 鶯と梅という組み合わせは、よくセットで描かれますが、実は梅の近くによくいる鳥はメジロやヒヨドリです。メジロも鶯と同様、緑色をしている鳥ですが、目の周りが白いのが特徴です。鶯は人のいる前には出てこない鳥で、よく茂みなどの影に隠れていることが多いので、耳を澄ませてみたら、鳥の声が聞こえてくるかもしれません。しばらく耳を澄ませてみましょう。 ウバメガシについて ばいりんの北西にあるお茶室周りには、ウバメガシという樹木の生垣があります。このウバメガシという常緑の樹木は堅いため、備長炭の原料として使われます。ウバメガシを焼いた備長炭は、組織が密で堅く、最良の炭と言われています。 ばいりんの西側の園路を南に進んだところに、サルスベリという樹木があります。こちらでは、触って感じるサルスベリと梅の違いについてご案内します。 サルスベリは、猿も木からすべり落ちるほど、樹皮がつるつるとしていることから、サルスベリという名がつきました。夏に元気よく花を咲かせてくれる植物は少ないですが、サルスベリは夏にきれいなピンク色や白色の花を咲かす貴重な植物です。花期が長いことから、ヒャクジツコウとも呼ばれます。このサルスベリの樹皮がどれほどすべすべなのか皆さんで触ってみましょう。サルスベリの樹皮は触ると少しひんやりとします。皮が薄く、表面近くの水分の冷たさが伝わってくることから、触るとひんやりと感じます。 一方で、梅の樹皮は、サルスベリと違い、ガサガサとしています。樹皮内側から新しい皮ができてくるため、直径の小さかった外側の皮はさけて、まためくれてきて、このような状態になります。梅の樹皮を実際に触ってみましょう。 サルスベリの南には、ハクボタン、ブンゴという種類の梅があります。ハクボタンは蕾のうちはピンク色で、開花すると白色の花を咲かせます。ブンゴは薄紅色の花を咲かせます。 ばいりん西側の園路を南西に進んだところに羽根木公園出入口があります。公園出入口付近には、クスノキという樹木があります。クスノキは、常緑高木で、葉がつやつやとした木です。また、クスノキは防虫剤に使われる樟脳をとる木として有名です。葉をちぎったり、もんだりするとその香りを嗅ぐことができますので、実際に嗅いでみましょう。 園路を北に戻ったところにあるお茶室の西側には、ニガキという樹木があります。ニガキという漢字は、苦いに木と書きます。こちらは、漢字のとおり枝を切ってみて、口の中に含むと、苦い味がします。主に、薬用植物として利用され、健胃薬として消化不良や胃炎の時に利用されました。枝をなめたり、噛んだりすると苦い味がしますので試してみてください。 終わりに 五感で楽しむばいりんガイドツアーのご案内はいかがでしたでしょうか。羽根木公園のばいりんの梅は、12月末から3月いっぱいまでお楽しみいただけます。梅の花が咲く時期には、是非羽根木公園を訪れ、五感で春を感じてください。また、このばいりんだけではなく、私達の身の回りには、五感で楽しめるみどりや生きものがたくさんいます。いい花の香りがする、鳥の鳴き声がすると感じたら、是非、ふと立ち止まってその香りを思いっきり吸い込んだり、鳴き声に耳を澄ましたりして楽しんでみてください。 羽根木公園の所在地、アクセス、お問い合わせ先について 羽根木公園の所在地は、東京都世田谷区代田四丁目38番52号です。 羽根木公園までのアクセスは、小田急線梅ヶ丘駅下車徒歩5分、井の頭線東松原駅下車徒歩7分、小田急バス梅ヶ丘駅北口下車徒歩5分、東急バス代田四丁目下車徒歩7分です。 CDについてのお問合せ先 NPO世田谷区視力障害者福祉協会  電話番号及びファクシミリ 03−6662−5900 羽根木公園についてのお問合せ先  北沢公園管理事務所  電話番号 03−5431−1822 ファクシミリ 03−3412−6847 五感で楽しむ梅林ガイドツアーの内容については、世田谷区みどり政策課が監修しました。