(一財)世田谷トラストまちづくりボランティアフラワーランド友の会主催サギソウ講習会資料 世田谷区の花 サギソウの育て方 <世田谷区の花 サギソウ>  サギソウは青森と北海道を除く日本各地の低地の、日当たりの良い湿地に自生するラン科の植物ですが、 低地の開発によって自生地が激減し、準絶滅危惧種に指定されています。 4月中旬頃、地上に芽を出し、7月上旬から8月中旬にかけてまさに白鷺が飛ぶような形をした、 純白の美しい花を咲かせます。1968(昭和43)年に公募により「区の花」に制定されました。 かつて世田谷区に多数自生し、サギソウにまつわる伝説も残っていますが、残念ながら現在は自生していません。 伝説ゆかりの地、九品仏浄真寺にある区立「鷺草園」に開花時期のみ植え込まれます。 また、フラワーランド(区立瀬田農業公園)の水辺でもサギソウを見ることができます。 <サギソウの生育サイクル> @2月 植付期(凍結予防・乾燥注意)→A3月 芽が動く(水切れ注意)→ B4月中旬〜5月上旬 芽出期(病虫害対策)→C6月 成長期→ D7月 花芽成長期(蒸れ対策遮光)→E8月 開花期→F9〜10月 肥培期(施肥)→ G11月〜翌1月 新球根休眠期(凍結予防・乾燥注意) ※近年は暖冬などの影響により、芽出期から開花期まで2週間ほど早く生長する傾向が見られ、早  いものでは3月末頃から芽を出すことがあります。上記のサイクルを参考としつつ、生長を日々 見守り、生長ペースに合わせた管理をしてください <サギソウの植え方・育て方> 容器 乾燥を嫌う反面、鉢中の蒸れも嫌いますので、浅めの鉢を使うことが良いとされています (講習会ではプラスチック製陶鉢(5号,直径14.8cm・深さ11cm)を使い、1鉢に10球植え込みます)。 サギソウは他の植物との群生を好むため、寄せ植えもしくは数球をまとめて植え込むことが必要です。 植え込み用土 湿地を好む植物なので、以前は水持ちの良い水苔を使用していましたが、昨今の温暖化により、 高温による鉢中の蒸れへの対策が重要になっています。一方、乾燥を防ぐ必要もあるため、 上部のみ水苔を使用し、用土は鹿沼土(小粒)を使用します。 植え方 下から順に植え込みを行っていきます。水苔は中央を盛り上げず、均等に表面を押さえてください。 上部にウォータースペース分を残しておきます。 サギソウの植え込み手順 (1)鹿沼土中粒を鉢に入れます。入れたら、土を優しく平らにならしてください (2)鹿沼土小粒を紙コップ1杯分入れます。鹿沼土中粒と同じく、土は山にならないように、 優しく平らにならしてください (3)次に肥料(マグアンプK中粒)を入れます。鹿沼土小粒表面全体に広がるように撒いてください (4)肥料を入れたら、その上に鹿沼土小粒を紙コップ1杯分いれます。入れたら平らにならしてください (5)球根を植えます。(4)で入れた鹿沼土小粒に球根の3分の2くらいが埋まるように軽く土に挿すように   優しく植えます (6)球根の上から最後の鹿沼土小粒を紙コップ1杯分入れます。入れたら、優しく平らにならしてください (7)最後に水苔を入れます。水苔は紙コップ1杯分または握りこぶし1個分くらいです (8)水苔はハサミまたは手でちぎって細かくしながら入れます (9)水苔を入れたら、平らになるように、全体を軽く押さえます。力を入れすぎると球根を傷めてしまうので、   注意してください (10)水苔の縁を軽く押さえ、中央部より心持ち低くします(力を入れすぎないように) (11)最後にラベルを挿して完成です 植え込み 当日の管理について ・持ち帰り後、必ず水やりをしてください。水やりはやさしくしてください。水の勢いが強いと 土がえぐれてしまい、球根が土から飛び出してしまいます。飛び出した球根に気づかず、そのまま にしてしまうと球根は枯れてしまいます。鉢底から流れ出る水が透明になるまで繰り返すことで 全体が落ち着きます ・防寒のため、新聞紙でくるみ、玄関口など凍結しない場所で管理してください ・ラベルは鉢を置く定位置の目印となりますのでなるべく挿してください 植え込み翌日以降の日常管理について ・いつも戸外に置く。日当たりと風通しの良い、地上50〜60cmの棚上が最適です ・5月下旬は遮光ネットや防虫ネットなどで遮光してください ・花が咲き始めたら雨の当たらない所に移しましょう。花持ちが良くなります ・室内で観賞する場合は2日に1度は外に出して日に当てましょう。日に当てると花芽が全部開きます ・花が黄ばみ始めたら、都度茎を残して花柄を摘み取ります。鉢の中では新しい球根が育っています。 球根を育てるには光合成が必要です ・球根を育てるために、花後も葉が枯れるまでは開花までと同じ環境を保ってください ・花後、元の置き場所(棚上の日当たり・風通しの良いところ)に戻して日を当ててください。ただし、 彼岸頃までは30%程度の遮光を行い、西日は避けてください ・土の上に置くと泥の跳ね返りに合い、病害虫被害の原因になります ・コンクリートやタイルなどの上は高温と照り返しで鉢の中の温度が上がるため、避けてください ・やがて地上部分が枯れますが、鉢の用土は湿った状態を保ってください。冬は鉢をかぶせるか新聞紙で くるむなど凍結予防をして、昼と夜の温度変化の少ない棚下などに保管してください 肥料 ・植え込み時に元肥を入れたので追肥はあまりしません。5〜6月に1〜2回、薄い液肥(1500〜2000倍)を  与えてください。開花中は追肥しません ・夏を過ぎると球根が育つ肥培期に入り、葉と茎は10月中旬頃まで青々とした状態を保ちます。  9月お彼岸前後にお礼肥を与え、それ以降は葉が枯れるまで2〜3回施肥してください。球根を太らせるために、  花後〜10月中旬に3〜4回、薄い液肥を与えてください ・肥料は薄い液肥を与えますが、株の成育が悪い場合は粒状の化成肥料等を少量与えてください 水やり ・鹿沼土は乾くと黄色くなり、水やりの目安になります。表面の乾き具合を見て、水をたっぷり与えてください。  葉が青いうちは水やりを行います ・真夏は早朝もしくは日没後に与え、日中は避けて下さい ・受け皿の水は根腐れや鉢中の蒸れの元です(根に新鮮な酸素が必要です) ・水やりはやさしくしてください。水の勢いが強いと土がえぐれてしまい、球根が土から飛び出してしまいます。  飛び出した球根に気づかず、そのままにしてしまうと、球根は枯れてしまいます ・地上部分が枯れても、鉢中の球根はチューリップなどの球根と異なり水分が必要です。用土が乾くと球根も  干からびてしまいます。しっとりとした鉢の中で冬眠ができるよう、週2〜3回水やりをしてください 病害虫 ・芽出し後と花芽が出た頃のアザミウマやアブラムシなどの吸汁害虫とナメクジ食害に対し、予防が必要です ・予防対策は@清潔な環境を保つ A防虫ネットを掛ける B手で捕殺する C園芸用殺虫・殺菌剤を予防散布する です。  アザミウマやアブラムシ対策として園芸用殺虫剤(スプレー・粒剤)を予防散布するのが良いです。  ナメクジは見つけ次第捕殺してください ・アザミウマは1〜5mmほどの小さな昆虫です。花の中や葉の間、樹皮、土壌中で暮らしているため、人の目に触れる  ことはほとんどありません。サギソウの栽培ではこのアザミウマに花茎を吸汁されたために、花が咲かないことが  あります(花を付けなくてもそのまま肥培することで翌年用の球根を育てることができます) <サギソウ花後の手入れ> 球根の育成 花を楽しんだら、新しい球根作り(球根の育成)に挑戦してみましょう。上手に育てると球根は2〜3倍に増えます。 花を付けなかったサギソウも新しい球根をしっかりと育んでいます。 サギソウは地下に、根とは異なった2〜3本のランナーを伸ばし、その先端に新しい球根を作ります。 種も出来ますが、種から苗を作ることは難しく、一般的には行われていません。 花が終わったら、養分が球根へ行くように花柄を切り取ります。茎が枯れる頃には親球は死にますが、 子球が育っています。茎が枯れても乾燥させないように管理し、凍結させないでください 植替え ・掘り上げた球根は芽を損なわないように新鮮な水で軽く洗ってください ・植え込むまでに乾燥をさせないでください。掘り上げた直後に植え込まない場合はキッチンペーパーなどに包み、  さらにビニール袋などに入れ、湿らせた状態で冷蔵庫の野菜室に保管してください。ビニール袋は密閉しないで  ください。なお、堀り上げた直後に植え込まない場合も長期間保管せずに2週間以内に植え込みを行ってください ・植替えは厳冬期を過ぎた2月上旬から芽が動き出す前の2月下旬までに行ってください。その際、用土や水苔は  新しいものを使用してください ・古い鉢を使う場合は天日干しもしくは熱湯消毒をしてから使用してください 【編集・発行】 一般財団法人 世田谷トラストまちづくり トラストみどり課 URL:https://www.setagayatm.or.jp 〒156-0043世田谷区松原6-3-5 TEL:03-6379-1620 FAX:03-6379-4233 フラワーランド(世田谷区立瀬田農業公園)では園芸相談を受け付けています。 相談受付時間は休園日の年末年始を除く、毎日午前10時から午後4時までで、お電話等でご相談を受け付けています。 サギソウの日常管理などお気軽にお尋ねください(都合により園芸相談員不在の場合があります)。 フラワーランド所在地:世田谷区瀬田5-30-1 TEL:03-3707-7881