世田谷区みどりの行動計画及び生きものつながる世田谷プラン行動計画 (令和6年度~令和9年度)(案)【概要版】 1.行動計画の位置づけ ・「みどりの行動計画」は、区が 2018(平成 30)年に策定した「みどりの基本計画」の推 進に向けて、また、「生きものつながる世田谷プラン行動計画」は、区が 2017(平成 29) 年に策定した「生きものつながる世田谷プラン」の推進に向けて、それぞれ区における 個別取り組みの内容と目標を示すものであり、取り組みの進行にあたっては、各計画と 整合を図りながら進めています。 ・これらの行動計画に基づく取り組みの推進により、世田谷の良好なみどりの充実を一層 実現し、生物多様性の保全と持続可能な利用を進め、生きものとともにある暮らしと、 みどり豊かな環境を次代に伝えていきます。 2.世田谷区におけるみどりや生きものの状況 ・2021(令和 3)年度に実施した「みどりの資源調査」では、区内のみどり率は 24.38%で あり、前回調査(2016(平成 28)年度)より 0.80ポイント減少しました。特に民有地 のみどりが大きく減少している状況です。 ・緑被の主な減少要因としては、敷地の細分化による樹木の減少、敷地規模の大きい施設 整備による樹木や草地の減少、宅地化による農地の減少などが挙げられます。 ・公園緑地の面積は年々上昇しており、それに伴い公園率も年々上昇し、みどり率の向上 に寄与していますが、1人当たりの公園面積は伸び悩んでおり、人口の増加に追いつけ ない状況となっています。 ・結果、「みどりの基本計画」で掲げた 2027(令和 9年)年度時点のみどり率の目標値 29% からは、大きく乖離している結果となっています。 ・また、世田谷には、樹林、公園緑地、水辺などが分布しており、それぞれの環境に応じ た生物が生息・生育しています。 【表】みどり面の推移とみどり率 【図】みどりの目標量の達成状況 3.これまでの行動計画の評価 ・この間、区として行動計画に示した取り組みは、コロナ禍の影響を受けつつも、各所管 がみどりの保全や創出、生物多様性の保全に取り組んでいますが、令和3年度に実施し たみどりの資源調査等を踏まえると、農地や樹林地など、民有地のみどりは、面積・箇 所とも減少傾向にあること等から、これらの取り組みを一層推進・拡充を図り、生きも のとともにある暮らしと、みどり豊かな環境を保全・創出していく必要があります。 4.行動計画(令和6年度~令和9年度) ・みどりと生きものの関係は相互に補完しあうものであることから、みどりの基本計画行 動計画及び生きものつながる世田谷プラン行動計画は一体の計画として策定し、一体的 に進行を管理します。 ・みどりの基本計画等の計画期間との整合を図るため、2024(令和6)~2027(令和9)年度 の 4か年の計画とします。 ・なお、 2018(平成 30)年度に策定した「みどりの基本計画」では、計画期間である 2027(令 和9)年においてみどり率29%の達成を目指しており、今回の行動計画の策定にあたっ ては、引き続き、現在のみどりの基本計画の目標値を目指しています。 【重点化する取り組み】 ・2021(令和3)年度に実施したみどりの資源調査を踏まえ、取り組みを一層推進する必 要があるものを「重点化する取り組み」を位置づけます。 ■重点化する取り組み 取り組み内容理由 1 -1 -1樹林地の保全農地や樹林地など、民有地のみど りの面積が、面積・箇所とも減少 傾向にあるため。 1 -3 -1農地の保全 1 -4 -1社寺林・屋敷林などのみどりの保 全・支援 2 -1 -4区民や事業者との協働による魅力あ る公園づくり みどりの質の向上と魅力ある公園 づくりを推進するため。 1 -4 -2民有地の身近なみどりの保全・支援民有地のみどりの創出を推進する とともに、区民の行動変容を促 し、「世田谷みどり33」に向け た取り組みを更に強化し、加速化 するため。 3 -1 -1花とみどりの街づくりの推進 5 -1 -2みどりに関する普及啓発 【行動計画(個別取り組み)の概要】 「みどりの基本計画」における基本方針及び取り組み方針 「生きものつながる世田谷プラン」 における取り組み方針 主な個別取り組み内容 基本方針 -1. 水循環を支える みどりを保全する 1 -1.国分寺崖線の保全 1-11-5 国分寺崖線の保全 民有地・公共用地のみどりの保全 国分寺崖線周辺のみどりの確保、既存樹木の保全(拡充)、公園緑地における崖 線樹林地の管理・運営の充実(新規)、保全活動の支援(新規)、市民緑地契約制 度の活用推進、国分寺崖線保全重点地区内の緑化指導等 1 -2.水環境の維持・増進 1-32-18-2 河川・水辺の保全 河川・水辺のネットワークづくり 生物多様性保全の人材育成 湧水を生かした緑地の整備、雨水浸透施設・雨水タンク設置の助成、グリーンイ ンフラの普及・啓発、雨庭づくりの普及と人材育成(新規)等 1 -3.農のみどりの継承 1-48-19-1 農地の保全 生物多様性に関わる体験・学習の場づくり 世田谷らしい農の継承 生産緑地地区の新規指定及び追加指定の推進並びに特定生産緑地の指定の促進、 農業公園の整備・活用、都市農業支援に向けた施策展開、農業農地が有する多面 的機能の情報発信等 1 -4.社寺林・屋敷林などの みどりの保全 1-52-3 民有地・公共用地のみどりの保全 民有地・公共用地の生物生息空間づくり 民有地のみどり保全、市民緑地認定制度による緑地の保全・創出、既存樹木の保 全、小さな森制度の活用推進、区民相互のみどりの管理に対する支援(拡充)、 環境基本条例に基づく環境配慮制度(拡充)等 基本方針 -2. 核となる魅力ある みどりを創出する 2 -1.公園緑地の整備 1-52-2 民有地・公共用地のみどりの保全 公園緑地のネットワークづくり 新たな公園緑地の整備、公園緑地用地取得、みどりを守り育てる資金の確保(拡 充)、魅力あふれる公園づくりの推進、公園などにおける区民参加の花づくり活 動の支援、生きものに配慮した大規模公園緑地の計画づくり(新規)等 2 -2.公園緑地の管理運営 2-2 公園緑地のネットワークづくり 公園等長寿命化改修計画に基づく改修、生物多様性に配慮した公園管理、大規模 な公園の新設や改修を契機とした常設民間施設(カフェ・移動販売車等)の誘致、 暮らしにつながる発生材の地域循環・活用(新規)等 2 -3.区民がふれあえる水辺の再生 2-1河川・水辺のネットワークづくり 湧水を生かした緑地の整備、水辺の維持管理、生物多様性に配慮した水辺づくり 等 基本方針 -3. 街なかに多様なみど りをつくり、つなげ る 3 -1.民有地のみどりづくり 1-11-31-52-3 国分寺崖線の保全 / 1-2景観の保全 河川・水辺の保全 民有地・公共用地のみどりの保全 民有地・公共用地の生物生息空間づくり シンボルツリー・生垣・植栽帯造成・屋上緑化・壁面緑化・駐車場緑化の助成制 度の推進(拡充)、みどりと花いっぱい協定による緑化推進(拡充)、雨庭づくり の普及によるひとつぼみどりの創出(新規)、緑化地域制度の対象建築物の緑化 の確実な維持等 3 -2.みどりの公共・公益施設づくり 2-3民有地・公共用地の生物生息空間づくり 道路緑化の推進、緑のカーテンづくり、公共・公益施設の建築計画などにおける 緑化の推進、樹木・植栽地の適切な維持管理(公共・公益施設)(新規)等 3 -3.新たなみどりの創出 2-3民有地・公共用地の生物生息空間づくり 外環道上部空間等利用における緑化の推進、地域活動団体との連携によるみどり 保全とまちづくり等 3 -4.外来種や野生生物への対応 3-1外来種や野生生物への対応 普及啓発活動の実施、ハクビシン等の防除・生活被害を伴う害虫等への防除対策 等 3 -5.みどりによる安全な街づくり 1-3河川・水辺の保全 民有地の震災対策用井戸の維持管理支援・防災街づくりによる公園・広場・緑地 用地取得 基本方針 -4. みどりと関わる活動 を増やし、協働する 4 -1.みどりを守り育てる 活動の活性化 1-24-25-1 景観の保全 / 4-1国や関係自治体との連携 区民の活動を活性化する仕組みづくり 生物多様性に関わる活動の活性化 生きものの情報の共有、専門家の派遣などの支援、園芸相談、界わい形成地区に おける建設行為等の届出による風景づくりの指導・誘導、界わい形成地区(奥沢 1~ 3丁目等界わい形成地区)におけるみどりの風景づくり(新規)等 4 -2.みどりに関する情報の 管理・発信 1-36-1 河川・水辺の保全 生物多様性に関わる情報整理、 発信の仕組みづくり 生物調査の実施、地下水・湧水調査、世田谷名木百選マップの配布による啓発等 基本方針 -5. みどりと関わる暮ら しを楽しみ、伝える 5 -1.みどりに関する普及啓発 7-18-1 生物多様性の普及啓発 生物多様性に関わる体験・学習の場づくり みどりと生きものに関する出前講座などの開催、特別保護区の一般開放、フィー ルドミュージアムの運営(拡充)、多様な媒体を活用したみどり・生きもの情報 の発信(拡充)、暮らしにつながる発生材の地域循環・活用(新規)等 5 -2.みどりのために行動する 人材の育成 7-18-1 生物多様性の普及啓発 生物多様性に関わる体験・学習の場づくり 体験・学習機会の充実、せたがやカレープロジェクト、みどりを守り育てるボラ ンティアの育成(新規)、土と農の交流園講座の実施等 5 -3.みどりとともにある歴史・ 文化の継承 8-29-19-2 生物多様性保全の人材育成 世田谷らしい農の継承 歴史・伝統文化の継承と活用 ボランティア向けの養成講座・イベントの開催、「せたがやそだち」の消費の拡 大等 5.次期計画に策定に向けて (1)目標について ・2028(令和 10)年度からの次期「みどりの基本計画」の策定にあたっては、世田谷ら しい多様なみどりを確保するため、「世田谷みどり33」の理念を引き継ぎながら、新 たな目標(年次や量など)を検討します。 ・また、みどりの持つ様々な機能など、新たな要素を踏まえて目標を検討するなど、中 長期的な将来を見据えた区のみどり政策を検討します。 (2)生物多様性について ・次期「みどりの基本計画」の改定に合わせて、「生きものつながる世田谷プラン」の中 間見直しを行います。みどりと生きものの関係は相互に補完しあうものであることか ら、みどりの基本計画及び生きものつながる世田谷プランを一体の計画として策定し、 みどりと生きものに関する総合的な計画として取りまとめていくことを検討します。