この冊子のタイトルは、みんながつながれば、生きものも、ひとも、地球も元気 生きものつながる・せたがや・ネイチャー・ワールドです。 生きものつながる世田谷プランの、わかりやすいばんとして、世田谷区が発行するものです。生物多様性の大切さを知っていただくためにつくりました。 せたがやの自然と、生きものたち。 世田谷在住の小学生で、髪飾りをつけたかわいい、あやめちゃん。髪の毛つんつん、元気でたくましい、かぶとくん。めがね・をかけた勉強家の、ものしりくん。頭に葉っぱを1枚乗せ、おしりにしっぽのようなふさふさした飾りをつけたポンタくん。 このよにんが本誌のナビゲーターとして登場します。 わたしの名前はあやめ。 夏休みに世田谷区内の公園で開かれた、生きもの観察会に、参加したの。 世田谷の自然や、そこに暮らす生きものたちの話を聞いて、同じ班になった、かぶとくん、ポンタくん、ものしりくん、と意気投合。 世田谷の自然や、生きもののことをもっと調べてみようよ、ということになったの。 自然が多く残っていそうな大きな公園などへいって、色々なことがわかったわ。 これから、わたしたちよにんが調べてわかったことを紹介するわね。 かぶとくんは、みんなで、生きものの気持ちになって街歩きをしたんだ。と言っています。 世田谷区の地図は、市街地エリア、住宅地エリア、多摩川・国分寺がいせんエリアの、3つに大きく分かれていて、よにんが調べて回った18か所の場所が示されています。 市街地エリアでは、羽根木公園、若林公園、世田谷公園、しもうま・中央公園、駒沢・りょくせん公園の5か所。 住宅地エリアでは、ろか・こうしゅんえん、そしがや公園、希望が丘公園、JRA馬事公苑、駒沢オリンピック公園の5か所。 多摩川・国分寺がいせんエリアでは、成城みつ池緑地、じだゆうぼり公園、砧公園、岡本・せいかどう緑地、ふたこ・玉川公園、かみのげ・自然公園、玉川・のげまち公園、等々力渓谷公園の8か所です。 また、3つのエリアの特徴をあらわした写真として、住宅地、公園、市街地、国分寺がいせん、等々力渓谷の、5枚の写真を掲載しています。 あやめちゃんたち、よにんが見つけた、25種類の生きものの写真を掲載しています。 よにんが住宅地エリアと、市街地エリアで見つけた生きものは、 哺乳類のタヌキ、鳥類のオオタカ、カワセミ、はちゅう類のアオダイショウ、ヤモリ、昆虫のカブトムシ、ノコギリ・クワガタ、オオカマキリ、ジャコウ・アゲハ、オンブバッタ、陸産貝類のカタツムリ、植物では、ケヤキ、ホタル・ブクロ、の合計13種類でした。 また、多摩川・国分寺がいせんエリアでは、先程の13種類に加えて、 鳥類のコミミズク、キジ、魚類のナマズ、甲殻類のサワガニ、昆虫では、ゲンジボタル、タマムシ、オニヤンマ、ハグロトンボ、植物では、キンラン、カタクリ、イチリンソウ、キツネノ・カミソリ、の12種類も見つかりました。 かぶとくんが、生きものの写真を見ながら、よく探してみると、家のまわりにも、こんなに、生きものがいるんだね。昆虫の王者・カブトムシもいたぜ。ぼくと同じ名前で、かっこいい。と言っています。 あやめちゃんは、春の一瞬だけ姿をあらわすカタクリやイチリンソウなどは、スプリング・エフェメラル、春の妖精って呼ばれているんだって。素敵な愛称ね。と目をきらきらさせています。 ものしりくんは、多摩川・国分寺がいせんエリアには、めずらしい生きものがたくさんいましたね。みんなは生物多様性って、知っていますか。と読者に問いかけます。 ポンタくんは、手を振りながら、次のページから生物多様性について解説するよ。と言っています。 生物多様性って、なんだろう。 ここからは生物多様性について、よにんが、調べたことを紹介してくれます。 まずは代表して、ものしりくんが、解説をしています。 ぼくたちの周りには、色々な個性をもった、生きものたちが暮らしています。 たくさんの生きものたちが、お互いに関わり合いながら生きていることを、生物多様性というのです。ぼくたち、人間も、その生きものの一員というわけですね。 大きな木を中心として、生きものたちの、食物連鎖によるつながりを、イラストで表現しています。 例えば、植物は、草食動物に食べられます。草食動物は、肉食動物に食べられます。 その植物や動物が、枯れたり死んだりすると、やがて土の中の、生きものに分解されて、植物の養分になります。 このように、生きもの同士は、食べる・食べられるの関係、食物連鎖でつながっていて、そのつながりは、ずっと繰り返されています。 このような生きものたちと環境をあわせて、生態系と言います。 かぶとくんが、食物連鎖のつながりのイラストを見ながら、へぇー、それぞれがバランスを保って、つながっているんだ。 ということは、その中の1つが、多くても少なくても、ダメなんだよな。と話しています。 生物多様性の、3つのレベル。 引き続き、ものしりくんが、生物多様性の3つのレベルについて、解説してくれます。 生物多様性には、3つのレベルがあるのです。 ひとつめは、生態系の多様性。ぼくたちの周りにも、色々なタイプの場所がありますね。 ものしりくんが、そう話すと、今度はかぶとくんが、森林の生態系、農地の生態系、河川の生態系、市街地の生態系の、4枚の写真を見ながら、 場所によって、生息している、生きものも違うのかな。ほかにも色々な場所があったよな。と、調べたときの様子を話しています。 ふたつめは、しゅの多様性。 地球上には、わかっているだけで、約175万種の生きものがいて、まだ知られていない生きものを入れると、なんと約3千万種もいると、言われているのです。と、ものしりくん。 これについて、ポンタくんが、日本では、約9万種が確認されていて、知られていないものも入れると、約30万種いると言われているんだって。すごいかずだよね。と説明を補足しています。 みっつめは、遺伝子の多様性。 遺伝子とは、親から子へ伝わる情報のことで、すべての生きものは、遺伝子を持っています。同じ、しゅでも、色や形、生態などに違いがあるのは、異なる遺伝子を、持っているからなのですよ。と興奮気味に、ものしりくんが、説明すると、 あやめちゃんは、わたしたちも、同じ人間だけど、顔も身長も、それぞれ違うもんね。と納得しています。 そして、このページの最後に、かぶとくんが、生物多様性は、ぼくたちの暮らしと、どんな関係があるのかな、と問いかけています。 このページでは、生物多様性のめぐみについて、ポンタくんが紹介してくれます。 生物多様性のめぐみは、大きく次の4つがあげられます。 まず、生きものの生息地や、生育地の提供です。 植物の光合成、土壌の形成、水や栄養の循環などにより、生きものが生活する基盤をつくっています。 光合成とは、植物が光を浴びると、二酸化炭素と水から、酸素と養分をつくりだす、はたらきのことを言います。 次に、資源の供給です。 わたしたちの暮らしに、必要となる食料、例えば、果樹、農産物、魚介類や、水、木材などの、資源を供給してくれます。 さらに、生活環境の調整です。 気候をおだやかにし、水や空気をきれいにし、土砂崩れや洪水などを、防いでくれます。 大地が雨水を吸収し、樹木が大地に根を張ることで、自然災害を防いでくれ、また、生きものたちが、植物の受粉を助けることで、自然の調和や循環が保たれます。 そして最後に、豊かな暮らしと、文化の創造です。 心のやすらぎ、芸術や景観の創造など、豊かな暮らしと、文化をつくり出しています。 これには、レクリエーションや観光、科学や教育に関する知識、四季の行事、などがあります。 こうした、生物多様性のめぐみが、あるからこそ、自分たちの生活が成り立っていることを知った、ポンタくんが、 ぼくたちの暮らしは、多様な生物が、関わり合って・できる環境によって、支えられているんだね。と、みんなに話しかけています。 すると、かぶとくんは、片手におにぎりを持ちながら、ぼくは、やっぱり、食べ物のめぐみが、うれしいな。と言っています。 一方、あやめちゃんは、自然のすてきな景色は、いやされるー。と言っています。 そんななか、ものしりくんが、こうした、めぐみがある一方で、生物多様性には、危機がせまっているのです。と問題提起をしました。 生物多様性の危機。 生物多様性の危機について、今度は、かぶとくんが訴えます。 今、生物多様性は、4つの危機にさらされていて、地球上の、しゅの絶滅スピードは、かなり早くなっているんだって。地球上にいる、たくさんの生きものたちが、危機なんだ。 ひとつめの危機は、開発などによる、自然環境と、しゅの減少、生態系の破壊です。 宅地化や、埋め立てなどの開発行為によって、生きものの、生息・生育環境が悪化し、生物多様性に、大きな影響を与えています。 ふたつめの危機は、人による手入れや、利用などの縮小による、生態系の質の低下です。 里山の雑木林は、人が利用しなくなったために、手入れがされなくなり、そうした環境にいる、生きものの生息・生育場所が、失われてきています。 みっつめの危機は、外来種による、地域固有の生態系への深刻な被害です。 外来種とは、野生生物の、本来の移動能力を越えて、人為的に国外や国内の、他の地域から導入された生きもののこと。地域固有の生態系に、深刻な被害をもたらしています。 4つめの危機は、地球温暖化など、地球環境の変化による影響です。 地球温暖化によって、花の受粉を昆虫が助け、鳥が種子を運ぶなどの、生きものの相互関係に影響を及ぼし、多くのしゅで、絶滅のリスクが高まると、予測されています。 かぶとくんは、生物多様性の危機によって、様々なめぐみが受けられなくなっちゃうかも…。人類の存亡にも関わることなんだって。と、とても心配しています。 世田谷への影響。 こうした、生物多様性の危機は、世田谷でも起こりつつあります。 外来種による、生態系のかく乱が起こっています。 アライグマや、アメリカ・ザリガニ、カミツキガメ、などといった外来種が、日本の在来生物を食べてしまったり。また、ペットとして飼われていた、ワカケ・ホンセイ・インコや、ミシシッピ・アカミミガメ、当初は食用として輸入された、ウシガエルなどが、野外に定着して、急増していたり。さらには、セイタカ・アワダチソウや、アレチウリ、オオキンケイギクなどの植物が、在来生物の生育環境を、奪ってしまっているのです。 また、地球温暖化による影響で、ツマグロ・ヒョウモンや、クマゼミなど、かつて世田谷では、見られなかった生きものたちが、確認されています。 これらを見て、あやめちゃんは、えーっ。これって、 わたしたち人間が、原因じゃないの。生物多様性を守るためになんとかしなきゃ。と、なげいています。 また、ペットは愛情をもって最後まで育ててあげてね。と、読者のみんなに、お願いしています。 ポンタくんは、昔は世田谷にも、ニホン・カワウソが、いたんだよ。ぼくの周りも、だいぶ住みにくくなって、きたもんなぁ。と、さびしそうです。 そして、ものしりくんも、南の方にいた、生きものたちが、北上していたり、多くの外来種が確認されているけれど、 彼らも被害者、いや、被害生物なのかもしれませんね。と、困りがおで、つぶやいています。 生きものつながる世田谷プラン。 ここからは、あやめちゃんが、ナビゲーターとして、生きものつながる世田谷プランを紹介しています。 世田谷区は、わたしたちの暮らしを支える、生物多様性の視点から、生きものつながる世田谷プランを作りました。 この計画は、区だけでなく、まちの人たちみんなと、一緒に進める取り組みなの。 多摩川・国分寺がいせんエリア、住宅地エリア、市街地エリアの、3つの地域ごとの将来イメージと、生きものネットワークの将来イメージを描いているのよ。と、あやめちゃん。 将来のイメージは、みどり、生きもの、ひとがつながって、生物多様性のめぐみをみんなが実感し、大切にしている街、世田谷、としていて、このプランでは、みどりを、樹木、草地、農地、河川、ゆうすいなどの、環境ととらえています。 多摩川・国分寺がいせんエリアでは、みどり豊かな国分寺がいせん、美しくあふれるゆうすいなど、生きもののネットワークが広がっています。地域も、自然を守る活動が盛んに行われ、生きもの観察や、体験の場が広がっています。 住宅地エリアでは、体験農園や、農業公園が増え、区民が、農を生活に取り入れています。住宅地では、庭木、水ばち、プランターなど、生きものを呼ぶ工夫がされ、公園緑地や、住宅のみどりには、区民との協働などによって緑化が行われています。 市街地エリアでは、市街地ならではの、みどりづくりが行われ、商店街などで、せたがやそだち、を使ったイベントが行われています。建物周辺や屋上、壁面にみどりの空間が作られ、生きものが集まっています。 将来イメージのイラストを見ながら、かぶとくんは、やっぱり、みどりがたくさんあるところはいいよなー。と、目を丸くしながら話しています。 住宅地でも工夫しだいで、すてきな環境がつくれるのです。と、ものしりくん。 ポンタくんも、市街地でも、ぼくの暮らせるところはあるんだ。と、市街地エリアも、意外と、みどりが多くあることを伝えてくれています。 世田谷区が進める、生きものつながる世田谷プランの概要は、次のとおりです。 このプランは、生物多様性の視点を持って、より良い街づくりを、進めていくための計画です。生物多様性基本法に基づく、世田谷区版の、生物多様性・地域戦略として策定しました。 対象区域は、世田谷区全域で、対象期間は、2017年から2032年としています。 そして、環境共生をリードする住宅都市として、区民との協働によって、生物多様性の保全と、持続可能な利用を進め、豊かな地球環境の一部となる世田谷の地域環境を、次代に伝えていくことを、理念としています。 生きものネットワーク・の将来イメージについて、引き続き、あやめちゃんが、紹介してくれています。 生物多様性は、樹林地や住宅地のみどりなど、様々な生態系が、つながりあって成り立っているの。だから、世田谷の中での身近なつながりと、世田谷を越えた広域のつながりが、良好に保たれていることが重要になってくるのよ。 世田谷区内のリョクドウや河川、幹線道路沿いの街路樹などのみどりの軸、また、大規模、中規模公園や、まとまりのあるみどりの拠点、そして、宅地のみどりや、小規模の公園の、街なかのみどりや、農地保全重点地区など、世田谷区内の生きものネットワーク・を表した図と、 区内の身近な生きものの移動を表したイラストを、掲載しています。 かぶとくんが、生きものの多くは、みどりのある場所を、移動しながら暮らしているらしいぞ。と言うと、 ポンタくんは、みどりのある場所が増えれば、それだけ多くの生きものたちが、行き交うことができるようになるよね。小さなみどりも、とても大切だね。と、言っています。 世田谷と、その周辺の広域的な生きものネットワークのつながりがわかるように、世田谷区を中心に、としんぶや武蔵野台地、神奈川県の多摩丘陵などを表した広範囲な地図に、樹林や草地、水面の位置を描き、生きものネットワークのつながりを示した図を掲載しています。 また、多摩丘陵から、多摩川、世田谷区、明治神宮、赤坂御用地、皇居への広域的な生きものの移動をイラストで表しています。 ものしりくんが、これらを見ながら、区内のみどりのつながりが、周辺の生田緑地や井の頭公園、明治神宮などの、みどり豊かな場所とつながることで、 広域的な生きものネットワークになるんですね。と解説しています。 コラムとして、生きものの移動距離について説明しています。 生きものの移動距離は、体のサイズが大きいほど長く、また、肉食動物のほうが草食動物よりも長いなど、しゅの性質によって異なります。 世田谷に生息する動物の移動直線距離は、概ね次のとおりです。 鳥類でもオオタカなどの猛禽類は、平均値で5キロメートルほどで、最大値は20キロメートルから数百キロメートルに及びます。 また、シジュウカラなどの小型の野鳥の平均値は数百メートルで、最大値でも4キロメートルほどです。 アズマヒキガエルなどのカエル類の平均値は数百メートルほどで、最大値でも200メートルから、いってんごキロメートルほどです。 昆虫類では、ナミアゲハなどのチョウ類は平均値で400メートルから600メートルくらいですが、オニヤンマなどのトンボ類は平均値でも10キロメートル弱で、最大値だと30キロメートルに及びます。 将来像を実現するための、みっつの柱、@守り育てる、A協働する、B理解し・楽しみ・伝える、について、ものしりくん、ポンタくん、かぶとくん、あやめちゃんのよにんから、皆さんへメッセージを送っています。 生物多様性のめぐみを、将来にわたって受けるためには、ぼくたち、人間が、生物多様性を守り育てること、が必要なのです。 そのためには、人と人が協働して、生物多様性を理解し・楽しみ、次代へ伝えることが重要です。 今、ぼくたちに、何ができるか考えて、行動しましょう。 生物多様性を守り育てるために、私たちにできること。 未来へつなぐために、その1。 ものしりくんが、ナビゲーターとなって、生きものと共生するために、自分たちにできることを紹介しています。 多くの生きものたちと共生していくために、ぼくたちができることを考えてやってみましょう。 すると、かぶとくんが、それじゃー、ぼくは、トンボたちがやってくる、小さなビオトープをつくってみるよ。色々なトンボが、いっぱいやってくるといいなー。と言っています。 トンボを呼ぶ、ミニビオトープづくりの紹介。 準備するものは、水ばち、水草などの水生植物、小粒の赤玉土、石、枯れ木、水、メダカ、です。 水ばちの中に、小粒の赤玉土や石、枯れ木を入れて、水深が浅いところと深いところを作ります。その後、水草などの水生植物を配置し、水を入れ、そこでメダカを飼います。 水ばちでなくても、バケツなど、身近にあるものでも代用できます。 水草は、アサザ、オモダカ、スイレン、ハス、コガマなどがよいでしょう。 トンボがとまれる背の高い水草がオススメです。 注意としては、メダカなどの水生生物を入れる場合は、水道すいに含まれるカルキを抜くために、いちにちほど汲み置きしておいた水を入れてあげてね。水を補充するときも同じだよ。 ものしりくんからも、メダカは、ボウフラを食べ、ヤゴの餌にもなるんですよ。とのアドバイス。 こんなトンボがやってくるかも。 事例1は、アジアイトトンボ。体長は26ミリメートルから31ミリメートルで、出現期は4月から11月です。 事例2は、シオカラトンボ。体長は50ミリメートルから55ミリメートルで、出現期は4月から10月です。 ポンタくんは、ぼくは、色々な鳥さんたちと仲良くなりたいな。どんな鳥さんたちが、来てくれるかなー。と、言っています。 野鳥を呼ぶ空間づくりの紹介。 植物の実や、花を飾ったリースをつくります。 準備するものは、つる性の植物、みのついた植物、飾りの花です。 つる性の植物で丸く形を作り、そこにみのついた植物や飾りの花をつけます。 もっと簡単に作る方法として、はりがねハンガーを丸くして、その回りにネズミモチや、ムクノキ、ノイバラ、マンリョウなどの実や、葉をつけた枝をそえるだけでも大丈夫です。 注意することとして、リースをつるす時期は、食べ物が少なくなる、冬から初春までの間にしましょう。また、ふん尿、羽毛の飛散や、鳴き声などで、ご近所にご迷惑をかけないように、気をつけましょう。 こんな野鳥がやってくるかも。 事例1は、シジュウカラ。全長は約14センチメートル。食べ物は、クモや昆虫、種子です。鳴き声は、ツツピー、ツツピー、です。 事例2は、メジロ。全長は約12センチメートル。食べ物は、昆虫や花蜜です。鳴き声は、チーチュルチロルルチュルチー、です。 生物多様性を守り、育てるために私たちにできること。 未来へつなぐために、その2。 あやめちゃんは、わたしは、チョウたちがやってくる、庭づくりをしてみるわ。どんなチョウが、来てくれるかしら。と、言っています。 チョウが舞う、ガーデニングの紹介。 チョウのえさは、主に花の蜜です。早春から秋にかけて、花の咲く時期が違う、色々な植物を寄せ植えしましょう。 園芸用の花ばかりでなく、野原に咲く野草も混ぜるとよいでしょう。 チョウの種類によって好みの花や色が違うので、呼びたいチョウが何を好むか調べてみましょう。 蜜のある主な野草や、園芸種の花の咲く時期は、次のとおりです。 春は、フキ、オオイヌノフグリ、タンポポ、ムラサキケマン、プリムラ、ラベンダー、スミレ類、ハルジオン、ツツジ類、ヘビイチゴ、カモミール、ブルーベリーなど。 夏は、ウツギ、ランタナ、ノイバラ、スイカズラ、オレガノ、シロツメクサ、ミント類、マリーゴールド、クサギ、サルビア類、コスモス、ヤブガラシなど。 秋と冬は、ノコンギク、ケイトウ、カントウヨメナ、ヒガンバナ、シャクチリソバ、ツワブキなどです。 庭がなくても、プランターや、鉢などを上手に使えば、チョウはベランダにも、やってきます。 さらに、あやめちゃんから、花が咲き終わっても、草を残してあげると、バッタがくるかもしれないわね。と、別の生きものがやってくる、工夫についてのメッセージ。 こんなチョウがやってくるかも。 事例1は、クロアゲハ。羽を広げた大きさは45ミリメートルから70ミリメートル。出現期は4月から9月ころです。 事例2は、ベニシジミ。羽を広げた大きさは15ミリメートル。出現期は3月から12月ころです。 事例3は、ツマキチョウ。羽を広げた大きさは20ミリメートルから30ミリメートル。出現期は3月から5月ころです。 チョウが羽を広げた大きさを、かいちょうといいます。 ものしりくんは、ぼくは、アゲハチョウの生態を研究してみることにします。卵から幼虫、さなぎ、成虫まで、どのくらいかかるのでしょうね。と言っています。 チョウを育てるガーデニングの紹介。 チョウは、卵がふ化したときのために、幼虫が食べる、植物の葉に産卵します。 チョウの幼虫が食べる植物は、種類によって決まっています。こうした、餌となる植物のことを、食そう、または食じゅといいます。卵を産みにきてほしいチョウの食そうを、庭や鉢、プランターなどに植えてあげましょう。 区内で見られる、チョウの幼虫の、主な食そうや、食じゅは次のとおりです。 アゲハチョウ、クロアゲハは、ミカン、ユズ、サンショウ、カラタチなどの柑橘類です。 ジャコウアゲハは、ウマノスズクサです。 モンキチョウは、シロツメクサ、アカツメクサなどのマメ科の植物です。 モンシロチョウは、イヌガラシ、アブラナ、キャベツ、ダイコンです。 ツマグロヒョウモンは、スミレ類、パンジー、ビオラなどです。 ベニシジミは、スイバ、ギシギシなどのタデ科の植物です。 ツマキチョウは、ナズナ、タネツケバナ、カラシナ、ダイコンなどです。 注意することとして、特に、サナギの時期は、成虫になるための、とても大切な期間です。決してさわらないでくださいね。 こんなチョウがやってくるかも。 事例1は、モンキチョウ。羽を広げた大きさは23ミリメートルから26ミリメートル。出現期は5月から9月ころです。 事例2は、アゲハチョウ、またの名をナミアゲハ。羽を広げた大きさは40ミリメートルから60ミリメートル。出現期は3月から10月ころです。 生物多様性のために協働する。 身近な自然と、ふれ合ってみよう。 ここでは、身近な自然と、ふれあえる機会などを紹介しています。 最初に、世田谷区が行っている取り組みを3つ紹介します。 ひとつめは、まちの生きものしらべ。 ふたつめは、生きものを呼ぶ、ちょこっと空間づくり講習会。 みっつめは、みどりの出前講座です。 また、世田谷区が発行する無料のパンフレットを3種類ご紹介します。 せたがや花マップは、花の見どころや、緑に関するイベントを紹介するマップです。 世田谷緑のフィールドミュージアム・案内マップは、地域全体をみどりの博物館と捉え、学習や体験の場としたマップです。成城学園前駅周辺地区、きたみ四、五丁目・農の風景育成地区、ふたこ玉川公園周辺地区の、3地区があります。 国分寺がい線発見マップは、緑の生命線である、国分寺がい線の散策ルートを、紹介するマップです。 これらの問合せは、 世田谷区みどり33推進担当部、みどり政策課、電話番号03-6432-7905 区役所ホームページは、 https://www.city.setagaya.lg.jp/ 次に、一般財団法人・世田谷トラストまちづくりが行っている取り組みを3つ紹介します。 ひとつめは、野川の河川敷で行っている、アレチウリの駆除。 ふたつめは、桜が丘すみれば自然庭園、ほかで開催される、自然観察会。 みっつめは、成城三丁目緑地、ほかで行っている、緑地保全活動です。 また、同財団が発行する、有料の書籍を2種類ご紹介します。 生きものを楽しむ・ガーデニングは、庭やベランダでできるガーデニングの楽しみ方と、その方法を、イラストや写真を使って紹介。身近な生きものを呼ぶ、空間づくりにお薦めです。 ミニ野鳥図鑑・キーバード66は、初心者にもわかりやすい絵で気軽に楽しめるミニ野鳥図鑑。野鳥シールが付いているので、自分だけのオリジナル図鑑が作れます。 これらの問合せは、 一般財団法人・世田谷トラストまちづくり、電話番号03-6379-1620 財団ホームページは、 https://www.setagayatm.or.jp/ 生物多様性を理解し楽しみ伝えるために、知る学ぶためのサポート施設を4箇所ご紹介します。 ひとつめは、ふたこ玉川公園ビジターセンターです。 住所。玉川1丁目16番1号。電話番号03-3700-2735 開館時間は、午前8時30分から午後5時まで。休館日は12月29日から1月3日です。 本格的な日本庭園や区民参加で植樹した森、ボール遊びを楽しめる子ども広場もある公園です。ビジターセンターでは、地域の自然情報や、生きものに関する展示をしています。また、自然ガイドウォークなど、生きものや自然を体験できる様々なイベントをおこなっています。 ふたつめは、桜が丘すみれば自然庭園です。 住所。桜が丘4丁目23番12号。電話番号03-3420-2755 開園時間は、午前9時から午後5時で、10月から3月は午後4時閉園です。 休園日は12月29日から1月3日です。 武蔵野の風景が残る庭園です。四季折々にスミレなど多くの草花が咲き、1年を通して様々な生きものたちが姿を見せてくれます。また、毎月第3土曜日は、すみれば・お楽しみイベントを開催しています。 みっつめは、瀬田農業公園、フラワーランドです。 住所。瀬田5丁目30番1号。電話番号03-3707-7881 開園時間は、午前8時30分から午後6時で、10月から3月は午後5時閉園です。休園日は12月29日から1月3日です。 環境に配慮した循環型園芸をめざし、区民参加でエコロジカルな公園づくりを進めています。えんないには、バラや宿根草、ハーブなど多種多様な草花や花木が育ち、様々な生きものたちが集まります。園芸相談をはじめ、園芸講習会も行っています。 よっつめは、世田谷トラストまちづくり・ビジターセンターです。 住所。成城4丁目29番1号 野川緑地広場内。電話番号03-3789-6111 開館時間は、午前9時30分から午後4時30分まで。休館日は月曜日と12月29日から1月3日です。 世田谷の身近な自然に関する展示を中心に、野川に生息する生きものたちの生態を展示しています。また、毎週土曜日には、みどりの上映会を行っています。 エピローグ ポンタくんを除く、子どもたち3人が話しています。 ものしりくん、が、ポンタくんって、意外と生きものにくわしいですよね。と言うと あやめちゃんは、あったりまえじゃーん。だって、あの子、タヌキでしょ。と爆弾発言。 それを聞いていた、かぶとくんは、そうそうポンタって、タヌキだったっ。 と、ついつられて、言ってしまいましたが、ものしりくん、とふたりで、あやめちゃんを見て、ええーっと驚いています。 ポンタくんは、タヌキの姿にもどって、そんな3人の様子を物陰から眺めていました。 生きものつながるせたがやネイチャーワールド 2018年4月発行・2021年6月改訂 発行・世田谷区みどり33推進担当部、みどり政策課 電話番号 03-6432-7905。ファクシミリ 03-6432-7989 広報印刷物登録番号 ナンバー1559 本書の掲載文・写真・イラストなどの無断転載および複写を禁じます。