世田谷区農地保全方針 平成21年10月23日 1、背景 都市における農地は、農作物を生産するとともに、潤いのある景観やみどりとみずの環境保全、災害時の防災拠点等、多面的かつ公益的機能を発揮する貴重な空間である。 これまでも生産緑地の指定により農地保全を図ってきたが、相続によって生産緑地が売られる等、農地の減少が依然続いている現状に鑑み、世田谷区農地保全方針を定め、さらに世田谷の農地保全の取り組みを進める必要がある。 なお、農地の保全には、農地制度や税制度の改正も必要であり、区は、都市農地保全推進自治体協議会や都市農地懇談会等、都市農地保全に取り組む自治体と連携を図りながら、制度改正に向けた要望や提案を国等に対して行ってきている。 2、方針の位置づけ 本方針は、世田谷区みどりとみずの基本計画の課題である都市農地減少の抑制のため、農地保全のための対応策について、農地保全方針として策定するものである。 また、農地の保全については、世田谷区都市整備方針、世田谷区風景づくり計画においても、貴重な財産として保全、活用していくとしており、本方針と各計画等との整合を図ることとする。 なお、世田谷農業の振興テーマとして、地産地消、区民参加型農園、区民協働型農業への展開を掲げる世田谷区農業振興計画との整合を図る。 3、農地保全方針 農地保全重点地区の指定 生産緑地及び宅地化農地、屋敷林が一団で存する地区を農地保全重点地区に指定する。 農地保全重点地区は、次の7地区とする。北烏山給田地区、かみそしがや地区、桜上水地区、さくらがおか地区、きたみ宇奈根地区、瀬田地区、なかまち深沢等々力地区。 農地保全重点地区では、従来通り生産緑地制度により農地を保全するとともに、地区毎の特性に応じた農地等の保全策を講じたうえで、農業振興等拠点の整備を図る。 まずは、次の4つのうち必要な方策を講じ、区民等の協力を得ながら農地等の保全に努める。 A、宅地化農地を生産緑地に追加指定する。 B、宅地化農地を区民農園、びょうほ等として活用する。 C、屋敷林を市民緑地、保存樹林地等に重点的に指定する。 D、保存樹林地の支援を拡充させていく。 これらの方策によっても保全できない農地については、次の条件をすべて満たす場合、区が用地取得のうえ、農業振興等の拠点機能として活用するために必要な整備を図る。 条件1、農地を活かしたまちづくりの拠点として有効性が高い農地等について、面積1ヘクタール以上、または、群として合計面積1ヘクタール以上で都市計画公園、都市計画緑地に指定すること。 条件2、農地等の取得後は、次のいずれかの農園として活用すること。 区民参加型農園、教育農園、福祉農園、多様な農業者の育成、支援事業展開のための農園、農産物の生産力強化に向けた実験農園、緑化のための花苗の生産農園 条件3、農園の管理運営については、実施する事業の内容に応じて、農業関係団体、区民活動団体、学校法人等と連携して行うこと。