世田谷区橋梁長寿命化修繕計画(令和3年6月改定)概要版 令和3年6月 第1章 計画の概要 1.1 背景 ・橋梁の安全性を確保したうえで、維持管理費の縮減と予算の平準化を図るため、平成24年3月に「世田谷区橋梁長寿命化修繕計画」を策定、平成26年3月に計画を改定。 ・平成26年7月に国土交通省より、道路法に基づく5年に一度の定期点検が義務化される。 ・国の基準で実施した定期点検が一巡したことにより、管理する橋梁の健全性を把握。 ・維持管理費について、公共工事労務単価の上昇等により、計画と実績が乖離している。 以上のことから、橋梁を安全かつ適正に維持管理するため、現在の橋梁の健全性を踏まえたうえで、維持管理費の抑制等を視野に入れた計画の見直しを行った。 1.2 目的 本計画は、定期的な点検を実施することにより、管理する橋梁の現状を的確に把握し、計画に反映させて戦略的に老朽化対策を施していくことで、維持管理費用の縮減と平準化を図りながら、橋梁の安全性を確保することを目的とする。 1.3 計画の位置づけ 本計画は、世田谷区公共施設等総合管理計画の個別計画のひとつである。 1.4 計画期間 本計画では、計画期間を令和3年度から令和12年度の10年間とし、具体的な橋梁点検と修繕計画を第6章に示す。(策定後5年経過した時点を目途に計画の検証を行う) 第2章 対象橋梁の整理 2.1 本計画の対象橋梁 本計画では、区が管理する橋梁のうち、道路橋示方書に基づき架設された橋長2.0メートル以上の橋梁159橋を対象とする。 2.2 橋梁諸元 橋種としては、コンクリート橋が最も多く、全体の77%(122橋)を占める。 橋長としては、5メートル以上10メートル未満の橋梁が最も多く、全体の約45%(71橋)を占める。 幅員としては、6メートル以上12メートル未満の橋梁が最も多く、全体の約49%(76橋)を占める。 交差条件としては、河川と交差する橋梁が最も多く全体の約68%(108橋)を占める。 架設年代としては、1960年代に供用された橋梁が最も多く、全体の約31%(50橋)を占める。 まとめとして、橋梁諸元や環境条件、交通条件等を踏まえ、各橋梁の特性に合わせた維持管理を行う。 2.3 対象橋梁の健全性 定期点検では、橋単位で道路橋定期点検要領(国土交通省道路局 平成31年2月)の判定区分により健全性を診断する。 判定区分Tは健全であり、道路橋の機能に支障が生じていない状態である。159橋のうち42橋が該当し、27%を占める。 判定区分Uは予防保全段階であり、道路橋の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態である。159橋のうち96橋が該当し、60%を占める。 判定区分Vは早期措置段階であり、道路橋の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態である。159橋のうち21橋が該当し、13%を占める。 判定区分Wは緊急措置段階であり、道路橋の機能に支障が生じている、または生じる可能性が著しく高く、緊急に措置を講ずべき状態である。159橋のうち該当する橋はない。 第3章 基本方針 3.1 全体方針 橋梁の定期点検および健全性の診断により、損傷を早期発見し、予防保全的な計画に基づき補修を実施することにより、橋梁の安全性を確保したうえで、維持管理費用の縮減と平準化を図る。 3.2 維持管理区分 これまでの計画では、橋梁の特性に応じて4つの維持管理区分に分類し、従来の「対症療法的な補修及び架替え」から「予防保全的な補修及び計画的な架替え」へ転換した。 本計画においては、管理する全ての橋梁において、「予防保全型」の管理を行うことにより、供用期間100年以上を目標とした橋梁の長寿命化を図り、維持管理費用を縮減する。 3.3 優先順位 限られた予算の中で、全ての橋梁を効果的・効率的に管理するためには、補修を実施する橋梁の優先順位を設定して計画を立てる必要がある。優先順位は、各橋梁が持つ重要性から評価する重要度と点検結果から評価する健全性を用いて、総合的に評価することで優先順位グループを設定する。 優先順位1の橋梁は1橋 優先順位2の橋梁は1橋 優先順位3の橋梁は14橋 優先順位4の橋梁は18橋 優先順位5の橋梁は5橋 優先順位6の橋梁は68橋 優先順位7の橋梁は5橋 優先順位8の橋梁は4橋 優先順位9の橋梁は33橋 3.4 耐震対策の取組み 平成7年の兵庫県南部地震発生以後、区では、橋梁の重要度等に応じて落橋防止対策や耐震補強を実施してきた。今後も、橋梁の技術基準である道路橋示方書に基づき耐震性を確認したうえで、長寿命化の補修と並行して、必要に応じて耐震対策を行う。 第4章 長寿命化修繕計画の効果 4.1 モデルケースによるコスト縮減効果の検証 直近の補修及び架替え実績を基に算出した、橋梁面積100平米あたりの年平均コストを示す。 前計画のモデルケースとしては、架替えまでの期間を90年とし、架替えまでに1回補修を実施すると想定した。年間の平均コストは3百万4千円となる。 本計画のモデルケースとしては、架替えまでの期間を100年以上とし、架替えまでに2回補修を実施すると想定した。年間の平均コストは2百万8千円となる。 以上のことから、年間の平均コストは、本計画の方が低い結果となったことから、本計画に従って予防保全型の管理を行い橋梁の長寿命化を図ることにより、コスト縮減が見込める。 4.2 長期シミュレーションによるコスト縮減効果 前計画に基づく50年間の維持管理費用ついて、平成25年度から令和元年度までの実績を基に、法令・制度の改正や労務単価の上昇などの変化を踏まえ、再シミュレーションを行った結果、維持管理費の累計は当初の約93億円から約243億円となり、約150億円(約2.6倍)増加した。 本計画に基づき、全ての橋梁で予防保全型管理を行った場合の50年間の維持管理費の累計は約193億円となり、前計画と比較した場合に約2割のコスト縮減が見込める。   第5章 計画の実現に向けて 5.1 メンテナンスサイクルの構築 橋梁の維持管理の取り組みを計画的かつ効果的に進めるため、点検、診断、措置、記録のメンテナンスサイクルを構築し、橋梁が安全かつ適正に維持管理できるよう努める。 5.2 計画の検証 本計画は実効性を保つため、定期点検の結果に加え、メンテナンスサイクルの過程で生じた新たな課題などを踏まえ、策定後5年経過した時点を目途に、計画の検証を行う。 5.3 新技術の活用 遠隔操作を用いた点検支援技術などの新技術が開発されている。区においても、このような新技術の活用を検討するとともに、今後5年間に、約1割程度の橋梁で費用の縮減や事業の効率化等の効果が見込まれる新技術を活用することを目標とする。 第6章 橋梁点検・修繕計画 点検計画 令和3年度  39橋 令和4年度  33橋 令和5年度   3橋 令和6年度  40橋 令和7年度  34橋 令和8年度  47橋 令和9年度  35橋 令和10年度  3橋 令和11年度 40橋 令和12年度 34橋 修繕計画 令和3年度  5橋 令和4年度  4橋 令和5年度  6橋 令和6年度  6橋 令和7年度  5橋 令和8年度  5橋 令和9年度  5橋 令和10年度 3橋 令和11年度 5橋 令和12年度 3橋