東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)に関する要望  東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)(以下、「外環本線」という。)については、長年の議論を経て、平成19年に都市計画が変更された後、昨年4月の国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て整備計画が決定されたことを受け、5月に事業化した。さらに、昨年10月には補正予算の高速道路事業に係る見直しが公表され、用地費および補償費が執行停止となった。  その際、私たち沿線区市長は、昨年10月と本年5月に、適切な情報提供や「対応の方針」の確実な履行および確実な事業の実施等を求める要望を行なったところである。  本年3月に通常国会に提出された、「高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案」は、現在、閉会中審査と公表されているが、今回においても沿線区市への正式な説明はない状況である。  外環本線は、PIの考え方に基づき、構想段階から、国、都、沿線区市および沿線地域住民との話し合いによって、進められてきた事業であり、事業実施段階にあっても、この経緯を踏まえた国の誠実な対応が必要不可欠である。また、外環本線は、高速自動車国道であることから、いかなる整備手法を採るにしても、国において財源確保を図り、都と協力しながら「対応の方針」を確実に履行するなど、沿線地域住民の不安の解消に今後も努め、国が完成まで責任を持って整備すべきものである。  外環事業の進め方については、未だ不明確な部分が多いことから、これまでの沿線区市との信頼関係を崩すことなく、国が下記事項を確実に取り組むよう緊急に要望し、国土交通大臣の誠意ある対応を求めるものである。 記 1 地域への適切な情報提供について    沿線地域住民の抱く不安や懸念を払拭するためには、地域への丁寧な情報提供が必要不可欠である。国は、沿線地域住民との話し合いの経緯を鑑み、事業の各段階に応じて必要な情報を提供すること。また、国は沿線区市長に対し、本事業に関する情報を適時適切に提供するとともに、沿線区市長の意見に配慮すること。 2 「対応の方針」の確実な履行について  「対応の方針」は、沿線の区市長より一定の理解のもと、国および都が、整備に伴う環境対策や蓋かけ部の環境整備などの地域の課題や対応の方向性を取りまとめ公表したものであり、事業化に向けた前提といえるものである。  このことから、「対応の方針」について、整備手法に関わらず、国が完成まで責任を持って都と連携し、沿線地域住民や沿線区市の意見を聞きながら、確実に履行すること。 3 関係権利者の生活再建等について  外環本線の事業にあたっては、沿線地域住民への丁寧な説明を行った上で、全ての関係権利者に不公平が生じることなく税制上の措置が講じられるよう、国において必要な手続きを早急に行い、生活再建に際して迅速かつ適切な対応を責任を持って行うこと。 4 来年度の予算要求について   通常国会で、「高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案」が閉会中審査と公表されており、外環事業の進め方について、未だ不明確な部分がある。関係権利者の生活再建および「対応の方針」の確実な履行を踏まえた着実な事業実施のために、来年度予算要求において、必要な直轄事業費を計上するなどの対応を要望する。 5 生活再建救済制度で取得した用地の買戻しについて   国、都、区市による協定書に基づき、事業化以前に区市の土地開発公社が生活再建救済制度で取得した用地の買戻しについて、国が責任を持って履行すること。 6 今後の高速道路計画について  外環本線が、関越道から東名高速の区間について事業実施段階に至ったので、予定路線とされている東名高速から湾岸道路までの区間について、国において早期に計画を具体化すること。 平成 22 年 8 月 25 日 国土交通大臣 前原 誠司 様  練馬区長   志村 豊志郎         三鷹市長  清原 慶子  杉並区長   田中 良         調布市長  長友 貴樹  武蔵野市長 邑上 守正         世田谷区長  熊本 哲之