20世道計第99号                          平成21年3月24日 国土交通大臣 金 子 一 義 様 世田谷区長 熊 本 哲 之 東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)の        「対応の方針」(素案)にかかる要望書  東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)(以下「外環」という。)の計画は、地域に与える影響は大変大きなものであることから、できるだけこの影響を最小限に止めるために、外環への対応だけでなく、影響のある周辺地域のまちづくりに取り組むことも外環計画を着実に進めるために重要であります。  そこで国及び東京都は、外環整備に伴う環境対策など地域の課題について、住民参加による地域課題検討会を開催し、地域住民の意見や要望を聴き、検討したうえ、「対応の方針」(素案)をとりまとめ公表しました。さらに意見募集を行い広く区民の意見を聴くなど、これらの取り組みに対して厚く御礼申し上げます。  その中で、「対応の方針」(素案)の内容については一定の評価をするところですが、さらに意見募集で提出された区民の意見を反映し、外環事業について区民に理解され、より具体的にとりまとめられた「対応の方針」とする必要があります。  このため、今後、国及び東京都は、「対応の方針」を策定するにあたり、本要望書の要望事項について、同方針に反映し、今後の事業実施段階において、確実に履行するよう求めるものであります。  なお、本要望書の要望事項にとどまらず、今後新たな課題等が明確になった場合は、その対応について、世田谷区と協議し、誠意をもって取り組んでいただくことを重ねてお願い申し上げます。 記 T 対応の方針に係る個別要望事項 1 交通  (1)東名以南について     現在、国は、外環の関越道から東名高速の区間を「基本計画」から着工の前提となる「整備計画路線」に格上げする準備に入っておりますが、東名高速から湾岸道路の区間については、いまだ予定路線の状態になっております。     外環が東名高速までの整備となると、環状道路としての機能が十分に発揮されないばかりか、東名ジャンクション周辺付近での大気汚染や交通渋滞の拡大が大いに懸念されるところです。     世田谷区は、これまで東名以南の整備を進めることで、関越道から東名高速間の整備について、同意してまいりました。     そこで、これまでも機会あるごとに意見、要望をしてまいりましたが、関越道から東名高速の区間について早期に事業化を図ることと、併せて予定路線である東名高速から湾岸道路の区間についても建設線に早期に位置付け具体化していただきたい。     また、平成21年度に国と東京都により検討された情報については漏れなく公表していただきたい。  (2)東名高速東京インターチェンジ周辺について     外環の整備に伴う東名高速東京インターチェンジの用賀出入り口や瀬田交差点の交通量予測は、「東名ジャンクション周辺地域における交通の変化」において、現時点よりも増加するとなっております。そして、首都圏幹線道路ネットワークが概ね完成した時に交通量が減少するとなっております。   しかしながら、東名以南が完成するまでの間、東名高速東京インターチェンジ周辺において、渋滞等の交通環境への影響が予想されます。このことから、その対策については、東名高速東京インターチェンジの交差点改良や右左折レーンの設置などの渋滞解消のための具体的な取り組みを、地域の住民の意見を十分に聴きながら検討し、適切な役割分担のもと確実に履行していただきたい。  (3)地区交通について     東名ジャンクション周辺及び東八道路インターチェンジ周辺における都市計画道路の整備については、周辺生活道路への流入を極力抑えるため必要であり、外環本線の事業に併せて積極的に取り組んでいただきたい。     また、今後区が施行する都市計画道路については、早期に整備できるように、補助事業の優先採択や協力・支援をしていただきたい。   さらに、「世田谷区道路整備方針」に基づいた、外環整備に関連した主要生活道路の早期整備についても、周辺道路交通量データの情報提供や整備に必要な交通安全施設等整備事業等の補助事業の優先採択など、財政面での協力や支援等をしていただきたい。   併せて生活道路へ進入する通過交通対策としての「くらしのみちゾーン」事業制度等についても、積極的に活用できるように、財政面も含めて積極的な協力・支援等をしていただきたい。  2 環境  (1)大気質について     環境への影響については、環境影響評価の結果を踏まえ、外環供用時における東名ジャンクション周辺や、換気所周辺の大気質は環境基準を達成するとの見込みですが、今後事業実施段階においての、最新技術の適用については、外環事業者の責任で検討し、適切な措置を講じることに最善を尽していただきたい。     なお、換気所への低濃度脱硝装置の設置については、地元の要望も強いことから、既に中央環状新宿線に設置されている脱硝装置の採用など、環境に対する地域への影響が最小限となるよう最新の処理技術を採用していただきたい。  (2)東名ジャンクションの構造について     東名ジャンクションの構造については、これまでも「オープンハウス」、「意見交換会」及び「地域課題検討会」等から、地下化等のさまざまな提案があるなど、地域住民の関心が高いことから、地域課題検討会でいただいた意見などを踏まえ、地域への影響が小さくなるようジャンクション構造の技術的検討の実施し、結果を公表していただきたい。  (3)緑の量について     現在、「みどりとみずの環境共生都市・世田谷」の実現を目標に、「世田谷区みどりとみずの基本計画」に基づき、「世田谷みどり33」を進めていることから、外環事業実施に伴い、「世田谷みどり33」の実現に向けて連携し、協力していただきたい。  3 まちづくり  (1)まちづくり全般について     外環事業に伴い、その周辺地域の土地利用の見直しや都市施設の整備、さらにみどりとみずの地域の拠点づくりに向け、今後区が策定する外環周辺のまちづくり計画について、支援、連携し取り組んでいただくようお願いしたい。  (2)地域分断について     東名ジャンクション周辺地域においては、野川に架かる茶屋道橋、水道橋、大正橋などの喜多見六丁目・大蔵五丁目と喜多見五丁目・多摩堤通り方面とを結ぶ橋梁・道路が廃止になる可能性が大きいため、近隣住民の利便性の面から、これらの機能を補償する連絡道路等の設置を確実に行っていただきたい。     また、中央ジャンクション周辺地域においても、吉祥寺通り、北野中央通り等が分断されるため、分断対策として外環沿線に代替ルートを整備するなど、地域住民の利便性の低下が生じないよう、機能確保を図っていただきたい。  (3)バス交通について     東名ジャンクション周辺部及び中央ジャンクション周辺部の事業実施に伴い、バスルートである道路が寸断されることで、公共交通の機能が失われ、区民の移動の利便性が低下することや、周辺バスルートの変更によるバスの定時性の確保について懸念されます。     この対策を進めるにあたっては、外環沿線にバスルートとして可能な代替道路の整備を確実に進めることなどにより、バスの定時性の確保や地域の交通利便性の低下が生じないよう、従来の交通機能を確保していただきたい。  4 安全・安心  (1)ジャンクション周辺の防犯対策について     外環整備に伴う高架下や環境施設帯などの治安悪化への対策については、環境施設帯を含むジャンクション部において開放的な空間となるように努め、街路灯の適切な設置などの防犯対策を確実に履行していただきたい。  (2)通学路の安全確保について     東名高速東京インターチェンジ周辺及び東八道路インターチェンジ周辺の生活道路に、通過交通が進入する可能性があるため、その具体的な対策については、地域住民の意見を十分に聴きながら検討し、適切な役割分担のもと確実に履行していただきたい。  (3)豪雨対策について     外環供用後において、集中豪雨による外環施設等から雨水や雨水排水の流出が懸念されることから、詳細な排水計画などについて検討・協議を進めていただきたい。  5 用地補償     外環計画により移転を余儀なくされる居住者並びに工場等の事業者に対しては、移転に係る補償や代替地等の確保について、関係権利者の意向を聴きながら、最善を尽くして対応していただきたい。     また、東名ジャンクション並びに中央ジャンクション計画地内の農地についても、営農を希望する農業従事者の意見を聴きながら、区内において可能な限り近傍の代替農地の確保、斡旋及び情報提供並びにそれらに関する仕組みづくりの検討の実施などについて、積極的に取り組んでいただきたい。     併せて、「生活再建救済制度」の適用により、世田谷区土地開発公社が取得した土地についても、確実に再取得していただきたい。  6 外環計画検討の進め方  (1)意見提案についての対応について     今後、詳細な検討の段階で、引き続きPIの手法を取り入れ、地域住民から意見を聴きながら、具体的な検討を実施するとのことであり、この取り組みを進めるにあたっては、これまで提出されたものも含めて、地域住民の意見提案について、誠実に対応していただきたい。  (2)整備効果の情報提供について     現行、平成11年度道路交通センサスのデータに基づき、外環の将来交通量が推計されていますが、平成17年度道路交通センサスに基づいた新しい将来交通量は公表されておりません。このため、平成17年度の道路交通センサスや新たな人口推計等の最新データをもとにした新たな将来交通量による整備効果についても、とりまとめ次第至急公表していただきたい。  7 その他     外環の地域課題検討会については、「検討すべき課題」や「課題への対応の方向性と優先度」の考え方をまとめるにあたって、課題検討会参加者の意見をどのように取り入れたか、参加者に示しながら進めてきました。     この検討会の結果を受けて、国と東京都が意見募集及び住民説明会を実施したところですが、最終的に、「対応の方針」に、地域課題検討会の結果をどのように反映したか、地域課題検討会の参加者に報告していただきたい。                          20世道計第99-1号                          平成21年3月24日 東京都知事 石 原 慎 太 郎 様 世田谷区長 熊 本 哲 之 東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)の        「対応の方針」(素案)にかかる要望書  東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)(以下「外環」という。)の計画は、地域に与える影響は大変大きなものであることから、できるだけこの影響を最小限に止めるために、外環への対応だけでなく、影響のある周辺地域のまちづくりに取り組むことも外環計画を着実に進めるために重要であります。  そこで国及び東京都は、外環整備に伴う環境対策など地域の課題について、住民参加による地域課題検討会を開催し、地域住民の意見や要望を聴き、検討したうえ、「対応の方針」(素案)をとりまとめ公表しました。さらに意見募集を行い広く区民の意見を聴くなど、これらの取り組みに対して厚く御礼申し上げます。  その中で、「対応の方針」(素案)の内容については一定の評価をするところですが、さらに意見募集で提出された区民の意見を反映し、外環事業について区民に理解され、より具体的にとりまとめられた「対応の方針」とする必要があります。  このため、今後、国及び東京都は、「対応の方針」を策定するにあたり、本要望書の要望事項について、同方針に反映し、今後の事業実施段階において、確実に履行するよう求めるものであります。  なお、本要望書の要望事項にとどまらず、今後新たな課題等が明確になった場合は、その対応について、世田谷区と協議し、誠意をもって取り組んでいただくことを重ねてお願い申し上げます。 記 T 対応の方針に係る個別要望事項 1 交通  (1)東名以南について     現在、国は、外環の関越道から東名高速の区間を「基本計画」から着工の前提となる「整備計画路線」に格上げする準備に入っておりますが、東名高速から湾岸道路の区間については、いまだ予定路線の状態になっております。     外環が東名高速までの整備となると、環状道路としての機能が十分に発揮されないばかりか、東名ジャンクション周辺付近での大気汚染や交通渋滞の拡大が大いに懸念されるところです。     世田谷区は、これまで東名以南の整備を進めることで、関越道から東名高速間の整備について、同意してまいりました。     そこで、これまでも機会あるごとに意見、要望をしてまいりましたが、関越道から東名高速の区間について早期に事業化を図ることと、併せて予定路線である東名高速から湾岸道路の区間についても建設線に早期に位置付け具体化していただきたい。     また、平成21年度に国と東京都により検討された情報については漏れなく公表していただきたい。  (2)東名高速東京インターチェンジ周辺について     外環の整備に伴う東名高速東京インターチェンジの用賀出入り口や瀬田交差点の交通量予測は、「東名ジャンクション周辺地域における交通の変化」において、現時点よりも増加するとなっております。そして、首都圏幹線道路ネットワークが概ね完成した時に交通量が減少するとなっております。   しかしながら、東名以南が完成するまでの間、東名高速東京インターチェンジ周辺において、渋滞等の交通環境への影響が予想されます。このことから、その対策については、東名高速東京インターチェンジの交差点改良や右左折レーンの設置などの渋滞解消のための具体的な取り組みを、地域の住民の意見を十分に聴きながら検討し、適切な役割分担のもと確実に履行していただきたい。  (3)地区交通について     東名ジャンクション周辺及び東八道路インターチェンジ周辺における都市計画道路の整備については、周辺生活道路への流入を極力抑えるため必要であり、外環本線の事業に併せて積極的に取り組んでいただきたい。     また、今後区が施行する都市計画道路については、早期に整備できるように、補助事業の優先採択や協力・支援をしていただきたい。   さらに、「世田谷区道路整備方針」に基づいた、外環整備に関連した主要生活道路の早期整備についても、周辺道路交通量データの情報提供や整備に必要な交通安全施設等整備事業等の補助事業の優先採択など、財政面での協力や支援等をしていただきたい。 併せて生活道路へ進入する通過交通対策としての「くらしのみちゾーン」事業制度等についても、積極的に活用できるように、財政面も含めて積極的な協力・支援等をしていただきたい。  2 環境  (1)大気質について     環境への影響については、環境影響評価の結果を踏まえ、外環供用時における東名ジャンクション周辺や、換気所周辺の大気質は環境基準を達成するとの見込みですが、今後事業実施段階においての、最新技術の適用については、外環事業者の責任で検討し、適切な措置を講じることに最善を尽していただきたい。     なお、換気所への低濃度脱硝装置の設置については、地元の要望も強いことから、既に中央環状新宿線に設置されている脱硝装置の採用など、環境に対する地域への影響が最小限となるよう最新の処理技術を採用していただきたい。  (2)東名ジャンクションの構造について     東名ジャンクションの構造については、これまでも「オープンハウス」、「意見交換会」及び「地域課題検討会」等から、地下化等のさまざまな提案があるなど、地域住民の関心が高いことから、地域課題検討会でいただいた意見などを踏まえ、地域への影響が小さくなるようジャンクション構造の技術的検討の実施し、結果を公表していただきたい。  (3)緑の量について     現在、「みどりとみずの環境共生都市・世田谷」の実現を目標に、「世田谷区みどりとみずの基本計画」に基づき、「世田谷みどり33」を進めていることから、外環事業実施に伴い、「世田谷みどり33」の実現に向けて連携し、協力していただきたい。  3 まちづくり  (1)まちづくり全般について     外環事業に伴い、その周辺地域の土地利用の見直しや都市施設の整備、さらにみどりとみずの地域の拠点づくりに向け、今後区が策定する外環周辺のまちづくり計画について、支援、連携し取り組んでいただくようお願いしたい。  (2)地域分断について     東名ジャンクション周辺地域においては、野川に架かる茶屋道橋、水道橋、大正橋などの喜多見六丁目・大蔵五丁目と喜多見五丁目・多摩堤通り方面とを結ぶ橋梁・道路が廃止になる可能性が大きいため、近隣住民の利便性の面から、これらの機能を補償する連絡道路等の設置を確実に行っていただきたい。     また、中央ジャンクション周辺地域においても、吉祥寺通り、北野中央通り等が分断されるため、分断対策として外環沿線に代替ルートを整備するなど、地域住民の利便性の低下が生じないよう、機能確保を図っていただきたい。  (3)バス交通について     東名ジャンクション周辺部及び中央ジャンクション周辺部の事業実施に伴い、バスルートである道路が寸断されることで、公共交通の機能が失われ、区民の移動の利便性が低下することや、周辺バスルートの変更によるバスの定時性の確保について懸念されます。     この対策を進めるにあたっては、外環沿線にバスルートとして可能な代替道路の整備を確実に進めることなどにより、バスの定時性の確保や地域の交通利便性の低下が生じないよう、従来の交通機能を確保していただきたい。  4 安全・安心  (1)ジャンクション周辺の防犯対策について     外環整備に伴う高架下や環境施設帯などの治安悪化への対策については、環境施設帯を含むジャンクション部において開放的な空間となるように努め、街路灯の適切な設置などの防犯対策を確実に履行していただきたい。  (2)通学路の安全確保について     東名高速東京インターチェンジ周辺及び東八道路インターチェンジ周辺の生活道路に、通過交通が進入する可能性があるため、その具体的な対策については、地域住民の意見を十分に聴きながら検討し、適切な役割分担のもと確実に履行していただきたい。  (3)豪雨対策について     外環供用後において、集中豪雨による外環施設等から雨水や雨水排水の流出が懸念されることから、詳細な排水計画などについて検討・協議を進めていただきたい。  5 用地補償     外環計画により移転を余儀なくされる居住者並びに工場等の事業者に対しては、移転に係る補償や代替地等の確保について、関係権利者の意向を聴きながら、最善を尽くして対応していただきたい。     また、東名ジャンクション並びに中央ジャンクション計画地内の農地についても、営農を希望する農業従事者の意見を聴きながら、区内において可能な限り近傍の代替農地の確保、斡旋及び情報提供並びにそれらに関する仕組みづくりの検討の実施などについて、積極的に取り組んでいただきたい。     併せて、「生活再建救済制度」の適用により、世田谷区土地開発公社が取得した土地についても、確実に再取得していただきたい。  6 外環計画検討の進め方  (1)意見提案についての対応について     今後、詳細な検討の段階で、引き続きPIの手法を取り入れ、地域住民から意見を聴きながら、具体的な検討を実施するとのことであり、この取り組みを進めるにあたっては、これまで提出されたものも含めて、地域住民の意見提案について、誠実に対応していただきたい。  (2)整備効果の情報提供について     現行、平成11年度道路交通センサスのデータに基づき、外環の将来交通量が推計されていますが、平成17年度道路交通センサスに基づいた新しい将来交通量は公表されておりません。このため、平成17年度の道路交通センサスや新たな人口推計等の最新データをもとにした新たな将来交通量による整備効果についても、とりまとめ次第至急公表していただきたい。  7 その他     外環の地域課題検討会については、「検討すべき課題」や「課題への対応の方向性と優先度」の考え方をまとめるにあたって、課題検討会参加者の意見をどのように取り入れたか、参加者に示しながら進めてきました。     この検討会の結果を受けて、国と東京都が意見募集及び住民説明会を実施したところですが、最終的に、「対応の方針」に、地域課題検討会の結果をどのように反映したか、地域課題検討会の参加者に報告していただきたい。