17〜18ページ まちの運営にむけて    ワークショップでは、現在の下北沢の魅力や課題を踏まえながら、新しく整備される道路・駅 前広場空間での利活用について話し合い、そのための道路整備の考え方や整備イメージをと りまとめました。また、話合いを続ける中で、道路整備だけでは解決できない、まち全体で取組 むべき内容についても確認しました。  まち全体が連携しながら、《賑わい創出のための活動》と《魅力あるまちの維持のための活 動》に、それぞれバランスよく取組むことが重要であるとまとめました。 〈まちの運営〉に必要なふたつの活動 《賑わい創出》のための活動 + 《魅力あるまちの維持》のための活動 《賑わい創出と魅力あるまちの維持》のための活動について 《賑わい創出》のための活動 下北沢でしたいこと・必要なこと 具体的な内容・活動イメージ  まちがひとつになれるイベントとその企画・運営  ●盆踊り ●マルシェ など  ●新しくできる駅前広場や補助第54号線西側で、世代や国籍を超えた交流の機会につながる「まちがひとつになれるイベント」を企画・実施したい。  ●イベント時の車両通行止めや時間規制等のルールを定めたい。  路上イベントとそのルールづくり・運営  ●こども縁日 ●フリーマーケット ●阿波おどり など  ●車道と歩道を一体空間として利活用するために、車両の通行止めや時間規制等のルールを定めたい。  ●活動内容や活動場所、利用可能時間などのルールを定めたい。  歩道空間でのオープンカフェとそのルールづくり・運営  ●沿道店舗によるオープンカフェ ●露店 など  ●歩道空間でのオープンカフェや露店を企画・実施をしたい。  ●広くなる歩道空間でのオープンカフェ等の実施場所や利用可能時間などのルールを定めたい。 《魅力あるまちの維持》のための活動 下北沢でしたいこと・必要なこと 具体的な内容・活動イメージ  まち全体のルールづくりやガイドラインの作成、ブランディング活動  ●路上ライブなどがルールなく行われていたり、個々にイベント等が開催されているため、まち全体で利活用の時間規制等ルールやガイドラインを作成したい。  ●まちのブランディングにより、他のまちとの差別化やイメージなどを高めたい。  まちの案内や観光・イベント案内外国人へのおもてなしの取組み  ●イベント等の情報 ●手荷物預かり  ●レンタサイクル、レンタカー ●観光案内、案内板  ●劇場やライブ等の情報がバラバラでわかりにくいため、まちの店舗やイベント等の情報の発信や   観光案内、手荷物預かり機能などのある「まちの案内所」をつくり、運営していきたい。  ●今ある「南口」という名称を小田原側の改札名称として残したい。  ●まちを訪れる外国人への対応として、外国語表示のマップや多言語のまち案内など「おもてなし」の取組みを向上させたい。  ●補助第54号線西側で利活用する際を想定した公衆トイレがほしい。  喫煙ルールづくりやまちのマナー向上  ●歩きたばこやゴミのポイ捨てなどのまちのマナーの低下が見受けられるため、マナーアップにつながる活動をしたい。  防災や防犯活動  ●地域の防災活動をしたい。  ●まちの安全を守るために駅前にポリスボックスがほしい。  街路樹や植栽の手入れ  ●街路樹のある歩道空間を、親しみのある憩いの空間としたいため、落ち葉等の清掃をしたい。  ●多世代の交流を育むために、花壇やプランターへのガーデニング活動をしたい。    駐車場や駐輪場の地域ルールづくり  ●物販や飲食店を利用するお客さん等による、日常的な違法駐輪が多く見られる現状があるため、   景観やお店の雰囲気を損なわない駐輪場所を確保できるような地域ルールを定めたい。  ●イベントに参加する人が近くの道路に違法駐輪するなどが問題となっているため、イベント時に対応できる駐輪場所の確保について考えたい。  ●駐車場を1階部分に整備することにより、街路樹がとぎれるなどの景観上の問題や歩行空間の分断、利活用空間が少なくなるなどが懸念されるため、   集約して確保するなど下北沢の特性に合わせた地域ルールを定めたい。  荷さばきのルールづくり    ●駅周辺では、通勤や通学のための駐輪場利用のほか、買物利用や保育施設等への送迎で、自転車の日常的利用が見受けられ、   狭い道路で歩行者と自転車が錯綜するなどし、歩行者が安心して歩くことができない状態です。   そのため、駅周辺をおしチャリゾーンに設定して自転車走行の制限を行ったり、マナーを向上させる取組みを考えたい。  ●新しく整備が予定されている駐輪場については、歩行者動線を考慮した出入り口にするなどの工夫をしたい。  ※おしチャリゾーンとは、歩行者優先のために自転車を押して歩く範囲として、自転車走行ルールを定めるものです。 自転車走行等のルールづくりに向けた検討図 【凡例】 おしチャリゾーンの路線(案) 19ページ 組織運営にむけて  《賑わい創出》や《魅力あるまちの維持》のための活動を行っていくには、既存の町会や商店会に加え、下 北沢に関わる次世代を担うメンバーを含めた、まち全体が連携できる運営組織をつくり、まちがひとつに なって活動をしていくことが必要であることを確認しました。  組織で運営していくことの「暮らす人」や「商いをする人」にとってのメリットについてまとめました。 下北沢に暮らす人にとってのメリット ・交通の安全性が高まり歩きやすいまちになる ・みどりが増えて気持ちが安らぐ ・まちがきれいになって心地いい ・まちに縁側のような居場所がうまれる ・気持ちよくイベントに参加できる ・若い世代との交流がうまれる ・人とひととのつながりがうまれる ・防犯性が高まり安心して暮らせる など ますます暮らしやすく 愛着のもてるまちをめざします 下北沢で商いをする人にとってのメリット ・イベントなどで集客がふえる ・人とひとの交流やつながりがふえる ・まち案内で、まちが分かりやすくなり まちを訪れる人がふえる ・まちがきれいになって滞在時間が増える ・多様で質の高いサービスが提供できる など ますます商いにとって 魅力があるまちをめざします 今後の進め方 駅前広場の供用開始にあわせた運営組織によるオープニングイベントをめざし、来年度から、 運営体制づくりに向けた検討など、世田谷区と連携して取り組んでいくことをめざします。 世田谷区 「提案書」の内容を踏まえて できる限り反映し 道路の設計や工事等を推進 鉄道会社やバス事業者等と調整・連携 地域住民への情報提供と共有 提案 報告 共有 地域 「下北沢駅周辺都市計画道路 整備ワークショップ 提案書」を 世田谷区へ提出 平成28年2月 地域への発信 運営体制づくりに向けた検討 まちの運営組織 設立準備 【駅舎完成の頃】 まちの運営組織 設立 【駅前広場の完成】 駅前広場でのオープニングイベント 《賑わい創出》のための活動と 《魅力あるまちの維持》ための活動を継続していきます 20ページ おわりに 〜総合ファシリテーターより〜 芝浦工業大学 教授 中野恒明  下北沢(シモキタ)のまちは、そのヒューマンスケールの界隈性が多くの人々を 惹きつけ、いまでは多くの外国観光客も訪れるまちとなっています。小田急線の 地下化によって踏切は解消され、より歩きやすいまちとなる訳ですが、それに伴い 鉄道跡地空間や世区街第10号線(駅前広場)そして補助第54号線の整備が進め られることで、まちの雰囲気は大きく変わることとなります。それを今回のワーク ショップを通して、地元のみなさんと、「今の下北沢の魅力をそこなうことなく、 新たに出現する広場や街路をどのようにこのまちに合ったものにしていくのか」を 議論して来ました。あわせてこれを契機として、シモキタの界隈全体が一体となり、 新たな魅力づくりやさらなる活性化を考えていこうという機運が高まってきました。  今、各地でまちなか再生や地域活性化、そして街路や水辺、公園などの公共空間を 舞台としたプレイスメイキング(placemaking=居場所づくり)が盛んに行われる ようになっています。その意味では時代は大きく変わりつつあります。私も専門家と して、2011年の都市再生特別措置法の適用第1号となった新宿東口の常設の オープンカフェ支援や地方各地のまちづくりにも関わってきました。  シモキタにおいても新たにつくられる駅前広場や街路を活用した様々な イベントやオープンカフェなどのアイデアが提案されてきました。今後は、これらを 受け入れる具体の空間の設計作業とあわせ、それを実現していくための様々な 課題解決、例えば実施するためのまちの運営組織の立ち上げ、それを継続的に おこなうための地域の応援団の方々の力の結集なども必要となるはずです。  来年度以降もさらなるシモキタの魅力向上に向けて、みなさんが主体的に 取り組んでいかれることを期待します。