表紙 世田谷区移動等円滑化促進方針 概要版 (素案) 令和 4 年12月 世田谷区 1ページ目 第1章 はじめに 背景と目的 区では、区民のだれもが安心して暮らせるまち、人々とのふれあい、支えあいながら生き生きと活動できるまちをめざし、福祉のまちづくりを推進してきました。 平成19年3月に世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例 (以下「UD推進条例」という。)を制定した後、それに基づく計画として世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画(以下「UD推進計画」という。)を平成21年3月に策定し、世田谷区ユニバーサルデザイン環境整備推進地区(以下「推進地区」という。)を中心にユニバーサルデザイン(以下「UD」という。)の考え方に基づく取組みを推進してきました。 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、心のバリアフリーといったソフト面での取組みの推進や新たに移動等円滑化促進方針に関する制度を追加するため、高齢者、障害者等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)が改正されました。 本区は、令和元年10月に「先導的共生社会ホストタウン」に認定されたことを受け、UDのまちづくりや心のバリアフリーの推進などにより共生社会の実現に向けた取組みを推進していくこととしています。 UD推進条例の取組みをさらに推進するために、バリアフリー法に基づく「世田谷区移動等円滑化促進方針(以下「促進方針」という。)」を策定します。 促進方針の位置づけ 促進方針の位置づけの図があります。 世田谷区におけるユニバーサルデザイン推進の取組み UD推進条例 UD推進条例では、不特定又は多数の者が利用する庁舎等の公共施設や病院、駅などを公共的施設として定め、新設、改修時に整備基準や遵守基準に適合するように指導しています。 UD推進計画 UD推進計画では、生活環境の整備に関する目標や基本方針、施策・事業を明示し、ユニバーサルデザインによるまちづくりを進めています。 促進方針とは 高齢者、障害者等が利用する施設が集積している地区において、移動等に関する面的・一体的なバリアフリー化の方針を区が示すものです。また、区全体の方針についても明確化するものです。   なお、策定後、移動等円滑化の状況について概ね5年ごとに調査するとともに、必要に応じて促進方針の見直しを検討します。 促進地区・生活関連施設・生活関連経路のイメージ図があります。 2ページ目 第2章 現状と課題 区の概況 人口・世帯数 約91万7千人・約49万世帯 高齢者・高齢化率 約19万人・約20% 障害者数 約3万人 外国人人口 約2万人 乳幼児人口 約4万人 道路網 都市計画道路の整備率:5割弱 主要生活道路の整備率:4割弱 公共交通 鉄道:3事業者により運行 7路線、合計41駅 路線バス:5事業者により運行、83路線 出典:世田谷区HP統計情報館(各年4月1日) 世田谷区保健福祉総合事業概要(令和4年9月) バリアフリー化の現状と課題 ①UD推進条例に基づく取組み UD推進条例に基づく取組みにより、一定のバリアフリー化が図られていますが、公共交通や道路、 信号機等を含めた面的・一体的なバリアフリー化が図られていないため、それらを推進する枠組みが必要です。 ②交通バリアフリー法に基づく取組み 三軒茶屋駅周辺地区において交通バリアフリー基本構想を策定し、 鉄道駅や周辺道路等について目標としたバリアフリー化が概ね図られましたが、バリアフリー法が改正されていることを踏まえ、区全域においてハード・ソフトの両面からバリアフリー化を促進していく必要があります。 ③各施設のバリアフリー化の現状 UD推進条例等により一定のバリアフリー化が図られていますが、バリアフリー法や移動等円滑化整備ガイドラインの改正内容を踏まえ、さらなるバリアフリー化の推進が必要です。 促進方針の策定に向けた課題 ○課題1:UD推進計画と一体的に施策を推進します。 ○課題2:バリアフリー法の枠組みを活用した区全域におけるバリアフリー化の促進します。 ○課題3:促進地区の選定要件を踏まえた今後の取組みのモデルとなる地区を設定します。 第3章 促進方針の基本目標と基本的な考え方 本区における既存の取組みを更に推進するため、バリアフリー法による促進方針制度を活用し、様々な事業者の連携・協力、地区を定めた面的・一体的な移動等の円滑化を促進するため、第2章で示した促進方針の策定に向けた課題を踏まえ、バリアフリー化を促進するため以下に3つの基本目標を示します。 基本目標1 UD推進条例を補完し、一体的な施策推進により区全体の底上げを図る。 基本目標2 教育や啓発による心のバリアフリーを推進するために、全区的に取り組み内容を具体的に示す。 基本目標3 「モデル地区」を促進地区として設定し、磨きをかけて他地区へ展開する。 3ページ目 第4章 区全域における方針 区全域におけるバリアフリー化の取組を促進していくにあたり、施設整備などによるハード面におけるバリアフリー化とあわせて、心のバリアフリーや情報のバリアフリーなどのソフト面におけるバリアフリー化の促進が必要です。区の関連計画とも連携し、区全域におけるバリアフリー化の促進のために必要な以下の取組みを推進します。 ①施設のバリアフリーの促進 公共交通、道路、建築物など個々の施設については、関連する条例、基準等に基づき整備します。 さらに、接し合う施設管理者が連携・協力し、移動の連続性に配慮したバリアフリー化を促進します。 また、踏切など、道路と公共交通施設とが交差し合う場合も連携協力し、バリアフリー化を促進します。 接し合う施設管理者の連携・協力による移動の連続性に配慮したバリアフリー化のイメージ図があります。 公共交通施設 ・鉄道 可動式ホーム柵の設置 エレベーターの大型化 など ・バス 停留所へのベンチ 上屋の設置 など ・タクシー 接遇研修の定期的な実施 UDタクシーの導入 など 道路 ・踏切の安全性確保 ・歩道橋設置箇所のバリアフリー化など 交通安全施設 ・音響式信号機の増設 ・横断歩道へのエスコートゾーンの設置など 公園 ・設備やトイレなどの安心安全の取組み 建築物 ・各種基準、ガイドライン、UD推進条例に基づいた整備推進など ②情報のバリアフリーの促進 すべての人が必要な情報を必要な時に適切に得ることができるようにするため、以下の取組みを実施し情報のバリアフリー化の促進を図ります。 ① 事前の情報収集の円滑化 各施設のHPへのバリアフリー情報掲載やそれらの更新の促進など ② 現地での情報提供 ICT を活用した情報提供機器の設置、窓口担当者への心のバリアフリーや情報のバリアフリーの普及・啓発の推進など ③ 情報保障の充実 催事や会議等における興行主や施設管理者に対する情報保障の充実の促進など 4ページ目 ③心のバリアフリーの促進 「不便さ」、「不自由さ」は、機械や設備だけで解決できるものではなく、一人ひとりが、高齢者や障害者の気持ちになって考え、協力していくことが心のバリアフリーです。 行政、施設管理者、区民が連携・協力し、以下3つの視点の取組みを実施し、心のバリアフリーを促進します。 ① 理解 ・障害当事者による講座やワークショップを実施するなど、様々な人への理解など ② 接遇 ・公共交通機関などでの人的対応の充実など ・心をこめたコミュニケーションと気づかいを実践した接遇の普及など ③ 交流 ・障害者がスポーツ・レクリエーションに親しむ機会の充実など ・スポーツ・レクリエーション活動を通じた障害のある人とない人との交流促進など 2020 ボッチャ世田谷カップの写真があります。 「障害のある人もない人も共に楽しめるスポーツ・レクリエーション交流事業」の写真があります。 心のバリアフリーシンポジウムにおける、まち歩き点検の様子の写真があります。 せたがや・障害者・まち!交流塾の写真があります。 UDワークショップの様子の写真があります。 ④商店街におけるバリアフリーの促進 梅ヶ丘駅~豪徳寺駅・山下駅周辺地区および区役所周辺地区の商店街でこれまで実施されてきた取組みを、移動等円滑化における世田谷らしさと捉え、ハード・ソフトの一体的なバリアフリー事例として更に磨きをかけ、商店街のバリアフリーを促進していきます。 道路構造を見直し、店舗出入口の段差を解消した例の写真があります。 リーディングラインの設置例の写真があります。 筆談ボードの写真があります。 一時的に使用するための段差解消スロープの設置例の写真があります。 店舗入り口に設置した段差解消スロープを使用している様子の写真があります。 助成制度を利用し商店街に設置したベンチ(三宿四二〇商店会)の写真があります。 5ページ目 第5章 促進地区 促進地区の選定 モデル地区として最も効果の高い地区を促進地区に設定するにあたり、これまでUDのまちづくりを重点的に進めてきた5つの総合支所管内におけ る UD 推進地区の中から、取組み実績、バリアフリー法に基づく三要件(効果要件、 課題要件、配置要件)を踏まえ検討した結果、「梅ヶ丘駅~豪徳寺駅・山下駅周辺地区」と「区役所周辺地区」を包括する『世田谷区役所周辺地区』を促進地区に選定します。 生活関連施設の設定 高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する駅や官公庁施設、 福祉施設などを生活関連施設に設定します。 生活関連施設:旅客施設、公共・公益施設、文化・教育施設、保健・福祉施設                医療施設、商業施設、都市公園 生活関連経路の設定 歩行者ネットワークの形成を考慮したうえで、生活関連施設間を結ぶ経路を生活関連経路に設定します。 促進地区における配慮事項 配慮事項は、まち歩きでの意見、協議会での意見を参考に配慮すべき事項として区として取りまとめたものです。各施設設置管理者により可能な限り配慮することとします。 1 施設のバリアフリーの促進 ・各施設管理者の連携協力による施設の安全性確保 など 2 情報のバリアフリーの促進 ・各施設管理者の連携協力によるわかりやすいサイン整備 など 3 心のバリアフリーの促進 ・すべての人にとって易しい社会となるための研修実施 など 4 商店街のバリアフリーの促進 ・商店街で取組むバリアフリーの推進 など 行為の届出制度 促進地区では、多くの人が往来する鉄軌道の駅と道路とが接する部分について新設・改修等などを行う場合、当該管理者は区に届出が必要となります。 6ページ目 【世田谷区役所周辺地区】促進地区・生活関連施設・生活関連経路の図があります。 裏表紙 第6章 促進方針の実現に向けて 取組みの方向性 協議会や多くの区民の意見を反映させた本方針に記載した事項を今後具現化していくためには、引き続き関係者が一丸となって取組んでいく必要があります。今後の関係者による取組みの方向性を以下に示します。 (1) 周知・啓発と連携・協力 ① 区民、施設設置管理者、行政機関等をはじめとする関係者に対し、世田谷区移動等円滑化促進方針の内容を周知・啓発する。 ② 教育や啓発により心のバリアフリーの促進に取組み、区民意識の醸成に努める。 ③ 区民、施設設置管理者、行政機関等と連携・協力しながらバリアフリー化を推進し、面的・一体的なバリアフリー化の実現に取組む。 (2) 世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画との一体的な推進 ① 本方針とUD 推進計画とが一体となって、世田谷区のUD を推進するよう努める。 ② 本方針は、「世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例」をはじめ、様々な条例・方針・計画等との整合・連携を図りながら、地域共生社会の実現をめざす。 (3) 促進地区の他地区への展開と区全体のレベルアップ ① 促進地区内の生活関連施設及び生活関連経路管理者に対し、配慮事項を踏まえた整備や維持管理を促し、促進地区内の移動等円滑化のレベルアップを図る。 ② 促進地区の良い部分を区内の他地区へ展開し、将来的には区全体のレベルを更に引き上げる。 ③ 他地区への展開にあたっては、市街地開発事業などの面的整備の機会を捉えるなど、効率的に一体的な整備が可能となるよう配慮するとともに、5つの総合支所の地区特性を踏まえた柔軟な展開を図るものとする。 促進地区における重点的な取組み (1) 「うめとぴあ」、区役所本庁舎の移動等の円滑化 区は、「うめとぴあ」周辺と、建て替えを進めている世田谷区役所本庁舎周辺の移動等円滑化に向け、サイン整備などの検討を行います。 (2) 商店街の心のバリアフリーの促進 促進地区内の商店街に対し、本方針や、区で発行する「みんなが嬉しくなるお店(平成23年3月)」、「ユニバーサルデザインって何だろう?(令和3年3月)」などを参考としたワークショップなどを関連所管との連携により取組むことにより、区と商店街とが協力しながら心のバリアフリー等に関する普及啓発活動を実施します。 (3) 交通事業者等との連携 鉄道事業者は、「道路の移動等円滑化に関するガイドライン(令和4年6 月国土交通省)」などによる、鉄軌道施設の円滑な利用や安全確保について、区に対して情報共有するとともに、区と連携・協力しながら検討をすすめます。 世田谷区移動等円滑化促進方針(概要版) 発行年月 令和4年12月 編集・発行 世田谷区 都市整備政策部 都市デザイン課 住 所 〒158-0094 世田谷区玉川1丁目20の1 電 話 03-6432-7151 FAX 03-6432-7996