世田谷UDスタイル第7号 全12ページ中、こちらは4ページ目から5ページ目の情報です。 4ページ 4ページに、写真を6枚、イラストを1つ掲載しています。 都立砧公園(みんなのひろば) 写真1:船型遊具「みらい号」 スロープがあり、車椅子や歩行器を使っている子どもたちもそのまま遊具のてっぺんまで上ることができます。スロープは緩やかで幅が広く、車椅子で方向転換したりすれ違いができる上、かわいい絵が描かれていて楽しく歩けます。また滑り台には車椅子の子どもが乗り移りやすい工夫がされています。 写真2:「みらい号」のスロープ 写真3:「みらい号」の滑り台にある、乗り移りやすい段差 イラスト1:スロープの手前に、車いすの「せたっち」 写真4、5:ブランコ ブランコの形は3種類あり、自分に合ったものを選ぶことができます。「一般的なブランコ」の他、寝ころんで友だちと乗ることができる「皿型ブランコ」、背もたれと安全バーがあり、安心して楽しめる「椅子型ブランコ」があります。 写真6:ぐるぐるマウンテン みんなで乗れる回転遊具です。乗り場のくぼみ全体が背もたれになっているので、体を支える力がない子どもでも楽しめます。 5ページ 5ページに、写真を1枚、イラスト1点を掲載しています。 UDの公園まちづくり 柳田宏治先生インタビュー 写真1:柳田宏治先生のプロフィール写真 倉敷芸術科学大学教授、みーんなの公園プロジェクト代表。家電メーカーのデザイナーを経て2004年より現職。1994から1996年に米国にてUDの動向を調査した後、国内で普及活動を行う。『すべての子どもに遊びを ユニバーサルデザインによる公園の遊び場づくりガイド』(萌文社 2017)など。 私が代表を務める「みーんなの公園プロジェクト」は、すべての子どもが共に生き生きと遊べるユニバーサルデザイン(以下UD)による遊び場づくりの促進を目指す市民グループです。2006年から、多様な利用者のニーズ調査や国内外の公園事例調査、関連情報の収集と発信、実践に向けた協力などの活動をしています。 公園の遊び場とUDの取組 遊びは、子どもの身体的、情緒的、社会的発達などに欠かせないもので、公園はその機会を提供できる貴重な場です。しかし障害のある子どもとその親の多くが公園の遊び場を利用できず、遊びを諦めているのが現状です。 これまでも、障害のある子どもの遊べる公園は作られてはいますが、中には一般の遊び場とは別に障害児向けのエリアを設けるなど、障害児と健常児の分離につながるものもありました。障害のある人がアクセスできない状況や、他の多くの人とは異なる方法でアクセスする特別扱いは、障害の強調や障害者に対する差別的な意識を生むことにつながります。環境にバリアがあっては、意識のバリアをなくすのは難しいのです。 こうした限界をデザインの力で解決しようとアメリカなどで始まったのがUDの公園づくりです。誰もが使える遊具にすることで、特別扱いによる障害の強調をなくしたインクルーシブな遊びの環境を目指すものです。私たちは公園で遊べない子どもたちがいる現状を解決するのは社会の責任だと考えています。 「みんなのひろば」について 「みんなのひろば」は、障害のある子どもの親などの意見を取り入れて作られたインクルーシブな公園で、遊具へのアクセスの幅広いニーズが考慮されています。日本ではUDを「福祉」や「弱者を助ける」ものとして捉えることが多いですが、子どもの間での「助ける・助けられる」という一方的な関係は、障害の有無で役割を固定する考え方につながります。誰もがなるべく自分の力で遊びにアクセスでき、それぞれに合ったチャレンジができる選択肢があることで、多様な子どもが一緒に生き生きと遊ぶことができます。今後は実際の利用者の声を聴き、さらなる改善に活かしていくことが大切です。 地域コミュニティで育てるひろば 利用者が公園づくりや運営に参加することで、オーナーシップ(私たちの公園という意識)も育まれます。それにより公園は、地域の多様な人が訪れ、楽しみ、つながりを広げられる場になるでしょう。これから「みんなのひろば」がコミュニティの核として育っていくことを期待しています。 ◆With コロナ時代の工夫 はなれて遊ぼう 遊ぶ時間はいつもよりも短くね! 空いているところで遊ぼう! 遊具の広場はひとりじめしないで! マスクも忘れずにね! 「せたっち」のイラスト:「せたっち」が2メートルの距離を取っている。 「せたっち」のイラストの吹き出し:離れて遊ぼう! 以上