8から9ページ ワークショップにご協力いただいた講師のインタビュー 8ページに、写真を1枚、アイコンを3つ掲載しています。 インタビュー1 廣川(ひろかわ) 麻子 氏 1994年日本ろう者劇団入団。2009年英国 Graeae Theatre Companyにて研修。2012年観劇支援団体シアター・アクセシビリティ・ネットワーク設立。 平成27年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。2018年より、東京大学先端科学技術研究センター当事者研究分野ユーザーリサーチャー。 8ページの写真1:手話をしている廣川(ひろかわ)氏の写真(上半身) 芸術文化におけるアクセシビリティの向上に取り組んでいます。誰でも自由に会場に行って文化を楽しめるように演劇に字幕を付けることを働きかけたり、演劇の内容を手話通訳できる人を養成したりしています。東中野のレパートリーシアターKAZEのバリアフリー演劇公演を監修した時は、手話通訳者がただ立って舞台の内容を通訳するだけでなく、俳優が手話通訳者に話しかけるなど劇の中に登場する人物のように自然に作品の中に入る工夫などを行いました。「演劇に手話通訳者がいるのは当たり前」と思える社会になってほしいですね。 新国立劇場で11月に舞台の上に日英字幕が表示された演劇に字幕の協力をしました。字幕は聞こえない人だけでなく外国人への対応にもなります。また、聞こえる人も字幕があることで、せりふや歌詞が分かりやすくなります。手元のタブレットで字幕が表示される手法も普及していますが、舞台の上に字幕があると舞台から視線を外す必要がなく、内容と一緒に確認できます。 まちの中にはさまざまな人がいます。聞こえない人に出会っても怖気づかないでください。手話ができなくても、身振りや筆談、アプリを使ってコミュニケーションが取れます。色々な形のコミュニケーションを楽しんでください。 コラム アプリの紹介 8ページのアイコン1:UDトークのアイコン UDトーク 「共有」を目的とした話し手のコミュニケーションをサポートするためのアプリです。 多言語の翻訳および音声認識や音声合成を実装し、言語バリアフリーに、漢字かな変換機能を使うことで世代間バリアフリーに、多目的に使えるコミュニケーションアプリです。 8ページのアイコン2:Voice Traのアイコン Voice Tra 話しかけると外国語に翻訳してくれる、音声翻訳アプリです。翻訳できる言語は31言語です。 8ページのアイコン3:こえとらのアイコン こえとら 音声認識技術や音声合成技術を活用することにより、聴覚障害者と健聴者とのスムーズなコミュニケーションを支援するアプリです。 9ページに、写真を2枚掲載しています。 インタビュー2 難波 創太 氏 1995年 武蔵野美術大学卒業後、デザイナーとしてゲーム、映像作品を多く手がける。2008年交通事故が原因で失明、全盲となる。アート制作やワークショップの開催、合気道など幅広く活動。美術館、舞台、映画館などで視覚を使わない観賞方法を研究している。 9ページの写真1:マイクを持って講演中の難波氏の写真(上半身) 失明してから合気道を始めて8年目になりました。合気道は見える見えないかは関係なく、相手とのコンタクトが基本です。道場には非英語圏の外国人も多く、まったく言葉が伝わらない人と組んで稽古をすることもあります。それでも、いざ稽古になると、相手の意思が伝わって繋がっている気がします。体でこっちに持っていくよ、などの意志が伝わり、コミュニケーションができた時の満足感が得られます。 コミュニケーションで最も大事なのはつながりたい気持ちと、相手に興味を持つことです。時には言葉より、握手一つがコミュニケーションになることもあります。言葉の有無より、伝える気持ちがあることが出発点です。 今年の5月からパントマイムを習っているのですが、パントマイムは無言劇なので、見えない人には何をしているのか全くわかりません。そこで、公演の時に音声ガイドを付けることにしました。ソーシャルビューの舞台バージョンのようなものだとお考えください。見える人と見えない人が楽屋のモニターで舞台を見ながら対話をします。観客席では気楽に話せないので対話をグループ通話を通してイヤホンで聞いて、パントマイムを鑑賞する方法です。今はまだ実験的な取組みです。今後いろんな舞台でできるようにしたいです。 コラム ソーシャルビュー「ステージ版」 難波氏は見える人と共にパントマイムの公演をモニターで見て、対話しながら鑑賞する試みを重ねています。見える人は公演の内容の説明の他、直感的な感想を話しました。難波氏からは「場面の転換や大道具について」「手足の動き、表情」「衣装」など細部の質問が出ました。この対話をスマホで聞いた視覚に障害のある観客からは「ヒントはいっぱいあった方がいいので、対話では思ったことを自由に話して」などの感想がありました。 協力:スーパーパントマイムシアターSOUKI(主宰 江ノ上陽一) 9ページの写真2:講演を見れるモニター前に座っている難波氏と講演内容を説明する参加者2人。