7から12ページ 2 印刷物におけるユニバーサルデザイン 2の1 ポスターやチラシ作成の工夫  見やすく伝わりやすいポスターやチラシを作成するようにしましょう。本ページでは、同じ内容で違うデザインのポスターやチラシを比較します。    ポスターやチラシを作成する時の一般的な手順は、まずだれに向けて、どんな目的で作成するのかを定めます。その結果、落ち着いた雰囲気にするか、子ども向けに可愛らしくするのかといったデザインコンセプトが色調も含めて方向づけられます。  次に告知内容を定めていきます。タイトル、本文、出校者(主催者)、日時・会場など必要事項を決めていきます。  ここまでの骨子が決まると、いよいよユニバーサルデザインの視点で下記の項目について、検討します。 せたっち デザイン初心者ですが、がんばって作りました。工夫した点は次のとおりです。 タイトルは丁寧に、文章は短く要点をしぼって、小見出しをいれてわかりやすく、親しみやすくカラフルに どうでしょうか? アドバイザー なるほど。基本的な考えはいいけど、デザインの工夫をもっとしよう。 わかりづらい例 図あり  もっと読みやすい書体がある。  文字が小さい。  淡い色の文字なので読みにくい。  重要な情報が目立たない。  背景色と文字の色が視認しにくい組み合わせで読みにくい。特にロービジョン(弱視等)の人には読みにくい組み合わせとなっている。 わかりやすい例 図あり (1)タイトル  わかりやすくします。例えば、ユニバーサルデザインよりも、UDのほうが見た目ではわかりやすいです。ただし、省略した時はきちんと注釈をいれましょう。  アイキャッチとなるような大きめのグラフィック(イラスト、写真、ロゴなど)も効果的です。 (2)色を使ったアピール  色を使うと効果的ですが、たくさんの色を使うと見にくくなり、逆効果となることがあります。また、色覚障害者の人への配慮が必要です。(7の1 色のユニバーサルデザイン参照)  単色の組み合わせでも見やすくすることができます。  白黒でコピーしても情報が伝わるような色使いをしましょう。 (3)小見出し  濃い背景色に白や淡い色の抜き文字や枠をつけるなど、他の文章より目立つようにすると読みやすくなります。 (4)文章  要点を絞って長くならないようにします。箇条書きで書くことも検討します。  表にして表現するのも良い方法です。 (5)音声コード  多数に向けた印刷物では、音声コードをつけることが原則です。(7の2 音声コードの作成参照) 2の2 区民向けの印刷物作成のポイント  文字が主体の区民向けの印刷物(パンフレットや冊子)を作成する際、読み手のことを考えて少し工夫することで、わかりやすい内容の印刷物になります。手にとってもらえるよう、下記をヒントに、美しい、楽しい、面白い印刷物を作成しましょう。 2の2の1 伝わりやすく表現する  伝わりやすく書くためには、文書の目的を明確にし、わかりやすい言葉で、内容を簡潔に書くことが重要なポイントになります。2の1 ポスターやチラシ作成の工夫も参考にしましょう。また、日本語を母語としない人に向けた表現について、国から在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインが公表されていますので、参考にしましょう。(資料編参照) (1)コンセプトを明確にする  文章を書く前に、その目的をはっきりさせ、何を相手に伝えるか、コンセプトを明確にすることが重要です。また、最も伝えたい情報が伝わるように必要事項を整理し、まわりくどい表現は避け、伝えたいことをはっきりさせましょう。 (2)文は短く簡潔にする  一文はできるだけ短くすることが必要です。言葉を継ぎ足すのではなく、削ぎ落とすことを意識しましょう。 (3)重要なポイントから書く  まず重要なポイントから書くことにより、読み手が全文を読まなくても、大切なことを伝えることができます。要点は先に、詳細は後に書きましょう。 (4)親しみやすく、理解しやすくなるよう工夫する  絵、イラスト、グラフ、フローチャートなどを活用するとともに、強調したい文字は下線を引いたり、太字にしたりしましょう。 (5)わかりやすい見出しをつける  見出しは本文を読み進めやすくする役目を果たします。見やすくデザインすることで、大切な内容が伝わります。 (6)専門用語などには注釈をいれる  専門用語などを使う場合は、注釈などで説明しましょう。また、読みにくい言葉や固有名詞にはふりがなを記載しましょう。 2の2の2 文書のデザインを工夫する  文書をわかりやすく見せるために、文字の大きさや書体を工夫し、適度な空白、強調文字、色彩などで印象的なデザインを工夫しましょう。 (1)文字の大きさを考える  文字の大きさについて、文書の対象者などに配慮して、適切な大きさを選択しましょう。文字の大きさは12ポイント以上が読みやすいと言われています。文書のサイズを考えて、読みやすくバランスの取れた大きさにしましょう。 図あり (2)書体を工夫する  一般に公文書や小説など文章が続く本文では明朝体が使われますが、見出しや表、短いセンテンスの文などではゴシック体が読みやすいと言われています。  書体は信頼感や品位などの雰囲気を伝えるため、だれに向けて・どんな場面で読まれる文なのかを考え、適切な書体を選ぶようにしましょう。なお、明朝体やゴシック体、丸ゴシック体など基本的な書体には、文字の形がわかりやすい、読み間違えにくいなどをコンセプトにデザインされたUDフォントがあります。下記はUDフォントの事例です。 図あり (3)全体のバランスを考える  文字の字間、行間、余白は、読みやすさに大きく影響します。そのため、スペースを惜しんで情報を詰め込みすぎないようにしましょう。行間は文字サイズの50パーセントから100パーセントが適切と言われています。Wordで行間を固定値とする場合、文字が12Pならば18P〜24P(12Pかける1.5から2.0)となります。 図あり 2の3 音声読み上げに対応したデータ作成のポイント  印刷物には、視覚障害者への対応として、視覚障害者用音声コード(注1)を添付したり、音声読み上げソフトを使用する人なども内容がわかるように、テキストファイル(注2)を用意する必要があります。  注1 7の2 音声コードの作成参照  注2 拡張子が.txtとなるファイル 2の3の1 音声読み上げソフトに対応して作成する  音声読み上げソフトは、テキスト化されていないデータの場合、読み上げることができません。また、グラフや画像、表、テキストボックスなどが挿入されていたり、2段書きになっていると、意図したとおり読み上げることができない場合があるため、テキストファイルを用意する必要があります。 作成のポイント  音声読み上げに対応していないPDFには、代替ファイルとしてテキストファイルを添付する。  Word、Excelは閲覧するためにアプリケーションソフトのMicrosoft Officeが必要なため、PDF、テキストファイルを添付する。  テキストファイルには、すべての情報を記載することが原則。  グラフや画像、表を多用している場合や、ページ数が何十ページもあるなど、テキストファイルの作成が非常に困難な場合には、その内容がわかる概要や要約を記載し、併せて問い合わせ先の所属名、電話番号をテキストファイルに記載する。  テキストファイル(拡張子は.txt)のデータを作成する際、Windowsではメモ帳を利用すると、読み上げに適切に対応できる。 2の3の2 音声読み上げソフトで正しく読める表記にする  記号の種類によっては正しく読み上げることができずに、情報が正しく伝わらない、又は理解が困難になる場合があるので注意が必要です。下記に配慮の例を挙げます。   (1)日付や曜日などに省略表記を使用しない 悪い例 10 スラッシュ 8 かっこ すい 良い例 10月8日 水曜日 (2)環境依存文字を使わない  環境依存文字は読み上げない場合もあるため、原則として使用しません(環境依存文字とは、文字変換をする時に環境依存などと表示される文字です)。 悪い例 マル1 マル2 マル3 平方メートル かっこ 株 (3)不要な空白でレイアウトを調整しない 悪い例 日  時  空白を挿入したことにより、単語として読み上げられず、 ニチ トキ などと読み上げられてしまう。 (4)意味を持たない文字・記号は使用しない 悪い例 飾り文字(ほし、しかく、まる、まる、ひしがた など) 注意書きなどでは こめじるし や ほし などを使用せず、 補足、注意、注釈 などの文字にする。 悪い例 顔文字 悪い例 ほし イコール イコール 重要 イコール イコール ほし 内容と関係ない記号が読み上げられた場合、理解が困難になる。 悪い例 点 点 点 (5)表の内容をテキストデータで作成する場合、数字だけでなく単位なども記載する 悪い例 りんご 100 6 600 良い例 りんご 単価100円 個数6個 金額600円 表あり