35から42ページ 7 実践するにあたって 7の1 色のユニバーサルデザイン  色を用いた印刷物・ホームページ・サインを作成する場合は、色のユニバーサルデザインの考え方を取り入れます。大切なことは、色だけに頼った情報提供をしないことです。色なしでも理解できるようにデザインし、その上で強調のために副次的に色を添えることを基本とします。  以下のチェック項目は、印刷物、ホームページ、サインを作成する場合の判断の参考や事業者に委託する場合にご活用ください。 色の選び方(色による区別を示したい場合) 1 赤色は、濃い赤色や暗い赤色は茶色と間違いやすいため、朱色やオレンジ色を使いましょう。 2 緑色は、赤色や茶色と間違いやすいため、青みが強い緑色を使いましょう。 3 青に近い紫色は、青色と区別ができないので、赤紫色を使いましょう。 4 明るい黄色は、白やクリーム色と混同するので使わないようにしましょう。 図あり 色の組み合わせ方(色による対比を明確にさせるために) 1 朱色やオレンジ色といった暖色系と、青色などの寒色系を対比させましょう。 2 明るい色と暗い色を対比させましょう。 3 明度差をつけましょう。 4 彩度の低い色(パステル調の色)同士を組み合わせないようにしましょう。 補足 同じ色相で明度や彩度を変化させて濃淡をつける方法もあります。 図あり 文字に色をつけるとき 1 背景色と文字色の間にはっきりとしたコントラスト(明度差)をつけましょう。 2 線の細い明朝体ではなく、線の太いゴシック体を使いましょう。 3 書体、太字、傍点、下線、囲み枠など、書体の形の変化を併用しましょう。 補足 見えづらい場合は、文字に白や黒で線をつけると文字が際立ちます。 図あり グラフに図表、地図等に色をつけるとき 1 白黒でも意味が通じるように図をデザインし、色に頼らなくても情報が得られるように工夫しましょう。 2 形、位置、線種(実線、点線、波線等)や塗り分けパターン(色だけでなく線や点によるハッチング等)を工夫しましょう。 3 図や写真の上に文字を重ねることは避けましょう。 補足 表示項目が多い場合、領域の境界を白や黒で区分けする方法もあります。 図あり  このほか、東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン(平成23(2011)年3月)にも作成の際に配慮すべきポイントなどが掲載されていますので参考にしてください。  また、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)でも色々と紹介されています。(資料編参照) コラム カラーユニバーサルデザイン  日本人の場合、色覚障害の割合が男性は約20人に1人、女性は約500人に1人で存在します。色覚障害の人の具体的な見え方は以下になります。 図あり    一般色覚者が色の見分けにくさを想像するのは困難です。その手助けとなるシミュレーションツールがいくつかあります。これらのシミュレーションツールは、スマートフォンなどにアプリをインストールすることで簡単にシミュレーションが可能です(注意 すべての障害特性を網羅するものではありません)。既存の配色の問題点を調べたり、新しいデザインを考えるのに効果的です。  複数のツールがあるので、インターネットで カラーユニバーサルデザイン支援ツール で検索してください。 7の2 音声コードの作成  世田谷区では以前から、印刷物に視覚障害者用の音声コードを添付する取組を進めてきました。現在、区では以下の仕様を原則としています。   7の2の1 音声コードを添付している印刷物 (1)個別の通知や会議資料  視覚障害者へ通知文書などを送付する際や、視覚障害者が参加する会議などの資料を事前に送付する場合などに、可能な限り音声コードを添付する。 (2)リーフレット・パンフレット  区が音声コードを作成して印刷会社に提供する方法と、音声コードの作成を含めて印刷会社に依頼する方法がある。 (3)報告書 冊子  一部の報告書や冊子において、概要のみを音声コードに入れて作成したり、すべての内容を音声コード化して各ページに印刷する。 (4)封筒  送付用の専用封筒に内容物がわかる音声コードを印刷しておくことにより、代読を頼む人を選ぶことが可能となり、プライバシーの保護に役立つ。 7の2の2 音声コードの作成  音声コードの作成には、特定非営利活動法人 日本視覚障がい情報普及支援協会(JAVIS)が配布するJAVIS Appli.を使用する。JAVIS Appli.はMicrosoft Wordのアドインとして機能し、Wordで作成されたテキストを音声コードに変換する。 7の2の3 音声コードを添付する場合の留意点 (1)文字数は約800文字  原稿量に留意する。また、固有名詞などはひらがなにしたり、記号は削除するなど、音声の読み上げがスムーズになるように編集する。 (2)画像が荒れないように  専用ソフトで作成した音声コードは精密なため、保存する際、画像が圧縮されないよう設定する。また、コピーすると音声コードは劣化して読み取りができなくなることがあるので注意する。  印刷の際には校正段階で、実際に音声コード読み取り機又はユニボイスアプリをインストールしたスマートフォンで読み上げて確認する。  視覚障害者用音声コードリーダーアプリ ユニボイス ブラインド (提供元:特定非営利活動法人 日本視覚障がい情報普及支援協会(JAVIS))  2次元コード 音声コードUni-Voice をスマートフォン用音声コードリーダーアプリ ユニボイス(アイオーエス及びアンドロイド版)及び、視覚障害者向けアプリ ユニボイス ブラインド(iOS版のみ)で読み取ることで、音声コードUni-Voiceに格納された文字情報を音声で読み上げると同時に、テキストにて画面表示されます。 (3)音声コードの周囲に余白を確保  音声コードの周辺(3かける3センチメートル)に、濃い色や文字が印刷されないようにレイアウトする。全体に薄い色が着いている色上質紙などは使用可能。印刷期間なども含めて、印刷会社と事前によく打合せしておく。 (4)紙面に切り欠きを  視覚障害者に音声コードが印刷されていることがわかるよう、音声コードの近く(余白から1センチメートル)に半円の切り欠きを設ける。職員が設ける場合は、2穴パンチの片方を利用することができる。 7の3 図記号(ピクトグラム)  文字によらずに、絵によって意味を伝える視覚言語として図記号(ピクトグラム)があります。  建物内においては、文字情報と併用して使用することを基本とします。  図記号(ピクトグラム)はJIS規格(JIS Z 8210 2017)を標準的に用いますが、独自のものも、必要に応じて統一性のあるデザインで新規作成し用います。表示するかどうかは、サインの設置目的などを考慮して、各課の判断とします。  地と図をわかりやすく表現し、施設などは図記号(ピクトグラム)によって表現するようにします。図記号(ピクトグラム)には、その事物を表す言葉を併記することを基本とします。  注釈 JIS Z 8210 案内用図記号 (平成14(2002)年3月20日制定 令和2(2020)年5月20日改定)。この案内用図記号は、交通エコロジー・モビリティ財団のホームページで、閲覧が可能です。使用上の注意も掲載されています。 以下に案内用図記号の一部を抜粋して掲載します。 ピクトの一覧あり 7の4 点字・触知案内板の整備  視覚障害者用の点字・触知案内板による案内については、JIS規格(JIS T 0921 2017 JIS T 0922 2007)に従って整備を行うほか、下記の各項に配慮して整備します。   (1)点字や触知案内板を設置する場所  不特定多数の人が利用する区民利用施設においては、施設全体の触知案内板や手すりに点字の案内をつけることを原則とする。  ただし、受付などで人による案内ができる場合は、施設全体の触知案内板は設置しなくても良いものとする。 (2)点字や触知案内板で伝える内容  点字は、階数の表示や主な部屋についての情報を手すりにつける。  触知案内板では、人的支援に結びつけるための受付、また、トイレや施設の特性によって利用の多い場所などを案内する。  情報は精査して必要なものに絞って案内する。 (3)多くの人が利用できる工夫  視覚障害者の単独利用以外に、視覚に障害のない人とともに利用することも多いことに配慮し、ロービジョン(弱視等)の人や色覚障害者、知的障害者、発達障害者、子ども、日本語を母語としない人、高齢者にも配慮して、見てわかりやすい表示内容とする。 (4)専門的な助言 以下の機関などでは実際の作成にあたり助言を行っているため、必要に応じて相談する。 社会福祉法人 日本点字図書館 新宿区高田馬場1-23-4 電話番号 03-3209-3202 NPO法人 世田谷区視力障害者福祉協会 世田谷区宮坂2-3-12 電話番号 03-6662-5900 (5)整備の例 写真あり  1、2 この触知案内板は、ロービジョン(弱視等)の人、色覚障害者、高齢者、日本語を母語としない人、子どもなどにわかりやすいデザインと表記に配慮した上で、図は触知できること、重要な情報は点字表記して、ユニバーサルデザインに配慮している。  3 各室出入口付近の手すり端部に室名の点字シートを貼付して、点字を使う人に配慮している。 7の5 利用者・当事者とともに作る事例  だいた区民センターの建設時には、実際に設置予定のサインを実物大に印刷し、設置する場所に近い環境で見やすさの検証を行いました。その際、ロービジョン(弱視等)の人に協力いただき、検討しました。  このほか、世田谷合同庁舎、東京リハビリテーションセンター世田谷、保健医療福祉総合プラザ、うめとぴあ、玉川総合支所新庁舎でも同様の取組を行っています。   (1)検証時の様子と検証ポイント 写真あり 1 天井付近は暗いので明るい場所に設置する 2 必要のない情報は削除する 3 車いす使用者の高さで見やすくする 4 地の色を反転して見やすくする (2)検証の成果を活かして設置したサイン 写真あり サインと照明の連携を図った配置とした。 濃い色の盤面に薄い色の文字を基本とした。 各階の施設を色分けして、わかりやすいものとした。 室名文字間のスラッシュを外し、情報を少なくして、わかりやすいものとした。