31から34ページ 6 聴覚障害者の情報のユニバーサルデザイン対応  情報を取得する手段は、自ら選択できることが大切です。そのため、情報発信者側には、アナウンスなど音声やピンポン(注意喚起音)など音響といった聴覚による情報や手話、筆談、文字や図記号などの視覚による情報を効果的に提供する必要があります。  視覚情報においては、手話通訳の方がわかりやすい人、要約筆記(文字通訳)の方がわかりやすい人がいます。そのため、講演会、セミナー、イベントなどでは手話通訳、要約筆記(文字通訳)との両方を行います。  また、視覚による情報の一つに、口元の動きを読んで話の内容を理解・予測する読唇(どくしん)があります。マスクをして過ごしている状況では、この読唇(どくしん)が困難になることがあります。情報提供では、施設整備によるハード面のほか、ソフト面も大切です。 6の1 施設整備 (1)音響や音声による情報の視覚情報化  音響や音声による情報を、できる限りリアルタイムで、ディスプレイや電光掲示板に文字やイラスト、ピクトグラムなどで表示すると、聴覚障害者、日本語のアナウンスがわかりにくい人、アナウンスを聞き逃した人などにも情報が伝わりやすくなります。  下記に対応事例を紹介します。  受付カウンターでの呼び出しと同時に番号が掲示されるディスプレイを設置。(第3庁舎1階待合いコーナーの写真)  庁舎の待合いコーナーに、非常時の放送を電光掲示板に表示する設備を設置。(第3庁舎1階待合いコーナーの写真)  緊急時の自動火災報知機と連動して、ランプが点滅する光警報装置で、サイレンが聞こえなくても、視覚で緊急時を伝える。 写真あり (2)ヒアリングループ  補聴器を使用している人が、広い空間や騒音の多い場所で、音声を正確に聞き取るために聴力を補うための設備の一種です。  建物などに設置されたループアンテナから生じる磁気が補聴器や人工内耳のコイルで音声になります。補聴器や人工内耳を Tモード に切り替えることで音声が聞こえるため、装置がある場所には下の ヒアリングループマーク もあわせて設置します。また、携帯できるシステムもあります。  事例として、世田谷区施設では、玉川区民会館、大蔵運動場スタンドなどに設置しています。 図あり 6の2 情報保障への対応 (1)受付カウンターなどでの案内  筆談を必要としている人が、気軽に依頼しやすいように、案内所や受付カウンターに筆談マークを掲示します。  区役所に手話通訳者が待機しており、聴覚障害のある人が区役所で手続きをする場合に利用することができます。また、総合支所での手続き等で手話通訳が必要な場合に、タブレット端末を用いた遠隔手話通訳を利用することができます。 写真あり (2)区発行物におけるファクシミリ番号の記載  ファクシミリを使用する人も問い合わせできるように、問い合わせ先は原則として、電話番号とファクシミリ番号を併記します。 (3)手話通訳・文字通訳 手話通訳  話している内容を通訳者が手話で伝えます。発言をしている人の近くに通訳者がいると、発言者の表情もあわせて確認できます。 文字通訳  話している内容をパソコンで入力し、文字をプロジェクターで投影します。投影された文字を読み取り、内容を把握します。(パソコンによる要約筆記) 手話通訳や文字通訳を遠隔から提供するサービスも広がっています。 図あり (4)専門的な助言  以下の機関で手話通訳及び文字通訳に関する相談を行っています。 手話通訳に関する相談 世田谷区手話通訳等派遣センター 世田谷区経堂5-33-13-104 電話番号 03-5450-2099 ファクシミリ 03-3420-3145 文字通訳に関する相談 東京手話通訳等派遣センター 新宿区新宿2-15-27 第3ヒカリビル5階 電話番号 03-3352-3335 ファクシミリ 03-3354-6868 (5)音声を文字に変換するアプリ  音声を文字に変換するアプリを使い、スマートフォンやタブレットに文字を表示しています。多言語にも対応できます。(資料編参照) 写真あり コラム 手話   手話は、独自の文法に基づき、手、指、体等の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において、言語として位置づけられています。特にろう者にとっては、文化を創造し、生きるために不可欠なものとして大切に受け継がれてきた言語です。