25から30ページ 5 視覚障害者の案内・誘導 5の1 視覚障害者誘導用ブロック  周囲の状況に調和させながらはっきりと認識ができるように、アプローチの床材と誘導用ブロックに明度差をつけて、視覚障害者にわかるように敷設します。  また、ロービジョン(弱視等)の人は残存視力で黄色の帯状のラインを歩行の手がかりにしていることもあります。   (1)形状と意味  点状ブロックは、線状ブロックの分岐部や屈曲部、継続的な移動に警告を発したり、注意を促す部分(道路と敷地境界、階段の上下端、案内板、エレベーターの操作ボタン前など)に設ける。  点状ブロックは、警告や注意喚起などの対象となる部分から30センチメートル程度離れた位置に敷設する。  点状ブロック、線状ブロックは、JIS規格(JIS T 9251 2014)に規定された形状のものを使用し、色は黄色を基本とし、(日中の晴天時に)舗装面との輝度比2.5以上を確保し、色や素材等の連続性にも配慮して設置する。 図あり (2)敷設  点状ブロックや線状ブロックは、視覚障害者が利用しやすいように、できる限りカーブを避け、人的な対応につながる受付などの部分まで敷設する。  建物内の誘導では、人的対応の可否や用途により誘導が必要な部分を設定し、車いす使用者、ベビーカーの通行しやすさ、高齢者のつまずき、荷物運搬台車などの移動性も考慮し、視覚障害者誘導用ブロックだけではなく触感や足音の違う床材の採用や手すりによる誘導や音によるサインも検討する。  敷設する場合は、世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例施設整備マニュアル を参考にする。 図あり 5の2 区民利用施設における音声誘導装置の整備  視覚障害者団体などの声など利用者ニーズの高まりが顕在化されてきたことや国土交通省の 公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン の改訂(令和2(2020)年3月)における音声案内に関する記載の充実、平成26(2014)年5月にJIS規格(日本産業規格)に制定された 公共空間に設置する移動支援用音案内 など、これまで以上に音声誘導装置の必要性が増してきています。このような社会的背景から、区民利用施設の整備にあたり、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れて、多くの人にとって利用しやすい音声誘導装置の整備の誘導方針として区立施設における音声誘導装置の整備に関するガイドライン を平成26(2014)年に作成しました。その内容を掲載します。   5の2の1 音声誘導装置の種類  視覚障害者の持つ発信機などの電波や、人を感知する赤外線の変化にセンサーが反応して、音声などにより、誘導、案内を行う装置です。主な装置として次の2種類があります。 送受信機式(施設出入口等)  視覚障害者が持つ発信機のボタンを押すと、建物に設置した受信機が感知し、音声装置から案内が発せられます。 1 受信機の例 2 視覚障害者が持つ発信機の例 写真あり センサー式(トイレ出入口、トイレ内等)  建物に設置した赤外線人感センサー式音声誘導装置が、人の動きに反応し、音声装置から案内が発せられます。 5の2の2 音声誘導装置を整備するにあたっての基本的な考え方  音声誘導装置による案内を必要とする利用者が、案内を受け取れる環境を整備する。  音声誘導装置による案内を必要としない利用者が、視覚で情報を得る他に、音声誘導装置の案内を副次的な情報として役立てることができる環境を整備する。  音声誘導装置による案内が施設の運営に支障を与えないように、設置場所の工夫や新たな製品、新技術などを適切に評価して整備する。 参考1 整備の時期 1 新築、増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替え及び大規模改修又は用途変更時  整備をする場合は、新築、増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替え及び大規模改修又は用途変更時を基本とする。  設置の調整が整わない場合においても電源の空配管の設置は行っておく。 2 その他の修繕時  単独の工事は原則として行わない。必要に応じて適宜整備する。 参考2 音声誘導装置が設置されている区民利用施設の例 1 庁舎(本庁、支所、出張所、まちづくりセンター) 2 区民会館、区民センター、地区会館 3 図書館、図書室 4 あんしんすこやかセンター 5 公衆トイレ及び公園のトイレ(周囲に十分な空地等があり近隣に音声が響かない場合に限る) 6 スポーツ施設 7 その他、視覚障害者の利用頻度が高い施設 5の2の3 設置場所  下記の2箇所を基本としますが、施設の状況に応じて個々に検討します。 玄関(複合施設の場合は主たる玄関、又は直接地上に通ずる出入口) 施設の主たるトイレの入口付近 5の2の4 音声誘導装置の種類の選択 (1)玄関 送受信機式の設置を基本とする。 (2)トイレ  トイレの入口に送受信機式の設置をすることを基本とする。ただし、人の往来が少ない廊下である場合はセンサー式の設置を行い、利用者に適切に案内が届くようにする。  一般トイレの中は受信機を設けないことを原則とするが、多機能トイレなどで利用ニーズがある施設については多機能トイレの中にセンサー式の設置も検討する。  劇場や美術館などは、音声誘導装置のアナウンス音が運営に支障をきたすため、送受信機式を設置し、センサー式は設置しない。 5の2の5 音声誘導装置を設置する際の空間の工夫や技術 (1)音声誘導装置の周囲への影響の考慮  利用者が使用する空間や執務室などの周辺においては、音声誘導装置の音量に配慮することに加え、仕切りの設置や距離の確保、利用者の動線などの空間の工夫をする。  人の通りが多い場所に設置する人感センサーは、頻繁に反応して、アナウンスが連続するのを防止するため、アナウンスの後に空白時間を挿入する。 (2)点字案内板などとの併用  音声誘導装置とあわせて点字案内板を設置するなど、施設ごとの利用者の実情に応じて音声以外の設備もあわせた整備を行うこと。 参考3 音声誘導装置を設置する際の工夫等 写真あり (3)音声案内の間隔や音色  音声案内が流れる間隔や音色の設定は、施設の特性に応じて音色に配慮し、かつ的確に案内できるように工夫する。 (4)補助音声による工夫  音声誘導装置があることを示す音声案内に誘導するための補助的な音を出す装置をあわせて設置するなど、利用者が音声誘導装置を認知しやすくなるように工夫する。 (5)音案内に必要な音の仕様  JIS規格(JIS T 0902 2014) 公共空間に設置する移動支援用音案内 に準ずること。  JIS T 0902、2014では、音の種類、フレーズの時間の長さ、繰り返し頻度、信号発生装置、スピーカー、周辺環境の仕様を定めている。 5の2の6 案内する内容 (1)センサー式の場合 トイレなどの場所を示す言葉は短く、的確な内容にする。 (2)送受信機式の場合 トイレなどの場所を示す言葉だけでなく、設備の位置などの説明を入れる。 参考4 音声案内内容の例 玄関の場合 ピンポーン。こちらは世田谷区役所第1庁舎正面入口です。自動ドアを入ってまっすぐ10メートル進んだ左手に案内があります。 トイレの事例 センサー式と送受信機式を兼用し、送受信機式で詳細な場所を説明している。 センサー式 ピンポーン。トイレは、こちらです。 受信式 ピンポーン。トイレは、こちらです。右に女子トイレ、左に男子トイレです。その奥に、多機能トイレがあります。 5の2の7 音声案内以外の手法  音声案内による工夫の余地がなく、施設本来の利用が阻害されることが想定される場合には、手すりでの誘導、視覚障害者誘導用ブロックの敷設、人的対応(インターホンや呼び鈴の設置など)など音声案内以外の手法での対応とする。 参考5 音声案内以外の例 例 インターホンと触知案内板の設置  インターホンと触知案内板前まで視覚障害者誘導用ブロックを敷設している。 例 きぬた総合支所案内所  出入口(扉外)音声誘導装置と出入口(扉内)案内所を併用している。 写真あり 5の2の8 利用者への事前確認  必要に応じて、視覚障害者による事前確認を当事者団体などを通して行い、利用者のニーズにあった整備を進める。 5の2の9 維持・管理 年1回を基本として、管理者による以下の内容の点検を行い、必要な修繕などを行う。 機器の動作確認を行う。 案内内容の確認(施設名称の変更や建物内部のレイアウト変更など)を行う。