17から24ページ 4 街なかのサインにおけるユニバーサルデザイン 4の1 街なかや建築物のサインとは  街なかや建築物に設置するサインは、すべての利用者がスムーズにその街に暮らし、施設を利用することができるよう補助するものです。  サインの形状、書体、設置位置などに、ユニバーサルデザインに基づく一貫性のある仕様、また、情報の連続性を設定することによって、わかりやすい案内をすることができます。 4の1の1 サインの種類  サインの種類は案内、誘導、位置、その他の4つに大別できます。 図あり (1)案内サイン 図あり 街なか 広域案内地図 街区案内図 街の案内図 ほか 建築物(敷地内含む) 施設案内板 フロア案内板 ほか (2)誘導サイン 図あり 街なか 公共施設誘導板 電柱看板による誘導板 視覚障害者誘導用ブロック エスコートゾーン(横断歩道の中にある白とグレーの点字ブロック帯) 建築物(敷地内含む) 施設内居室等への誘導板 手すり上の点字案内 視覚障害者誘導用ブロック (3)位置サイン 図あり 街なか 道路通称名標識 街区表示板 住居番号表示板 施設名称表示板 建築物(敷地内含む) 居室名称板 トイレ表示板 エレベーター表示板 駐車場表示板 4の2 サイン作成のポイント 4の2の1 サイン作成のポイント  サインを作成するにあたり、以下の3つのポイントに配慮します。 設置位置に秩序があり、統一感がある。(左下写真) サインは街・建築物のデザインと調和している。(中央下写真) 情報を簡潔にわかりやすく伝える。(右下写真 7の5 利用者・当事者とともに作る事例参照) 写真あり 4の2の2 材料と仕上げ  ステンレスや白色塗料などの反射率の高い素材や仕上げを用いるとき、設置場所によっては、太陽光や照明の光を反射し、盤面のまぶしさが生じます。  ガラスやアクリル板などのクリア素材では、反射や映り込み、向こう側の景観が透過して見えてしまうなどにより読みづらさが生じます。また、衝突など、事故の恐れがあるため、十分な視認性を確保することが必要となります。  こういった材料や仕上げを用いるときには、サインの設置場所と採光や照明の工夫で、まぶしさの防止や視認性を確保することが重要です。検討する場合、立位の視点だけでなく、車いす使用者の視点の高さ(地上又は床から115センチメートル)からの視認性も必ず確認します。 4の3 サインにおける言語と文字 4の3の1 言語  外国人の利用にも配慮し、日本語に英語の併記を基本とし、さらに状況に応じて中国語とハングルを併記します。なお、多言語で表記する場合は、東京都 国内外旅行者のためのわかりやすい案内サイン標準化指針に準拠します。また、外国人にも有効で、さらに子どもや知的障害のある人にもわかりやすいやさしい日本語も、必要に応じて活用します。施設名や道路名称などの固有名詞については生活文化政策部国際課の発行する世田谷組織図(英語版、中国版、ハングル版)及びEarthquake Survival Manual (Hazard Map)にならい、不明な表記については国際課と協議し、確認を受けることで的確なものとします。 4の3の2 文字  書体は基本的にUDフォントのゴシック体を使用します。  なお、アルファベットにはフォント名に P のついたプロポーショナルフォントを使用するか、シーゴなどの英文フォントを使用します。文字の大きさは、英語については大文字の高さで日本語の4ぶんの3程度とします。  また遠くから見るサインは太めの書体を用い、近くで見るものや抜き文字で表現する文字は、やや細めの書体を使用します。  文字の大きさについては、 (3)文字の大きさの選択の目安 を参照。 (1)書体の変形  遠くから見るサインの和文書体は、書式をそのまま使うよりも横幅を1割程度増した へいたい1が読みやすいとされています。  ちょうたい は、斜め位置からの可読性が低くなるため、過度な変形は避けるようにします。 (2)色彩  高齢者やロービジョン(弱視等)の人への見やすさを考慮し、文字や図と地の色の明度差は5程度以上を確保します。  JIS規格(日本産業規格)で定められた安全色や交通機関での特定の意味を持つ色彩などを考慮し、統一性ある色彩計画を行いましょう。  なお、地が濃く図が白や淡い色の方が、視認性が良いとされています。  サイン周辺は、適切な明るさを確保するとともに、まぶしさが生じないように配慮します。 (3)文字の大きさの選択の目安  遠くから視認する吊り下げ型等の誘導サインや位置サインなどは20メートル以上、近くから視認する自立型や壁付型等の案内サインなどは4から5メートル以下、案内サインの見出しなどは10メートル程度に視距離を設定することが一般的です。  下の表は、前記の想定のもとに各々の視距離から判読できるために通常有効な文字の大きさを示したものとなります。(ここでいう視距離は、案内上必要な視対象・視認者間の距離を指し、サインの配置間隔を示すものではありません。) 表あり。表の内容は以下になります。 視距離30メートルの場合、和文文字高さ120ミリ以上、英文文字高さが90ミリ以上。 視距離20メートルの場合、和文文字高さ80ミリ以上、英文文字高さが60ミリ以上。 視距離10メートルの場合、和文文字高さ40ミリ以上、英文文字高さが30ミリ以上。 視距離4から5メートルの場合、和文文字高さ20ミリ以上、英文文字高さが15ミリ以上。 視距離1から2メートルの場合、和文文字高さ9ミリ以上、英文文字高さが7ミリ以上。 以上、表の内容終わり。  過度に長体化した文字は視認性が下がるため、上の表の値には適用できません(過度な長体化は避けるべき)。可変式情報表示装置を用いる場合にも、上の表を参考として過度な長体化は避けます。  なお、文字高とは、和文(日本字)では指定書体の 木 の高さを、英文(アルファベット)では指定書体の E の高さをいいます。 図あり (4)ロービジョン(弱視等)の人が近づいて確認することへの配慮  上の表に示される文字高は最低限の目安であり、ロービジョン(弱視等)の人の利用を考慮した場合、より大きい文字高で表示することが必要となります。  遠距離視認用の大きな文字を、壁付型などのサイン板を利用して、視点の高さに掲出することで、ロービジョン(弱視等)の人にとっては接近視できるため読みやすくなります。  また、壁付型等の案内サインについては、ロービジョン(弱視等)の人が近づいて確認できるように設置位置を工夫する必要があります。 出典 公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン バリアフリー整備ガイドライン 旅客施設編 令和2年3月 国土交通省 総合政策局 安心生活政策課 4の4 設置にあたって 4の4の1 設置場所  下の例を参考にして設置します。 案内サイン 街なか 行動の起点(駅前など) 重要な分岐点 建築物内 施設入口付近の目立つ場所 誘導サイン 街なか 行動の起点(駅前など) 重要な分岐点 行動の起点(駅前など) 重要な分岐点 ルートの中間 目的地の入口付近など 建築物内 ホールや通路、階段部分などの移動経路 場所に応じて、吊り下げ型、壁からの突き出し型、壁面プレート型などから選択する。 位置サイン 街なか サインの目的にあわせた適切な場所 建築物内 各居室・トイレ・エレベーターなどに面する共用部の壁など (1)盤面への配慮  車いす使用者などの視点にたち、地図は垂直に設置し、盤面には傾斜をつけない。  屋外の地図であっても、北を上にすることにこだわらず、利用者の立ち位置と同じ方位の関係を保つようにする。  車いす使用者が接近しやすいように、案内板の足元に植え込みなどは設けない。  子どもが盤面にぶつからないように、安全性への配慮も必要。 (2)支柱への配慮  案内サインを支える支柱の位置は、歩行者の案内板への衝突を防止するため、案内板の両端に設置することが望ましい。  車いす使用者が接近して見やすいように、案内板は支柱のみで固定する。 4の4の2 設置する高さ (1)案内サイン  車いすの使用者とりついの利用者の双方が見やすいよう、表示板面の中心の高さを125センチメートル程度の高さに設置する。  壁面に取り付ける触知案内板は、点字を指で触読しやすいように触知図の中心高さは140センチメートル程度とする。  壁面に取り付けるもの以外で、カウンター形などの触知案内板は点字を指で触読しやすいように傾斜をつけ、高さは90センチメートル程度とする。(JIS T 0922参照) 図あり (2)誘導サイン  誘導サインなど、人の往来のある場所でどこからでも見える高さに意味があるサインでは次のようにします。  街なかに設けるサインでは、歩行者や自転車に乗った人がサイン板に接触しないようにするため、歩道空間上に張り出す場合は、誘導サイン下端を路面より250センチメートル以上確保する。  建築物内では、吊り下げ型又は突出型のサインの設置高さは、床からサイン下端までは衝突などに対する安全の確保ができる高さとして240センチメートル(低くても210センチメートル)を標準とし、壁付型のサインの設置高さは、床からサイン下端まで200センチメートル(低くても180センチメートル)を標準とする。 図あり (3)位置サイン  位置サインは壁に貼り付ける形態又は壁の上方に突き出す形態を原則とし、利用者が見つけやすいように配慮して設置する。  部屋の入口付近の室名表記など、壁面の位置サインに点字を併記する場合、点字の中心高さは、床から140センチメートル程度を標準とする。(JIS T 0921参照)