ページ8 今回、二子玉川のワークショップ4から5ページを半田先生とともに実施していただいた、堀江武史さんにお話を伺いました。 見えないものを見る 堀江武史 縄文アーティスト 縄文とアートがつながる? 子どもの頃から縄文時代が好きで、仕事として考古学に携わってきました。土器などを複製するときに型をとるために、スズ箔をはります。これがとてもきれいで、もしかしたら、この状態を見てもらうことでより多くの人に縄文遺物に関心を持ってもらえるのではないか、と思ったことが発端です。 考古学や博物館学は科学的に厳密なもので、「ひと工夫」加えることは許されません。でも、多くの人に見てもらうために、ファンタジーの世界を加えることがアートの世界では許されます。両方の世界を知っている私がかかわることで「そこにあるもの」を通して「見えないもの」を感じるという、ふたつの世界をつなげることができるかもしれないと思っています。 時空を超えて見えないものを見る感性 私が縄文遺物に30年関わって、わずかに知り得たことがあります。縄文人は私たちと同等の知能レベルでありながら、時代を生き抜こうとした知恵については我々以上のものを持っていた、ということです。それは彼らの道具を手にしてみればわかります。彼らのデザインは時間を超越した、完成度の高いものです。 縄文時代の道具を介して、ここではない場所やここにいない人に想いをめぐらすことができるようになりました。それは楽しいことでありますが、時にはに哀しみを伴うこともあります。例えば、今の季節、暖かい部屋にいながら、寒い中を耐えて過ごしている人のことに思い至ります。 現代に生きる私たちは過去に生きた人々の暮らしやほかの場所を生きる人々をもっと身近に感じる必要があります。五感を使って、自身の感性で「見えないもの」を補う力を育む。そういうワークショップや場所づくりがあちこちで企画されて、現在と未来に想いをめぐらすことのできる人が出てくれば、より良い世界になるのではないか、そう思います。 感じるワークショップ 今回は、講師である半田さんの視点をどのように実現するかを考えました。 1番目「そこにあるもの」を使う 2番目「道具」をつくる 3番目 公園の中に「置く」ものをつくるという3つの視点です。 多摩川の流木や公園にある素材を使って、場所を指し示すもの(サイン)として、音を使った道具にする。それを「富士見台」に置いてみる、ということを考えました。(残念ながら当日は雨で3番目はできませんでした) あえて障害がある参加者のために特別な準備はしませんでしたが、障害があってもなくても、みなさんが作品づくりに没頭してもらえたので、まずは良かったと思います。ワークショップとしてはどうだったか、みなさんの感想をぜひ、聞いてみたいです。 ほりえ たけし 府中工房主宰。考古学で培った知見をもとに、縄文人の暮らしを題材に現代アートの作品づくりやワークショップを行っている。 ページ9 ふたこたまがわ へ行こう! 今回ワークショップを行った旧小坂邸と二子玉川公園に行ってみませんか。 (周辺マップ掲載) 旧小坂家住宅(瀬田四丁目広場) 旧小坂邸は、実業家で衆議院議員を務めた小坂順造氏(1881から1960)が昭和12年(1937)に玉川別邸として建て、その後一時本宅として利用していた建物です。現在は世田谷区が管理し、利用者に開放されています。見て、触って、ゆっくりできます。縁側では飲食もOKです。 開園時間 9時30分から16時30分 休園日 毎週月曜(月が祝日の場合は次の平日)と年末年始 所在地 瀬田4-41-21 電話番号 03-3709-5471 http  //www.setagayatm.or.jp/trust/map/pcp/index.html 旧小坂邸は、(一財)世田谷トラストまちづくりの管理運営により一般公開を行っています。 二子玉川公園 国分寺崖線のみどりと多摩川の水辺に囲まれた、眺めのよい公園です。ビジターセンターでは自然に親しめる体験プログラムなど、楽しいイベントを開催しています。ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた日本庭園「帰真園」にもぜひお越しください。 ●ビジターセンター 開館時間8時30分から17時 (年末年始を除く毎日開館) ● 帰真園 開園時間 9時から17時 11月から2月は16時30分まで 休園日 火曜(祝日の場合は開園)と年末年始 所在地 玉川1丁目16番1号 電話番号 03-3700-2735 httページ  //www.futako-tamagawa-park.jp 二子玉川ライズ リボンストリート  まちに開いた地域の庭 駅から公園までは、二子玉川ライズのリボンストリートを散策しながら行ってみませんか。様々なショップや広場でのイベントを何気に楽しむだけでなく、静かな場所をゆったり歩いたり、エレベーターで屋上に行ってみましょう。そこには別の空間があらわれます。木立があって、池があって、畑まであります。原っぱでピクニックすることもできます。ちなみに、ベンチ下部等の石はビルを建てるときに掘削されてでてきた多摩川の玉石だとか。地域の自然を意識した素敵な空間です。もちろんユニバーサルデザインの考え方で整備された空間ですので、多くの人が気楽に楽しめます。 電話番号 03-3709-9109 http  //www.rise.sc/ 二子玉川商店街 商店街がキャンパスになるイベント「青空アート&マート」を今年は4月29日に行います。 花みず木通り 旧小坂邸まで、ハナミズキの並木をぬけてゆっくり散策しませんか。この通りは、実はチンチン電車「砧線」の線路跡でもあります。 町会で決めた「通りの名前」の看板が1月にお目見え。地元の皆さんが自ら設置したそうです。