まず、冊子の概要を説明します。 これは、世田谷区が公共的施設のユニバーサルデザイン(UD)の事例を紹介するために配布している冊子です。 使いやすい建物にするための様々な意見や助言と写真を豊富に掲載しています。 冊子はA4サイズで、全8ページです。 1ページ 表紙 2〜7ページ 公共的施設のユニバーサルデザイン(UD)の事例紹介 8ページ うらびょうし 各ページの説明をします。 まず表紙の説明です。 冊子のタイトル 魅力ある施設のために サブタイトル 心づかいと工夫で だれでも 自由に 使いやすく 表紙には大きく、公共施設の内部のイラストが描かれています。 その手前には、左手に さるが、右手にスーツ姿の男性がいます。 左手にいる さるは、世田谷区のUDのキャラクターで、名前は せたっち です。 せたっちが話しています。 「おやっ、この施設には、誰でも使いやすいUDの工夫があるね!」 右手にいる男性は、UDの専門家です。 専門家が せたっちに答えています。 「これから工夫のポイントを詳しく見ていこう!」 表紙の下部には、様々な人のイラストがあります。妊婦さん、お年寄り、ベビーカーを押したお母さん、視覚障害者、車いすを使用している方です。 その左側に、次の説明文があります。 公共的施設は、様々な人が使います。この冊子では、工夫されたUDの魅力的な事例を紹介します。 その下には、冊子の中で使われている3つのアイコン(マーク)を紹介しています。 ひとつめは、虫眼鏡です。これは 隠れUD のアイコンで、目立たないけれど重要なUDを示します。 ふたつめは、豆電球です。これは 発想UD のアイコンで、面白いアイデアや工夫されたUDを示します。 みっつめは、絵筆とパレットです。これは おしゃれUD のアイコンで、美観や雰囲気の良さにつながるUDを示します。 表紙の一番下にUDと公共的施設の意味を説明しています。 1 ユニバーサルデザイン(UD)とは 年齢、性別、国籍、能力等に関わらず、できるだけ多くの人が利用しやすい生活環境にする考え方のこと。(世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例) 2 公共的施設とは? 不特定多数の人々が公共的に使う施設のこと。マンション、テナントビル、学校、病院、デパート、駅、公園、道路などのこと。 次に2ページから4ぺージです。2ページから4ページには、建物内の設備 に関することが載っています。 ・せたっちの説明 様々な人が利用する建物の中は、誰もが心地よく使える環境にすることが大切です。 施設を利用する人のことを考えて整備をしましょう。 続いて、建物内の設備のUD事例を、写真付きで紹介しています。 まず、床・通路のUD事例です。 ・写真 ショッピング施設入口の様子。案内用の各種設備へ導く視覚障害者誘導用ブロック ・写真 誘導用ブロックとマットの段差を極力無くした床面 ・写真 テナントビルの内装工事中の様子。配管などが通っている躯体の床版を、通常の床の高さより一段下げ、その上に通常の仕上げ面を組んだ床があります。 隠れUD のアイコンが付いています。 ・写真 曲がり角の死角を無くすミラー(きたみ複合施設) ・ベビーカーを押すお母さんの意見 広い通路や鏡などで見通しがいい通路は、人とぶつかる心配も少ないわ。 ・お年寄りの意見 床が滑りにくく、表面が柔らかい素材だと、歩きやすいし、足音も静かだね。 ・UD専門家の説明 床下に配管等のスペースを作っておくと、配管等の配置を変えても、段差の無い平坦な床を維持できる。 次に、エレベーターのUD事例です。 ・写真 エレベーター内部の様子。手すり、操作パネルが左右にある。(ちとせからすやま駅) ・写真 エレベーターの操作パネルの様子。操作パネルのすぐ横に、各階にどんな施設があるかが表示されていて、目的の階が分かりやすい。(きたみ複合施設) ・車いすを使用している方の意見 かごの中に鏡があると、後ろが確認できて、中で向きを変えなくても乗り降りできるよ。 ・視覚障害者の意見 操作パネルに、凸ボタンや点字、音声案内があると、目が見えなくても操作できるんだ。 ・UD専門家の説明 低い操作パネルは、子どもや車いす使用者が操作しやすいだけでなく、混雑しているときは誰もが便利。 次に、手すりのUD事例です。 ・写真 手すりの写真が4つあります。どれも手すりの端部が、けが防止のために、丸くなっていたり、突き出ないよう壁に埋め込まれていたりと、安全に処理されています。 ・写真 階段の踊り場の手すりの様子。手すりが連続していて、踊り場では床と平行になっています。隠れUD のアイコンが付いています。 ・写真 金属ではなく、ビニールハンドレールという素材でできた手すり。温もりが感じられ、触れやすいものです。(きゅうでんふくしえん) ・写真 行き先等を示す点字のある手すり。 ・視覚障害者の意見 床面に平行だと階段がどこから始まる(終わる)のが分かる。点字があると今いる階と行き先が分かっていいね。 ・妊婦さんの意見 左右にあると利き手やのぼりくだりに関わらず使える。細めの手すりなら、小さい手や弱い握力でも握りやすいわ。 ・UD専門家の意見 端部は、突き出さないように、適切に処理をしよう。 次に、階段のUD事例です。 ・写真 駅の階段の様子。段の端部が目立つ色で示されていて、さらに滑り止めがついています。 ・お年寄りの意見 段の端が目立つ色で見やすくなっていると、暗くても安心して歩けるんだ。それに、足元灯があるといいね。 ・UD専門家の意見 主要な階段は、出入口からすぐ把握して到達できるように、位置に配慮すること。 次に、吹き抜け空間のUD事例です。 ・写真 吹き抜け空間を2階から見た様子。手すりは足が掛からず乗り出せない縦桟になっています。(きぬた総合支所) ・写真 吹き抜け空間で、1階から2階を見上げた様子。2階の大きなガラス窓の下部が、くもりガラスになっていて、2階にいる人の足元を見上げる視線をさえぎっています。     発想UD、隠れUD のアイコンが付いています。 ・写真 広々した吹き抜け空間の様子。暖かい空気が上昇する原理や風力で換気する、ソーラーチムニーです。(ろか中学校、ろか小学校) ・UD専門家の意見 吹き抜けは、明るく開放的な空間を作れる。気になる下からの視線や、暖かい空気が一部に溜まること、落下防止 等への対策も忘れずに。 次に、トイレのUD事例です。 ・写真 様々な人が使いやすい多機能トイレ。可動式の手すり、車いすでも使いやすい広いスペース、オストメイト対応設備などがあります。 ・写真 オストメイト対応設備と、温水の出るシャワーヘッドの様子。 ・写真 ベビーチェアとベビーベッド ・写真 小児用の小便器のあるトイレ ・視覚障害者の意見 設備配置の音声案内があるといいな。操作ボタンなどの配置は、JIS(日本工業規格)基準を守って欲しい。 ・ベビーカーを押すお母さんの意見 幼児用小便器やベビーカーの入るスペースがあると使いやすいわ。 ・UD専門家の意見 多機能トイレは、異性介助に配慮し、男女どちらでも入りやすい位置にする。内側にカーテンを設置するなどの配慮も必要。 ベビーチェアは、一般個室にも置いて、利用者の集中を避ける。 また、複数のトイレを設置する場合は、片麻痺の人に配慮し、配置を左右反転にすると良い。 4ページ中段から5ページには、建物周辺 に関することが載っています。 ・せたっちの説明 建物の出入口や駐車場は、位置が分かりやすく誰にとっても利用しやすいことが重要なポイントです。壁面など建物の外側部分にも、UDの工夫ができる所があります。 まず、ドアのUD事例です。 ・写真 保育園の引き戸。窓がついていて、部屋の中を外から確認できる。また、指はさみ防止のためのスペースがついています。(はちまんやま保育園) ・写真 マンションの防火戸。火災時に、戸の先が安全かどうかを見通せる窓がついています。 発想UD のアイコンが付いています。 ・写真 区民センターの自動ドア。透明なガラスのドアなので、閉まっているときに間違って衝突しないように、衝突防止のマークが付いています。(ちとせからすやま区民センター) ・車いすを使用している方の意見 開き戸より引き戸の方が、開け閉めの動作が簡単なんだ。 ・ベビーカーを押すお母さんの意見 荷物やベビーカーで手がふさがっていても、自動ドアなら楽だわ。 ・UD専門家の説明 ドアの有効幅が確保できるように、計画段階で引き残しや戸厚を考慮する。 ドアの取っ手はレバーハンドル等の形状とし、車いす使用者や子どもにも使いやすい高さ(床上90センチメートル程度)にすること。 次に、道路との段差のUD事例です。 ・写真 段差を少なくした、沿道敷地と道路(車道)との境界 ・視覚障害者の意見 段差が全く無いと、歩道を歩いているつもりで車道に出てしまうことがあり、危ないんだ。 ・UD専門家の説明 施設と道路(車道)との境界は、段差を2センチメートルとするのが基本。世田谷区が考案した スムーズ段差世田谷型ブロック の利用が推奨されている。 次に、施設の緑化のUD事例です。 ・写真 植栽による壁面緑化の事例。(きぬた総合支所) ・写真 緑のパーゴラ。ベンチのうえに組んだ棚に緑のつる植物がからみ、日差しをさえぎっている。(からすやま区民センター前広場) このふたつの写真には、 おしゃれUD のアイコンが付いています。 ・ベビーカーを押すお母さんの意見 緑のパーゴラは、夏は日差しを遮り、冬は葉が散って日当たりが良くなるわね。 ・UD専門家の説明 壁面を緑化すると、景観上の効果だけでなく、しゃこう・じょうさん効果があり、エコロジカルで快適な空間を作れる。 次に、駐車場のUD事例です。 ・写真 ショッピング施設の前の駐車場。複数の車いす使用者用駐車スペースが並んでいます。 ・写真 駐車場の舗装を上から見た様子。写真の端に、子供が座れる買い物カートに乗った子供の姿が見えています。     透水性舗装により、排水溝への傾斜が少なくなり、ほぼ平坦のため、カートが転がることがありません。隠れUD のアイコンが付いています。 ・写真 自動車がたくさん停まっている駐車場。人の歩く通路と車路が色分けされています。 発想UD のアイコンが付いています。 ・ベビーカーを押すお母さんの意見 地面が平らだと、買い物カートも蛇行せず、勝手に転がらないから安全だわ。 ・車いすを使用している方の意見 車いす使用者用駐車スペースが複数並んでいると、左右どちらからでも乗り降りできていいね。 ・UD専門家の説明 通路と車路を色分けすると、直感的に歩行区分が分かり、事故が起こりにくくなる。 次に6ページです。6ページには、案内サイン に関することが載っています。 ・せたっちの説明 建物内の設備や行きたい場所への経路が分かると利用しやすくなります。 サインをより多くの人に、分かりやすく伝える工夫も考えましょう。 まず、視覚サインのUD事例です。 ・写真 施設の壁に掲示してある、フロアの案内図。色分けされて分かりやすい地図。 ・写真 トイレの入口に掲示してある、ピクトサイン(イラストで分かりやすく表現したサイン)。     車いす、赤ん坊、お年寄りなどのサインがあり、様々な人が使えるトイレであることを示している。 ・写真 公共施設内の柱にある案内サイン。日本語、英語、点字で、施設内に何があるかを表示している。     様々な人に伝えることができ、柱の各面にサインがあるので、どの方向からも情報を得られる。(きたみ複合施設) ・お年寄りの意見 トイレの出入口には、サインを付けて欲しい。必要な設備のある個室に行きたいからね。 ・聴覚障害者の意見 表示内容が多すぎてもかえって分かりにくい。大事な情報に絞ることも大切ね。 ・子どもの意見 フロアの案内図ははっきりとした色や線で作られていると、とっても分かりやすいよ! ・UD専門家の説明 黒地に白の文字は、ハレーションを起こしにくく、陽光や照明が反射する所でも見やすい。 次に、音声案内のUD事例です。 ・写真 駅の構内にある、音声・点字でも情報を提供している案内板(ちとせからすやま駅) ・写真 駅構内にあるインターホン。駅員を呼び出すことができる。 ・写真 ショッピング施設のインターホン。係員を呼び出すことができる。 ・写真 公園トイレにある、音声案内装置。 ・視覚障害者の意見 音声案内は、長過ぎても覚えきれない。係員と話のできるインターホンがあると、安心できるなあ。 ・UD専門家の説明 文字や図だけでなく、耳で聞き取る音声案内も有効です。複数の方法で情報を伝えることがUDにつながる。 次に7ページです。7ページには、道路・公園のUDに関すること が載っています。 ・せたっちの説明 建物と併せて、道路や公園の工夫がまち全体の魅力につながります。 まず、座れるスペースのUD事例です。 ・写真 駅前にある案内板近くに設置してあるベンチ(うめがおか駅北口) ・妊婦さんの意見 散歩や買い物の途中でひと休みしたい時に便利ね。 ・UD専門家の説明 設置場所は、目の不自由な人など、すべての歩行者の通行に支障とならない所にすることが大切。 次に、スロープのUD事例です。 ・写真 公園にあるすこし高い位置の休憩スペース。階段でもスロープでも行くことができる。(きゅうでんみずなし公園) ・車いすを使用している方の意見 車いすやベビーカーで利用できるね。スロープの幅が140センチメートル以上なら、車いすと歩行者がすれ違えるよ。 ・UD専門家の説明 スロープは、階段などのメインルートのそばに設置し、利用者が選べるようにすること。 次に、車などの進入防止のUD事例です。 ・写真 公園の出入口に、二輪車進入防止の柵がある。柵には二段手すりも付いていて、半円形にカーブした形で人を通すようになっており、     自転車やバイクは通れないが、車いす使用者やベビーカーは通ることができる。 ・ベビーカーを押すお母さんの意見 自動車やバイクなどの進入防止は、歩行者に優しい空間になるわね。 ・UD専門家の説明 車止めの柵を設置する場合、車いす使用者の通行ルートや、有効幅員1.2メートル以上を確保すること。 次に、電線類の地中化のUD事例です。 ・写真 電線や電信柱がなく、すっきりとした町並みの様子です。隠れUD、おしゃれUD のアイコンが付いています。 ・お年寄りの意見 標識が何本も乱立せず最小限のポールだと、すっきりした景観だね。 ・UD専門家の説明 道路や歩道のスペースをより広くとれ、歩行者や自動車運転手にとって視覚的な妨げが無くなる。災害時のリスクも減少。 次に、細めのグレーチングのUD事例です。 ・写真 歩道と車道の境界にある溝にふたをする細い目のグレーチング。隠れUD のアイコンが付いています。 ・お年寄りの意見 杖の先やハイヒールのかかとなどが、落ちないので安心だね。 次に、道路のスムーズな接続のUD事例です。 ・写真のみ 既存の道路と、新しく開発された道路との境界が、スムーズな段差でつながっている様子。 ・UD専門家の説明 開発等で新設する道路と、既存道路との接続部の段差は2センチメートルにおさえる。隅切りもスムーズなすり合わせが必要。 最後に8ページです。8ページは、うらびょうし です。 8ページ上部では、小規模店舗のUD改修事例について説明しています。 ・写真 ヘアサロンの玄関口の様子。入口の開き戸を自動ドアに変更し、入口にあった段差を無くした店舗の事例です。 ・写真 小規模な病院の玄関口の様子。改修前は、道路から入口へ行くまでの経路は階段のみでしたが、スロープを併設しました。 ・写真 飲食店のトイレの様子。車いす使用者が利用できる広さにし、さらに様々な人が使いやすいように和式から洋式に改修しました。 ・UD専門家の説明 既存の施設でも、誰もが利用しやすくできる改修に併せて、誘導用のブロックや手すり、案内サインなど、必要なものも整備しよう。 8ページ中段では、施設づくりのためのUDに関する参考資料として、 イラストや図を使って解説した分かりやすい整備マニュアルを2つ紹介しています。 ・世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例 施設整備マニュアル(建築物 集合住宅 道路 公園 公共交通施設 路外駐車場) ・高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準   編集は国土交通省、発行は人にやさしい建築・住宅推進協議会 ・せたっちの説明 この冊子は、区民参加ワークショップでの検討を参考にまとめました。 区民参加ワークショップの実施中の様子を、3枚の写真で紹介しています。 8ページ最下部に編集・発行者情報が書かれています。 編集・発行 世田谷区 都市せいびせいさくぶ 都市デザイン課 平成26年4月初版 広報印刷物登録番号 NO.1162 令和3年5月に、ふたこ玉川分庁舎に移転しました。 郵便番号 159-0089 東京都世田谷区玉川1-20-1 電話 03-6432-7152 ファクシミリ 03-6432-7996 インターネットでは、 世田谷 と ユニバーサルデザイン で検索してください。 再生紙を使用しています。 以上