表面 時間を旅する風景街歩きシリーズ 風景PRESS 06  にぎわい 三軒茶屋 表面の写真1 三軒茶屋の駅前で行われた、大道芸の風景 三軒茶屋のにぎわいの歴史 大山詣の道 三軒茶屋は、大山(おおやま)道の旧道と新道の分岐点にあります。 大山道とは、江戸の庶民が相模国大山に向かって利用した道を言います。大山の山頂には、 五穀豊穣、商売繁盛で信仰を集める阿夫利(あふり)神社があり、信仰と娯楽を兼ねて、 たくさんの人が大山詣をしました。特に江戸中期以降、地域ごとに大山講と呼ばれる講【参 詣(さんけい)をする信者の団体】をつくって順番にお参りするようになると、爆発的に 参詣者が増えたそうです。また、「大山に雲がかかると雨が降る」というので農民の信仰も 厚く、干ばつの時には村の代表が水をもらいに何度も登拝しました。 三軒茶屋は、大山に向かう人々、あるいは大山から江戸に戻る人々が休憩する場所のひと つで、ここに「信楽(しがらき)」「角屋(かどや)」「田中屋」の三軒のお茶屋が並んでい たことから、その名がつきました。 表面の地図1 大山に向かうさまざまなルート 江戸時代の大山道(主要8道) 参考・出典『大山道なぞなぞウォーキング』 田村通り大山道(四ツ谷から大山) 柏尾通り大山道(柏尾から大山) 青山通り大山道(赤坂御門から三軒茶屋経由で大山) 府中通り大山道(府中から大山) 八王子通り大山道(八王子から大山) 蓑毛通り大山道(松田から大山) 六本松通り大山道(小田原から大山) 今も残る道しるべ 江戸時代の道しるべが、 今もまちの中に残っています。 世田谷通りと国道246号の分岐点の三角地帯、東急田園都市線三軒茶屋駅の世田谷通り口 近くに、「大山道」と彫られた石の道しるべがあります。 明治時代に描かれた三軒茶屋の風景の中にも、この道しるべが描かれており、大山詣をす る人々のランドマークとして存在していたことを伺わせます。この道しるべを見て、間違 いなく三軒茶屋に着いたことを知り、茶屋で一服し、分岐の方向を確かめて旅立った、そ んな風景を思い描くことができます。 ちなみに、この道しるべには分岐を示す「世田谷道 登戸道」「二子通」も刻まれています が、道しるべを移設した際にその方向がずれて設置されたようで、現在は道しるべとして の機能は果たしていません。 表面の写真2 明治時代に描かれた三軒茶屋の風景と、現在も残る道しるべの写真 表面写真2のキャプション 明治時代に描かれた三軒茶屋の風景の中にも、この道しるべ があります。 現在につづくにぎわい 明治時代には、三宿から三軒茶屋一帯に軍事施設がつくられ、お店が建ち並び、商店街の 基盤がつくられました。 その後、戦後の住宅開発を経て、1996年には劇場がある商業施設キャロットタワーが三軒 茶屋駅近くに完成、現在も歩行者天国や様々なイベントが行われる、世田谷区内のにぎわ い拠点のひとつに発展しています。 にぎわいをつくる風景要素 江戸時代から交通の要衝として栄えていた三軒茶屋は、明治期に軍事施設が置かれたこと から自然発生的に商店街が形成されました。その後、関東大震災の被災者の流入や戦後の 住宅開発により人口が急増し、人を集める様々な機能を担うようになりました。 このような街の成り立ちを背景に整備された街の基盤や、商店街に建ち並ぶ店舗、そして 街に訪れる人々によって、にぎわいのある風景がつくり出されています。 こうしたにぎわいの風景は、街の顔や拠点として地域を魅力的にし、世田谷の個性を生み 出します。 参考・出典『三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針』 STUDY 学ぶ・深める 看板がつくるにぎわいの風景 にぎわいのある風景を眺めてみると、お店の看板や商店街のフラッグなどが見つかります。 看板は、まちなかで必要な情報を提供してくれる重要な存在であり、にぎわいの風景をつ くる要素の一つでもあります。 素敵な看板をみてみよう! ついお店に入りたくなる魅力的な看板とは、どんなものがあるでしょうか? 看板のデザ インに注目して歩いてみると、一味違ったまち歩きが楽しめます。 1) 情報 表面の写真3 黒地に白文字で「Cafe MameHico」と書かれた看板 表面の写真3のキャプション 文字や図が整理され、すっきりとしていてみやすい 2) 文字 表面の写真4 紺地に白文字で「魚」と書かれた看板 表面の写真4のキャプション 文字がとてもシンプルで印象的 3) 色彩 表面の写真5 青地に白文字で「海街丼」と書かれた暖簾 表面の写真5のキャプション シンプルな色使い 4)大きさ、位置 表面の写真6 斜め45度見上げる位置にある看板 表面の写真6のキャプション 適切な位置に適切な大きさの看板を設置することで、効果 的な看板になっている 5) 素材 表面の写真7 鉄板に炎のイラストが描かれた焼き肉屋の看板 表面の写真7のキャプション メッセージが伝わる素材選び 6) 図・記号 表面の写真8 酒屋に飾られている杉玉 表面の写真8のキャプション 視覚的に店の印象が伝わる +α 魅力的な店先 表面の写真9 ウッドデッキ上に植木鉢が置かれた店先の風景 表面の写真9のキャプション 茶系の色でまとめられた店先に草花が添えられ、店全体に 潤いを与えている イベントがつくるにぎわいの風景 「せたがやふるさと区民まつり」「三茶de大道芸」「世田谷区たまがわ花火大会」など、毎 年恒例となった大小さまざまなイベントが、区内の各地で催されています。 多くの人でにぎわうイベントの風景は、地域に欠かすことのできない季節の風物詩として、 認識されています。 予告 世田谷アートタウン2019 三茶de大道芸 日程:令和元年10月19日 土曜日、20日 日曜日 会場:三軒茶屋駅周辺、キャロットタワー、近隣商店街など 街のいたるところで一流のパフォーマンスや商店街の屋台、ボランティアによ るユニークな装飾に出会えます。 三軒茶屋の街全体が劇場になり、たくさんの人が訪れる二日間。にぎわいの風 景を探しに出かけてみませんか? お問い合せ 世田谷アートタウン事務局  TEL.03-5432-1547(10月末日まで) FAX.03-5432-1559 表面の写真10 路上を行進するパフォーマンス うままち世田谷YABUSAMEフェスタ 台風19号の影響により開催を延期します。 ※開催についての詳細情報は、観光情報サイト「エンジョイ!SETAGAYA」に てご案内します。 中面 なぜ三茶には人が集まるのか? 三軒茶屋には、多くの人が集う場所があります。人が集い、にぎわう街には、どんな風景 の特徴があるのでしょうか。 中面の図1 三軒茶屋駅周辺の地図 江戸時代から続く交通の結節点 TRAFFIC 三軒茶屋は、江戸時代には大山道の旧道と新道が分かれる結節点でした。今でも、東急電 鉄の田園都市線と世田谷線の乗り換え場所になっていたり、国道246号、世田谷通りと茶 沢通りの交差点になっていたりするなど、人々が行き交う交通の要衝です。 中面の写真1 昭和43年の三軒茶屋交差点の風景 中面の写真1のキャプション 昭和43年の 三軒茶屋交差点。左が国道246号、右が世田 谷通り、右端方向が世田谷線です。 中面の写真2 駅前広場三茶パティオ 中面の写真3 駅周辺の航空写真 中面の写真2、3のキャプション 交差点や三茶パティオなどでは、人と車が行き交うにぎ やかな風景がみられます 中面の写真4 世田谷線 中面の写真5 世田谷線の三軒茶屋駅前にある観光案内所 中面の写真4、5のキャプション 観光案内所には、イベントや街の情報を求めて人が訪れ ます。 三茶のランドマーク キャロットタワー LANDMARK 三茶のランドマーク「キャロットタワー」には、店舗、劇場、展示や講座ができる会場、 最上階には三茶を一望できるスペースがあります。 劇場で人気の演目があると、演劇ファンが集います。 中面の写真6 レンガ風の建物キャロットタワー 中面の写真6のキャプション キャロットタワー 中面の写真7 劇場内部 中面の写真8 最上階からのまちの眺め 集いのスペース いろいろ GATHERING PLACE 毎週日曜日の午後、茶沢通りは歩行者天国に! 「ふれあい広場」でも、さまざまなイベントが行われています。大がかりなイベントがな くても、ちょっとしたスペースでにぎわいは生まれます。 中面の写真9 ふれあい広場でのイベントの様子 中面の写真10 ふれあい広場に出店している屋台 中面の写真9、10のキャプション ふれあい広場でのイベント風景 中面の写真11 ホコ天の様子 中面の写真11のキャプション ホコ天風景 中面の写真12 駅前広場で行われる大道芸の様子 中面の写真12のキャプション 街全体がイベント会場に 中面の写真13 道路を行進するパフォーマンス 中面の写真13のキャプション 茶沢通りのイベント風景 中面の写真14 歩道上にあるツリーサークルベンチ 中面の写真14のキャプション まちの休憩スペース つい寄りたくなる、こだわりの店構え  ズラリと並ぶ商品は、魅力や迫力があります。つい寄りたくなる店舗デザインも、お客さ んを呼び込むのにー役買っています。 PRODUCT 中面の写真15 八百屋に行列する人々 中面の写真16 真っ赤なトマトが、黒いカゴに小分けされて並べられている 中面の写真17 スパゲッティやオリーブオイルなどが藤カゴに入って店先で販売 中面の写真18 並べられた、揚げたての串揚げ 中面の写真19 赤、水色、ピンク、黒など、カラフルな子ども用のクツ 中面の写真20 小さな花をたくさん咲かせている鉢植え DESIGN 中面の写真21 店先に置かれたベンチで寛ぐ人々 中面の写真22 紺地に「味噌醤油」の白文字暖簾がかかる、時代を感じさせる店 中面の写真23 店内で購入したものを、店先で食べている風景 中面の写真24 若い人たちが歩道上に行列して買っている様子 発行 世田谷区都市整備政策部都市デザイン課 〒154-8504 世田谷区世田谷4-21-27 電話 03-5432-2039 ファクシミリ 03-5432-3084 ホームページ風景プレス 検索 時間を旅する風景街歩きシリーズ 風景PRESS 06 平成2019年10月(第61号)