表面1 時間を旅する風景街歩きシリーズ 風景PRESS 01 等々力駅?九品仏駅 地形を感じる世田谷めぐり 表面2 地形を体感するまち歩きの楽しみ方  中面でご紹介している地形を感じるまち歩きコースは、「上ったり下ったり」を繰り返します。急な上り坂や長い階段も、地形を理解しようと思って歩けば、大変な道ではなく発見の多い楽しい道になります。  この楽しみを教えてくれたのは、「東京スリバチ学会」会長の皆川典久さん。そのポイントをお伝えします。  例えば、低い場所にネコ、高い所に犬といった手がかりもあるそうです。 写真掲載:「東京スリバチ学会」会長の皆川典久さん顔写真 皆川さんの地形を感じる五感の手がかり 低い場所 水の音がする 湿り気がある 路地が多い ネコがいることが多い 高い場所 風が通る 乾燥している 車の音がする 犬にあうことが多い  低いところに行ったら、水の音がしていないか耳をすませてみましょう。路地裏を覗いてみると、日向ぼっこをしているネコとの出会いがあるかもしれません。  高いところに行ったら、風を感じたり、周囲を見渡せる眺望ポイントを探してみましょう。高台には神社があることが多いです。 皆川さんの地形体感まち歩きのオススメ時期  冬がオススメです。樹木の葉が落ちることで、地形がわかりやすくなります。 STUDY学ぶ・深める なぜ世田谷は、地形の起伏が豊かなのか?  武蔵野台地の東南部に位置する世田谷区は、関東ローム層と呼ばれる火山灰が風化した赤土に覆われています。  世田谷の起伏の豊かな地形は、関東ローム層が水の流れで削られることによりつくられました。  等々力渓谷は、この顕著な例ですが、その他にも国分寺崖線沿いには、大小さまざまな谷が形成されています。 表面3 豆知識 壮大な時間をさかのぼる等々力渓谷の変遷  東京23区唯一の渓谷として知られている等々力渓谷ですが、河川の流れが変わるようなダイナミックな変遷を経て今に至っています。 図掲載:下記の項目の各々を説明する模式図(凡例 流路の方向 侵食の方向) 10万年以上前 呑川の一支流であった九品仏川は、九品仏の谷底低地を東に流れ、本流の呑川へ合流。 10万年?数万年前 現在の「不動の滝」付近で、地下水脈を透過した湧水により台地が崩落し、次第に北に向かって谷が削られ始める。 谷の侵食はさらに北へ進み、九品仏川とつながる。この結果、九品仏川の上流は「争奪」され、新しい河川「谷沢川」ができる。流れをとられた九品仏川は、一部が「逆川(さかさがわ)」として西に流れるようになる。 古墳時代末期?奈良時代 渓谷環境が現況に近づいた頃、横穴墓(おうけつぼ)がつくられる。 不明?江戸時代 逆川の水量が増し谷底侵食を高め、九品仏川を争奪し、全流域が逆川となり谷沢川に流入。こうした変化により、谷沢川の谷底侵食が急激に進行し、上流に向かって河床の崩壊・崩落が発生し、最前につくられる落差が「滝」となる。 まち歩きコースで紹介している「姫の滝」は、こうして作られた滝であったと考えられる。 近現代 逆川の勢いが衰え(S40年頃消滅)、九品仏川が呑川と合流する。「姫の滝」は昭和13年7月に発生した水害で崩壊。その後、護岸整備により流域全体が改修され、現在のかたちになる。 参考 等々力渓谷展 ー渓谷の形成をめぐってー 発行 世田谷区立郷土資料館 表面4 参加しよう! せたがや地域風景資産クイズコンテスト クイズ募集!! 世田谷区では、大切に思う風景を地域の活動で「守り・育て・つくる」ことを目的に「地域風景資産」として選定しています。この度、「地域風景資産」を巡り、クイズを考えて応募してもらう「クイズコンテスト」を開催します。世界に一つだけのオリジナルクイズをつくってみませんか? 開催時期 2017年3月15日(水)?5月31日(水) 参加方法 1 クイズコンテストブックをゲット   どの地域風景資産のクイズを考えたいか選んでください。   配布窓口 各図書館、まちづくりセンターなど   ホームページ 地域風景資産クイズコンテスト 検索   写真掲載:クイズコンテストブック表紙 2 資産を巡り、クイズを作成    地域風景資産を巡り、その場所に行くと答えがわかるクイズを《択形式で考えてください。    写真掲載:クイズ作成サンプル 3 作成したクイズを応募(応募方法は3通り)   郵送(切手不要) 応募用紙に必要事項を書いて応募。   電子申請 「地域風景資産 クイズコンテスト」を検索。申請フォーマットに沿って入力し、応募。   直接持参 応募用紙に必要事項を書いて都市デザイン課窓口へ。 4 記念品をプレゼント   応募者先着200名に記念品をプレゼントします。さらにクイズが採用された方には賞品があります。 中面 武蔵野台地を体感しよう。 世田谷の風景を語る時、地形は欠かせない特徴のひとつです。 この起伏の豊かな地形は武蔵野台地を幾筋もの河川が侵食することで、つくりだされたものです。 今回は、等々力渓谷と国分寺崖線の高低差を感じられるルートをご紹介します。 川沿いの低いところから、眺めの良い高いところまで、行ったり来たりします。 コース紹介 等々力駅〜九品仏駅 2時間コース 余裕があったら 姫之橋まで往復20分 高低差が体感できるポイント 1 姫之橋 かつて渓谷地形の最上流部にあった姫の滝は、現在の姫之橋の少し上流部にあったそうです。今でもその名残が見られます。 写真掲載:(キャプション)姫之橋から上流を見る 写真掲載:(キャプション)昭和13年災害時の姫の滝周辺 写真出典「等々力渓谷展ー渓谷の形成をめぐってー 2 等々力渓谷 武蔵野台地の南端を谷沢川が侵食してできた、延長約1qの渓谷です。 ゴルフ橋の辺りで、谷沢川が急角度で南に曲がっており、谷沢川が九品仏川を争奪してできた河川であることがよくわかります(参照:裏面 豆知識)。 また、地層が露出している斜面もあり、間近で多様な地層を観察できます。 写真掲載:等々力渓谷 3 谷沢川と丸子川 丸子川は、江戸時代、多摩川下流の六郷(現大田区)の新田造成のため引かれた用水です。昭和初期からの都市化により用水としての使命を終え、六郷用水の一部が「丸子川」となりました。丸子川が用水だった時代には、谷沢川の上を越えて流れていましたが、現在は丸子川上流が谷沢川下流へ、谷沢川上流の一部が丸子川下流へと水を流しています。 写真掲載:(キャプション)谷沢川の水がくみあげられ、丸子川へ流れていきます。 図掲載:谷沢川と丸子川の流れ方の説明 4 狐塚(きつねづか)古墳に向かう坂 写真掲載:(キャプション)白い車の先に、急な登り坂が見えます。 5 狐塚(きつねづか)古墳からの眺望 写真掲載:(キャプション)樹木の間から家々の屋根が広がっています。 6 宇佐神社からの眺望 写真掲載:(キャプション)北側に抜ける坂道を登ると眺望が開けます。 7 九十九折坂(つづらおりざか)からの眺望 写真掲載:(キャプション)高低差が大きくジグザグなので「九十九折坂」とも呼ばれています。 8 長い階段 写真掲載:(キャプション)大田区との境に向かって下りる長い階段。 マップ掲載:上記ポイントが含まれる範囲の地図にルートとポイントが掲載。 地形断面図掲載:紹介したルートの断面図を掲載:(キャプション)断面図「カシミール3D」で作成したものをトレース 発行 世田谷区都市整備政策部都市デザイン課 〒154-8504 世田谷区世田谷4-21-27 電 話 03-5432-2039、ファックス 03-5432-3084 メール SEA02092@mb.city.setagaya.tokyo.jp、 ホームページ 風景PRESS 検索 平成29(2017)年3月(第56号)